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2009.06.03

日本の美と出会うー琳派・若冲・数寄の心ー

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今日からはじまった細見美所蔵品による特別展‘日本の美と出会う’(6/3~6/15)を見るため、日本橋高島屋に足を運んだ。

京都にある細見美は二度訪問し(拙ブログ06/10/29)、自慢の琳派作品は結構見ているので期待値がとくに高いというわけでない。でも、ここは琳派のコレクションでは名が知れているから、琳派狂の心はsomething newに遭遇するのではと揺れ動く。収穫は図録に載っていてまだ見てなかった光琳の‘柳図香包’と鈴木其一の初期の頃の作、‘桜花返吹図扇面’。

抱一は昨年、東博であった‘大琳派展’に出品された‘白蓮図’や‘桜に小禽図’や‘松風村雨図’がある。また、其一の‘雪中竹梅小禽図’も東博でみた。

想定外だったのが若冲。事前に入手した情報はすでに見ている‘糸瓜群虫図’のみだったから、あまり期待してなかったのだが、嬉しいことに全部で9点あった。うち5点はまだみてない絵だから、俄然目に力が入る。

‘糸瓜群虫図’に単眼鏡で最接近していたら、隣りの中年の女性から‘カエルがどこにいるのかわかります?’と尋ねられた。‘カエルはですねェー、ちょっとわかりにくいですがここなんですよ!’。カマキリ、トンボ、カタツムリ、バッタはすぐわかるが、カエルと青虫は、、、

じっくり見たのは上の‘花鳥図押絵貼屏風’。若冲の水墨画のなかには濃い墨面がすごくインパクトをもっているのがあるが、これもそのタイプ。この輝く黒と響き合っているのが花びらや葉っぱや鶏の羽根のやわらかい灰色。これを勝手に‘黒&グレーの美’と呼んでいる。描かれているものでは蝶、トンボ、上空からまっ逆さまに降りてきたような一羽の鳥、くちばしの長いかわせみ、強い風を受けている鴛鴦、そして主役の鶏に視線が集まる。

画集によるとここにはほかに‘菊花図’と‘群鶏図’の押絵貼屏風がある。次のターゲットはこの2点と‘瓢箪・牡丹図’、著色画の‘雪中雄鶏図’。若冲の追っかけはまだまだ続く。

コレクションのなかでまったく縁がなかったのがいくつかあった。興味深く見たのが真ん中の‘観馬図屏風’(江戸時代、これは右隻の部分)。厩図はみているが、こういうペット犬のコンテストみたいに正装した馬を貴人に見せる場面を描いた絵ははじめてお目にかかった。ちょうど、現在の競争馬が出走する前、パドックをぐるぐる回り晴れ姿を観客にみせるようなものだろうか。

やきものでは志野茶碗の銘‘弁慶’は一度みたことはあるが、ほかの志野や織部などは初対面。とても珍しかったのが下の‘志野幾何学文銚子’。そして、グラフのような曲線文様が描かれた‘黒織部沓形茶碗’の現代感覚の意匠にも魅了された。バラエティに富む90点の美術品からはタイトルの通り‘日本の美’がみてとれる。高い満足の得られる展覧会だった。

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コメント

先日は素人への回答(東京都美術館展について)を有り難うございました。
高島屋展覧会は初日の午前中に観に行きました。お客さんも少なくじっくりと若冲の絵を楽しめました。江戸時代の画家というのは、いろんな手法をこなせたんだとビックリしました。

ただ図録のお値段が高くて悩んだ末に買わなかったです。同じ高島屋で片岡球子の図録は衝動買いしましたが。。。

少しづつ美術を観る楽しみが増えてきましたが、今度は図録購入をどうするか、悩みです。阿修羅展は図録を衝動買いして全く後悔無し。西洋美のルーブル展(現在)は、これまた悩んだ末に買いませんでした。限られたお小遣いの中でのやりくり難しいものですね。

投稿: ミネラル | 2009.06.04 22:18

to ミネラルさん
図録はいつも買ってますから、その整理に大変
です。回顧展が3回以上になると、ベストの2冊
を確保しあとはこれに載ってない図版だけを残し
て解体処分します。これを画家毎のファイルブック
に入れると自家製図録が出来上がります。また、
論考の部分は別にまとめておきます。ほとんど
読みませんが。

図録をどうしても買いたい展覧会は感激も大きい
でしょうから、図録をまたみると感動が再生され
ますね。私は感動をずっと持ち続けたいために図録
を買ってます。で、2週間くらいリビングに置いて
おき、毎日眺めてます。そのあと本棚に収納します。

西洋画の場合は目玉の絵が3、4点もあれば立派
な特別展ですから、アベレージの絵も全部載ってい
る図録を買わずにそうした絵の絵葉書だけを買うの
も一つの方法ですね。こうされてる方が多いと思い
ます。

例えば、西洋美のルーヴル美展でも全部が名画中の
名画というわけではないですから、フェルメールとか
ラ・トゥールの絵葉書を買い、ファイルしておくといろん
な名画が集まり自分なりの愛蔵図録になるのでは
ないでしょうか。

投稿: いづつや | 2009.06.04 23:23

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