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2009.04.15

やっと会えた上村松園の草紙洗小町!

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東芸大美で定期的に開催される‘芸大コレクション展’(4/14~6/14)は見逃さないようにしてきた。でも、これからはその必要がなくなりそう。というのも、今回、ずっと追っかけていた日本画が登場するのである。それは前期(4/14~5/17)に展示される上村松園作、‘草紙洗小町’(上の画像)と後期(5/19~6/14)にでる川合玉堂の‘鵜飼’。

上村松園の回顧展はつい最近、日本橋高島屋であったものを含めて開催される度にでかけてきた。回数は日本画家のなかでは横山大観と松園が一番多い。だから、図録がたまり代表作の多くは目のなかにおさまっている。最後に残ったのが‘草紙洗小町’。この5年、展示の機会を首を長くして待っていたが、ようやく対面することができた。

最初に出くわした回顧展(96年、Bunkamura)は広島にいて東京へ出張したとき鑑賞したので、残念ながらこの絵の展示期間と合わなかった。このすれ違い以後、ずっとこの絵との対面を夢見ていたが、どういうわけか広島県美であった2回目の大回顧展
(03年)にも出品されず、東芸大美でも待たされ続けた。

絵の大きさにまず、びっくりした。縦2.15m、横1.33mある。図版でみている分にはいつものことだが絵のサイズまで関心がいかない。これほど大きな絵だったとは!それしても見事な古典画である。松園の絵には能・謡曲を題材にしたものが多い。これもその一つで、‘草紙洗’(そうしあらい)を絵画化している。この能は‘古今和歌集’仮名序(紀貫之著)の世界を能に仕立てた話だから、史実性はない。

話はこうである。宮中の歌合わせで小野小町の相手に決まった大伴黒主は普通に勝負したのでは勝ち目はないから、はかりごとを思いつく。夜、小町の邸に忍び込み、彼女の吟ずる歌を盗み聞きし‘万葉集’の草紙に書き入れる。なんでそんなことをするの?小町の歌が‘万葉集’からの盗作だと歌合わせの席でやっつけるため。まったく手の込んだはかりごとをする。この男、よほど性根が曲がっていたのだろう。

黒主から盗作だとつめよられた小町は冷静さを失わず、墨色が新しいので黒主が万葉集に加筆したものと見破り、その草紙を洗う。すると歌の文字は消えて流れ、疑いは晴れた。真ん中の尾形光琳の絵(MOA蔵、今回出品されてない)では、その様が描かれている。これに対し、松園の絵では、小町は草紙を洗うところを扇により演じている。本当にいい絵を見た。

現在、東博本館の平常展に‘佐竹本三十六歌仙絵巻断簡、小野小町’(重文、個人蔵)がでている(5/10まで)。すぐ近くで響き合っているふたつの絵を一緒にみるといい気持ちになれることは請け合い。この機会をお見逃しなく。

もうひとつ、上村松園作品の展示情報を。古典画の傑作ベスト3は‘雪月花’(三の丸尚蔵館)、‘草紙洗小町’、‘伊勢大輔’(個人蔵、拙ブログ3/5)。再会を待っている‘雪月花’は秋に東博で開催されるビッグな特別展‘皇室の名宝展’(10/6~11/29)に展示される。とても楽しみ!

今回のコレクション展でいつかお目にかかりたいと思っていた狩野常信の‘鳳凰図屏風’(下、左隻)に遭遇した。狩野派で重要なことは絵の型を継承すること。常信はサントリー美にある狩野探幽の同題の絵(07/4/8)を多少自分流にアレンジして描いている。

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