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2009.05.31

もう一度見たいコートールド美術館の印象派名画!

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‘とんとんにっき’さんの記事に嬉しい展覧会情報が載っていた。来年、日経新聞の主催で‘オルセー美名品展’(5/26~8/16)が開催されるようだ。場所は六本木の国立新美。内容は後期印象派に焦点を当てゴッホの‘自画像’やアンリ・ルソーの‘蛇使いの女’など110数点がやってくるとのこと。

毎度々わくわくする作品である。今、西洋美で大盛況のルーヴル美の所蔵品にしろ、オルセーにしろ、パリにあるブランド美術館は画集に載っている有名な絵を気前よく貸し出してくれる。本当に有難い!

多くの人の所得はかなり減少しているから、節約志向は趣味・交際費にも当然及ぶ。となると、お楽しみの展覧会の鑑賞だって、見る回数を減らすことになる。しかも、足を運ぶのは多くのお客さんを集めている展覧会だけ。目玉が少なくて一般受けしない企画展は見向きもされない。

これは厳しい経済環境に対応した普通の美術ファンの至極当たり前な調整行為だから、人気の展覧会と人が入らない展覧会の2極化現象が生じてくる。東博の‘阿修羅展’や西洋美の‘ルーブル美展’の高い人気はこういう展覧会鑑賞における変化も反映しているのではなかろうか。

印象派大好き人間にとって、来年のオルセー名品展はビッグニュースだから、心はすぐ印象派作品に反応する。なぜか無性に見たくなったのがコートールドコレクション。次にロンドンへ行く時はこの美術館を訪問しようと思っているが、世界的に有名な印象派コレクションの主要作品は10数年前、日本橋高島屋で見ている(拙ブログ04/12/4)。

どういうわけか、数年の間に2回もやってきたのである。現地に行ってないので、正確かどうかわからないが、手元の美術本に載っている名画はほとんどあった。またお目にかかりたいと願っているのは、
★ルノワールの‘桟敷席’(上の画像)
★マネの‘フォリー・ベルジェールのバー’(真ん中)
★ゴーギャンの‘テ・レリオア(夢)’(下)

ルノワール(1841~1919)の全作品のなかで、この‘桟敷席’(1874)は断然上位に入れている。こういう絵をみるときは言葉はいらない。ただ、みつめるだけ。

コレクションのもう一つの目玉はマネ(1832~1883)が亡くなる1年前に描いた‘フォリー・ベルジェールのバー’。これも傑作である。画面中央にいる女性バーテンダーはどこかドガの絵に登場する女性を彷彿とさせる。笑ったことがもう何年もないような表情で、さびしげに前を見ている。

この絵をぱっとみると、前の食べ物や酒瓶がおかれたテーブルが回転寿司のレーンのように後ろにあるように思え、そこでもう一人の女性が客としゃべっているようにみえる。でも、よくみるとそうではない。後ろには鏡があり、そこにこの人気のカフェ・コンセールの内部とこちらをむいている女性と対応しているお客が映っているのである。また、この不思議な位置関係をじっくり見たい。

ゴーギャン(1848~1903)の‘夢’(1897)は左手の肘をあぐらをかいた足のところにつき、指先を口許にやっている女の目がとても印象的。この絵にすごく引き込まれたのを今でも鮮明に覚えている。左の女は‘昼寝’(1892、メトロポリタン、08/5/17)からとられている。

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2009.05.30

怪我に見舞われる日本人大リーガー!

630_2レイズの岩村(左の写真)が左ひざ靭帯の断裂という大怪我をし、今季中の復帰が絶望になった。

前日、4打数3安打の大活躍で打率を0.310まで上げたというのに。本当に残念。

岩村にとっては7、8年前手首を骨折したのに次ぐ大きな怪我。今年はセカンドの守備が安定し、バッティングの調子がよかっただけに、相当なショックであろう。

相手選手がダブルプレーを阻止するために激しくスライディングしてくるのはお互い様だから、これは運が悪かったと気持ちを切り替えるしかない。手術後のリハビリに6ヶ月かかるという。あせらず復帰できることを信じて治療に専念してもらいたい。大丈夫!

岩村ほどシリアスではないが、マリナーズの城島も守備についていたとき本塁に突入してきた選手と接触して、足の親指を骨折した。今年はこれで2度目のDL入り。さらに、アストロズの松井稼頭夫は太ももの痛みでDL扱いになった。この選手も怪我が多く、過去5年プレイして怪我なしでシーズンをすごしたのは一度もない。

投手では心配していた通り、オリオールズの上原がこれまた太ももを痛めてダウン。勝ち星は2勝で足踏みしている。朗報は開幕試合に投げて勝ち投手になったドジャースの黒田が2か月振りに復帰すること。6/2のダイヤモンドバックス戦で5回くらいまでいいピッチングができれば、本人も手ごたえを感じるのではなかろうか。果たして?

一ヶ月調整して肩の回復につとめていたレッドソックスの松坂は復帰2戦の投球を見る限り、まだまだという感じ。50試合を消化した時点でまだ勝ち星がないということは、今年は二桁は難しいかもしれない。本人も徐々に調子を上げていき、ポストシーズンまでみすえてチームの勝利に貢献しようという腹づもりだろう。東地区は今日、ヤンキースが勝ち、レッドソックスを抜き首位に立った。だから、松坂もそろそろエンジンをフルスロットルにし、早く1勝を。

打撃陣で流石なのはやはりイチロー、ここ10試合はヒットを量産し、打率は0.344まで上昇している。もうひとり、カブスで3番を打っている福留が好調(0.311)。カブスは昨年のように中地区で首位を走ってないが、まだ残り試合が多いので福留がずっと打ち続ければ優勝の可能性は十分ある。福留には後半戦に失速しないように、勝負強い打撃をキープしてもらいたい。

ヤンキースの松井の打率は0.250、この成績だと7番は仕方がない。ひざの調子が万全ではないのだろう。でも、松井はイチロー同様、なにかを持っている選手だから、きっと期待に応えていいところで打ってくれるにちがいない。がんばれ、松井!

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2009.05.29

もっと見たい驚愕のバロック天井画!

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楽しみにしているローマ美術めぐりは来春なので、イタリアモードに入るにはまだ早い。が、映画‘天使と悪魔’のなかでローマ市内をぐるぐるまわったから、テンションが30%くらいまで上がってきた。

次回の鑑賞の目玉はカラヴァッジョの絵と古代ギリシア・ローマの彫刻なのだが、もう一つ目指しているのがある。それはバロックの天井画。代表的なものは次の3つ。

★コルトーナの‘神の摂理’:バルベリーニ宮殿(上の画像)
★ポッツォの‘イエズス会の伝道の寓意’:サンティニャーツィオ聖堂(真ん中)
★バチッチアの‘イエスの御名の勝利’:ジェズ聖堂(下)

壮大なイリュージョンにより無限の空間がつくられている‘神の摂理’(1639、拙ブログ06/5/25)とベルニー二の彫刻を見て、バロックのイメージが大きく変わった。それまではバロックというとルーベンスの絵を思い浮かべるだけだったが、今ではベルニーニ(1598~1680)の彫刻やコルトーナ(1596~1669)の天井画にみられる演劇性やイリュージョニズムに強く惹かれるようになった。

この盛期バロックの幻覚的な雰囲気に体が包みこまれるのは間違いないと思われるのが‘イエズス会の伝道の寓意’(1694)。手元の美術本をみるだけでも、クーポラ(丸屋根)に描かれているように錯覚する。だが、これはクーポラではなく、そのかわりに描かれた絵。天空のなかに浮いているようにみえる聖母や聖人がどんなだまし絵になっているのか?、とくと見てみたい。これを描いたのはイエズス会士アンドレア・ポッツォ
(1642~1709)。

ポッツォの天井画より前に描かれたのがジェズ聖堂の‘イエスの御名の勝利’
(1679)。ここでもバチッチア(1639~1709)は幻視と法悦が入り混じった宗教画を演劇的に描き、見る者を仰天させる。隣り合わせに立っているジェズ聖堂とサンティニャーツィオ聖堂はカラヴァッジョの絵があるドーリア・パンフィーリ美術館のすぐ近くだから、効率よく鑑賞できそう。

そして、あまり欲張りすぎてもいけないのだが、まだ腰を据えて見てないバロック建築にも足をのばしたい。是非見たいのがベルニーニのライバルだったボロミーニ(1599~1667)が建てたサン・カルロ・アッレ・クワトロ・ファンターネ聖堂。あれやこれやでまた忙しい美術めぐりになりそう。

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2009.05.28

プレイバック!ボルゲーゼ美術館のベルニーニ彫刻

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3年前、ボルゲーゼ美術館でベルニーニの大理石彫刻を鑑賞し、これですっかりベルニーニの虜になった。そのエポック的な鑑賞体験については拙ブログ(06/5/17)で書いたが、画像は1点しか載せてなかった。

映画「天使と悪魔」の流れで、昨日はベルニーニの傑作彫刻をとりあげた。となると、ボルゲーゼにある驚愕の作品も一緒に紹介したくなる。
★アポロンとダフネ(上の画像)
★プロセルピナの略奪(真ん中)
★ダヴィデ(下)

ベルニーニ(1598~1680)はモーツァルト同様、早熟の天才。この3点は24~25歳の頃の作品で、これほど神業的な技巧をベルニーニはこの先みせてない。これらは別々の部屋に展示してあり、感動の総量があまりに大きいのでその収容袋が破れそうになった。

言葉を失うくらい感激するのは固い大理石を思わせないやわらかい肉体表現と細部の精緻な彫り。‘アポロンとダフネ’はギリシャ神話のファンタジックな世界に誘ってくれる。動きのあるポーズや月桂樹のうすい小枝やダフネのうしろになびく髪をどうやって彫りこんでいくのだろう?並はずれた集中力と熟練された技巧がないとこんな傑作は生み出せない。

‘プロセルピナ’で目が点になるのはハデスの大きな指がプロセルピナの肌にくい込むところ。これが大理石?この肌のへこみをみたとき瞬間的にソフトテニスのボールを握ったときの質感をイメージした。ミケランジェロの彫刻にはこれほどのリアリティはうかがえない。もうひとつ見逃せないのはプロセルピナの目から流れるひと粒の涙。ハデスが体が震えるほど怖かったにちがいない。

‘ダヴィデ’の顔はベルニーニ自身をモデルにしている。ミケランジェロの‘ダヴィデ’(5/19)と比べると、ベルニーニのほうがこれから巨人ゴリアテを石をなげて倒すぞ!という強い決意が感じられる。その劇的な瞬間と緊張感をとらえているのはまさにバロック時代の彫刻。

3点を注文したのは若きベルニーニのパトロンとなったシピオーネ・ボルゲーゼ(1579~1633)。パウロ五世(1552~1621)の甥で、伯父が教皇になったとき、26歳で枢機卿に選ばれた。この目利きのコレクターが蒐集した作品がボルゲーゼ美コレクションのもとになっている。

ボルゲーゼ美の情報をひとつ。来年、東京都美で‘ボルゲーゼ美名品展’(1/16~
4/4)が開催される。ここの美術品が日本で公開されるのははじめて。このなかにベルニーニの彫刻、‘枢機卿シピオーネの胸像’が入っている。楽しみがまた増えた。

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2009.05.27

美術に魅せられて! I love ベルニーニ

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映画‘天使と悪魔’を見て、原作者のダン・ブラウンもしくは彼の妻(美術史家、画家)のどちらかがベルニーニ(1598~1680)の彫刻が大好きなんだなと思った。

映画のなかでは、その有名な彫刻は美術の名作ビデオのように作品全体がゆっくりしたテンポで映し出されるのではなく、特定の部分をアップでとり、そのカットのフラッシュが何かを思い起こさすように編集されているので、ベルニーニの神業的な彫りの技量を堪能するところまではいかない。

で、登場した作品をいくつか紹介してみたい。
★ハバクスと天使:サンタ・マリア・デル・ポポロ教会(上の画像)
★INRIの銘をもった天使:サンタンドレア・デル・フラッテ教会(真ん中)
★四大河の噴水:ナヴォーナ広場(下)

ポポロ教会のキージ礼拝堂(ラファエロの設計)の壁龕(ニッキア)にはこの‘ハバクスと天使’(右)と‘ダニエル’(左)がある。ダニエル外典にあるライオンの穴に投げ込まれたダニエルのところへ、天使に導かれた預言者ハバクスが食物をとどけるという話が描かれている。

‘ハバクス’(1661)は未知の場所なので困惑しているハバクスの髪を天使がつかんでバビロンに運ぼうとしているところ。ポポロ教会はカラヴァッジョの‘聖パウロの改宗’と‘聖ペテロの磔刑’を見たところだから、記憶にしっかり残っている。

映画にはでてこない‘INRI天使’(1669)とはまだ対面してない。来年の楽しみのひとつだが、ここまでまわる時間があるかどうか。風になびく衣装が襞まで細かく表現されているのをじっくり見てみたい。

大勢の人が集まるナヴァーナ広場の有名な噴水(1651)は四つの大陸を象徴する河の寓意像が表されている。真ん中はガンジスで水の豊かさをあらわすオールを持つ。右後ろで目隠しをしているのはナイル。水源が神秘的なことを暗示している。左のオリベスクを見上げているのはドナウ。後ろには金貨を散らすラプラタがいる。

野外彫刻はほかにもある。そのフォルムにとても惹きつけられるバルベリーニ広場の‘トリトーネの噴水’(1643)。ベルニーニに一度はまるともうぬけ出せない。現在においては美術が神のような存在となっているが、ミケランジェロやベルニーニの彫刻をみるとその思いが強くなる。

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2009.05.26

待望の映画「天使と悪魔」に満足々!

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待望の映画‘天使と悪魔’を楽しんだ。原作(上)(下)を間をおかず2日で一気に読んだのは5年前のことだから、どんなストーリーだったかは断片的にしか覚えてない。確か秘密結社イルミナティとか‘反物質’、そして、ベルニーニの彫刻がよくでてきたはずだが、、

小説が映画化されると元の話は登場人物を含めていろいろ変わる。この映画の脚本は3割くらい変えてる感じ。公開がはじまったばかりだから、勿論ネタばらしはしない。

最近は映画をほとんど見ないから、俳優で知っているのは主役のハーヴァード大の宗教象徴学者ロバート・ラングドン教授を演じるトム・ハンクスのみ。相手役の女性生物物理学者に扮するアイェレット・ゾラー(イスラエル人)とは初対面だが、なかなか美形。

物語のなかで冒頭のシーンから結末まで時間は半日しか進まない。この話はタイムリミットサスペンスで、何者かに盗まれた‘反物質’(難しい理論は横に置いて、核の数十倍のエネルギーをもった物質と思っておく)が時限爆弾みたいに残り何時間で大爆発するという設定。だから、緊張感に満ちたシーンが連続し、場面が目まぐるしく変わっていく。

舞台はローマ。観光の名所が次々でてくる。サン・ピエトロ大聖堂と広場、システィナ礼拝堂、パンテオン、ナヴォーナ広場、カステル・サンタンジェロ(聖天使の城)、ベルニーニの見事な彫刻があるサンタ・マリア・デル・ポポロ教会やサンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会。

反物質の隠された場所、予告された枢機卿4人が殺されるところは一体何処なのか?ラングドンは女性学者の助けを借りながら、図像学や宗教美術の豊富な知識をフル動員して解き明かしていく。

焼き印を胸に押されて殺されるというのは戦慄が走る。その図柄は‘土’、
‘空気’、‘火’、‘水’。宗教上の約束事などあまり知らないからといって心配することはない。ちゃんと字幕を読んでいれば、おおよそのみこめる。

最も嬉しいのはミケランジェロと同じく200%惚れこんでいるベルニーニの傑作彫刻が登場し、その造形やアトリビュート(目印)にヒントが隠されていること。‘ハバクスと天使’、‘聖女テレジアの法悦’(拙ブログ05/5/22)、‘四大河の噴水’。

教皇選挙‘コンクラーベ’で未決定のとき、システィナ礼拝堂の煙突から黒い煙が立ちのぼり、新教皇が決まったときは白い煙が流れるというのは知っていたが、なぜそうなるのか?だったが、今回その理由がわかった。未決定時は投票用紙を燃やすから(そのシーンがでてくる)黒い煙になり、決まると特殊な薬品を使って白い煙にするのだそうだ。

この映画は最後にどんでん返しがある!さて、どんな?

ダン・ブラウンの第3作がこの秋に出版されるらしい。日本語訳もすぐでるだろうから、また読破したい。そして、2,3年後の映画化に期待しよう。

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2009.05.25

ドリアンはお好き?

617_4二日前の新聞の載ったドリアン(左の写真)のことがとても懐かく思われたので、今日はその話を少し。

タイのバンコクへは17年前、仕事で2回行ったことがある。そのとき、ドリアンを食べた。

現地の出資企業へ経営幹部として出向している先輩は‘俺はドリアン大好きだよ!’と笑いながらしゃべり、‘ドリアンを食べるときはビールは飲まないこと。水をいっぱい飲むこと’をアドバイスしてくれた。

この果物は確かに匂いはきつい。これで‘もういいや!’という人がかなりいるかもしれない。すごく甘いという感じではなく、ねっとりしたクリームチーズのような食感で食べやすい。現地に長く滞在するとその味にはまり、やみつきになるらしい。カロリーが高いから、がばがば食べると一気に太ることはまちがいない。先輩の腹のふくらみがそれを証明している。

出張の1日目、2日目は強烈な匂いに慣れず、食後のデザートでは少ししか口にせず、となりにあったランプータンばかり食べていた。ランプータンは中華料理のあとにでてくるライチとよく似ており、とても美味しい。

ドリアンを食べる機会は別のところでもあった。それは日曜にでかけた水上マーケット。小舟に乗り網の目のように張り巡らされた運河を渡っていくと、観光客目当てにお土産品や果物を並べた行商の舟が入れ替わり立ち替わり近づいてくる。こういうときはすぐ、‘ドリアンを買おうか’ということになる。

随分前のことだから値段がいくらしたかは忘れたが、まわりの喧騒と観光気分のためか匂いがあまり気にならず、はじめてのときの2,3倍の量を水もしっかり飲みながら食べたことはよく覚えている。水上マーケットは今もこんな風だろうか?

バンコクの観光で印象深いのは‘ワット・アルン(暁の寺)’、黄金の尖塔が一際目をひく‘エメラルド寺院’、長さ46mの釈迦の涅槃像がある‘ワット・ポー(涅槃寺)’。エンターテイメントは何といってもタイ・ダンス・ショー。オリエンタルホテルが経営するタイの伝統的な建築様式の建物で演じられるこの踊りは今でも観光客の目を楽しませていることだろう。

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2009.05.24

イチゴ戦国時代

616果物は昼と夜の食事のあとは必ず食べている。

一番多いのはリンゴ。フルシーズン食べており、一年を通して見ると10回のうち8回はリンゴという感じ。

残りの2割を季節によってイチゴが占めたり、スイカ、梨、葡萄が占めたりする。そして、バナナ、メロンも時々食べる。オレンジやみかんなどの柑橘類を店で買うことはほとんどないが、そのかわりに生オレンジジュースが常時冷蔵庫のなかにある。

今は旬のイチゴを食べることが多い。23日付の朝日新聞に‘新種続々 イチゴ戦国時代’という記事が載っていた。それによると、現在、生産高1位の栃木県は首位の座を確保するため、昨年10月に‘いちご研究所’を設立し、ポスト‘とちおとめ’の新種開拓に力を入れているという。その背景には、‘とちおとめ’は2011年に15年間の品種登録期間が切れるという切実な問題がある。

全国の作付割合の上位7品種は次の通り。08年産、( )は登録年、登録者
1位 とちおとめ (96年、栃木県)  33%
2位 さがほのか (01年、佐賀県)  17%
3位 あまおう  (05年、福岡県)  12%
4位 さちのか  (00年、国)     10%
5位 紅ほっぺ  (02年、静岡県)   8%
6位 章姫    (92年、個人)     5%
7位 とよのか  (84年、国)     5%

横浜に帰って来てからは食べてるイチゴはほとんど‘とちおとめ’。この味に慣れたが、広島にいるとき食べていた九州・山口を中心に生産されている‘とよのか’(左の写真)のほうが甘くて大きくて美味しかった。この‘とよのか’も今は福岡での栽培は‘あまおう’に置き換わっているという。

値段の高い‘あまおう’はまだ食べたことがない。ネーミングの仕方がとても上手。「あ」まい、「ま」るい、「お」おきい、「う」まいの頭文字をとっている。こういう話を知る前は‘甘さの王様’から‘あまおう’にしたのかな?と思っていた。

この業界では‘東京を制した品種が最強ブランド’になる。福岡の‘あまおう’は栃木や静岡に比べて地の利がない。輸送中に痛みやすいのである。そこで、福岡県の農業総合試験場はフィルムメーカーや大学と共同で新型容器を開発し、イチゴの表面の傷を従来の4分の1まで下げたという。

‘甘くて、形がよくて赤い色がきれいなイチゴを食べたい!’消費者、とくに女性のイチゴに対する好みはどんどんアップしているから、生産者の新種開拓競争は熾烈を極める。5年後はどの品種が一番好まれているだろうか?

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2009.05.23

‘現役大リーガートップ50’でイチローは30位、それはないでしょう!

6152日前の夕刊フジに殿堂入りした名選手や過去の最優秀選手(MVP)が選んだ‘現役大リーガートップ50’という興味深い記事が載っていた。

これを特集した米誌スポーティングニュースの生の情報がないので詳しいことはわからないが、日本人選手ではイチローが30位にランクされているという。

フジにはベスト10の選手がでている。1位は現在、3冠王に最も近い選手といわれているカージナルスのプホルス。次がヤンキースの主砲A・ロッド。

1位  プホルス  カージナルス   内野手
2位  ロドリゲス  ヤンキース   内野手
3位  サンタナ   メッツ      投手
4位  ラミレス   ドジャース    外野手
5位  ラミレス   マーリンズ    内野手
6位  アトリー   フィリーズ    内野手
7位  ハラデー ブリュージェイス  投手
8位  ジーター  ヤンキース    内野手
9位  リベラ    ヤンキース    投手
10位 ジョーンズ  ブレーブス    内野手

イチローがここに入ってない理由をいろいろ考えてみた。彼らの言い分はこんなところだろうというのはおおよそ察しがつくが、その前にここに上がっている選手で?なのを。笑ってしまうのが9位のヤンキースのリリーフエース、リベラや8位のジーター。選考した人は時間が10年前から進んでないのでは?二人の実績はもう何年も前からトップレベルではない。また、若手のラミレスが5位、それほどすごい選手?このランキングは偏見と思い込みに満ちているから、信用できない。


さて、われらがイチローである。大リーグ8年の成績を簡単に整理してみよう。通算打率は.331。首位打者は01年の.350と04年の.372の2回。年間200本安打が8年連続。盗塁は通算315(年平均39個)。オールスターには8年連続出場(うち7回ファン投票選出)。

これほどの実績を上げているのでイチローの年俸は07年マリナーズと5年契約を結んだときは5番目の多さだった。そのあとサンタナやサバシアがFAで高額の給料をもらっているから最新時点での順位は多少変わっているが、ベスト10に入っていることは間違いない。

今や大リーグの顔のひとりにもなっているイチローが‘トップ50’の30位?冗談じゃないよ!という感じ。でも、過去の名選手がイチローをこのあたりにしかランクインさせないのは彼らなりのちゃんとした理由にもとづいてのこと。

イチローが評価されない一番の理由はイチローはヒット打ちの名手であってホームランバッターでないこと。大リーグにおける打者のヒーローは昔からホームランを量産する強打者と決まっている。だから、皆スーパースターになりたくて、禁止薬物に手を染めるのである。カンセコ、マグワイヤー、ソーサ、ボンズ、ジオンビー、A・ロドリゲス、テハーダ、、、野球ファンも豪快なホームランを見るのが楽しみで、内野にゴロをとばしセーフになるヒットにはそれほど興奮しない。

で、イチローがすごくこだわっている年間200本安打というのも、あまり評価されない。殿堂入り選手の大半はスラッガーなので‘200本安打の大リーグ記録は8年、それ誰がつくったの?あっ、そうなの’くらいの認識しかない。それに、安打数というのは打順によって打つ機会に差がでるから‘公平’ではない。

一番のイチローは打席が5回まわってくることはあっても、9番バッターは3回でおわりのこともある。欧米社会で一番大事なことは何事も‘公平’であること。で、打率の記録は重視されるが、安打数は‘まあそれも記録に入れておこうか’という程度。

それとイチローは一番なのに四球を選ぶことが少ない。イチローの打率は3割3分、つまり3回のうち1回はヒットを打つ技術をもっているのだから、なにも四球で塁にでることはないのだが、彼らはそうはみてなくて、‘自分の記録達成のために四球を選ばず打ちにいく選手’と思われている節がある。

もうひとつ、これは大事なポイントなのだが、イチローが弱いマリナーズの選手だということも印象を弱くしている。つまり、マリナーズが地区で優勝を争うチームだったら、最後の最後までプレッシャーのかかるゲームが続くし、相手も主力ピッチャーをつぎ込んでくるからイチローだってそう易々ヒットは打てない。また、敬遠されることだって多くなる。

でも、マリナーズはいつも早々と戦々離脱するから、強いチームの投手も‘イチローに打たれても、ほかの選手をアウトにすればいい’と本気モードで勝負しない。彼らはこんな具合にイチローのバッティングの成績をみているから、数字そのものを割り引いて評価しているのである。これはある意味では当たっている。そんなこんなでイチローは30位の選手になったのであろう。

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2009.05.22

日本橋高島屋の片岡球子展

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日本橋高島屋で行われている‘片岡球子展’(5/20~6/1)を楽しんだ。昨年1月、
103歳で亡くなった片岡球子の回顧展は2度目。回顧展を2回経験するとその作家の代表作をだいたい見ることができるから、期待して出かけた。

出展数は46点。その多くは4年前の回顧展(拙ブログ05/6/12)で見たもので初見の絵は11点。球子の作品に全部魅了されているわけではなく、見たいのは‘面構’、‘富士山’シリーズと山の絵。初見のなかに‘白隠’、富士山が4点、山の絵が4点あったので満足度は高い。

球子の代名詞となった‘面構’で特に好きなのは‘豊太閤と黒田如水’(神奈川県近美)と浮世絵師もの。上は代表作の‘葛飾北斎’(神奈川県近美)。別ヴァージョンが何点あるのか知らないがほかに2点(北海道近美とウッドワン美)見た。会場に展示してある17点の‘面構’のなかでも、この‘北斎’は群を抜いていい。赤、青、黄、緑の組み合わせが目を楽しませ、渋めの着物を着た北斎の白い顔を引き立てている。この絵にぐっと惹きつけられるのは北斎と富士山が安定した三角形構図で描かれ、余分なものがいっさいなく画面がすっきりしているから。

球子の色彩感覚にびっくりさせられるのが真ん中の‘渓斎英泉’。この絵をはじめて見たとき、気分がとてもハイになったが、今回も唖然として見ていた。なんだかミラノファッション風。このアフリカの民族衣装を思わせる色使いはイタリア人デザイナーが最も得意とするところだが、、球子恐るべし!半分イタリア人みたいな絹谷幸二も裸足で逃げ出す!?

再会した下の‘富士に献花’は横浜美蔵の赤が目に飛び込んでくる‘富士’(今回展示なし)同様、とても気にっている。山などの風景を背景にして手前に花などの静物を描く絵はほかの画家の作品にもある。例えば、東京都美で現在開催中の‘日本の美術館名品展’に出品されている岡鹿之助の‘遊蝶花’(下関市美)とか加山又造の‘満月光’(山種美)。また、西洋画ではドラクロアの‘海老のある静物’(ルーヴル美)が同じタイプの絵。

前回、富士山のすそ野に大きなひまわりが描かれているのは‘画家はこういう構成の富士山にしたかったのだろう、風景画と静物画を一緒にした絵がないわけではないし、富士山と花を一体化して同じインパクトで描きたかったのかな?’と思っていた。2冊の図録をちょっと読んでみたらおもしろいことが書いてあった。

‘富士山にね 「私は一生懸命描きますから、お礼に、私の描いた下手な着物を、一年に一回ずつお礼に差し上げますから、どうか私の願いを聞き届けてください」 と言って、お辞儀して、献花のように、富士山に花の絵を描いた着物を着せるつもりで、必ず富士の身体に花を描いていった。そういうのが私の富士山の歴史’。 ハイ、球子先生、よくわかりました!

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2009.05.21

畠山記念館名品展

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畠山記念館で開催中の名品展はお目当ての作品が展示される後期(5/16~6/21)のみ出動。ここは定期的に通っており、図録に載っている名品の鑑賞は終わりに近づいているが、最後に残っていたのが今回登場した。雪村の‘竹林七賢図屏風’(重文、上の画像)と‘備前火襷水指’(重文、下)。

‘竹林七賢図’(六曲一双)は5年通ってようやく見ることができた。これは02年、山口県美であった大規模な‘雪村展’のとき、京都・野村美蔵の‘風濤図’(拙ブログ08/7/29)とともに姿をみせてくれなかった絵。昨年は‘対決ー巨匠たちの日本美術’で‘風濤図’が見れ、今年はこの絵。長年の思いが叶えられ、ほっとしている。あとは静嘉堂文庫の‘柳に鷺’、東芸大美の‘花鳥(柳・鷺)’と‘花鳥(竹・葡萄・芙蓉・鳥’が展示されるのをじっと待つだけ。

この‘竹林七賢図’(右隻)は酒の肴をもってきてくれた子供に腰をかがめてお礼を言っている最長老の賢人の姿に視線が集まる。これまで見た‘竹林七賢図’のなかでは最もリラックスして見れる絵かもしれない。美術館の性としていい絵ほど見せたがらない。長く待たされたのがよくわかった。

真ん中は俵屋宗達の‘蓮池水禽図’。これは3度目の対面。いつも水禽が足をばたばたさせているところと斜めの構図で描かれた大きな蓮の花に見入ってしまう。墨のたらし込みで描かれた‘蓮池水禽図’はほかにも京博の国宝(08/10/10)や東京美術倶楽部で遭遇した別ヴァージョン(07/10/9)があるが、いずれも心に響く。宗達の墨の絵が一枚でも手元にあればなぁー、叶わぬ夢ではあるが。

備前焼の重文をみたのはこの‘備前火襷水指’がはじめて。確か一つしかなかったと思う。その名品が目の前にある。備前焼の魅力は素朴な土味と赤褐色の火襷(ひだすき)文様。この水指は言葉を失うくらいすばらしい。やわらかい白の土肌に縦、斜めにのびる火襷の線を釘付けになって見た。

水指に巻かれたわらが土の状態と窯のなかの炎の加減により、こうした文様に変わったとはいえこれほどうまく出来上がるのは奇跡に近い。これぞ‘窯変’の美!本当にいいやきものを見た。

今回の名品展は開館45周年を記念しての企画だから、数は少ないが質の高さは流石!という感じ。後期のみの国宝‘林檎花図’(南宋)、‘祥瑞砂金袋水指’(07/8/19)、尾形光琳作‘紅葵花蒔絵硯箱’などにも魅了された。

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2009.05.20

川合玉堂の‘鵜飼’の最高傑作がやっと登場!

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東芸大美で行なわれている‘芸大コレクション展’(後期5/19~6/14)にやっと川合玉堂の‘鵜飼’が登場した。川合玉堂(1873~1957)は生涯に五百をこえる‘鵜飼’を描いているが、東芸大が所蔵するものが最高傑作といわれている。

この絵の存在を知ったのは20数年前、ようやく見ることができた。今回のコレクション展は前期に上村松園の‘草紙洗小町’にも会えたし、大収穫である。で、今日は玉堂の‘鵜飼’づくし

★東芸大美の‘鵜飼’(上の画像)
★富士美の‘鵜飼’(真ん中)
★玉堂美の‘鵜飼’(下)

これまで見たのは全部で10点くらい。山種美に時々展示される‘鵜飼’が最初の絵(玉堂22歳の作)だが、これは山水画の点景として描かれている。昭和6年(1931)、玉堂が58歳のときに描いたのが今コレクション展にでている絵。噂通りの名画だった!一番驚かされるのが鵜が水中にもぐるときにあがる水しぶき。ほかの‘鵜飼’ではこれほどの動勢感はみられない。

篝火に照らされ、深い夜闇に浮かびあがる舟と鵜匠の操る鵜の生き生きとした動きに視線が集中する。波立つ水面の描写がハッとするくらい装飾的。篝火が反射している水面の線は篝火に使われた金泥で丁寧に引かれているのである。鵜飼の情景がこれほど美しく描かれていたとは!やはり絵は本物と直に向き合わないと本当のすばらしさが伝わってこない。この‘鵜飼’は一生の思い出になる。

富士美のは玉堂81歳、玉堂美のは亡くなる1年前83歳の作品。二つとも全体が明るい画面になっている。上からの視点で描いた玉堂美の‘鵜飼’では三そうの鵜舟が密集する‘総がらみ’といわれる構図にとても惹きつけられる。

実際の鵜飼いを見たのは2回ある。一度は岐阜市内を流れる長良川の有名な鵜飼い。もう一回は広島にいたとき、山口県岩国市の錦帯橋がかかっている川で見た鵜飼い。錦帯橋では外国人の接待を兼ねた観光だったのでおおいに盛り上がった。

自分の経験したことが絵に描かれると、その絵を見る目にも力が入る。旅をして自然となるべく多く接し、そしてその美を豊かに表現した芸術がまた五感を刺激してくれればこれにすぎる幸せはない。

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2009.05.19

美術に魅せられて! I love ミケランジェロ

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ルネサンス以降に活躍した西洋の彫刻家で最も好きなのはミケランジェロとベルニーニ。ローマのボルゲーゼ美や聖堂でベルニーニの作品と対面するまではI loveミケランジェロ!だったが、ベルニーニの驚愕の作品を見てしまうと、二人は&でくくるしかない。その大理石彫像のすばらしさはもう神業的。で、神のごとき巨匠と呼ばれたミケランジェロ(1475~1564)のお気に入り作品をいくつか。

★ピエタ:ヴァチカン、サン・ピエトロ大聖堂(上の画像)
★ブリュージュの聖母:ブリュージュ、ノートル・ダム聖堂(真ん中)
★ダヴィデ:フィレンツェ、アカデミア美(下)

ミケランジェロの彫刻が沢山みれるは何と言ってもフィレンツェ。アカデミア美、パルジェロ国立美、サン・ロレンツォ聖堂メディチ家礼拝堂、パラッツォ・ヴェッキオ、大聖堂付属美、カーサ・ブオナローティ、サント・スピリト聖堂。ローマでは‘ピエタ’のあるサン・ピエトロ大聖堂と‘モーセ’がみられるサン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ聖堂。

イタリア以外でミケランジェロの作品があるのは3ヵ所。ルーヴルとブルージュにある聖堂とサンクトペテルブルクのエルミタージュ美。まだ見てないのは未訪問のパルジェロ蔵ほか数点。ラファエロ同様パーフェクト鑑賞まであと一息のところまできた。だが、前回見逃したミラノのスフォルツェスコ城にある‘ロンダニーニのピエタ’(未完)のリカバリーはまだ先になりそう。

ミケランジェロ作品で完璧に魅了されているのは‘ピエタ’(1499)。聖母の美しさや衣襞の表現に言葉を失う。これはミケランジェロ24歳の頃の作、その卓越した技はまさに神業。

制作を依頼したフランス人枢機卿が‘どうして聖母さまの顔はこんなに若いのかね、息子よりも若いようだが’と尋ねると、ミケランジェロは‘枢機卿さま、わたしにとって、聖母マリアさまは年をとらないように思われるのです。聖母さまはけがれのないお方でした。だから、老いることのない若さを保っておいでなのです’と答えている。

‘ブリュージュの聖母’(1506)も心がとても穏やかになる聖母像。この高さ1.2mの小さな彫像はフランドルの織物商人の注文でノートル・ダム聖堂の一族の礼拝堂のために特別に制作された。

ミケランジェロ彫刻の代名詞みたいな‘ダヴィデ’(1504)の圧倒的な存在感は図版ではわからない。とにかく大きい(高さ4.1m)のである。像の回りをぐるぐるまわってみて誰もが気づくのが不釣り合いに大きい右手。よくみると顔くらいある。まだ一度しかみてないから、次回のフィレンツェ旅行で再会したい。

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2009.05.18

美術に魅せられて! お気に入り古代ギリシャ彫刻

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古代ギリシアやローマの遺跡めぐりを定期的にしようと思っているのは壮大な神殿、青銅や大理石のすばらしい彫刻に限りなく魅せられているから。つい先だって来年計画しているローマの博物館にある彫刻の傑作を紹介したので、今度は過去見たなかでとりわけ忘れらない作品をいくつか取り上げてみたい。

これまで出かけた博物館でそこに展示してあった古代彫刻をよく覚えているのは、大英博物館、ルーヴル美、アテネの国立考古博&アクロポリス美、デルフォイ考古博、ローマのヴァチカン博&ヴィッラ・ジュリア博、ナポリ国立考古美、イスタンブール考古博、ベルリンのペルガモン博。

数ある傑作のうちヘレニズム時代(紀元前323~紀元前31年)につくられたもので目に強く焼き付いているのを3点あげてみた。
★ラオコーン:ヴァチカン博(上の画像)
★ペルガモンのゼウス大祭壇:ペルガモン博(真ん中)
★馬に乗る少年:アテネ国立考古博(下)

ヴァチカン博を訪問された方はミケランジェロが描いた‘システィーナ礼拝堂の天地創造&最後の審判’に大感激する前、この‘ラオコーン’の造形美にも圧倒されるのではなかろうか。これは紀元前150年頃、小アジアのペルガモンで青銅によりつくられた原型の大理石模刻。この模刻はアウグストゥスあるいは後継者ティベリウスの時代(紀元前23~起元後27年)のもので1506年、ローマで発掘され、ミケランジェロらに大きな影響を与えた。

はじめてこれを見たときの衝撃度はマグニチュード7クラス。2匹の大蛇が神官のラオコーンと2人の息子に巻きつき、ぎゅうぎゅう締め付けている。体をよじりこれ以上ない苦痛の表情をみせるラオコーンの姿に200%フリーズした。青銅にしろイタリア産の大理石にしろ、こんな写実的で動感にみちた作品を生み出すのだから、これを彫った彫刻家の腕前は相当なもの。ヨーロッパの人が古代ギリシアやローマの芸術に憧れるのがよくわかる。

巨人族に対するオリュムポスの神々の戦いが彫られた‘ペルガモンのゼウス大祭壇’もエポック的な体験。この祭壇のフリーズができたのは紀元前165年頃、真ん中は建物前面の突出部の左側でポセイドンの息子、海の神トリトンが母と一緒に巨人と戦っている場面。

‘馬に乗る少年’はアテネ国立考古博の誇る傑作の一つ。これは‘ラオコーン’と同じ紀元前150年頃につくられた本物の青銅像。疾走する馬を必死に乗りこなす黒人の少年がとてもカッコいい。本当にすごい彫刻!

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2009.05.17

いつか行きたい美術館! ロンドン ヴィクトリア&アルバート美

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今日取り上げる‘いつか行きたい美術館!’はロンドンにあるヴィクトリア&アルバート美術館(以下V&A)。ここはデザイン、ファッション、工芸の殿堂、年間250万人の入館者があるというから人気の美術館である。まだ訪問してないが、国内で開かれる展覧会でその質の高いコレクションに接する機会がちょくちょくある。

V&Aをすぐイメージするのがここ数年度々行われる‘ウィリアム・モリス展’。今年はBunkamuraであった‘アーツ&クラフツ展’(拙ブログ2/13)が記憶に新しいところ。また、サントリー美の‘蒔絵展’(1/10)で遭遇した2点には度肝を抜かれた。日本にあれば国宝級のすばらしい蒔絵の細工を見せつけられ、次回のロンドン旅行では何としてもこの美術館に足を踏み入れようという気になった。

館内には世界中から集められた工芸品が所狭しと飾られていることが容易に想像できるが、手元には具体的な情報がまったく無く、あるのは絵画だけ。で、目が点になるだろう工芸は横に置いて、お目当ての絵画をピックアップしてみた。

★ラファエロの‘奇跡の漁り’(上の画像)
★ロセッティの‘白日夢’(真ん中)
★バーン=ジョーンズの‘愛の車’(下)

ラファエロ(1483~1520)の主要な作品は幸運にもおおよそ見ることができ、残っているのは‘奇跡の漁り’(1517)と‘ガラテイアの勝利’(1511、ローマ、ヴィラ・ファルネジーナ)と‘聖チェチェリアの祭壇画’(1514、ボローニャ国立絵画館)の3点。V&Aにはラファエロがシスティナ礼拝堂の壁に飾られるタピストリーのために描いたカルトン(下絵)が10点のうち7点あり、‘奇跡の漁り’はその一枚。縦3m、横3mの大きなものらしい。7点の前ではかなり興奮しそう。

ここにはコンスタブル(1776~1837)の油彩や水彩、素描が沢山あるから、それらを見るのがすごく楽しみだが、それ以上に心の中を占領しているのがロセッティ(1828~1882)とバーン=ジョーンズ(1833~1898)の絵。

ジェイン・モリスをモデルにして描いた‘白日夢’はロセッティが亡くなる2年前の作品。バーン=ジョーンズは‘愛の車’に1872年から着手し、死ぬまで手を加えたが未完に終わった。縦5.18m、横2.73mの大作だから、未完成とはいえ見ごたえがあるにちがいない。

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2009.05.16

どこのカステラがお好き?

596お菓子の好みというのはやはり年齢とともに変わってくる。そして、食べたいものが少しずつ狭まってきた。

5年前は週末にコージーコーナーのシュークリームを2個食べるのが楽しみだったが、最近は食べる回数がぐんと減り、3ヶ月に一回くらい。しかもお腹は1個しか受けつけなくなった。

じゃあ、和菓子を食べてるかというと、そうでもない。これもあまり食べたいと思わなくなった。そのきっかけになったのが3年前の金沢旅行。老舗和菓子屋さんに寄り、お土産を買い込むのはバスツアーの定番の行程だが、ここで口が卑しいものだから、出されている試食品を沢山食べた。そして、旅行から帰った一週間は毎日甘いまんじゅうなどをどんどん腹のなかに入れた。

ところが、このあと思いもよらない変化が起こった。どういうわけか、‘和菓子はもういいや、甘いものが重たくなった!’と舌が嫌がっているのである。なんだか試食品がトラウマになったみたいで、それ以降大福餅やまんじゅうなどはほとんど食べてない。

京都や名古屋に美術旅行したとき、以前はいつも‘八橋’や伊勢の‘赤福’を必ずお土産に買っていたのに、最近はその前を素通りするようになった。で、今は洋菓子のほうに好みがまたシフトしており、ミッドタウンのなかにある‘Yoroizuka’のスイーツを食べる回数が増えている。ここの創作スイーツは開店したときから嵌っていたが、当分は通いそう。

このように和菓子から洋菓子にテイストがスウィングしているなか、カステラだけは好物であり続けている。カステラはやわらかく、甘さもほどほどだから飽きない。量は多くなく一切れとか二切れで、2,3週間に一度くらいの頻度で食べている。銘柄は特になく、普通のカステラ。

一番好きなのは長崎の‘松翁軒’(左の写真)なのだが、このカステラは東京や横浜のデパートにはないから、お店に注文して送ってもらわないと食べられない。今はそこまでカステラにこだわってなく、普通の値段のカステラを美味しくいただいている。広島にいたときはそごうでセカンドベストの‘福砂屋’を半年に一回程度買っていた。日本橋三越にも福砂屋はあったような気がする。

‘松翁軒’と‘福砂屋’、どちらのカステラが美味しいか?ともに本場の老舗で美味しいに決まっているが、わが家の好みは‘松翁軒’。‘松翁軒’のほうがしっとりして歯ごたえがある感じ。広島からクルマで長崎を旅行し、沢山買って帰ったときそれを実感した。その味を舌がずっと覚えている。だから、いつも東京のデパートで‘松翁軒’を扱ってくれないかなと思っている。

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2009.05.15

赤壁画の名品 その二

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‘レッドクリフ’(前編)のとき赤壁画(拙ブログ08/12/10)を取り上げたので、今日はこれのPartⅡを。

★円山応挙の‘赤壁図’:アメリカ、プライス・コレクション(上の画像)
★谷文晁の‘赤壁図’:根津美(真ん中)
★黄潤華の‘白帝朝暉’:福山市の私立美(下)

映画をみたあとですぐ思い出すのは‘山水に遊ぶ展’(府中市美、5/10に終了)に展示してあった長澤芦雪と東東洋の赤壁図。縦長の画面に描かれた芦雪の迫力ある奇岩がいまでも目に焼きついている。

応挙の絵はプライスコレクションの一枚。高士を乗せた小舟が断崖絶壁の赤壁に沿って進んでいる。これは長江を船で下ると必ずこんな景色にでくわすだろうなと思わせる絵。応挙も谷文晁も蘇軾の詩を題材にして赤壁のイメージをつくっている。

落ち着いてみれる応挙の絵に対し、文晁が描いた金地の赤壁図(六曲一双の右隻)は北宋画のような神秘的な雰囲気が漂っており、軽くはみれない感じがする。横にのびる幾本もの金雲や下の舟を見降ろしているような頭でっかちな岩の塊が高い視点からとらえられているので、天空感覚の光景になっている。

白帝城(赤壁のかなり上流)の絵はお気に入りの絵。赤壁図ではないのだが、長江つながりでまた、白帝城は劉備が亡くなったところだから紹介した。描いたのは1932年生まれの中国の画家(中央美術学院の先生)。この絵があるのは広島にいたとき訪れた福山市の私立美術館。ここには現代の中国画家が制作したいい山水画や花の絵があり、これはその一枚。

長江の川下りをした人の話を聞くと、白帝城はなかなかいいらしい。ツアー案内のパンフレットなどにも、近くにくると川面からはるか見上げるような高い崖の上にある城が載っている。いつかこの目でこの高さを体験したいものである。

昨日の感想記で最後のシーンにふれたが、周瑜と孔明の横顔が大きく映し出される向こうの景色が絶景なのである。CGで合成しているのだろうが桂林のような景色だった。長江の川岸にもこんなやわらかい形をした山がつらなるところがあるのだろうか?もし存在するのなら是非とも川下りをしなくては!

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2009.05.14

映画「レッドクリフ PartⅡ ー未来への最終決戦ー」

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映画「レッドクリフ PartⅡ」を見た。前編(拙ブログ08/12/9)が予想を上回るいい出来だったので、お目当ての‘赤壁の戦い’(208年)にむかってストーリーが展開するこの後編が公開されるのを首を長くして待っていた。

三国志の本を読んだり中国が製作したTV映画などを見ているから、赤壁の戦いで孫権・劉備の連合軍(5万)がどんな策略をめぐらし、曹操軍(80万)の2000隻の軍艦を火攻めで滅ぼしたかはおおよそわかっている。で、興味の的はジョン・ウー監督がこれをどういう風に描き直すのか?冒頭に監督のメッセージがでてくる。

‘私たちが暮らしている今は、過去に生きた人々の勇気ある行動が積み重なってできてきました。世界的不況・不信の時代だからこそ、一人一人の決断で今を変えて新しい未来を作りましょう。みなさんがそれぞれの「奇跡」を起こす時です。未来に勇気を。Imagine Future.’

まだ見てない方もおられるだろうから、ネタばらしになるようなことはやめて、おもしろかったところを断片的にふれてみたい。ジョン・ウー監督は周瑜(トニー・レオン)や孔明(金城武)や曹操(チャン・フォンイー)らの心の動きや勇気あふれる言動、立ち振る舞いに観客の目をむけさせるだけでなく、尚香(孫権の妹、ヴィッキー・チャオ)と小喬(周瑜の妻、リン・チーリン)を連合軍の勝利のために命を賭して行動する気丈な女性として描いている。この構成は三国志の現代的な読み方として共感できるし、今を生きるわれわれが求めているエンターテイメント感覚にも合っている。

興味深々だったのが孫権軍の老将黄蓋(こうがい)が曹操を信用させるため、わざと周瑜から罰せられ鞭打たれるところ。だが、これはまったく違っていた!曹操を信じ込ませるためにおこなった策略、‘敵を欺くにはまず味方から’は別の形で仕組まれていた。これが後で功を奏することになる。監督、なかなかやるね!もう一つ注目していたのは孔明が道術を行い、東南の風を呼ぶところ。さて、孔明はどんな動きをしたか?見てのお楽しみ。

真ん中は孔明が周瑜に約束した10万本の矢を一日で調達する場面。これは本の通り。後編の一番の見どころは何と言っても曹操軍の大船団を連合軍が火攻めで焼くつくすところ(下)。迫力満点で一級のスペクタクル戦闘映像になっている。そして、最後の孔明と周瑜が別れるシーンがとてもいい。友情を大切にして生きるといいことがあるかな。

アジア人俳優で知っているのはトニー・レオン、チャン・フォンイー、ヴィッキー・チャオのみだったが、この映画で金城武やリン・チーリンを見れたのは大収穫。二人とも魅力一杯!アジアでトップクラスの男優や女優を出演させ、ジョン・ウー監督はこんなすばらしい映画をつくった。拍手々!

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2009.05.13

山口伊太郎遺作 源氏物語錦織絵巻展に大感激!

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大倉集古館で西陣織による‘源氏物語錦織絵巻展’(4/2~6/28)を見た。この展覧会の情報を得たときの興味は半分程度。それは源氏物語絵巻の原画や模写は時間をかけてみているので、絵巻そのものに新鮮さがないのと、織物となった絵巻にプラスαの美が感じられるか?だったから。

泉屋博古館のやきものを見た後、ものにはついでというのがあるから軽い気持ちで大倉集古館へも寄ってみた。徳川美と五島美にある‘源氏物語絵巻’(19場面)を織りで表現しようと思い立ったのは西陣織作家、山口伊太郎(1901~2007)。1970年からはじめ、第4巻が08年にできあがり、37年かけてようやく完成させた。山口は07年に105歳で亡くなったので、最後の織りは見届けられなかったが、職人たちに指示をして天国へ旅立った。

今回の展示はその4巻のお披露目。場面は‘蓬生’(上の画像)、‘関屋’(真ん中)、‘柏木(一)’(下)、‘柏木(二)’、‘柏木(三)’、‘横笛’。会場には1巻、2巻、3巻も一緒に展示してあるから、19の場面が全部見ることができる。見終わっての率直な感想は見逃さずによかったな!という感じ。模写が公開されたときと変わらないほど感激した。

鮮やかな色の糸で織られた馴染みのある源氏物語の各場面は原画や模写とはまた別種の美しさがある。赤、紫、青、緑、橙色などとにかく色の鮮やかさに目を奪われる。さらに目が点になるのは女性の着る単や御簾の内と外に見られる透ける表現を織りで実現しているところや女房や姫の精緻に表された黒髪一本々。

色彩の鮮やかさは1巻よりは2巻、3巻よりは4巻といった具合に印象強くなるのだが、真ん中の‘関屋’では紅葉や松の葉が盛り上がっており、その赤や緑がいっそう強調されている。

昨年横浜美で見た‘柏木(一)’(拙ブログ08/9/11)と較べてみると、錦織の‘柏木(一)’の方が色のインパクトは強い。装束や几帳の意匠や色合いは、二つはかなり違っている。模写のほうは原画を忠実に再現していると思われるが、山口が使った下絵も遜色ないほどすばらしい出来栄え。これは好みの問題。

この展覧会のお陰で‘源氏物語絵巻’のいい図録と本が揃った。原画、模写、錦織、色辞典(吉岡幸雄著)。この4点セットを楽しみ尽したい。

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2009.05.12

板谷波山をめぐる近代陶磁展

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現在、泉屋博古館分館で‘板谷波山をめぐる近代陶磁展’(4/18~6/14)が開かれている。

実は2年前にも同じ企画展があり、ここのお宝である板谷波山(1872~1963)の‘葆光彩磁珍果文花瓶’(重文、上の画像)が展示された。そのときは小冊子の体裁をとったミニ図録(一部白黒図版)だったが、今回は色をよく写した立派な図録(1500円)が用意されていた。館として所蔵する近代陶磁の名品を総まくりしたいい図録を作ろうと強く思ったのかもしれない。

板谷波山の作品(17点)だけは館蔵品のほかに茨城県陶芸美や個人がもっているものが10点ある。‘珍果文花瓶’は波山の最高傑作。ぷくっと膨れた胴部には窓が3つあり、正面に桃、両サイドに葡萄、枇杷が描かれている。そして、窓のまわりには青海波の文様がみえる。何回見てもほれぼれする名品である。

昨年出光美であった‘近代日本の巨匠たち展’でも19点(拙ブログ08/9/22)が目を楽しませてくれたが、ここにもサプライズの一品があった。真ん中の‘葆光彩磁紫陽花文鉢’(個人蔵)。紫陽花のまわりに靄は立ち込めているようで、これぞ葆光彩磁という感じ。これは美術本でも見たことがない。

やきものに限らず、美術品のコレクターのなかには自分の持っているものが公になることを嫌う人がいるから、これも滅多にでない作品かもしれない。こういうのに遭遇すると波山の見ていない名品がまだあるのではないかと思ってしまう。葆光彩磁のほかにも貫入のある青磁の花瓶や香爐に魅了された。

初代宮川香山(1842~1916)の作品は20点、大半は前回一度みているのでお気に入りの‘籐花絵菊花形共蓋壺’(下)や目の覚める深い赤が印象的な‘倣洋紅意窯変花瓶’の前に長くいた。

板谷波山や宮川香山は帝室技芸員に任命されているが、同じく技芸員の三代清風与平、伊東陶山、諏訪蘇山(ともに初代)の作品(11点)も展示されている。波山以外は作品を見る機会があまりないが、仕上がりのいい形や絵柄はそれぞれ味わい深い。やはり日本はやきものの国である。

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2009.05.11

棟方志功ー倭画と書の世界ー

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日本民藝館で行われている特別展‘棟方志功ー倭画と書の世界ー’(3/31~6/14)を楽しんだ。棟方志功の絵をみるのは横浜そごうであった展覧会(06/5)以来。

今回は板画(版画のこと)は無くて、書が17点と倭画(肉筆画)が48点。そごうに出品されたのは民藝館の所蔵だったので、そこで見た肉筆画やこれまでの訪問でお目にかかったものがあるから、初見は全体の半分くらい。

書は二字や三字が多く、いずれも大きな文字。墨のはね返った跡があり、字にかすれが出ているが、その力強くのびのびとした筆力にぐぐっと引き込まれる。柳宗悦がとくに愛した書が上の‘不生’。不生というのは仏教語で、‘思案なし’とか‘迷いなし’とか‘疑いのない’といった心の状態を意味する。ほかには‘華厳’、‘開山’、‘慈光’、‘無事’、‘人境’、‘中観’、‘道’、‘東西’、‘南北’などがある。

倭画のなかで一際目立つのが大きな2点。上左の‘乾坤飛駆天妃図’と真ん中の‘救界不空羅索大施無畏尊像’。これはそごうにもでていた。スピード感のある人物像は志功の得意とするところ。二人の裸婦の天妃が逆方向にすごい速さで飛んでいる。

‘救界不空羅索’は真に見ごたえのある肉筆画。これまで見た絵で完成度からするとこの絵と青森県美にある‘弁財天’(拙ブログ06/9/26)が一番いい。そういう意味ではこれは貴重な展示である。関心のある方はお見逃しなく。

ほかの絵や中品ないしは小品。軸のものは柳が表装を手掛けている。表装のデザインと絵柄がぴったり合っているのが下の‘鷹図’。鳥はほかに‘鷲’、‘鶴’、‘水鳥’,‘カワセミ’、‘鵜’、‘山鳥’、‘ふくろう’。魚は大好きな‘鯉’と‘鯛’の絵。また、‘河童’や‘牛’もいる。風景画では黄色や青が目に心地いい‘暁陽十和田湖図’が心に響く。

今回、作品の展示の仕方に感心した。河井寛次郎や濱田庄司の壺や瓶をさりげなく志功の軸の前に置いたり、館自慢の濱田の大鉢2点ー‘緑釉黒流描大鉢’(04/12/3)とこれよりもっと大きい口径58㎝のものーを展示している。棟方志功のいい肉筆があり、そのうえ河井や濱田の名品がオマケでついているのだから御機嫌である。

さらに金城次郎の魚文の大皿(06/1/25)とも久し振りに対面。満ち足りた気分で館を後にした。

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2009.05.10

BS1ドキュメンタリー番組 ‘ハドソン川 奇跡の着水’

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昨日のBS1で夜11時10分から放送されたドキュメンタリー番組‘ハドソン川 奇跡の着水~不時着ジェット機からの救出劇’(09年、イギリス制作)を興味深く見た。

今年の1月15日に起きたこのショッキングな事故はまだ記憶に新しく、新聞に載った上の写真が目に焼きついている。機長の高い操縦技術により搭乗者155人全員の命が助かったのだから、この話はいずれ映画化されるのではないかと思っていたが、それより前予想以上に早くドキュメンタリー番組が制作された。

番組は乗客や機長、ジェット機がハドソン川に着水したあと救助に向かったフェリーの船長や救助潜水隊員らの話を交えて、バードクラッシュにあい2つのエンジンが故障したジェット機がその機体を川面にたたきつけて停止するまでを克明に再現していた。

国内線のこの旅客機がNYのラガーディア空港を離陸してから着水まで5分足らず。あっというまの出来事だった。高度900mあたりでエンジンが止まったのは離陸して1分半くらいのときだから、着水するまでの3分半、想像を超える緊張感のなか副操縦士は冷静にリカバリーのための操作を実行し、機長は選択したハドソン川への着水を成功させるため機体をしっかり操縦した。こういう緊急事態でもしっかり操縦できるというのがすごい!

海面へ着水するのは大変難しいことで、ベストな速度でもって水平の姿勢を保ち突っ込まなければ機体が折れる。折れるケースをCG映像を使って見せていた。

機体が無事着水してからは乗客たちを溺れて死ぬ恐怖が襲う。翼の上に皆いたわけではなく、水の中へ飛び込んだ人もいた。一番前の席に座っていた中年の男性は泳いで岸を目指そうとしたが、氷点下の寒さでは死ぬと思いやめたという。

また、フェリーが12分くらいで到着したが、船長の話によると船のデッキが高く乗客がすぐ上がれなかったり、水の流れで機体が動くため最接近するのに手間取ったりで、大変だったようだ。

ヘリコプターでやって来た潜水隊員は水のなかでパニくりかけている女性を懸命に引き揚げたり、だいぶ沈んでいる機内へ入り、取り残された乗客がいないかどうか見て回ったという。機体はどんどん沈んでいるのだから、この人たちだって下手をすると命を落としたりすることだってある。

乗客たちは皆、死ぬだろうと思っていたと言う。が、プロ意識に徹する機長の完璧な操縦技術により尊い命が救われた。サレンバーガー機長(57歳)にあらためて拍手々!

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2009.05.09

大リーグの順位表は情報が多い!

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今日の野球の話は選手のプレーやチームの戦績のことではなく、野球のことを伝えるメディアの表現方法とか日米の野球機構が日頃行っている広報、宣伝活動について。

毎日の試合結果はPCのお気に入りに登録しているサイトで見るのがルーテイン。大リーグについてはMLB.com、日本のプロ野球はスポーツニッポンのサイト。二つの情報源を情報量、質の点で比較してみるとかなりの差がある。

その一つの例が順位表に盛り込まれている情報。上はMLB.comのStandings(順位表)のページ。日本の順位表と違って、いろいろなデータが載っている。その見方を左から説明すると、
W:勝ち数
L:敗け数
PCT:勝率
GB:1位とのゲーム差
L10:最近10試合の勝ち(左)敗け(右)
STRK:連勝、連敗実績
HOME:ホームゲームでの勝敗
ROAD:敵地ゲームでの勝敗

日本の順位表では、朝日新聞でもスポーツ新聞でも試合数、勝、敗、引き分け数、勝率、ゲーム差の6つのデータだけ。これは野球少年の頃から今に至るまで、何十年も変わらない!これに対し、大リーグでは試合結果に関する基本的な情報に分析的な情報を追加している。だから、チームの成績はいろんな角度から読める。

例えば、最近10試合の勝敗や連勝、連敗実績をみると、チームの勢いが一目で把握できる。西地区でイチローのいるシアトル・マリナーズは今日の敗戦で5連敗(L5)になり、ここ10試合は3勝7敗と大きく負け越している。また、ホームやロードでの試合の勝敗はチームが優勝できるかどうかを見る大事な情報。

大リーグでは各チームは地域に密着しているから、表をみてもわかるとおり地元での試合の勝率が高く、敵地では大きく勝ち越せないのが一般的なパターン。だから、ホームでの勝ちゲームが少なくなると、優勝から遠ざかっていく。逆にホームで強いとこれが全試合の勝率を上げることになり、上位を最後まであらそうことになる。つまり、大リーグでは地元で強いことが優勝への絶対条件なのである。

現在、ホームで圧倒的に勝っているのはボストン・レッドソックス(12勝3敗)、次がトロント・ブリュージェイズ(11勝4敗)、ところが両チームともロードにでると勝ったり負けたりの成績。この順位表には割愛したがもう2つさらに突っ込んだデータも載っている。

これを見るとアメリカはビジネスでもスポーツでもデータを重視する国だということがよくわかる。ところが日本では仕事の上ではグローバルなビジネス環境のなか、数字やデータに基づくマネジメントは当たり前になっているが、野球のような世界では順位表ひとつとっても情報はまことにシンプル。

朝日に大リーグのような情報を求めているわけではないが、スポーツ新聞くらいはもう少し情報を多くしてもらいたいところ。でも、彼らにはこういう情報をデータベース化して読者に提供しようという発想がない。読者はそんな情報は求めてなく、巨人ファンや虎キチにおいしい情報だけ流しておけばOKという感覚。たぶん、現状はそんなところだろう。

日本のプロ野球は予想した通り巨人の独走が現実のものとなりつつあるセリーグはつまらないが、パリーグは楽天ががんばり活気づいているから、これを報道するメディアの側も豊富な情報を流すと球界の盛り上がりに少しは役に立つと思うのだが、、提灯記事を書くことで生きている野球記者には所詮、馬の耳に念仏か!

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2009.05.08

いつか行きたい美術館!ローマ国立博物館&カピトリーノ美術館

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来年予定しているローマの美術品めぐりの楽しみはカラヴァッジョ作品と古代ギリシア・ローマの彫刻。3年前に行ったとき、彫刻はベルニーニに絞ってボルゲーゼ美術館や寺院を目いっぱいまわった。

で、古代の彫刻はヴィラ・ジュリア博物館にあるエトルリア彫刻の傑作‘夫婦の陶棺’(拙ブログ06/5/26)しかみれなかった。だから、次はローマ国立博物館とカピトリーノ美術館にある彫刻をはりきって見るつもり。そのなかで関心の高い作品は、

★円盤を投げる人:ローマ国立博(上の画像)
★ヘルメスと幼いディオニュソス:ローマ国立博(真ん中)
★カピトリーノのヴィーナス:カピトリーノ美(下)

手元の美術本によると、このほかにも‘ホメロスの胸像’、‘クニドスのヴィーナス’、‘妻を殺して自害するゴール人’(ローマ国立博)、‘瀕死のゴール人’(カピトリーノ)など鑑賞欲をそそるものがある。

‘円盤を投げる人’は小さい頃からオリンピックとなると思い浮かべるお馴染みの彫刻。陸上競技のシンボルのように胸に刻まれているのに、本物はまだお目にかかったことがない。もっとも、これは本物の古代ギリシアの彫刻ではなく、紀元前450年頃アテネの彫刻家ミュロンがつくったブロンズ製の原型に基づくローマ時代の大理石コピー。それにしても、この彫刻には驚くほどの運動感がある。

‘ヘルメス’も‘ヴィーナス’もローマ時代の模刻。‘ヘルメス’(紀元前340年頃)をつくったのは紀元前4世紀の最も偉大な彫刻家プラクシテレス。19世紀に発見され、現在、オリンピア考古学博物館にあるものがプラクシテレスのオリジナルとも言われているが、はたしてどうなのか。すべての考古学者の意見が一致しているわけではない。

ローマ国立博にあるのは100%コピー。コピーというと軽く受け取られがちだが、こういう彫刻の場合はそういうのは横に置いて本物と思って向かい合うほうがいい。以前紹介した‘御者の像’(紀元前475年頃、デルフィ博、05/1/7)などのように本物が見つかるのは奇跡的なことで、ほんのちょっぴりしか残ってない。

‘カピトリーノのビーナス’(紀元前300年頃)はヴィーナスの系譜に必ず取りあげられる傑作。カピトリーノ広場にすぐにでも飛んで行きたいような気分になる。彫刻の鑑賞に熱が入ってくると、この二つの博物館だけでは終わらないかも。やはり、ヴァティカン博物館にまた足を運び、‘ラオコーン’や‘アポロン’と再会したい!ということになりそう。

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2009.05.07

いつか行きたい美術館! ロサンゼルス カウンティ美術館

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まだ訪問していないアメリカの美術館で行きたい度NO.1はフィラデルフィア美。昨年念願だったシカゴ美に行けたので次はここ。来年実現しようと思っている。その時、NYの新MoMAにも寄る予定。

東海岸の美術館が済んだ後となると、ロサンゼルスにあるゲティ・センターとカウンティ美。そして、カラヴァッジョの‘いかさま師’(拙ブログ1/7)があるテキサス州フォートワースのキンベル美。ここは1点買いみたいなところだから、行くとしてもだいぶ先になりそう。

LAはラスベガスを旅行したとき、トランジットで空港にいただけで街に行ったことはない。また、サンフランシスコも未体験。海外旅行は結構しているが、‘アメリカ西海岸ツアー’の優先順位はまだヨーロッパに比べると低く、アメリカならNY、ワシントン、ボストンを行き尽してからという感じになる。

さらに最近では‘グランドキャニオンツアー’に神秘の迷宮アンテロープキャニオンなどが組み込まれるようになってきたから、西海岸の順番が後に追いやられる。でも、一方で‘西洋絵画の名画を集中的に見るぞ!’という気にもなっているから、その流れでLAが近くなるかもしれない。で、是非訪問してみたいカウンティ美にあるお目当ての絵を取り上げてみた。

★ラ・トゥールの‘ゆれる炎のあるマグダラのマリア’(上の画像)
★セザンヌの‘さくらんぼと桃のある静物’(真ん中)
★マグリットの‘イメージの裏切り’(下)。

ラ・トゥール(1593~1652)の絵の虜になっているので、ここにある‘マグダラのマリア’をなんとしても見たい。これまで西洋美の‘ルーヴル美展’に展示中の‘大工のヨセフ’(3/12)をはじめ、3つの‘マグダラのマリア’、すなわちルーヴル蔵の‘灯火の前の’(08/3/30)、ワシントン・ナショナルギャラリーの‘鏡の前の’(08/4/13)、メトロポリタンの‘ふたつの炎のある’(08/5/7)と幸運にも対面することができた。残るはここの絵。

セザンヌ(1839~1906)の画集によく載っているのがこの静物画。カラヴァッジョ、シャルダン、セザンヌ、岸田劉生の静物画にぞっこん参っているから、この絵も見逃せない。

お気に入りのシュルレアリスト、マグリット(1898~1967)の‘イメージの裏切り’がここにおさまっているのに驚いている。これはアメリカにあるマグリット作品ではMoMAの‘偽りの鏡’、シカゴ美の‘釘づけにされた時間’(08/4/7)とともに有名な絵。

LAのガイドブックが手元になく、カウンティ美やゲティ・センターが街のどのあたりにあるのかわからない。まず、本を買って少しずつ気持ちを高めることにしたい。

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2009.05.06

いつか行きたい美術館! シャンティイ コンデ美術館

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パリの北42㎞、シャンティイにあるコンデ美術館(シャンティイ城のなか)は行ってみたい美術館ではあるが、夢の美術館というほうが適切かもしれない。

というのも、ここの図書館に所蔵されている有名なランブール兄弟作、‘ベリー公のいとも豪華な時祷書’(1413~1416)がいくら見たくても非公開なのである。手元にあるこの豪華な装飾写本のミニ本から3点ピックアップしてみると、

★5月の図(上の画像)
★10月の図(真ん中)
★地獄の図(下)

上の二つは‘暦頁’(1~12月)で、これが時祷書の一般的なイメージ。地獄の絵はほかのシリーズに出てくるもの。美術本で見るだけでも、本物は声を失うほどのお宝本だということが想像できる。

5月に描かれている馬に乗った貴族が身につけている衣装や森の向こうの空の青は高価なラピスラズリからとったもので、この青地に純金で模様が描かれている。目の覚める青にゴールドが冴えわたり、草木や木々の精緻な描写に頭がくらくらするのではなかろうか。

貴族を中心に描かれているのは1月、4月、5月、8月の4点、残りの月は農民が仕事をする場面。真ん中の10月の図は種まき。前景の右では種まきをする男がおり、左では男が馬に乗り、重石を置いた耕器を引かせている。画面の中央あたりに射手の姿をしたかかしがみえる。フランスのかかしは弓をもっているのか!おもしろい。田圃の後ろにどんと立っているのは当時新築されたばかりのルーヴル宮。

地獄絵の残酷さは日本画も西洋画も変わらない。真ん中の怪物レビヤタンがすごい。焼き格子で身をあぶりながら人間どもを手につかみ、足で踏んずけ、口から亡者を噴き出している。まさに怒りの人間噴射!その両脇では悪魔たちがふいごを踏んで、罪人たちを炎のなかに追いたて地獄の苦しみをとことん味あわせてる。あまり眺めていると夢でうなされるから、このへんで。

宝石のようなこの写本画をなんとか見ることができないものか!ミューズにおすがりしたいところだが、こればっかりは無理だろうな、、、

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2009.05.05

冨田渓仙と横山大観の夜桜 どちらがお好み?

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上野の不忍池の前にある横山大観記念館を4年ぶりに訪ねた。久しぶりに行くから、‘確か中華料理の東天紅の先だったなあー’という感じで、歩く時間の見当はアバウト。

出かけてみようと思ったのはどこからともなく冨田渓仙の‘祇園夜桜’(上の画像)が展示してあることがわかったから。ここは3ヶ月毎に大観作品を中心に10点くらい展示しており、今は4~6月の展示。休館日が多い(月・火・水)ので、訪問されるときは事前にHPで開館している日を確認されたほうがいい。

入館料500円は展示作品が少ないからちょっと高め。普通の家にお邪魔した感じだから、急いでいる時は15分で終了する。今回の目的は渓仙の絵だけなので、そのくらいで引き上げた。大観の絵は‘生々流転’(下絵)と‘阿やめ(水鏡)’と‘牡丹’。ほかの画家では速水御舟の‘夜桜’といういい絵がある。

冨田渓仙(1879~1936)の‘祇園夜桜’(1921)はこれまで数回ここに来ているのに縁がなかった。篝火が焚かれ、美しい枝垂れ桜が墨の濃淡で描かれた東山を背景に幻想的に浮かび上がっている。これが描かれた大正10年のころの祇園円山公園は夜は現在のように明るくライトアップされてなかったろうから、こんな雰囲気だったにちがいない。

この絵に刺激されて大観(1868~1958)が描いたのが真ん中の屏風‘夜桜’
(1929、左隻、大倉集古館)。これは1930年(昭和5)、ローマで開催された日本美術展覧会に出品された。影響を受けた渓仙の絵が枝垂れ桜なのに対し、大観はもっと見栄えのする山桜を琳派風に装飾性豊かに描いた。大観の水墨画の最高傑作が‘生々流転’(1923)なら、彩色画の頂点がこの‘夜桜’。

明治以降に描かれた日本画で今から100年経ったとき、琳派のDNAを継承した近代琳派の傑作として日本絵画史に一際輝いていると思われるのは次の7点。琳派狂だから、どれも惚れ抜いている。

★横山大観の‘夜桜’(大倉集古館)
★川端龍子の‘新樹の曲’(龍子記念館)
★速水御舟の‘名樹散椿’(山種美)
★前田青邨の‘水辺春暖’(大松美)
★福田平八郎の‘花菖蒲’(京近美)
★山口蓬春の‘扇面流し’(個人)
★加山又造の‘千羽鶴’(東近美)

下は渓仙が‘祇園夜桜’の11年後に描いた‘東山夜桜図’(1932)。大観の絵のように月を登場させているが、全体がやや明るいので夜の雰囲気がすこし弱い感じ。さて、3点のうちどれがお好みだろうか?

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2009.05.04

東博平常展の名画! 芸愛・山楽・春章

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東博の平常展をいつものように気軽に楽しんだ。今回のお目当ては4/28~5/10に展示される平成21年新指定国宝(2点)・重文(37点)の美術工芸品。

拙ブログ3/22で取り上げた蕪村の国宝‘夜色楼台図’ともう二つは写真パネルだが、若冲、岩佐又兵衛の絵、長次郎、光悦のやきものなどは皆でている。興味深々だった
国宝の‘土偶’(縄文時代、青森県八戸市風張1遺跡出土)は思っていたのとは違って小さかった。でも、その座った形はすごくインパクトがあるから、昔から国宝だったような気になる。

重美から重文になった岩佐又兵衛の‘弄玉仙図(摘水軒記念文化振興財団)を見るのは04年千葉市美であった大回顧展以来。めでたし々!上は昨年、徳川美の‘室町将軍家の至宝を探る展’で遭遇した芸愛の‘山水図巻’(室町時代、文化庁、部分)。じっと見てしまうのが連続して描かれているシャープで力強い岩肌と松の緑。見ごたえ十分の山水画である。

若冲の‘菜蟲譜’(栃木県佐野市立吉澤記念館)は実に楽しい巻物。若冲は昆虫やカエルなどが本当に好きだったのだろう。描かれているのはカブトムシ、背中の青いとかげ、蝶、コオロギ、毛虫、蜂、カマキリ、蟻、赤トンボ、蝉、蜘蛛、沢山のオタマジャクシ、ユーモラスな顔をしたカエル、げんごろう、水すまし、赤い腹をしたイモリ、人参、かぼちゃ。時間が経つのも忘れて見ていた。

目的の作品を見たのであとはいつものコースをゆるりと回った。真ん中は定期的に登場する狩野山楽作、‘車争図屏風’(重文)。単眼鏡の助けを貸りながら、画面左で始まっている従者たちの大ゲンカに最接近。相手の頭をたたいたり、顔をげんこつで殴ったり、長い棒で腹をどんと突いたりしている。ケンカの原因は?自分たちの牛車を止める場所を激しく争っているのである。

六条御息所の従者:‘やい、葵の上様の者ども、お前らあとからやって来たくせに、いい場所を確保しようって横暴すぎるじゃあねえーか、許せねえー’、

葵の上の従者:‘ふん、六条御息所様は源氏の君の愛人じゃあねえーか、俺たちの葵の上様は正妻だぞ。賀茂の斎院になられる女三宮様を光源氏様が先導されるのを葵の上様がいい所で見られるのは当たり前じゃあーないか、早く牛車を向うへ移動させろ!’、、 こんな怒鳴り合いをしているのであろう。

今、でている浮世絵の展示期間は4/21~5/17。3年ぶりに登場したのが鳥居清倍の‘市川団十郎の竹抜き五郎’(06/3/23)。これは元気がでる絵。下は昨日のベルギーロイヤルコレクションでも取り上げた勝川春章の肉筆美人画、‘遊女と燕図’。東博にある春章の美人画では最も有名な絵。

元々肥前平戸藩の松浦家が所蔵していたもので、明治のはじめ家臣の志自岐家に下賜された。遊女の白い顔や着物の鮮やかな色、そして精緻に描かれた文様に釘付けになった。春章の美人画はいつもいい気持ちにさせてくれる。こういう絵をみると、当時の洒落本に‘春章一幅千両’と書かれたことがよくわかる。

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2009.05.03

浮世絵ベルギーロイヤルコレクション展がまたやってきた!

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昨年8月、太田記念美で見た‘浮世絵ベルギーロイヤルコレクション展’(拙ブログ08/9/9)がまた東京に戻ってきた。今度は日本橋高島屋での展示(4/29~5/11)。

作品150点のうち、前とダブっているのもあるが大半ははじめてみるもの。前回図録を購入したから、どんな絵がみれるかは一応頭の中に入っている。だから、求めるサプライズは一度味をしめた色の鮮やかさとか絵の大きさ。

春信が十数点ある。見たくてうずうずしていたのが穴のあいた甕から勢いよく流れる水の描写に釘付けになる‘司馬光の甕割り’、川に浸かった布袋と子供の足がとてもリアルな‘布袋の道行’、そして娘に甘える布袋が可愛い‘布袋と娘’。

上は前回もでていた‘寄菊’。墨で潰した背地に浮き上がる菊を若衆が腰をかがめてとろうとしており、後ろでは手燭をもった娘がそれをみている。若衆はとても男には見えないが、ここは想像力をふくらませてお楽しみ中の2人をながめていた。

春信が好んだこの墨つぶしの絵はほかに‘夜の梅’(メトロポリタン美)や‘風流四季哥仙 二月 水辺梅’(慶応義塾)、‘虫撰び’(大英博物館)などがあるが、どれもたまらなく魅了される。まだ見ていない‘虫撰び’と遭遇することを夢見ている。‘風流四季哥仙’はこの秋、三井記念美で開催される‘高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展’
(9/19~11/23)にたぶん出品されるだろう。

国芳もこの展覧会の見どころのひとつ。ユーモラスな‘金魚づくし’は別の場面がでていた。見てのお楽しみ!また、‘としよりのよふな若い人だ’など国芳お得意の‘寄せ絵’が目を楽しませてくれる。真ん中は相当とんでいる絵、‘相馬の古内裏’。圧倒的な存在感をもつ馬鹿デカイ骸骨が画面いっぱいに描かれている。

骸骨は左にいる妖術を使う滝夜叉姫の手下で、反乱の首謀者、滝夜叉姫を成敗するために都から送り込まれた勇士大宅太郎光国をじっとみている。この絵を使ってすぐにでもエンターテイメント満載の怪奇アニメがつくれそう。国芳のスーパー想像力にはまったく恐れ入る。

下は勝川春章の‘真田与市・俣野五郎組討’。春章は肉筆美人画の名手だが、こういう武者絵とか役者絵も大変上手い。必死の形相で戦う二人の武者の背景を黒にし、遠景の三ヶ月や山の手前に細い白線を横に引く構成がなんだか現代のポスター感覚。これは収穫の一枚。お気に入りの歌麿は‘青楼十二時’シリーズをしっかり見たので大満足!

浮世絵鑑賞は摺りの状態のいい海外の美術館からの里帰り作品が年に数回見れればそれで十分。次の楽しみは江戸東博の‘写楽 幻の肉筆画 ギリシャに眠る日本美術’(7/4~9/6)。開幕が待ち遠しい。

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2009.05.02

またまた岸田劉生展!

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1年半前、うらわ美で岸田劉生展を見たとき、この画家の展覧会はしばらくないだろうなと思っていたら、意外に早く鑑賞の機会がめぐってきた。このたびは損保ジャパン美で‘没後80年 岸田劉生 肖像画をこえて’(4/25~7/5)。

肖像画ばかり78点出ている。全国の美術館や個人蔵から集めてきているから、代表的な肖像画はほとんどあるのではなかろうか。これは有難い。今回残念ながら東博蔵の‘麗子微笑’(拙ブログ07/11/7)は展示してないが、東近美のお宝‘麗子肖像(麗子五歳之像)’(上の画像)をはじめいい絵がずらっと揃っているから、これ以上望めない立派な回顧展である。

大好きな‘二人麗子図’(泉屋博古分館、06/9/17)が6/2からの展示だから会えなかったが、これは何度もみているから気にならない。麗子像でなかなか対面できないのが1点ある。それは‘麗子住吉詣之立像’(個人蔵)。何年も待ち続けているのだが、今回も現れてくれなかった。所有者は展覧会に出品するのを極端に嫌がっているのか、それとも行方不明?このあたりはよくわからない。これを見るまでは劉生に済みマークはつけられない。

東近美でお馴染みの‘麗子五歳之像’は‘麗子微笑’同様、いつも見入ってしまう。まさに日本の洋画のクラシック。顔に光があたりテカテカした絵肌になっている。このリアルさを表現できるところが油絵の魅力。これと同じ印象を持つのがポーラ美蔵の座っている麗子像と‘古屋君の肖像’(東近美)。並の技量では人物をこれほど写実的には描けない。やはり劉生の画力は規格外。

一枚だけ異質の絵がある。寒山捨得図から霊感を得て描かれた‘野童女’。その笑い顔はちょっと不気味だが、なぜか絵の中に吸い込まれる。こういうのが絵に力があるというのだろう。

再会を楽しみにしていたのが真ん中の‘画家の妻’(大原美)。広島を離れて5年になるが、大原美が遠い存在になってきた。ここを訪れるたびに必ず目にやきつけていた絵のひとつがこの絵。しばらく息の呑んでみていた。もう一枚、妻の絵(高知県美)があった。はじめてお目にかかったが、ポーズの取り方が似ているブリジストン美蔵(展示なし)より、魅了された。

自画像が全部で16点ある。そのなかで最も気にっているのが下の島根県美蔵のもの。これも大原美の妻の絵同様、久し振りにみた。劉生は静物画を描かせたらダリもセザンヌもびっくりするくらい上手いが、肖像画にもぐぐっと惹きこまれる。これだけ沢山、いい肖像画が見れれば言うことなし。損保ジャパンに拍手!

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2009.05.01

日本の美術館名品展は夢の競演?

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東京都美で開催中の‘日本の美術館名品展’(4/25~7/5)を見た。テーマ設定型の企画展にはあまり関心がなく、ひとりの作家の回顧展とか‘自慢のお宝見せます!’という美術館名品展のほうが目に力が入る。だが、この名品展への期待値は普通。

チラシは東京都美のいつもの悪い癖で‘夢の競演 公立100館のコレクション’、‘選りすぐりの名品を一堂に公開します’などPRしまくり。がっかりするような展覧会では決してなく○だが、美術館が宣伝していることのまあ半分がいいところ。夢の競演にわくわくするほどの名品がそれほど沢山ある?という感じ。

公立美術館のネットワーク組織、美術館連絡協議会というのがあってその創立25周年を記念するイベントあるいはお祭りと思ったほうがわかりやすい。だから、数はやたらと多い。協議会から美術館へ‘ご自慢の名品を出品してください。こちらからは指定しませんので、貴美術館の選択にお任せします’という業務連絡メールが入り、100の美術館が応じ、220点が集まったのだろう。

テーマがあるわけではないから、美術館側も楽といえば楽。こういうNO指定の場合は美術館の顔になっているような絵は絶対出さない。だから、夢の競演にはならない。いくつか例をあげると、名古屋市美からの出品はユトリロの‘ノルヴァン通り’で、有名なモディリアーニの‘お下げ髪の少女’ではない。

宮崎県近美にはマグリットの‘白紙委任状’とか‘現実の感覚’といった一級のシュルレアリスム絵画があるのに、でているのはこれではなくてシニャックの絵。シニャックもいい絵だが、やはりマグリットを見たい。山梨県立美だって、‘ミレーの種まく人はとてもとても、ポーリーヌ・V・オノの肖像で回答しとこう’といった具合だろう。

日本の美術館で西洋絵画のいい絵があるのは大原美、ひろしま美、ブリジストン美、国立西洋美、ポーラ美、損保ジャパン美、大阪市立近美準備室、村内美、川村美。また、日本の洋画コレクションで質の高さを誇るのは東近美、東博、ブリジストン、ウッドワン。資金力に制約のある公立の美術館が人気の西洋画を手に入れるのはそう簡単なことではなく、有名な美術館にくらべると数が少ない。

だから、こういう記念展のとき上にあげたような名画がでてくると、この展覧会は気合いが入っているなということになる。だが、実際は予想していた通り。手元にある美術本をいろいろみてみると、100の美術館のうち規模の大きなところでランキング1位の絵を出品したのは少ないのではないか。あまり期待しすぎてもいけないのだが。

が、サプライズの絵が二、三あった。その筆頭が上のバーン=ジョーンズの‘フローラ’。これを所蔵しているのは郡山市美。最近、読み終えた‘バーン=ジョーンズの芸術’(ビル・ウォーターズ著、晶文社、1997年5月)にこの美術館が‘アヴァロンのアーサー王の眠り’のための大型スケッチの所有者としてでてくる。油彩までもっていたとは!どういう縁でこの絵を手に入れたかは知らないが、とにかくすばらしい。これまで日本で見たラファエロ前派の作品は西洋美にあるロセッティの‘愛の杯’しかないから、感心しながら見ていた。

もう一点、初見の絵で足がとまったのがある。エゴン・シーレの大きな絵‘カール・グリュンヴァルトの肖像’(豊田市美)。これは相当の資金を要したであろう。再会を楽しんだのは日本にあるミロ作品で一番いいと思っている福岡市美蔵の‘ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子’、イブ・クラインの‘人体測定ANT66’(いわき市美)、バルラッハの‘母なる大地Ⅱ’(愛知県美)、ブランクーシの抽象彫刻‘空間の鳥’(滋賀県近美)。

日本画は例によって前期(4/25~5/31)、後期(6/2~7/5)に分けて展示される。西洋画に較べると当たり前のことだが、質のいいのが揃っている。でも、秘かに期待していたのは全部ダメだった。普段は行けそうにない佐久市近美にある横山操の‘雪原’とか鹿児島市美蔵の西山英雄作、‘噴煙’とか和歌山県近美の稗田一穂作、‘帰り路’など。やはり、どこも西洋画同様、自慢の代表作は出したがらない。

真ん中は竹内栖鳳の‘絵になる最初’(京都市美)。ここへ足を運んだのは実はこの絵と対面するため。女性画を見るのは絵画鑑賞の大きな楽しみだから、西洋画でも日本画でも女性を描いた絵には目がない。この左手で顔を隠すしぐさをする女性が気になって仕方がなかったが、これまで展示替えとかで縁がなかった。やっと会ったが、こういう女性はあまりじっとはみれない。でも、それで満足。

下の小杉放庵の‘金太郎遊行’(栃木県美)と遭遇したのは幸運だった。出光美にもいい金太郎の絵があるが、これにもすごく魅了される。下期に狩野芳崖のお目当ての絵がでてくるので、また出かけるつもり。

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