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2009.06.25

サライ最新号は‘浮世絵の見方’を特集!

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最近知ったTV番組‘トラッドジャパン’(NHK教育)のテキストを近くのスーパーで買ったとき、雑誌コーナーに‘サライ’があった。最新号(7/2)の特集は‘浮世絵の見方’(上の画像)。内容をぱらぱらっとみるとコンパクトで新鮮な情報が盛り込まれているので、これも一緒にレジへ持っていった。

構成は①北斎vs広重 二代絵師徹底比較 ②東海道五十三次の絵と街道名物の食べ物、物品ーの二本立て。解説をしてくれるのは千葉市美館長の小林忠氏だから、安心して読める。館長は‘理系の北斎と文系の広重’として、二人の絵の描き方を特徴づける。

‘北斎の画面構成力は力強く、緊張感に満ちて劇的だ。一見すると、演出過多なほどだが、そこに描かれている植物、動物、事象はきわめて写実性が高い。逆に広重の絵はいかにもそれらしく描かれながら、むしろ写実とは違う。それでも、大方の人が共感する詩的な情感表現においては、広重は一段と優っている’。

この後に続く文章のなかに上手いことおっしゃるなと思うのがあった。‘良質な浮世絵は見る人の心情に既視感(デジャ・ヴュ)を想起させる、普遍的な情景を作り出します。それを意図的に表現して、最も上手だったのが広重です。北斎の場合はもっと陰の部分で、構築的に企んでいる。肉筆画では北斎が数段上だと思いますが、風景版画では広重のほうが親しみやすく、より多くの人が共感できたでしょうね’。

‘既視感’はその情景をどこかで見たことがあるとか、あるいは夢の中で出会ったことがあるという意味。これはデ・キリコの形而上絵画を見るとき誰しも感じることだが、最近は日常の会話でも口にする人が増えてきた。ヤンキースの松井も‘デジャ・ヴュのようなホームランでしたね’とシャレたコメントをしていた。これまで広重の風景画を既視感で見たことはないが、いわれてみるとまさにその通り。

二人の絵の違いはほかにも‘水の表現’ー北斎の線描に対して広重のぼかし摺り、‘構図の妙’、‘時間の表現’といった切り口でも分析されている。


もう一つ6月に刊行された浮世絵本のことを。下はTASCHENの‘ニュー・ベーシック・アート・シリーズ’(日本語訳版)からでている‘歌川広重’(アデーレ・シュロンブス著)。英語版には北斎や写楽があるのか確認してないが、広重が日本の絵師のトップバッターとして登場した。このシリーズはすでに好きな画家のものを30冊ほど読んでいるが、世界的に知られている画家のなかにわが広重が入っているのである。とても感慨深い。

本に使われている絵はすばらしいのが揃っている。アメリカのウィスコンシン大学マディソン校に付属するチェイゼン美術館ヴァン・ヴレック浮世絵コレクションのものだが、これまで見たことないのがいくつもでてくる。外国の浮世絵愛好家のほうが先にTASCHENで広重の名画を楽しんでいるのだから、ちょっと複雑な気持ち。

毎度感じる‘海外の美術館にはこんないい浮世絵があるの!’であるが、とりあえずは広重が刊行されたことを喜びたい。北斎はある?

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