美術に魅せられて! I love ベルニーニ
映画‘天使と悪魔’を見て、原作者のダン・ブラウンもしくは彼の妻(美術史家、画家)のどちらかがベルニーニ(1598~1680)の彫刻が大好きなんだなと思った。
映画のなかでは、その有名な彫刻は美術の名作ビデオのように作品全体がゆっくりしたテンポで映し出されるのではなく、特定の部分をアップでとり、そのカットのフラッシュが何かを思い起こさすように編集されているので、ベルニーニの神業的な彫りの技量を堪能するところまではいかない。
で、登場した作品をいくつか紹介してみたい。
★ハバクスと天使:サンタ・マリア・デル・ポポロ教会(上の画像)
★INRIの銘をもった天使:サンタンドレア・デル・フラッテ教会(真ん中)
★四大河の噴水:ナヴォーナ広場(下)
ポポロ教会のキージ礼拝堂(ラファエロの設計)の壁龕(ニッキア)にはこの‘ハバクスと天使’(右)と‘ダニエル’(左)がある。ダニエル外典にあるライオンの穴に投げ込まれたダニエルのところへ、天使に導かれた預言者ハバクスが食物をとどけるという話が描かれている。
‘ハバクス’(1661)は未知の場所なので困惑しているハバクスの髪を天使がつかんでバビロンに運ぼうとしているところ。ポポロ教会はカラヴァッジョの‘聖パウロの改宗’と‘聖ペテロの磔刑’を見たところだから、記憶にしっかり残っている。
映画にはでてこない‘INRI天使’(1669)とはまだ対面してない。来年の楽しみのひとつだが、ここまでまわる時間があるかどうか。風になびく衣装が襞まで細かく表現されているのをじっくり見てみたい。
大勢の人が集まるナヴァーナ広場の有名な噴水(1651)は四つの大陸を象徴する河の寓意像が表されている。真ん中はガンジスで水の豊かさをあらわすオールを持つ。右後ろで目隠しをしているのはナイル。水源が神秘的なことを暗示している。左のオリベスクを見上げているのはドナウ。後ろには金貨を散らすラプラタがいる。
野外彫刻はほかにもある。そのフォルムにとても惹きつけられるバルベリーニ広場の‘トリトーネの噴水’(1643)。ベルニーニに一度はまるともうぬけ出せない。現在においては美術が神のような存在となっているが、ミケランジェロやベルニーニの彫刻をみるとその思いが強くなる。
| 固定リンク
コメント
おひさしぶりです♪ やはりベルニーニ・・・ローマ中にありますものねえ。枢機卿4人くらいではとてもおっつきません・・とはちょっと不謹慎ですが、小説が出た時から、あのベルニーニめぐりは楽しいなあと思っていました。
でも、映画はまだ見に行っていないんですよね。なにしろ、関西はインフルエンザさわぎで、「集会」はダメダし、映画は前売り発売禁止で、(恐くないヤツだけ見に来い)みたいな感じです。早く見に行かなければ・・・。
投稿: 乱読おばさん | 2009.06.01 20:47
to 乱読おばさんさん
いつも楽しく見ています。関西は今、大変ですね。
早くこの騒ぎがおさまってくれればいいのですが、
映画のなかでローマをぐるぐるまわりましたから、
気持の上ではローマ旅行がすごく近くなりました。
ベルニーニだけでなく、カラヴァッジョ、ミケラン
ジェロ、ラファエロら巨匠たちの絵や彫刻に心が
動きます。イタリアは楽しいですね。
投稿: いづつや | 2009.06.02 00:28
こんにちは、お久しぶりで参りました。ベルニーニ好きはなかなか見かけないので、同好の士がいらして大変嬉しいです。しかも本物御覧になったことがあるのですね~羨ましい。
投稿: 飛嶋ちひろ | 2009.06.03 00:04
to 飛嶋ちひろさん
ベルニーニの彫刻の魅力を共有できること
をとても喜んでおります。
野外彫刻を見たときは、それほどベルニーニ
に近づいたという感じがなかったのですが、
ボルゲーゼ美や聖堂ではびっくり仰天しました。
これで200%ベルニーニにはまりました。
ミケランジェロ同様、全作品を追っかけようと
思ってます。
ちひろさんも早く見られるといいですね。
投稿: いづつや | 2009.06.03 18:03