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2009.04.26

出光美の水墨画展、内容は申し分ないのに図録が高すぎる!

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出光美の‘水墨画の輝きー雪舟・等伯から鉄斎まで’(4/25~5/31)を初日朝一番で見た。作品は中国の水墨画を含め、周文、雪舟、狩野元信、等伯、宗達らビッグネームの名品が41点。プラス定番のやきもの展示。

今回は所蔵品による企画展だから、チラシに使われている等伯の‘竹図屏風’など過去見たことのある作品が多いことはある程度覚悟していた。でも、ここはいつもなにかしらサプライズの絵に遭遇するから、それを期待して見て回った。果たして、収穫が5、6点あった。期待に応えてくれるのがブランド美術館の証。

一番のめり込んで見たのは最近相性のいい元信の‘花鳥図屏風’。左隻の二段クッションで水が落下する滝に目が釘付けになった。滝壺に落ちて跳ね返るつくしんぼのような水しぶきはハイスピード映像を見ている感じ。宗達は愛嬌のある虎の絵(拙ブログ05/9/8)の隣にあった‘鍾離権図’がいい。

光琳の人物画は顔がまるくニコニコ系なのに対し、宗達の描く人物には内面が現われているように思える。この内面描写は犬や鳥でも同じ。顔の表情やしぐさをみているとわれわれがみせる淋しさとか悲哀といったものを感じてしまう。宗達は日本絵画における表現主義の先駆者ではないだろうか。

満足のいく新規の絵と遭遇したので、あとは知っている名画をまたじっくり見た。上はイギリスのターナー(08/2/7)が見たら泣いて喜びそうな玉澗(ぎょっかん)の‘山市晴嵐図’(南宋、重文)。これは瀟湘八景の一枚で、表現しようとした主題は山に囲まれた集落、酒場、山の大気。風景は何が描いてあるかわからないほど大胆に簡略化されている。

うすい白地をよくみると、右のほうに荷物を背負った男がシルエットになっているし、中央の木々に見え隠れする家屋に腰をかがめた二人がむかっているのがみえる。光と大気をこういう風に描いた玉澗の八景図はもう2枚(徳川美と文化庁が所蔵)あるが、いずれも味わい深い。出光にある牧谿の瀟湘八景は洲浜に降りてくる雁の群れを描いた‘平沙落雁’(南宋、重文)。淡墨で描かれた雁の飛翔を目を細めて見ていた。

真ん中はぞっこん参っている能阿弥の‘四季花鳥図屏風’(室町、重文)。この右隻に描かれた鳥で最も惹きこまれるのは真ん中の白鷺。その体をひねった姿は難易度の高い演技にいどむ体操選手の体とダブってみえる。また、右の松の下で休んでいる叭々鳥の濃い墨が目に焼きつく。

ここは浦上玉堂の絵を何点ももっている。今回は千葉市美であった大回顧展に出品された‘籠煙惹滋図’(重文)など3点。前回じっくりみたので、さらっとみて、下の池大雅の‘蜀棧道図’の前に長くいた。峻険な山々を切り崩してつくられたS字に曲がる路を馬に乗って進んでいくのはまさに命がけ。この絵を見ながら、蜀の国づくりに心血を注いだ劉備や孔明のことを思い浮かべた。

見終わったあと、ルーチンとして図録を買った。いつもは1500円くらいだが、この度は2000円。作品は40数点。それほど分厚くないのに2000円?これはどうみても高すぎる!府中市美は‘山水に遊ぶ展’(出品作100点)で編集がとても上手い本タイプの図録をつくり、2000円で販売している。この情報が満載ですごく充実した図録と比べると、ここの図録はいかにも高い。これはどうしたことか?!

不況の中、多くの企業がなんとか消費者に商品を買ってもらおうとコストダウンを図り、価格を引き下げているというのに、のほほんと図録を作成し、平気で2000円の値をつけている。出光美らしくない安易な仕事の仕方としか思えない。

出光美の企画展は作品の質が高いのに1000円しかとらず、しかもぐるっとパス券も使えるということで高い評価と好感度を得てきているのだから、図録でマイナスのイメージをつくってもらいたくない。これまでの1500円を維持するか、さらにコストをカットして
1300円くらいに下げることを強く望みたい。

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