アートフェア東京2009はこんなに楽しかったの!?
東京国際フォーラムで昨日からはじまった‘アートフェア東京2009’(4/3・4・5)を見てきた。現代アートに注ぎ込む鑑賞エネルギーは今のところ大きくないので、このフェアに特別関心があったというのではない。足を運んだのは榎俊幸さん(ブログ・絵ノローグ)が出品されている最新作を見るため。だから、これを見たら、さっと帰るつもりだった。
ところが会場に足を踏み入れたら、そうもいかなくなった。2年前経験した‘東京コンテンポラリーアートフェア2007’(東京美術倶楽部、拙ブログ07/11/25)とまったく同じ雰囲気で、楽しい作品が結構ある。よくわからないのが、二つのアートフェアの関係。別のもの?それとも東美倶の07年の次が今回のフェア?
早速、彩鳳堂画廊のブース(B17)へ急いだ。榎さんのブログで見ていた作品‘翼竜図屏風’(上の画像、部分)やお馴染みの‘鳳凰’の新ヴァージョンなどがあった。‘翼竜’は恐竜のイメージ。大きく口をあけた顔はまるで生きているようでちょっと怖い。小さい子供がみると泣きだしてしまいそう。鱗の質感描写が実にリアルで、広げた翼のボリューム感や曲がり具合、首や胴体のふくらみに見入ってしまう。
表面の鱗は網干文のような感じだが、その一つ々の菱形の大きさをすこしずつ変えて厚みや丸みをつくっているので、この竜の筋肉がイチローの肉体のようにしなやかで強靭なものにみえてくる。加山又造のトポロジー感覚の流水文にも驚かされるが、榎さんの描くこの竜もまったくすごい。今回あらたに登場した‘獏’もぐっとくる。日光東照宮にある獏とはまた違う榎流の‘獏’。見てのお楽しみ!
真ん中の絵は画廊たづ(C01)にあった平子真理さんの‘お猿でござる’。この日本画家はこれまで知らなかったが、この絵にとても魅せられた。猿の生き生きとした動きに目が釘付けになる。出品作4点は全部、金箔の地。そこにペンギンとか猿、ラクダが描かれている。
おもしろいのが‘ペンギンのサッカー’。ペンギンにサッカーをさせるという発想に感心させられる上に、ペンギンが腰をかがめたり、短い足をあげたりする姿がとても力強くシャープ。何かの縁かもしれない、この画家の名前を胸に刻んでおこうと思う。
ほかで足がとまったのは昨年個展を見た瀧下和之(08/9/5)のユーモラスな鬼たち(新生堂C08)とミズマアートギャラリー(F03)にでていた山口藍の‘はなすことはこのやまほど’。
山口藍には惹きつけられる。酒井抱一の‘四季花鳥図屏風’(陽明文庫)を借用して、ここにキャラクター化した裸婦を何人も描いている。抱一ばりに品よく描かれた花や流水と目が大きく平べったい顔をした女の子が違和感もなく溶け合っている。不思議な魅力をもった山口藍の作品はフルマーク。
現代彫刻にハッとさせられるのがあった。下の天野裕夫作、‘手工神’(椿近代画廊E05)。作家の名前は全然知らないが、これを見て瞬時に以前見たシュヴァンクマイエルの作品(05/10/31)を連想した。これの衝撃度はかなり大きい。今回思わぬ発見がいろいろあったので、来年は開催時期をしっかりチェックすることにした。
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コメント
またTBさせて頂きました。
このイベント、凄く楽しかったです! 自分から現代アートの展覧には中々行かないのですが、このイベントでだいぶ好きになりました。これは来年もチェックしないとって思いますね。
投稿: 21世紀のxxx者 | 2009.04.05 03:46
to 21世紀の×××者さん
アートフェアは予想以上に楽しいですね。
サプライズの作品が多くあるなかで、どれが
本当に革新的で新しいアイデアなのかを判定
するのは難しいですが、直感的にこれが残り
そうだなというのはあります。でも、当たっ
ているかはまったくわかりません。
投稿: いづつや | 2009.04.05 11:03
いづつやさん、先日は有難うございました、会場でお会い出来てよかったです。
アートフェアも終わって今日は疲れがどっと出ていますが、明日からはまた新作の制作です。
更にスケールアップしたドラゴンに乞うご期待!
投稿: eno | 2009.04.05 23:00
to enoさん
人気の高いフェアですから、お客さんの
対応でお忙しかったのではないでしょうか。
いい作品をみせていただき有難うございまし
た。とても刺激的でした。
秋の京都プロジェクトを楽しみにしています。
投稿: いづつや | 2009.04.06 00:17