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2009.04.30

府中市美術館の山水に遊ぶ展(後期)

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府中市美術館は京王線の東府中駅に着いてからが気が重い。美術館行きのバスは一時間に2本しかない。今月のはじめに行ったときは運よくすぐきたが、今日は5分前に出発していた。

どうでもいいことだが、美術館をぐるぐるまわっているとき、JR、私鉄、地下鉄、バスの乗継がやけにスムーズにいく日とそうでない日がある。不思議な経験則なのだが、今日もこれが当たっており、一日中待つことが多かった。

20分歩いて館に着くと、すぐ帰りのバスの時間をチェックして、30分で‘山水に遊ぶ―江戸絵画に風景250年’(後期B:4/28~5/10)を見た。重点鑑賞の作品は出品リストに○がつけてあるから、このくらいの時間でもOK。

上は再会を楽しみにしていた曾我蕭白作、‘月夜山水図屏風’(重文、近江神宮)。前期展示の‘松鶴山水図’(拙ブログ4/5)や‘山水図押絵貼屏風’(京博)同様、夢中になって見た。蕭白の山水画で見ごたえのあるのが3点ある。この‘月夜山水’と前期の京博蔵、そしてボストン美にある‘楼閣山水図屏風’。これは左隻のほうで、中央の険しい山に立つ寺の右には月、左には滝がみえる。

雪舟の流れをくむ山水では岩や山の峻険さは斧で割ったような岩肌であらわすのが普通だが、蕭白は鋭角的に表現するだけでなく、もっこりしたまるみのある山も描きこんでいる。このあたりが並の絵師とはちがうところ。また、彩色がお得意の蕭白だから、東屋とか塔の手すり、寺の囲い、橋の欄干、木々などに鮮やかな朱を施している。細部までじっくりみると興味が尽きず、これほど画面に惹きこまれる山水画はほかにない。

長澤芦雪の真ん中の‘蓬莱山図’と‘赤壁図’も足がとまる絵。‘蓬莱山’は一度京博でみたことがある。目が必死に追かっけるのは砂州の松並木。逆Y字のように配置されており、その先に蓬莱山がある。蓬莱宮に向って右から鶴が仙人を乗せて飛んでいる。鶴とくれば亀。海から上がってきた亀は右の松の下から隊列を組んで蓬莱山のほうへ進んでいる。‘赤壁図’は上から大きな岩が落ちてくるような圧迫感がいい。映画‘レッドクリフⅡ’に対するテンションがあがってきた。

円山応挙の‘海上竜巻図’をみて、ふと思い出したことがある。ここに描かれた竜はこちらに後ろ頭をみせ、ロケットが打ちあげられるみたいに上昇している。横山大観作、‘生々流転’の最後の画面で昇天する竜の姿はこれと同じ。大観は応挙のこの絵を見たのだろうか?

下は前期も楽しんだ司馬江漢の‘馬入川富士遠望図’。右手前に一羽のセキレイを大きく描く構成が頭から離れないだけでなく、こういう目の前の風景が遠くのほうまで広がっていく絵はその場に自分がいるような感じがして爽快な気持ちになる。

今回の料金は有難いことに300円だった。府中市美に感謝々。

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2009.04.29

大リーグヤンキース 松井4番復活 VS 消えた井川!

551BS1の大リーグ放送ではここ数日、ヤンキースの試合をライヴで中継している。相手はデトロイト・タイガース。今日はヤンキースが11対0で大勝した。

2試合前からDHで4番に入っている松井は最近、好調で今日も2安打を放った。これで打率は0.288に上がってきた。

記事によると、ヒットが出なかったのは故障した左膝が腫れていたのが原因のようだ。今は対症治療により回復したという。鋭い当たりが戻ってきたから、さらに打率をあげ打点をたたきだしてくれるのではなかろうか。

チームはまだエンジンがかからず、10勝10敗と勝率5割で東部地区の3位。1位はブルージェイス(15勝7敗)で、2位は今日は敗れたが11連勝したレッドソックス(13勝7敗)。ヤンキースの前のカードは敵地でのレッドソックス戦。どの試合も接戦だったが、終わってみれば3連敗戦!スウィープを食らった原因はやはり投手陣の弱さ。

開幕前はサバシアやバーネットをFAで獲得したから、投手力はかなりアップしたと期待したが、ふたを開けて見ると先発5人が安定してまわらないし、ブルペン陣もピリッとしない。現状の投手力で優勝できるとはとても思えない。松坂を欠いても11連勝したレッドソックスのピッチングスタッフのほうが充実している。

ヤンキースの先発で、FAの2人とペティットは実績があるから試合はつくれるが、あとの2人はどんな結果になるかは投げさせてみないとわからない。若手の投手がどれだけいい投球をするかで勝負は決まってくる。気になるのは3Aから若手があがってくるのに、いつまでたっても井川が戻ってこないこと。

井川は今、どうしているの?ヤンキースに入団して3年目になるのにいまだ大リーガーとして実績はほとんどゼロ。開幕から1ヶ月が経っても、3Aからあがってこれないのは制球力、ストレート、変化球の威力が監督、コーチの期待値に達してないということだろう。2年半、アメリカの野球をしているというのに、井川には学習能力がないのだろうか?

厳しい言い方かもしれないが、ヤンキースはもう井川を使う気はないと思う。4年契約なのであと2年あるが、契約金の一部を負担してくれるチームをさがしても現状の力では交渉に応じてくれるところがないので、このまま3Aで実績をつませ短期間大リーガーとして投げさせたあと、シーズン後半あたりに他チームに放出するつもりだろう。

果たして井川は復活できるだろうか?いっそのことタイガースに帰ってまた先発やったらいいのに。タイガースも投手が手薄だから、願ったりだろう。それとも、メッツからトレードされたが移籍先で再生した松井稼(現在、アストロズ)のように、働く場所を替えて頑張る?

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2009.04.28

三の丸尚蔵館の国の花、華やぐ展

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三の丸尚蔵館の‘国の花、華やぐ展’(3/28~6/14、無料)でとてもいい絵を見た。それは二期(4/25~5/17)に登場した日本画家、池上秀畝(いけがみしゅうほ)作、‘国之華’(六曲一双、大正13年)。右隻に桜(上の画像)、左隻に菊(真ん中)が描かれている。

池上秀畝(1874~1944)は長野県の人で、川合玉堂や上村松園らと同時代を生きている。これまで見た作品は片手くらいしかなく、記憶にあるのは松岡美蔵と大丸東京店であった水野美名品展に出品されたものだが、また見たいという類の絵ではなかった。

ところがである。この絵は200%すばらしい!息を呑んで見た。チラシにこの絵を使いたい気持ちがわかりすぎるくらいわかる。鮮やかに咲き誇る桜の屏風の金地や目の覚める青の水流を眺めていると、昨年、東博であった大林琳派展に出品された酒井抱一の‘青楓・朱楓図屏風’や鈴木其一の‘四季花木図屏風’が頭をよぎった。琳派展を見られた方はおそらく同じ感想をもたれるにちがいない。

今年、天皇皇后両陛下は御結婚50年を迎えられたが、御結婚の日(昭和34年4月10日)の二日後に御内宴があった。このときの写真撮影の際、背景に飾られたのがこの屏風だったという。池上秀畝の一番いい絵が三の丸尚蔵館におさまっていたとは。これは一生の思い出になる。

ここの出品作を定点観測して見逃すまいと思っていたのは下の土田麦僊の‘罌粟(けし)’。12年ぶりの対面となるこの絵を見るために出向いたのに、鑑賞のエネルギーの大半は‘国之華’にとられた感じ。目にとびこんでくるのが平面的に描かれた緑の葉。これがこの絵のイメージを決定づける。全体が静かな雰囲気の中、右隻の空を舞う3匹蝶が動きをつくり、白い罌粟の裏側に施された影により奥行きのある空間が構成されている。

この秋、東博で行われる‘皇室の名宝展’(10/6~11/29)に三の丸尚蔵館の所蔵する名画がどっと公開されるのではないかと今から期待している。出品作のいくつかはわかっているが、?の作品で追っかけているのは、

★円山応挙の‘群獣図屏風’(99年の名宝展には展示されなかった)
★長澤芦雪の‘唐子睡眠図’(99年展示替えで見れず、拙ブログ07/8/16
★絵師草紙(同じく見れず)
★海北友松の浜松図&網干図(同じく見れず)
★南蛮人渡来図屏風(99年展示なし)
ヒット率100%といきたいところだが、果たして何点見られるだろうか?

そして、展示されるのが決まっており再会を待っているのは、
★春日権現験記絵巻(99年展示)
★上村松園の‘雪月花’(同じく展示)

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2009.04.27

大和し 美し 川端康成と安田靫彦

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千葉市美で開かれている‘大和し 美し  川端康成と安田靫彦’(4/4~5/10)は
My一点買い展覧会のつもりなのに、予定の倍の時間をかけてみた(作品数250点)。

展覧会は新鮮なサプライズが多ければ多いほど楽しい。だから過去見たことのある美術品が展示される場合はどうしてもパスしたい気持ちになる。厄介なのがそのなかに未見あるいは気になる作品が含まれているとき。

今回、どうしようもなく再会したい靫彦の絵があった。上の‘花の酔’(宮城県美)。展示は全期でなく4/4~4/26。安田靫彦の回顧展が茨城県近美であったとき、この絵の展示がすでに終了しており、残念な思いをしたが、有難いことに時をおかずまた仙台からお出ましいただいた。

安田靫彦の女性を描いた絵で最も有名なのが‘飛鳥の春の額田王’(拙ブログ3/2、4/28~5/10展示)。中国唐時代の女性に倣って描かれた額田王は品がよすぎて気軽に近づけないのに対し、‘花の酔’の若い女はフィギュアスケートの浅田真央ちゃんのように見る者を浮き浮きさせる。

桜の花びらがひらひらと散るなか、扇子をもち口元に手をやる姿が本当に美しい。
1993年、愛知県美であった一回目の回顧展で見て以来、My好きな女性画の上位に載せている。16年ぶりに会って、また惚れなおした。

この絵を見るのが目的だったから、あとはさーっと見て帰るつもりだった。ところが、琳派作品が予想外に多いのである。真ん中はずっと追っかけていた光琳の‘吉夢大黒天図’。‘ええー、これが出ているの!嬉しいー’と心の中で叫んだ。光琳は夢にみたことを絵にするのが好きで、この絵のほかに‘夢中富士山’というのがある。

‘大黒天図’の夢とは。ある人が大黒天に似た木像をもっていた。この木像は心にかなう人がいると、指二本をさして笑うという。左の剃髪した男(光琳)が木像に名前を聞くと‘福恵見’と言い、この男をさして笑った。光琳の描く人物は柔らかくまるくやさしい。この絵に会えたのは大きな収穫。

宗達の‘狗子図’(07/10/21)はお気に入りの絵。これは宗達を世に知らしめるのに大いに貢献した安田靫彦が所蔵していたもの。靫彦の琳派コレクションは全部で9点ある。琳派狂だからこれらの前で一気にテンションがあがった。

古美術をこよなく愛した川端康成の自慢の絵(いずれも国宝)が会期中でている。池大雅の‘十便図’(下の画像)、与謝蕪村の‘十宜図’(05/6/19)、浦上玉堂の‘東雲篩雪図’(06/11/28)。‘十便・十宜図’は毎週替わり、先週の土曜は‘樵便’と‘宜秋’だった。大雅の絵はいつみても心が癒されるし、‘東雲篩雪図’にも魅了される。

この展覧会の図録(2500円)は府中市美のと同じ本タイプ。いつかじっくり読もうと思う。

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2009.04.26

出光美の水墨画展、内容は申し分ないのに図録が高すぎる!

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出光美の‘水墨画の輝きー雪舟・等伯から鉄斎まで’(4/25~5/31)を初日朝一番で見た。作品は中国の水墨画を含め、周文、雪舟、狩野元信、等伯、宗達らビッグネームの名品が41点。プラス定番のやきもの展示。

今回は所蔵品による企画展だから、チラシに使われている等伯の‘竹図屏風’など過去見たことのある作品が多いことはある程度覚悟していた。でも、ここはいつもなにかしらサプライズの絵に遭遇するから、それを期待して見て回った。果たして、収穫が5、6点あった。期待に応えてくれるのがブランド美術館の証。

一番のめり込んで見たのは最近相性のいい元信の‘花鳥図屏風’。左隻の二段クッションで水が落下する滝に目が釘付けになった。滝壺に落ちて跳ね返るつくしんぼのような水しぶきはハイスピード映像を見ている感じ。宗達は愛嬌のある虎の絵(拙ブログ05/9/8)の隣にあった‘鍾離権図’がいい。

光琳の人物画は顔がまるくニコニコ系なのに対し、宗達の描く人物には内面が現われているように思える。この内面描写は犬や鳥でも同じ。顔の表情やしぐさをみているとわれわれがみせる淋しさとか悲哀といったものを感じてしまう。宗達は日本絵画における表現主義の先駆者ではないだろうか。

満足のいく新規の絵と遭遇したので、あとは知っている名画をまたじっくり見た。上はイギリスのターナー(08/2/7)が見たら泣いて喜びそうな玉澗(ぎょっかん)の‘山市晴嵐図’(南宋、重文)。これは瀟湘八景の一枚で、表現しようとした主題は山に囲まれた集落、酒場、山の大気。風景は何が描いてあるかわからないほど大胆に簡略化されている。

うすい白地をよくみると、右のほうに荷物を背負った男がシルエットになっているし、中央の木々に見え隠れする家屋に腰をかがめた二人がむかっているのがみえる。光と大気をこういう風に描いた玉澗の八景図はもう2枚(徳川美と文化庁が所蔵)あるが、いずれも味わい深い。出光にある牧谿の瀟湘八景は洲浜に降りてくる雁の群れを描いた‘平沙落雁’(南宋、重文)。淡墨で描かれた雁の飛翔を目を細めて見ていた。

真ん中はぞっこん参っている能阿弥の‘四季花鳥図屏風’(室町、重文)。この右隻に描かれた鳥で最も惹きこまれるのは真ん中の白鷺。その体をひねった姿は難易度の高い演技にいどむ体操選手の体とダブってみえる。また、右の松の下で休んでいる叭々鳥の濃い墨が目に焼きつく。

ここは浦上玉堂の絵を何点ももっている。今回は千葉市美であった大回顧展に出品された‘籠煙惹滋図’(重文)など3点。前回じっくりみたので、さらっとみて、下の池大雅の‘蜀棧道図’の前に長くいた。峻険な山々を切り崩してつくられたS字に曲がる路を馬に乗って進んでいくのはまさに命がけ。この絵を見ながら、蜀の国づくりに心血を注いだ劉備や孔明のことを思い浮かべた。

見終わったあと、ルーチンとして図録を買った。いつもは1500円くらいだが、この度は2000円。作品は40数点。それほど分厚くないのに2000円?これはどうみても高すぎる!府中市美は‘山水に遊ぶ展’(出品作100点)で編集がとても上手い本タイプの図録をつくり、2000円で販売している。この情報が満載ですごく充実した図録と比べると、ここの図録はいかにも高い。これはどうしたことか?!

不況の中、多くの企業がなんとか消費者に商品を買ってもらおうとコストダウンを図り、価格を引き下げているというのに、のほほんと図録を作成し、平気で2000円の値をつけている。出光美らしくない安易な仕事の仕方としか思えない。

出光美の企画展は作品の質が高いのに1000円しかとらず、しかもぐるっとパス券も使えるということで高い評価と好感度を得てきているのだから、図録でマイナスのイメージをつくってもらいたくない。これまでの1500円を維持するか、さらにコストをカットして
1300円くらいに下げることを強く望みたい。

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2009.04.25

静嘉堂文庫の筆墨の美ー水墨画展

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静嘉堂文庫では今年2回、所蔵品による水墨画展が開かれる。パートⅠは現在行われており(4/4~5/17)、秋にパートⅡ(10/24~12/20)がある。

ここへは結構通っているから、すでに見たものも多い。中国絵画で4/29~5/6に展示される国宝、馬遠の‘風雨山水図’は見たことがあるので、長らく待っている夏珪の‘山水図’が登場してくれるのを願っていたが、今回も縁がなかった。中国の人物画や山水画は20点。日本ではトップクラスの質を誇るコレクションである。

上はもう一つの国宝、因陀羅(いんだら)の‘禅機図断簡 智常禅師図’。国宝に指定されている‘禅機図断簡’はほかに4つある。所蔵しているのは東博、石橋家、根津美、畠山美。因陀羅は元時代の禅僧で、地位も高かった。この絵で木の下に座っているのは唐の高僧、智常禅師、そして前にいる髭の濃い男は文官。

ほかの絵も禅林(禅宗の寺のこと)とその周辺の人物にかかわる逸話が描かれている。幸いにも5点全部みているのだが、人物の描き方がいずれもユーモラスでのんびりした感じなので、見てて楽しい。表情とともに惹きこまれるのが顔の口とか衣装の襟とか点苔にみられる濃い墨。墨で描かれた絵を見る楽しみはのびやかな線とこうした墨の濃淡。またいい気分になった。

ほかの絵で見逃せないのは牧谿(もっけい)の‘羅漢図’(南宋時代、重文)。画面が明るくないのでちょっと見づらいところがあるが、ガッと!なるのが描かれている。見てのお楽しみ。また、天然パーマのような頭をした‘寒山図’にも心がゆるむ。

初見で収穫だったのは真ん中の日本の山水画、‘四季山水図屏風’(室町時代、重文)。描いたのは関東で活躍した式部輝忠。これは右隻(部分)のほう。なかなか見ごたえのある山水画なので、見入ってしまった。

人物がいて、山々の重なりが墨の調子を変えてきっちり描かれている。視線が集まるのが二つの滝。こういうのは想像して描いたのだろうが、その滝の流れを追っていくと自然に対象への関心が左の鮮やかな緑青で彩色された松のほうへ移っていく。その巧みな構成は見事というほかない。

また、同じ室町時代の絵、岳翁蔵丘の‘洞山良价禅師図’や‘聴松軒図’(ともに重文)にも足がとまる。

下は英一蝶の‘朝暾曳馬図’(ちょうとんえいばず)。これはお気に入りの絵。はじめて見たとき、目が点になったのが川面に映った馬と童の影。これが描かれたのは17世紀後半だが、一蝶がはじめて影を絵に表わしたと言われている。

展覧会情報をひとつ。この秋待望の‘英一蝶展’(9/5~10/12)が板橋区美で開催される。今から待ち遠しい。

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2009.04.24

泉屋博古館・大仙院・大覚寺の名画も見ました!

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東京にある泉屋博古館はよく通っているが、京都の本館はこれまで訪問したことがなかった。現在、ここで嬉しい絵が展示されている。‘国宝の完全制覇をめざして! 絵画’をアップしたとき、有難いことにあーうるさんとAKIOさんから閻次平(えんじへい)作、‘秋野牧牛図’(上の画像、部分)が所蔵品展‘住友コレクションの中国絵画’
(3/14~4/26)に出品されることを教えてもらった。

昨年10月、名古屋の徳川美であった‘室町将軍家の至宝を探る展’にこの絵が出品されていたのにNOタッチだったため、見逃してしまった。鑑賞がまた遠のいたと気分も萎えたが、自分のポカだから仕方がないと無理やり納得させていた。ところが、意外に早くリカバリーの機会がめぐってきた。お二人の情報に感謝々である。

入館して、この絵をめざした。まず、3頭の牛をじっくりみた。赤と黄色の紅葉の下で寝そべっている母牛と子牛に心がなごむ。こういう可愛いくてやさしい顔をした牛の絵がはじめてお目にかかった。この牛と紅葉の樹木を挟んで対をなすように描かれているのが二人の牧童。あたりは濃霧がたちこめ、牧童が牛に比べると小さく描かれているため、単眼鏡でみないとどんな風に描写されているのかわからない。

細部を拡大した図版でわかるように、後ろの子はあぐらをかき体を横に傾けている子の頭の髪をいじくっている。蚤でもとってやっているのだろうか。ここでは時間がゆったり流れている。のどかな田舎の情景に200%リラックスさせてもらった。ほかでは石濤の‘黄山八勝画冊’(清時代)、‘黄山図巻’(ともに重文)に足がとまった。32点をじっくり見たいところだか、まだ二つ残っているから長居はせず、次の訪問先、大徳寺・大仙院をめざした。

一度行ったことのある大仙院を訪ねようと思ったのは、狩野元信の‘四季花鳥図’(重文、真ん中)をまた見たくなったから。東博と京博の妙心寺展で元信の山水画、花鳥画を5点みた。これで元信の代表作で画集に載っているものは9割方見たことになる。で、‘四季花鳥画’を最後の締めにしようというわけである。鳥の胸の赤が目に沁みる。元信は水墨画に鮮やかな色彩を施し、装飾性豊かな水墨画を生み出した。流石、狩野派の棟梁。すごい絵師である。

京都の寺院が開いているのは5時まで。4時半までは中に入れてくれる。最後に滑り込んだのが嵐山の大覚寺。お目当ては狩野山楽の‘牡丹図’(重文、下)。これが今、‘大覚寺の名宝展’(4/9~6/8)に展示されている。ここも一度来たことがあるが、かなり前のことなので、寺全体がどんなだったかはよく覚えてない。

でも、寝殿で山楽の襖絵‘牡丹図’と‘紅白梅図’を見たことと、これはレプリカで本物は収蔵庫のなかという説明を受けたのは記憶している。レプリカでもまあいいかという気分を長く持ち続けたのであるが、山楽も元信同様、妙心寺展で‘龍虎図屏風’など4点見たので、この際代表作の‘牡丹図’の本物を見ておこうという気になった。

これは右隻のほうで、緑で彩色された右の岩と牡丹の細い枝に小禽が2羽みえ、左の花の上に蝶が4匹舞っている。垂直的に並ぶ岩と牡丹の組み合わせを金地に描き、自然の美しさをやわらかく装飾的に表現するところにすごく惹かれる。

時間的には忙しかったが、収穫の多い京都美術めぐりだった。

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2009.04.23

醍醐寺霊宝館 春期特別公開

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京博の妙心展を見終わったあと向かったのが醍醐寺。ここの霊宝館に追っかけの国宝‘文殊渡海図’(上の画像、拙ブログ2/18)が展示されているのである。春期の特別公開(3/25~5/6)をHPでチェックし、もしや‘文殊’がでているかも?とTelすると運よく展示中とのこと。ほかの作品についての情報はないが、目的の絵が見れるのだからわくわく気分で入館した。

以前訪問した際購入した図録には国宝や重文が沢山載っているから、春と秋の特別公開は美術館が主催するPRは立派だが内容がともなわない出来の悪い企画展よりは確実に楽しめる。今回のテーマは‘聖宝が開き、秀吉が愛した醍醐の山’、絵画、彫刻、書籍、工芸が78点。このうち、国宝は11点ある。

やっと‘文殊渡海図’(鎌倉)に会えた!これまで図版ばかりみていたが、本物でないとわからないのがいくつかあった。一番のサプライズは凛々しい童子形の文殊が乗っている獅子の迫力ある姿。画面全体が暗いので単眼鏡を使わないとよくわからないが目が鋭く、たて髪や尻尾の線描はとても力強い。そして、文殊の裳には精緻な截金文様が施されている。

久し振りの鑑賞となったのが国宝‘五大尊像’(鎌倉)。1995年、奈良博で見て以来だから14年ぶりの対面。射すくめられる忿怒相と火炎の光背は前回同様、圧倒的な迫力!真ん中は‘不動明王’。右の合掌する童子の顔がちょっと悲しげなのに対し、左で金剛棒をもつ童子は不動明王よりも険しい目つきをしている。

ほかは‘降三世明王’、‘軍茶利明王’、‘大威徳明王’、‘金剛夜叉明王’。このなかで不気味なのが手が8本あり、蛇が首、腕、足、胴に巻きついている‘軍茶利’とドクロの飾りを身につけ水牛にまたがる顔6つ、手6本の‘大威徳’。蛇は苦手なのだが、こういうときはしっかり見れる。彫刻は国宝の‘薬師如来坐像’など前回見たものばかりだったので、さらっと見て離れた。

今回まったく想定外の絵があった。それは下の歌麿の浮世絵、‘太閤五妻洛東遊観之図’(1804)。これは前々から見たかった絵。東博の平常展に出るのをじっと待っていたが、こんなところで遭遇するとは。この絵により歌麿はお上にしょっぴかれ、取り調べ中入牢、手鎖50日という厳しい刑を食らった。

何がお上の機嫌を損ねたのか?当時の出版法令では、天正年間(1573~92)以降の武家を実名で扱うのはNGだったのである。ここには真ん中に太閤秀吉公、その右に石田三成と書きこまれている。また、美女を侍らせる宴席の光景が大奥をイメージさせるのもよくなかった。

見せしめの意図もあったこの筆禍事件は歌麿には相当こたえたようで、この事件の2年後に亡くなっている。この絵はただの一枚ではないので、感慨深く眺めていた。

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2009.04.22

妙心寺展の白隠を追っかけて京都へ!

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京博で開催中の‘妙心寺’(3/24~5/10)に出品されている白隠の絵を見るため、京都へ出かけた。

東博でこの展覧会があったとき、感想記(拙ブログ2/17)で京博にも足を運ぶことを書いたが、そのときは観心寺(大阪の河内長野市)で国宝‘如意輪観音坐像’が公開される4/17か18に合わせて京都を訪問するつもりだった。

が、白隠のお目当ての‘達磨像’(大分・万寿寺、上の画像)は後期(4/21~5/10)の展示とわかったので、やむなく‘如意輪観音坐像’は来年以降の楽しみにとっておくことにし、昨日の出動となった。

京博に展示されている白隠作品は全部で13点(うち東京とダブるのが2点)。いずれもはじめてみる絵だから、すごく楽しい。上の‘達磨像’はこれまで万寿寺から出たことがない。その大きさに度肝を抜かれた。ななんと、縦1.92m、横1.12m! 圧倒される存在感に唖然として見ていた。この機会を見逃したら、このあと再会することはまずないだろう。わざわざこの絵のために7時発の新幹線に乗ってきた甲斐があった。

黒の地に朱の衣をまとい顔を赤らめた達磨が強く印象づけられる。胸の毛とか口元や顎のまわりの髭は墨でたらしこみ風に描かれているのに対し、眉毛、目ん玉、耳や鼻の穴はくっきりした濃い墨線。これほど見事な達磨像だったとは!一生の思い出になる。

横向きの‘半身達磨像’(真ん中)では後ろ髪、眉毛、あごひげの濃い墨に惹きこまれる。これは永青文庫で見た達磨像(07/5/1)とは向きが反対。ふたつとも心に強く残る絵である。

白隠の描く人物像はこういう濃い墨の線が胸に刻み込まれるものと‘すたすた坊主像’(静岡、松陰寺)のように薄い墨でやわらかく描いたものがある。この‘すたすた坊主’は3つ目のヴァージョン。会津八一記念館蔵に比べると両手が長いので動きが大きくみえ、すたすた感がよくでている。

赤い‘達磨像’とともに関心の高かったのが下の‘法具変妖之図’(部分)。白隠がこういう戯画を描いていたことを図録で知り、すごく驚いた。じっくり見たが、描かれた妖怪は非常にグロテスク。大徳寺真珠庵にある‘百鬼夜行図’をずっと待っているのだが、展示替えとかでなかなか会えない。これは‘百鬼夜行図’を模したもの。

一体何の妖怪なの?おもしろいことに捨てられた古い器物が百年経つと妖怪になるのである。器物のなかに法具も含まれ、鉦鼓、払子、如意などの妖怪が描かれている。

永青文庫に続き、万寿寺や松陰寺にある禅画が見れたので、白隠は一休みできる。次のターゲットは静岡の龍澤寺にある大作‘蓮池観音像’。いつかお寺に出向こうと思っているが、その前にどこかの美術館が‘大白隠展’をやってくれると有難いのだが。勝手に妄想して待ちたい。

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2009.04.20

You Tube 「スーザン・ボイル」を見ましたか?

529_2最近、You Tubeを楽しんでいる時間が長くなったが、昨日から感動のビデオを何回も見ている。

NHKの海外ニュースで、イギリスのオーディション番組に出場しすばらしい歌声を披露した47歳のおばさん、スーザン・ボイル(左の写真)のパフォーマンスを収録したビデオがYou Tubeで5000万回近く視聴されていると報じていた。

2年前にも、この番組‘ブリテンズ・ゴット・タレント’は今や世界的なテノール歌手となったホール・ポッツを発掘しているから、早速興味深々で見てみた。

またまた、大サプライズ!47歳とは思えない若々しいきれいな声に200%感動した。歌っている曲がまたいい。ミュージカル‘レ・ミゼラブル’の‘夢やぶれて’。うかつにもこんないい曲をこれまで知らなかった。だから、よく視聴しているセリーヌ・ディオンの‘タイタニック’みたいに何度もクリックし、体中に歌詞とメロディを沁みこませている。

突如現れた中年の歌姫のことをメディアやブログが多く取り上げている。例えば、‘マイコミジャーナル(4/17)’は番組の雰囲気をよく伝えており、You Tubeのリンクを張ってくれている。

ここのビデオは英語のままだが、You Tubeで‘スーザン・ボイル’を検索すると‘日本語字幕つき’もでてくる。‘こあらオヤジ’さんの字幕は本当に上手い。歌いっぷりを絶賛する審査員のコメントが終わって舞台のそでに戻ってきたスーザンが二人の司会者に言ったのが、笑えた。‘どえりゃ~ファンタスティック!’だって。名古屋弁で字幕つけるなんて、とても愉快。

このビデオで一番おもしろいのは審査員の顔が歌う前と後でガラッとかわるところ。携帯電話のセールスをしていたポール・ポッツのときもそうだったが、肥ったスーザンの場合も審査員は冷ややかな目で見ている。‘また、受けを狙ったひとりよがりのパフォーマンスだろう、まあ、聴いてあげるから早くやってよ!’という感じ。

ところが、‘夢やぶれて’の一声を聴いて、顔がみるみるまに変わる。辛口で人気のサイモン・コーウェル(音楽プロデューサー)は‘おいおい、なんて美しい声だ、参ったね!’という顔つきだし、女優のアマンダの目が点になっている。もうひとりの審査員、ピアース・モーガンは満面の笑みをたたえうっとりしながら聴いている。

また、会場にいる人たちも喜びのあまり大拍手喝采!7分間のビデオはまるで映画の感動シーンをみているようだった。アメリカやイギリスのTV局はこういうのをつくるのが本当に上手!カメラワークは完璧だし、バックに流れるいい音楽が感動をさらに増幅させる。

歌はこういう歌唱力のある人が歌うと本当に大きな力になる。同時に、You Tubeの有難さが身にしみてわかる。イギリスで行われた驚愕の番組がネットで世界中の人々に共有され、パソコンの前で大勢の人がスーザンの歌に言葉がわからなくても感動し、涙しているのである。こんなことはちょっと前まではなかった。われわれはいい時代に生きている。

アメリカには同様な番組‘アメリカン・アイドル’というのがあるらしい。日本でも昔はアイドル発掘の歌番組はあったが、今素人が出演するのはNHKの‘のど自慢’だけ。日本の民放TV局に‘ブリテンズ・ゴット・タレント’のような番組は期待しないほうがいい。こんな番組を考えるプロデューサーはいないし、芸能全般にちゃんとしたコメントのできる審査員がいない。ましてや、肝心な視聴者がこの種の飾りの少ない素朴な芸も入り交る番組を民放に求めてないから視聴率がとれずスポンサーがつかない。

ポールやスーザンのような普通の歌好きが一躍有名な歌手になる奇跡は日本の番組では見られないが、ここ数年いい歌が多くの人に愛されてきた。秋川雅史の‘千の風’、ジェロの‘海雪’、秋元順子の‘愛のままで’、ご心配なく。

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2009.04.19

いつか行きたい美術館! ロンドン ケンウッド・ハウス

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次回のロンドン旅行で訪問することにしている美術館については、回る順番を今から決めている。最初がウォレス・コレクション(拙ブログ4/2)でその後、今日取り上げるケント・ハウス、ヴィクトリア&アルバート美、クイーンズ・ギャラリー、コートールド・コレクション。

昨年2月に出版された平凡社新書の‘ロンドンの美術館’(桜井武著)は美術館めぐりにはもってこいの本。美術鑑賞は作品に感動するのが目的だから、この本で紹介されている絵に対する期待値が高いほど気持ちは前のめりになる。

そして、一度見たことのある絵より、未見の絵のほうが新鮮なのは言うまでもない。印象派絵画では高い質を誇るコートールド・コレクションは日本橋高島屋で傑作(04/12/4)をかなり見せてもらったから、行く順番は後になる。

ケンウッド・ハウスで気になっているのは3点。行ってみないとわからないが、手持ちの情報だとほかの作品の見たい度はぐっと下がるかもしれない。

★レンブラントの‘自画象’(上の画像)
★フェルメールの‘ギターを弾く女’(真ん中)
★ハルスの‘ピーテル・ファン・デン・ブロッケの肖像’(下)

レンブラント(1606~1669)の自画像は見たいのがまだ3点残っている。晩年のものだが、いずれも心を揺すぶられる。‘使徒パウロに扮した自画像’(1661、アムステルダム国立美)、真ん中の1665年に描かれたもの、そしてレンブラントが亡くなる1669年の自画像(ハーグ、マウリッツハイス美)。

レンブラントはこの3点と見事な肖像画‘ヤン・シックス’(アムステルダム、シックス・コレクション)と対面できたら済みにできるのだが。なんとしても見るぞ!という感じ。

フェルメール(1632~1675)の楽器を演奏している女を描いた作品のなかでは、‘ギターを弾く女’(1672)に最も魅せられている。本物がどうだろうか?まだ見てないフェルメール作品のひとつ、‘音楽のレッスン’は桜井氏の本ではクイーンズ・ギャラリーの所蔵として図版が載っている。

が、Takさんの話ではいつもこのギャラリーにあるわけではないとのこと。‘ギターを弾く女’と‘音楽のレッスン’はいずれ済みマークがつくなと思っていたが、ひとつは当てがはずれた。

下はとても親しみやすい肖像画(1633)。これを描いたのはハルス(1581~1666)。このあから顔の商人につい‘お元気そうですね、商売上手くいっているのでしょう!’と気安く声をかけたくなる。

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2009.04.18

いつか行きたい美術館! フィレンツェ パルジェロ国立美術館

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ヨーロッパの国で毎年でも行きたいのがイタリア。国全体が美術館みたいなものだから、どこの街でも絵画、壁画、彫刻、教会建築の傑作にでくわし、楽しみが途切れることがない。

イタリアのもう一つの魅力は美味しい食事。とくに好きなのが野菜スープ、スパゲッティ、ナポリのピザ、フィレンツェの肉。若い頃、銀座の松屋の前にあったイタリア料理のお店、‘カプリ’(現在はもうない)によく通い、スパゲッティを食べた。スパゲッティやピザはカロリーが高いから調子にのって食べているとすぐ体重が増える。だから、今は食べる頻度はすごく少ない。

東京ミッドタウンが誕生したとき、ここに出店した‘ピッツェリア・トラットリア ナプレ’でナポリと同じ味のピザを美味しくいただき、また出かけようと決めていたのに2回目の食事がまだ実現してない。イタリアを旅行したくなるのはイタリア料理が思いっきり食べられるということもある。

来年、4年ぶりの訪問を計画している。まだ、ちょっと先なのでイタリアモードにはなってないが、新規に開拓する美術館の情報をすこしづつ仕込んでいる。で、今日はその一つ、フィレンツェにあるパルジェロ国立美術館をとりあげたい。

ここはシニョリーア広場やパラッツォ・ヴェッキオのすぐ近くにある。中世とルネサンス期の彫刻のいいのが揃っているのに、これまで縁がなかった。とくに見たいのは、

★ドナテッロの‘ダヴィデ’(上の画像)
★ミケランジェロの‘バッコス’(真ん中)
★ベルニーニの‘コスタンツァ・ブオナレッリの胸像’(下)

西洋美術史のなかで最大の彫刻家のひとりと言われているドナテッロ(1386~
1466)の彫刻を残念ながらまだ1点しかみてない。美術本で‘ダヴィデ’をみるたびに、いつかこの像の前に立ちたいと思ってきた。

フィレンツェでみた彫刻で最も印象深いのはミケランジェロ(1475~1564)の‘ダヴィデ’(アカデミア美)とシニュリーア広場にあるチェッリーニの‘メドゥーサの首を掲げるペルセウス’(拙ブログ05/1/13)。

ミケランジェロの作品が力強い男性像なのに対し、ドナテッロの‘ダヴィデ’(1440)は極めつきの美少年!カッコよさではこれと‘ペルセウス’をランキング1位にしている。トナテッロにはもうひとつ‘ユディトとホロフェルネス’(パラッツオ・ヴェッキオ)という魅力的なのがある。

‘バッコス’(1497)はミケランジェロ、20歳の作品。ここには以前日本にやってきた‘ブルートゥス’もある。ベルニーニ(1598~1680)のすばらしい作品はローマの教会やボルゲーゼ美に沢山あるが、1635年ころ制作されたこの生気に満ちた若い婦人の胸像にも惹きつけられる。

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2009.04.17

イチロー 日本最多安打新記録を達成!

522胃潰瘍で開幕8試合を欠場したイチローが先発出場2試合目で張本勲が持つ日本最多安打を超える3086安打を達成した。拍手々!

イチローにとってこれは通過点にすぎず、見ている者も前人未到と言われた張本の記録をイチローが破るのは当たり前と思ってみているから、それほど熱くならない。

昨日は満塁ホームランで並び、今日は2打席目に1、2塁間を抜けるきれいなヒットを放ちあっさり記録を更新した。イチローのバッティングはWBCの決勝戦からもう完全に好調モード。

韓国戦で試合を決める歴史的な2点タイムリーヒットを打ったのだから、あの日以降イチローの気分は悪かろうはずがない。だから、その前の打撃不振によるストレスが原因でできた胃の潰瘍がおさまれば、イチローの肉体はもとの強靭さをとり戻すのではなかろうか。

幸いにもマリナーズは新監督のもと勝利が続き(7勝3敗)、近年になくいいスタートをきった。西地区でエンゼルスやアスレチックスと十分優勝争いができるチームへと変わってくれば、イチローのバットからもどんどんヒットが生まれるにちがいない。

9年連続シーズン200本安打の大リーグ新記録、チームのプレーオフに進出にむかって突き進んでもらいたい。今年のマリナーズは久しぶりに応援するのが楽しくなるような予感がするし、イチローがおいしいところを何度もいただくような気がする。果たして?

イチローに安心していたら、まったく想定外のことが起きた。開幕ゲームで勝ち投手になったドジャースの黒田がはやばやと故障者リスト(DL)に入ると、レッドソックスの松坂がよもやの2軍落ちイコールのDL入り。そして、今日城島が軽い肉離れで戦線の離脱を余儀なくされた。

開幕時に行なった日本人選手の活躍予想も大外れの可能性がでてきた。まったく、あららー?である。まず、ヤンキースの松井が打てない。はじめは4番DHで出場していたのに、いつのまにか打順は7番に下がり、キーマン打者からはずれてしまった。まだ、膝が万全でないのだろうか?

松井よりもっと深刻なのがレッドソックスの松坂。球団は松坂の肩がWBCで疲労し、現状では期待する投球は望めないとして、松坂をローテーションから外す決定をした。松坂本人が語っているように日本でいう‘2軍で調整し直してこい!’というやつ。ありていに言うと、今の松坂のピッチングでは大リーグのバッターは抑えられないということ。

これは大変!気持ちを一度リセットして、調整しながら本来の肩の調子に戻すほかない。シーズンは長いのだからあまり深刻に考えることはない。いい時のピッチングスタイルを早く取り戻し、ストレートの威力を増すこと。

新人投手、上原、川上はめでたく1勝をあげたが、2戦目はだいぶ打ちこまれた。前半戦は勝ったり負けたりという感じになるかもしれない。上原は体調をうまく維持し、中4日で投げ続けられるだろうか?コントロールがよく球が真ん中にあつまるので、変化球のキレが甘かったりスピードのないストレートだとすぐガツーンとやられる。

憲伸は今日のゲームでホームランなどで6失点したが、打者に対し強気に攻めていた。二人にとってすべてがはじめてのことなのだから、打たれても過剰に落ち込むことはない。自分の得意球、チームメートを信じて、投げまくってもらいたい。

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2009.04.16

東博浮世絵エンターテイメント! 春信・歌麿・清長

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現在、東博本館の浮世絵のコーナーにでている絵の展示は4/19(日)まで。展示期間は3週間くらいだから、ぼやっとしていると見そびれる。

今回は桜を背景にした絵が多い。充実の絵師は春信。6点ある。上の‘桜下駕籠美人’、‘木馬遊びの子供と傘さし美人’、‘お仙と菊之丞とお藤’、‘お仙の茶屋’、‘三十六歌仙・在原業平朝臣’、‘藤原元真’。

‘桜下駕籠美人’は駕籠で花見にやってきた良家の娘が煙草で一服するところが描かれている。火縄を差し出そうとしている侍女と駕籠の中の娘、そして左上の桜を斜めの線に配置する構図が巧み。

真ん中の歌麿の‘北国五色墨・おいらん’は長らく待っていた絵。ギメ美展に出品された‘川岸(かし)’(拙ブログ07/2/8)では遊女が楊枝をくわえているのに対し、‘おいらん’は口びるで筆の先をなめている。これでこのシリーズはあと3つ。お気に入りの‘てっぽう’はこれを所蔵する太田記念美が来年1~2月に開催する開館30周年記念展で展示してくれるのではないかと秘かに期待している。

初見で‘おいらん’を上回るサプライズの絵があった。国芳の‘真勇競・きよ姫’。国芳は結構みているのに、まだこんないい絵に出くわすのだから、浮世絵というのは奥が深く、楽しみは尽きない。清姫の髪は逆立ち、鐘を蛇は胴体でぐるぐる巻きにし、なかからは炎がでている。上から花びらがふりそそぐ様は歌舞伎の舞台をみているよう。

横長ワイド画面の絵にいいのがある。色っぽい女(若い頃の浅丘ルリ子のような)を描かせたら右にでる者がいない菊川英山の‘品川沖汐干之図’、板目の精緻な描写に目が点になる窪俊満の‘夜景内外の図’、そして鳥居清長の代表作に数えられる下の‘飛鳥山花見’と‘見立浄瑠璃姫牛若丸’。

飛鳥山は桜の名所。これはほんとうにすばらしい花見の絵。感心するのは花見を楽しむ女たちと背景の風景が見事に溶け合っているところ。左の奥に消失点があるように桜の木を上手い具合に置いているので、手前の女たちを見た後は視線は自然に中景、遠景に描かれた人物のほうに向かう。これまで見た花見の絵ではこれに一番魅せられている。

風景画で足がとまるのは広重の‘名所江戸百景・隅田川水神の森真崎’と肉筆画の‘東都御殿山図’。春の季節にふさわしい名品の数々を見ていつも以上に心が軽い。

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2009.04.15

やっと会えた上村松園の草紙洗小町!

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東芸大美で定期的に開催される‘芸大コレクション展’(4/14~6/14)は見逃さないようにしてきた。でも、これからはその必要がなくなりそう。というのも、今回、ずっと追っかけていた日本画が登場するのである。それは前期(4/14~5/17)に展示される上村松園作、‘草紙洗小町’(上の画像)と後期(5/19~6/14)にでる川合玉堂の‘鵜飼’。

上村松園の回顧展はつい最近、日本橋高島屋であったものを含めて開催される度にでかけてきた。回数は日本画家のなかでは横山大観と松園が一番多い。だから、図録がたまり代表作の多くは目のなかにおさまっている。最後に残ったのが‘草紙洗小町’。この5年、展示の機会を首を長くして待っていたが、ようやく対面することができた。

最初に出くわした回顧展(96年、Bunkamura)は広島にいて東京へ出張したとき鑑賞したので、残念ながらこの絵の展示期間と合わなかった。このすれ違い以後、ずっとこの絵との対面を夢見ていたが、どういうわけか広島県美であった2回目の大回顧展
(03年)にも出品されず、東芸大美でも待たされ続けた。

絵の大きさにまず、びっくりした。縦2.15m、横1.33mある。図版でみている分にはいつものことだが絵のサイズまで関心がいかない。これほど大きな絵だったとは!それしても見事な古典画である。松園の絵には能・謡曲を題材にしたものが多い。これもその一つで、‘草紙洗’(そうしあらい)を絵画化している。この能は‘古今和歌集’仮名序(紀貫之著)の世界を能に仕立てた話だから、史実性はない。

話はこうである。宮中の歌合わせで小野小町の相手に決まった大伴黒主は普通に勝負したのでは勝ち目はないから、はかりごとを思いつく。夜、小町の邸に忍び込み、彼女の吟ずる歌を盗み聞きし‘万葉集’の草紙に書き入れる。なんでそんなことをするの?小町の歌が‘万葉集’からの盗作だと歌合わせの席でやっつけるため。まったく手の込んだはかりごとをする。この男、よほど性根が曲がっていたのだろう。

黒主から盗作だとつめよられた小町は冷静さを失わず、墨色が新しいので黒主が万葉集に加筆したものと見破り、その草紙を洗う。すると歌の文字は消えて流れ、疑いは晴れた。真ん中の尾形光琳の絵(MOA蔵、今回出品されてない)では、その様が描かれている。これに対し、松園の絵では、小町は草紙を洗うところを扇により演じている。本当にいい絵を見た。

現在、東博本館の平常展に‘佐竹本三十六歌仙絵巻断簡、小野小町’(重文、個人蔵)がでている(5/10まで)。すぐ近くで響き合っているふたつの絵を一緒にみるといい気持ちになれることは請け合い。この機会をお見逃しなく。

もうひとつ、上村松園作品の展示情報を。古典画の傑作ベスト3は‘雪月花’(三の丸尚蔵館)、‘草紙洗小町’、‘伊勢大輔’(個人蔵、拙ブログ3/5)。再会を待っている‘雪月花’は秋に東博で開催されるビッグな特別展‘皇室の名宝展’(10/6~11/29)に展示される。とても楽しみ!

今回のコレクション展でいつかお目にかかりたいと思っていた狩野常信の‘鳳凰図屏風’(下、左隻)に遭遇した。狩野派で重要なことは絵の型を継承すること。常信はサントリー美にある狩野探幽の同題の絵(07/4/8)を多少自分流にアレンジして描いている。

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2009.04.14

感激の国宝 阿修羅展!

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東博の‘国宝 阿修羅展’(3/31~6/7)を見てきた。大好きな阿修羅と会うのは2年半ぶり。いつもは興福寺の国宝館のなかでほかの八部衆や十大弟子と一緒にみるのだが、今回は阿修羅だけは超特別扱い。展示の方法は昨年の‘薬師寺・日光菩薩、月光菩薩立像’と同じスタイル。

上のスロープのところから感激の対面がはじまり、下に降りてぐるっとまわりながら正面、横、後ろの姿をうっとりしながら見ていた。阿修羅は日本彫刻史上における最高のスターといっていい。

多くの人に愛されるのは自分のまわりとか、大勢の人があつまる繁華街のなかに阿修羅のようなきれいな顔をした女性にでくわすことがままあるからではないだろうか。
1300年前に誕生したのに、今を生きる現代人の容貌と変わらないというのはなんとも不思議。

数ある仏教彫刻の名品でも源氏物語絵巻に登場する姫や女房でも顔自体にはリアル感がない。そのなかで阿修羅だけはまったく特異な存在。じっとみているといつも美人薄命の言葉がぴったりの女優夏目雅子がダブってくる。同じことばかり言っている(拙ブログ06/10/26)。で、阿修羅は少年なので男性で似た人を思い起こしてみた。いました、いました、若いころの貴乃花!

会場には外国人もちらほら見え、熱心にみている。‘日光・月光菩薩立像’のときはアメリカ人やヨーロッパの人がいたという印象は薄いから、彼等にとってもこの阿修羅は関心が高いのだろう。そして、もし阿修羅がルーヴルで展示されたら凄い人気になるだろうなと思ったりもした。

西洋の彫刻作品で最も魅せられているのはミケランジェロの‘ピエタ’(1499年、ローマ サン・ピエトロ大聖堂)とまだお目にかかってないドナテッロの‘ダヴィデ’(1440年、フィレンツェ パルジェロ国立美)。これらがつくられたのは今から510~570年前のこと。一方、阿修羅像はそれより倍以上前の734年。ミケランジェロがこの阿修羅を見たら、裸足で逃げるのではなかろうか。

高い彫刻技術と繊細でやさしい日本人の美意識が阿修羅の心の中を見事に映しとっている。本当に日本美術はすごい!阿修羅だけでなく、可愛い沙羯羅像(さから)や阿弥陀三尊像(法隆寺)やお気に入りの竜の形にハッとなる‘銅造華原磬’にも足がとまった。大満足の展覧会だった。東博に感謝!

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2009.04.13

いつか行きたい美術館! バーゼル美術館

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27年前、スイスのジュネーヴに住んでいた頃は今と違って美術鑑賞はまだ観光客気分だったから、ルーヴルやウィーン美術史美は訪問しても、近代絵画では質の高い作品が揃っているバーゼル美術館は知る由もなかった。名画とのつきあいが長くなるにつれ、画集によく出てくるバーゼル美はいつか足を運ばなくてはと思うようになった。

一般のスイスツアーを考えた場合、バーゼル観光というのはまず入ってない。では個人旅行?何から何まで自分でやならくていけない個人旅行は頭になく、別の方法を考えている。

パリに長く滞在するツアーがあるので、一日自由行動のときパリの空港からバーゼル空港(フランス領内にある)へ飛ぶ。追加の飛行機代はかかるが、これが一番楽。そしてついでに列車に乗りクレー作品で有名なベルン美術館へも行く。この作戦がうまくいけば、パリツアーを定番にしてフランクフルト、ミュンヘンへも出かけるつもり。

さて、バーゼル美術館の必見名画である。いい絵がありすぎて絞り込むのに困るが、見たい度の高いのは次の4点。

★ココシュカの‘風の花嫁’(上の画像)
★アンリ・ルソーの‘詩人に霊感を授けるミューズ’(真ん中)
★ベックリンの‘死の鳥’(下)
★クレーの‘ゼネツィア’(拙ブログ1/18

昨年、ボストン美でココシュカ(1886~1980)の‘愛しあう二人’(08/4/24)を見たから、どうしても次は‘風の花嫁(テンペスト)’となる。これはゴッホの画風を受け継いだドイツ表現主義のシンボルみたいな絵。実際はどんな感じだろうか?

ルソー(1844~1910)の画集に必ず載っている絵がここには2点ある。‘詩人に霊感を授けるミューズ’(1909)と‘豹におそわれる黒人’(1910)。‘ミューズ’で右の男性はルソーの友人の詩人アポリネール、左のミューズはアポリネールの恋人マリー・ローランサン。

真ん中の絵同様、人物を異様に大きくし、画面いっぱいに描いた作品で魅せられるのがほかに3点ある。オルセー蔵の‘婦人の肖像’&‘女の肖像’(未見)とワシントンナショナルギャラリーで姿を見せてくれなかった‘岩の上の少年’。‘女の肖像’は前回も飾ってなかった。普段は展示してない?

‘死の鳥’(1880)の別ヴァージョンをMETで見た。バーゼル生まれのベックリン
(1827~1901)は同じ主題で5点描いている。怖いものみたさの気持ちで見てしまうのがこの画家が描く神話画。96年の‘象徴派展’(Bunkamura)で見た怪奇的な絵‘オデュッセウスとポリュフェモス’が目に焼き付いている。ベックリンの回顧展に遭遇できれば嬉しいのだが。

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2009.04.12

いつか行きたい美術館! オッテルロー クレラー=ミュラー美

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オランダの美術館で訪問計画をつくりたいのはオッテルローのクレラー=ミュラー美とロッテルダムのボイマンス=ファン・ベーニンヘン美。アムステルダムの東90キロにあるクレラー=ミュラー美はアムスから急行列車などを利用すると2時間以内で着きそう。これだと普通のツアーでも半日の自由行動があれば、見てこれる。

ここのゴッホコレクション(278点)は世界的に有名だが、主要作品の多くが横浜美や東近美であった展覧会で公開された。いくつかあげてみると、‘夜のカフェテラス’(拙ブログ05/3/26)、‘種まく人’、‘糸杉と星の見える道’、‘ルーラン夫人’。

日本人は印象派が好きで、ゴッホの展覧会となると大勢の集客が見込めるから、主催者はオルセーやゴッホ美、クレラー=ミュラー美から美術本に載っている名画をがんばって持ってきてくれる。だから、現地に出向かなくてもいい絵を楽しむことができる。本当に恵まれた美術環境である。

でも、現地に行かないと見れそうにないのもある。下はその一枚とゴッホ以外で見たい絵2点。
★ゴッホの‘アルルの跳ね橋’(上の画像)
★スーラの‘シャユ踊り’(真ん中)
★ルドンの‘勝ち誇るペガサス’(下)

‘アルルの跳ね橋’(1888)はこの美術館にあるゴッホ(1853~90)の絵では重要度ランキング1位。2位が4年前に何十年ぶりにやってきた‘夜のカフェテラス’。どの美術館でも自慢の絵にはランキングをつけており、海外から貸出の依頼があったら通常はそのランキングの低いほうからOKサインをだす。上位に位置づけられる作品はまず館の外へはでない。

それは当たり前と言えば当たり前。世界中のゴッホファンや地元の美術愛好家がゴッホ美やクレラー=ミュラー美へお目当ての名画を見るためにやってくる。もし、‘アルルの跳ね橋’がなかったら、訪問者の中には館長にクレームをつける者もいるだろう。美術館としてはそういうことは避けたいから、館の顔になっているような絵は絶対に貸出さない。

ゴッホのまだ見ていない絵でこれをみたら済みマークをつけようと思っているのはこの‘跳ね橋’と‘夜のカフェ’(ニュー・ヘヴン、エール大学アート・ギャラリー)。早くクレラー=ミュラーを訪問したい。

スーラ(1859~91)の‘シャユ踊り’(1890)も気になる絵。シャユ踊りはモンマルトルの盛り場で演じられるカンカン踊りのこと。点描画はほかにスーラのものがもう1点とシニャックがある。

下は色彩画家ルドン(1840~1916)が楽しめる天馬ペガサスの絵。ルドンはギリシャ神話から多くのモチーフを取り出しているが、好んで描いたのがペガサスやアポロン。羽を大きく広げ悪の象徴キマイラ(竜)を退治しているペガサスの姿にとても惹きつけられる。

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2009.04.11

いつか行きたい美術館! ストックホルム国立美術館

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北欧を旅行した経験はまだない。ツアーの案内にはノルウェーのフィヨルドクルーズが目玉として載っており、心が動かないわけではない。海外旅行は生涯の楽しみだから、観光目的で行ってみたいところはいろいろある。北欧の順番は今のところ真ん中あたり。

世界遺産にもなっているフィヨルドとアメリカの‘グランドキャニオンなどの国立公園めぐりツアー’に最近組み込まれるようになったらせん状渓谷アンテロープキャニオンを比べてみると、グランドキャニオンやモニュメントバレーが二度目になるとしても、アンテロープキャニオンを先に見たい。

というわけで、北欧が近いという感じでもないのだが、観光と美術館めぐりの計画はラフでも立てておきたい。気になっている美術館はスウェーデンのストックホルム国立美術館。北欧ツアーではムンクの‘叫び’があるオスロ国立美は入館することになっているが、ここは観光コースに入ってない。一般の観光客を考えるとこれが普通。でも、この美術館には街の名所めぐりをパスしてでも見たい名画がある。

★ブーシェの‘ヴィーナスの勝利’(上の画像、部分)
★クールベの‘ジョーの肖像(美しきアイルランド女)’(真ん中)
★セザンヌの‘アモールのある静物’(下)

ブーシェ(1703~1770)の画集でこの絵(1740)を見るたびに心が乱される。これは13年後に描かれた大作‘日の出’(ウォレス・コレクション、拙ブログ4/2)と同じ神話画で人物描写や画面の構成はよく似ている。真ん中にいるのがヴィーナス、傍でニンフが真珠を捧げようとしている。下にいる息子のキューピッドは目をつりあげていたずらの真っ最中。イルカに乗ったニンフを指でさわり、ニンフを恋狂いにさせようとしている。

‘ジョーの肖像’(1866)は昨年、パリのグランパレであった‘クールベ展’で見惚れた絵。クールベ(1819~1877)が描いたこのすばらしい銅色の髪をしたアイルランド女はホイッスラーの愛人ジョー。ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵の‘白のシンフォニーNO1 白衣の女’(08/4/14)のモデルにもなっている。

クールベはこの絵と同じ構図でほかに3点描いており、その一枚が山形美術館にある。4,5年前、山形美を訪問したときその絵にびっくりしたが、グランパレでは‘ええー、こんな大回顧展に山形美の絵が展示してあるの、すごい!’と早合点した。が、よくみるとストックホルム美のものだった。じゃあー、隣にあるのが日本から来たものかと思ったら、それはMET蔵。山形美は個人が持っていたのを手に入れたようである。

セザンヌ(1839~1906)は1895年に‘アモールのある静物’を2点描いている。もう1点はロンドンのコートールド・コレクション。これは10年くらい前、日本橋高島屋であった展覧会で展示された。好みとしては安定した三角形構図にキューピッドの石膏彫刻と果物を配置したストックホルム美のほうに惹かれる。いつかこの絵の前に立ちたい。

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2009.04.10

いつか行きたい美術館! ベルリン美術館・絵画館

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6年前ベルリンを訪問したときは、自由行動がなくツアーコースに入っているペルガモン博物館しか見れなかった。だから、ここ数年のうちにお目当ての美術館をじっくりみることを計画している。

真っ先に行きたいのが文化フォーラムにあるベルリン美術館の絵画館。ベルリン美術館は市内にある20以上の国立の美術館や博物館の総称で、絵画館にあるのは15~17世紀の西洋絵画。そのなかでとくに見たい作品は次の5点だが、真ん中の‘聖トマスの不信’は現在はここにはなくポツダムのサン・スーシ宮殿に展示されている。

★ブリューゲルの‘ネーデルラントの諺’(上の画像、部分)
★フェルメールの‘真珠の首飾りの女’(拙ブログ09/1/8
★カラヴァッジョの‘聖トマスの不信’(真ん中、サン・スーシ宮殿)
★カラヴァッジョの‘勝ち誇るキューピッド’(09/2/10
★ヤン・ファン・エイクの‘教会の聖母子’(下、部分)

ブリューゲル(1526~1569)の主要作品をかなり見たが、まだ‘ネーデルランドの諺’(1559)と‘悪女フリート’(1562、アントワープ、マイヤ・ヴァン・デン・ベルフ美)が残っている。二つともボスの影響が色濃く現われている絵。

農村が描かれた‘ネーデルランドの諺’では、村人が100以上もある古い諺を演じている。手元のブリューゲル本を読むとなかなかおもしろい。

例えば、左下では女がクッションの上で悪魔を縛りつけている(不快なタイプの人間を表す)。その後ろにいる女は片手に火、片手に水を運ぶ(真意を隠す)、二人の女の間にいる男は柱を咬んでいる(偽善者)。また、真ん中では赤い衣装を着た妻が騙した夫の肩に青いマントをかける(不貞を表す諺)。‘なるほどね!’、‘へえー、この国ではこんな言い方をするのか’と納得したりおもしろがったりする場面をいつか本物で確認したい。

ここには今一番見たいフェルメールの絵がある。1月に取り上げた横顔が可愛い‘真珠の首飾りの女’。もう一点‘紳士とワインを飲む女’もあるが、これはついでの絵。フェルメールで好きなのは女性を単独で描いたもの。男が出てくる絵には関心が薄く、いつも画面から男を消してくれと思っている。

カラヴァッジョ(1571~1610)の‘聖トマスの不信’(1601)は気が弱い人なら顔をそむけるかもしれない。でも、この画家にぞっこん参っている者としては、トマスの人差し指がキリストの傷口にどのくらい入っているのか、画面に寄ってみたくなる。この画題をこれほど緊張感をもって描いた画家はカラヴァッジョのほかにはいない。宗教画なのに疑ぐり深い人間の気持ちをこういう形で表現するところがなんともすごい。見る者の心を打つ内面描写でカラヴァッジョは近代絵画につながる扉を開けた。天才というほかない。

昨年の美術館めぐりからのめり込んでいるヤン・ファン・エイク(1390~1441)の絵を一点でも多く鑑賞したい。‘教会の聖母子’(1425)は画家の30代の作品、髪の毛や衣装や冠の精緻な描写をまた間近でみたい。

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2009.04.09

いつか行きたい美術館! フランクフルト シュテーデル美術館

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これまで訪問したことのあるドイツの美術館はミュンヘン、アルテ・ピナコテーク(1982年)、ドレスデン美(03年)、ペルガモン博物館(03年)の3館だけ。そして、日本であった展覧会へ出かけその所蔵品を楽しんだのはエッセン、フォルクヴァンク美
(1996年、東武美)、ノルトライン=ヴェストファーレン州美(09年、Bunkamura、拙ブログ09/2/27)。

今のところ、名所観光だけが目的でドイツを再訪問することは考えてなく、美術館めぐりが可能なツアーを探している。是非行ってみたいのはベルリンにある絵画館と旧国立美術館、ミュンヘンの近代絵画を展示するノイエ・ピナコテーク、そしてフランクフルトにあるシュテーデル美。本日取り上げるのはシュテーデル美。セレクトした3点は

★レンブラントの‘眼をつぶされるサムソン’(上の画像)
★バルトロメオ・ヴェネトの‘フローラ/ルクレチア’(真ん中)
★ボスの‘エッケ・ホモ(この人を見よ)’(下)

02年、京博であった‘大レンブラント展’で‘眼をつぶされるサムソン’(1636)とエポック的な遭遇をした。これは全レンブラント作品のなかで‘夜警’とともに一番気に入っている絵。

サムソンの力の源である髭をハサミで切り取り走り去ろうとしているデリラの‘してやったり!’という表情と、ペリシテ人兵士に両目をくりぬかれて悲鳴をあげているサムソンの苦痛にゆがむ顔が今でも鮮明に目に焼き付いている。この劇的な場面を、レンブラントは外から強い光をあてて見事に描いている。これぞ、バロック絵画!ルーベンスにはない人物の内面描写が腹にズキンとくる。いつかこの絵と再会したい。

‘フローラ’(1510)はあの悪名高いボルジア家の教皇アレクサンデル6世の娘、ルクレチア(チョーザレの妹)を描いたものではないかと言われている。16世紀はじめ頃の肖像画だが、今を生きるイタリア女が昔の衣装を着てポーズをとっている感じ。こういう目に力のある肖像画はなかなかお目にかかれない。

15年前に出会って以来、いつか本物と対面したいと思っていたら、この絵ではないが、ミラノにあるブレラ美で同じ画家が描いた‘リュートを弾く女’を見た。二つの絵は全体の雰囲気や細部の精緻な描写がよく似ているから、同じモデルなのであろう。

バルトロメオ・ヴェネトは1502年から1555年にヴェニスで活躍した画家ということくらいしかわかってない。作品の情報は2点のみだが、これがサプライズの肖像画。‘心優しいミューズよ、フローラに会わせて!’と祈っている。

ボスのちょっと怖い絵を全部見るのが夢だから、‘エッケ・ホモ’(1485)もいつかこの目でと願っている。‘快楽の園’をはじめボスの絵が見たいのは日本の地獄絵と同じ感覚。応挙や河鍋暁斎の幽霊画はあまり好きではないが、閻魔様や鬼がでてくる絵にはついつい夢中になる。

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2009.04.08

国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア

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渋谷のBunkamuraで行なわれている‘国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア’(4/4~6/7)を楽しんだ。お目当ては上のクラムスコイ作、‘忘れえぬ女。この絵を知ったのは1985年の朝日新聞の日曜版‘世界 名画の旅’。以来いつかお目にかかりたいと願ってきたが、漸く本物をみることができた。

10年前、モスクワを旅行したとき、ガイドつきでトレチャコフ美に入館したのだが、レーピンの大作‘クースルの十字行’などは覚えているのにこの絵の記憶がない。図版で目に焼き付けた絵を見て忘れることはないから、ガイドが時間の関係でこれをパスしたのか、あるいは展示してなかったのかもしれない。

その絵の前に立っているのである。最接近してみると、この美しい女性の目がうるんでいる。この涙の原因は?黒い帽子にさされた白い羽根飾りと真珠の玉が色白の顔を引き立て、霧につつまれたような薄明りの背景がこの気品のある女性を浮かび上がらせている。想像してた以上のすばらしい肖像画だった。即My好きな女性画に登録した。

出品作は75点。画家の顔ぶれをみると、2年前、東京都美で開催された‘国立ロシア美術館展’(拙ブログ07/5/22)のパート2を鑑賞している感じ。ロシア絵画のリアリズムを見て、思い出すのがBunkamuraであった‘ミレー3大名画展ーヨーロッパ自然主義の画家たち’(03年)。

この3つの展覧会を体験すると、クールベやミレーやルパージュらが描く緻密で写実的な絵がベルギー、東欧、北欧、ロシアの画家たちに大きな影響を与えたことがよくわかる。また、彼らはリアリズムだけでなく筆触分割により対象の輪郭線を消し、明るい色彩で描いた印象派の表現方法も取り入れる。真ん中はモネやルノワールの家族画を彷彿とさせるレーピンの‘レーピン夫人と子供たち’。

ロシア美同様、肖像画にいいのが沢山ある。クラムスコイは‘忘れえぬ女’、‘画家シーシキン’、‘自画像’。一番多い7点のレーピンでは‘ピアニスト、ゾフィー・メンター’と‘コンスタンチン・コンスタンチーノヴィチ大公’に大変魅せられた。

写真のような緻密な描写と明るい色彩で描かれた風景画はロシア美で体験済みだから、今回はじっくり味わった。お気に入りはシーシキン、ポレーノフ、レヴィタン。下はポレーノフの‘モシクワの中庭’。

この絵はロシア美でも見たが?!ポレーノフはこの絵のヴァージョンをいくつも描いており、トレチャコフ美、ロシア美のものは制作時期が異なるだけで作品自体はほとんど同じ。白い雲の浮かぶ澄んだ青い空を背景に大聖堂や茶色の家が描かれ、画面いっぱいに広がるやわらかい陽光のさす緑の草が目に心地いい。

長年の夢だった‘忘れえぬ女’と対面できたので言うことなし。高揚した気分で館を後にした。

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2009.04.07

大リーグ開幕 注目の日本人選手!

494大リーグが開幕した。

注目の日本人選手では、ヤンキースの松井は早くもホームランを打ち、ドジャースの開幕投手をつとめた黒田が勝ち投手になった。

今年は数の増えた日本人大リーガーが例年以上に主力選手として活躍し、チームの勝利に貢献するのではなかろうか。

日本代表のWBC2連覇というのは実際にプレーしたイチロー、松坂らだけでなく、松井など出場しなかった選手にとっても、すごく誇らしいことだろうから、所属するチームでもいいプレーをしようという強い動機づけになる。

イチローはDL入りで8試合お休みだが、心のなかはWBC決勝戦の勝ち越しヒットで晴れやかだろうから、体調は心配ない。WBCで苦しんだことが逆にプラスになり昨年以上の成績を残すのではないかと思う。同僚の城島もドン・ワカマツ新監督から司令塔に指名され張り切っているので、マリナーズ自体も活気づくかもしれない。

3年間、体調不良で思うように打てなかった松井は今年は皆が期待する豪快なバッティングをみせてくれるだろう。ひざも順調に回復しているようだ。A.ロッドが5月中ごろ復帰するまで、松井は4番にすわるから、松井のバットがチームの勝敗を大きく左右する。

ヤンキースの投手力はFAでサバシア、バーネットを大金を投じて獲得したから、強力になった。東地区はヤンキース、レッドソックス、岩村のいるレイズの3チームの熾烈な戦いが繰り広げられるだろうが、予想としてはヤンキースの制覇。

オリオールズに入団した上原は10勝はすると思う。コントロールがいいから、守っている野手のリズムがよく、バッターも点をとってくれるだろう。怪我がないことを祈るばかり。

3年目の松坂はさらに進化し、勝ち星は20勝の大台に乗りそう。今年は岩隈やダルビッシュに教わったというフォークを投げるというから、レベルアップした投球術にバッターも相当てこずるのではないか。応援に熱が入る。期待が集まるのが社会人野球からレッドソックスに入った田沢投手。シーズン後半には雄姿がみれるかもしれない。

ナショナルリーグで注目の選手はブレーブスの新人川上憲伸(左の写真)。チームは投手陣を補強し、また優勝を狙える戦力を整えた。昨年ワールドシリーズを制したフィリーズやメッツも強いから、勝ち残るのは大変だが、最後までいい戦いをするのではないか。憲伸は先発の4番手だが、強い精神力をもってローテーションを守れば最低10勝は出来る。

サムライの雰囲気をもった黒田には今年は15勝くらいしてほしい。主砲ラミネスも球団に残ったことだし、地区連覇の確率はかなり高い。名監督トーリに信頼されている黒田はやりがいがあるだろう。ドジャースの頼もしいエースになってもらいたい。

日本人選手のなかで一番心配なのがカブスの福留。今年は2番センターでスタートするが、果たして、レギュラーとしてずっと使ってもらえるだろうか。WBCでの働きは13億円の年俸をもらっている大リーガーとしてはまったく期待外れ。打撃センスは抜群にいいのだから、投手の球筋をみすぎないでもうがむしゃらに打ってもらいたい。

カブスはワールドシリーズの優勝を目標にしているから、成績が上がらない選手は使われない。福留にとって今年は正念場。昨年後半のようなことにならないためにも、とにかくがんがん打ちにいくこと。ガンバレ、福留!

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2009.04.06

もっと見たい曾我蕭白の名画!

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昨日放映されたNEW‘日曜美術館・曾我蕭白’で聞き漏らせない情報があった。ボストン美術館では3年後(2012年)に大展覧会が計画されており、現在、それにむけて所蔵する蕭白の幻の傑作、‘雲龍図’を修復中とのこと。

ここには蕭白の絵が何点もあるから、この大展覧会が‘大蕭白展’のことと解釈したいが、確かなことはわからない。‘大日本美術展’あるいは‘江戸絵画展’といったもので、そのなかに自慢の蕭白コレクションをずらっと展示するということも考えられる。いずれにせよ是非見たい展覧会である。

一番有難いのはこれが日本に、例えば、京博とか東博に巡回してくれること。2年くらい前、辻のお父さんの企画で‘雲龍図’を実物大でコピーし、これがもともとあった寺の襖に復元したのをNHKが収録していた。その番組のなかでお父さんは‘いつか本物を日本にもってきたいのよね’とおっしゃっていた。だから、日本に里帰りする可能性は十分ある。そういうことで話が進んでいるような気がする。

回顧展にせよ江戸絵画展にせよ日本から蕭白、若冲、応挙、芦雪などの作品がボストン美に貸し出されるとしたら、日本でも開催されることは大いにありうる。詳細はわからないが、そうなるとワクワクする。で、画集を広げ蕭白のまだお目にかかってない絵を見てみた。とくに見たいのが3点ある。

★商山四皓図屏風 : ボストン美(上の画像、右隻)
★雲龍図 : ボストン美(真ん中、部分)
★龍図 : 滋賀、石山寺(下)

ボストン美の蕭白コレクションのうち、‘風仙図屏風’など3点は91年日本橋高島屋であった‘ボストン美展’で、‘楼閣山水図’と‘九米仙人図’は京博の‘曾我蕭白展’(05年、拙ブログ05/5/16)で公開された。まだ見てないのが手元の美術本によると、上の2点を含め4点残っている。

‘雲龍図’の龍の長さは10mあり、襖8面分という。図版をみただけでもすごい迫力だから、本物はそれはそれはサプライズの龍であろう。日本でみれることを信じでいたい!

石山寺の‘龍図’は回顧展にでてこなかった。お寺の中からそとへ出せないのかもしれない。龍の絵は海北友松や応挙が描いたものなどいろいろ見てきたが、こういうた縦の画面におさまった龍はまだお目にかかったことがない。気になる龍である。

京博の大回顧展からまだ4年しか経ってないので、次の蕭白展となると、当分先。
でも、3年後ボストン美で蕭白作品が中心の展覧会が開かれ、運よく日本に巡回することになれば、また蕭白のすごい絵と対面できる。是非とも実現してほしい。

‘辻のお父さぁーん、お願いしまーす!!’ 蕭白がお好きな方はご唱和下さい。

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2009.04.05

山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年

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現在、府中市美では‘山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年’(3/20~5/10)を開催中。当初はパスするつもりだったが、出展リストに曾我蕭白と重点鑑賞絵師の池大雅の絵が5点づつあったので出かけることにした。

作品は全部で100点。前期と後期でかなりの入れ替えがあるから、後期もまた出動の予定。料金は600円しかとらず、2回目は割引券300円が使える。900円で蕭白や若冲の有名な絵がいくつも入っている質の高い風景画の数々が見れるのだから、これは拍手々。そして、図録の編集が前回の‘動物画展’同様、とても上手い。

見どころのひとつはなんといってもビッグネーム若冲、応挙、芦雪、蕭白の絵。若冲は昨年の‘対決展’(東博)にも出展された‘石灯籠図屏風’(拙ブログ05/3/27)と‘石峰寺図’(ともに4/12までの展示)。2点ある応挙は後期(4/14~5/10)にでる‘海上竜巻図’が楽しみ。

芦雪は京博でお目にかかった‘蓬莱山図’と初見の‘赤壁図’(ともに後期)。お気に入りの‘蓬莱山図’は図録がないため略画で記憶にとどめていたが、これからは図版でながめることができる。‘赤壁図’も期待がもてそう。

蕭白はいいのが揃っている。すばらしい!前期が上の‘松鶴山水図’(部分)と京博蔵の‘山水図押絵貼屏風’。後期は大作‘月夜山水図屏風’(重文、近江神宮)ほか2点。

収穫は初見の‘松鶴山水図’。アヴァンギャルドにのびた松の葉を挟んで飛翔する鶴の群と険しい岩の上でくちばしを空のほうにむけている二羽の鶴が呼応する構成に見惚れる。また、松の葉と向こうの岩に激しく打ち寄せる波頭の動勢が響き合っているような感じ。本当にいい絵と出会った。

楽しみにしていた大雅はそれほどでもなかったが、そのかわりにいつか見たかった小田野直武の洋風画4点(すべて全期間の展示)と遭遇したのは大きな喜び。

なかでも真ん中の‘冨岳図’と‘日本風景図’に魅せられた。‘冨岳図’で釘付けになったのが水面にゆらゆら映る橋桁。右にまがる川の流れにそって川岸に立ち並ぶ木々はそのシルエットが意匠化されすぎているきらいはあるが、遠くにみえる富士山を引き立てている。

また、司馬江漢の‘七里ヶ浜図’や‘馬入川富士遠望図’にみられる広々とした空間表現にも足がとまる。

下は浮世絵師としてはただ一人でている北斎の‘不二図’。これは07年末にあった‘北斎展’(江戸東博)に登場した。天地をつきぬける二本の松の間に不二の頂上をもってくる構図に200%惹きつけられる。やっぱり北斎は特別の存在!後期が待ち遠しい。

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2009.04.04

アートフェア東京2009はこんなに楽しかったの!?

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東京国際フォーラムで昨日からはじまった‘アートフェア東京2009’(4/3・4・5)を見てきた。現代アートに注ぎ込む鑑賞エネルギーは今のところ大きくないので、このフェアに特別関心があったというのではない。足を運んだのは榎俊幸さん(ブログ・絵ノローグ)が出品されている最新作を見るため。だから、これを見たら、さっと帰るつもりだった。

ところが会場に足を踏み入れたら、そうもいかなくなった。2年前経験した‘東京コンテンポラリーアートフェア2007’(東京美術倶楽部、拙ブログ07/11/25)とまったく同じ雰囲気で、楽しい作品が結構ある。よくわからないのが、二つのアートフェアの関係。別のもの?それとも東美倶の07年の次が今回のフェア?

早速、彩鳳堂画廊のブース(B17)へ急いだ。榎さんのブログで見ていた作品‘翼竜図屏風’(上の画像、部分)やお馴染みの‘鳳凰’の新ヴァージョンなどがあった。‘翼竜’は恐竜のイメージ。大きく口をあけた顔はまるで生きているようでちょっと怖い。小さい子供がみると泣きだしてしまいそう。鱗の質感描写が実にリアルで、広げた翼のボリューム感や曲がり具合、首や胴体のふくらみに見入ってしまう。

表面の鱗は網干文のような感じだが、その一つ々の菱形の大きさをすこしずつ変えて厚みや丸みをつくっているので、この竜の筋肉がイチローの肉体のようにしなやかで強靭なものにみえてくる。加山又造のトポロジー感覚の流水文にも驚かされるが、榎さんの描くこの竜もまったくすごい。今回あらたに登場した‘獏’もぐっとくる。日光東照宮にある獏とはまた違う榎流の‘獏’。見てのお楽しみ!

真ん中の絵は画廊たづ(C01)にあった平子真理さんの‘お猿でござる’。この日本画家はこれまで知らなかったが、この絵にとても魅せられた。猿の生き生きとした動きに目が釘付けになる。出品作4点は全部、金箔の地。そこにペンギンとか猿、ラクダが描かれている。

おもしろいのが‘ペンギンのサッカー’。ペンギンにサッカーをさせるという発想に感心させられる上に、ペンギンが腰をかがめたり、短い足をあげたりする姿がとても力強くシャープ。何かの縁かもしれない、この画家の名前を胸に刻んでおこうと思う。

ほかで足がとまったのは昨年個展を見た瀧下和之(08/9/5)のユーモラスな鬼たち(新生堂C08)とミズマアートギャラリー(F03)にでていた山口藍の‘はなすことはこのやまほど’。

山口藍には惹きつけられる。酒井抱一の‘四季花鳥図屏風’(陽明文庫)を借用して、ここにキャラクター化した裸婦を何人も描いている。抱一ばりに品よく描かれた花や流水と目が大きく平べったい顔をした女の子が違和感もなく溶け合っている。不思議な魅力をもった山口藍の作品はフルマーク。

現代彫刻にハッとさせられるのがあった。下の天野裕夫作、‘手工神’(椿近代画廊E05)。作家の名前は全然知らないが、これを見て瞬時に以前見たシュヴァンクマイエルの作品(05/10/31)を連想した。これの衝撃度はかなり大きい。今回思わぬ発見がいろいろあったので、来年は開催時期をしっかりチェックすることにした。

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2009.04.03

プロ野球開幕 優勝するのはどのチーム?

484プロ野球は今日セパ同時開幕した。
日本代表がWBCで2連覇を果たしてくれたから、今年のプロ野球に寄せる期待は大変高い。

で、WBCで活躍した選手を中心にペナントをリードするチームを予想してみた。

金メダルをもらった29人のうち投手陣はパリーグの選手の活躍が目立った。その筆頭が岩隈(楽天)で次がダルビッシュ(日ハム)、そして杉内(ソフトバンク)、ほかでは涌井(西武)、田中マー君(楽天)、小松(オリックス)もよく投げた。

一方、打の方はセリーグの選手がひっぱった。ベストナインに選ばれた青木(ヤクルト)、大砲の村田、左投手に強い内川(ともに横浜)、いいところでヒットを打ったガッツマン小笠原(巨人)。パでいい働きをしたのは中島、片岡(西武)、最年長稲葉(日ハム)。

では、皆を喜ばせるプレーをした選手がいるチームはペナントレースでも優位な戦いができるだろうか?そう簡単に事は運ばない。いいピッチングをした投手がいるチームが優勝争いに絡むことは間違いないが、バッターのほうは、WBCでのいい成績をそのまま所属チームの試合で発揮したとしても、彼らだけの活躍で優勝は決まらない。勝負の決め手はやはり投手力なのである。

さて、日本代表になった選手の活躍をふくめてトータルのチーム力が高いのはどこか。まず、パリーグから。クライマックスシリーズにでるのはズバリ、西武、ソフトバンク、楽天!優勝はソフトバンク。大穴は楽天。

西武は中島、中村、片岡らの打撃陣は昨年同様いいと思うが、投手が不安。西武2年目の元大リーガー石井や西口はそんなに勝てないのでは。そして、昨年の日本シリーズでブレイクした岸が?大穴の楽天は岩隈、マー君の二人が大車輪の活躍をする可能性は十分にある。それに新任の佐藤ピッチングコーチがいるのも心強い。これまでの野村監督の指導が花を咲かせるか?優勝は無理でも3位までに入る確率は70%くらいある。

秋山新監督のソフトバンクは松坂世代の杉内、和田がしっかり勝ち、ここ数年不調の新垣、エース斎藤が復帰すれば投手陣は強力になる。もともと強いチームなので、調子がでると一気に首位を突っ走るかもしれない。

セリーグの優勝は巨人で200%決まり!打撃の絶対戦力がほかのチームと差がありすぎる。WBCに出た亀井、鈴木の新1,2番は機能するだろうし、小笠原、ラミネス、イ・スンヨプのクリーンナップはパワフル。問題は投手力、内海がどれだけ勝てるかにかかっている。また、中継ぎの山口は先発で投げさせたほうがいいと思う。WBCで日本代表を世界一に導いた原監督だから、うまく采配するだろう。

2位以下はかなり離されるが、CSにでるのは広島カープと阪神か。カープは広くなった新球場で投手の防御率がよくなるので、期待できそう。これに対し、阪神と中日は下り坂。パリーグに較べて投手もバッターも若手のいい選手がでてこないのが致命的。セリーグのなかで若手が育っているのはなんだかんだ言っても巨人。FAで大金を使って主力打者を獲得する一方で、いきのいい若手を原監督は使って戦力にしている。たいしたもの。

人気に溺れベテラン選手ばかりに頼っている阪神、逆にベテランとのコミュニケーションがとれず、せっせと若手を高校生扱いで鍛えている天の邪鬼監督落合がいる中日には優勝は無理。ましてや、戦力不足が歴然としているヤクルト、横浜は今年も連敗が続き、途中で監督交代になるのは目に見えている。どこからみても巨人の独走で、ファンを釘付けにするシーズンにはなりそうもない。

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2009.04.02

いつか行きたい美術館! ロンドン ウォレス・コレクション

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ロンドンにある国立の美術館は入館料をとらない。だから、いい作品が沢山ある大英博物館やナショナルギャラリーやテートを見終わったあとはすごく満ち足りた気分になる。

ほかで無料なのはまだ訪問していないウォレス・コレクション、ヴィクトリア&アルバート美、ケンウッド・ハウス。この3館のうち次回の目玉に位置付けているのがウォレス・コレクション。

ここにロココ絵画のブーシェ(1703~1770)やフラゴナール(1732~1806)の名画が揃っていることは画家の名前を知った頃から頭の中にインプットされている。でも、ロココはどうしても貴族趣味というのが頭にあり、ルネサンスとかバロック、ロマン派とくらべると軽い感じがぬぐえず、作品をみていてもいまひとつ目に力が入らなかった。

ところが、その印象は昨年のルーヴル、ナショナルギャラリー鑑賞で一変した。これまでのロココのイメージは画集の図版によりできあがったもの。実際にヴァトー、ブーシェ、フラゴナールの絵(拙ブログ08/4/1)を見てみると、まったく違った印象だった。

例えば、ブーシェの裸婦は官能的というのが刷り込まれていたが、エロティックというよりは健康的で天真爛漫な女性という印象のほうが強く、神話画にでてくる女神はより身近に思える女性が目の前にいる感じ。これは近代絵画の裸婦に近く、ルノアールが描くルーベンス的でないタイプの裸婦に似ている。

ブーシェやフラゴナールにこれほどのめりこむとは予想してなかったが、こうなると二人の傑作を沢山所蔵しているウォレス・コレクションをめざすほかない。お目当てはこの二人+ヴァトーとルーベンスの有名な風景画。

★ブーシェの‘日の出’(上の画像)
★フラゴナールの‘ぶらんこ’(真ん中)
★ルーベンスの‘虹のある風景’(下)

‘日の出’は‘日没’と対になっている大作のようだ。絵の前に立つと気分が相当高揚するのではなかろうか。早く会いたい!‘ぶらんこ’はフラゴナールの代表作。本物はどうだろう。また、ヴァトーの‘庭園の宴’も楽しみ。

ルーベンス(1577~1640)の‘虹のある風景’はナショナルギャラリーにある‘ステーンの城の見える秋の風景’とともに晩年に描かれた風景画の傑作と言われている。‘ステーン城’はブリューゲルの風景画を彷彿とさせるすばらしい絵だったから、この‘虹のある風景’にも期待が高まる。

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2009.04.01

いつか行きたい美術館! エジンバラ スコットランド国立美術館

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イギリスは仕事や観光で5回訪問しているのだが、鑑賞した美術館は大英博物館、ナショナルギャラリー、テート・ブリテン、テート・モダン、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの5館だけ。ロンドンに限ってもまだ、ウォレス・コレクション、コートールド美、ヴィクトリア&アルバート美、クイーンズ・ギャラリー、ケンウッド・ハウスなどが残っている。

これらの美術館の訪問については昨年利用したツアーなどがいくつもあるから計画が立て易いが、エジンバラにあるスコットランド美は実現がすぐにはイメージできない未開拓ゾーン。てっとり早いのはエジンバラ観光が入っている‘イギリス7日間’などへの参加。

仕事でイギリスを回った際、エジンバラ城に登っているので、ここをパスして美術館へ直行すればお目当ての作品をみることができそうだが。果たして? ロンドン美術館めぐりと天秤にかければ、作品の数の多さでこのあとになるが、1点々の見たい度から言うと次の3点は上位を占めている。

★ティツィアーノの‘三世代の寓意’(上の画像)
★ティツィアーノの‘ディアナとアクタイオン’(真ん中)
★ゴーギャンの‘説教のあとの幻影’(下)

‘三世代の寓意’は若きティツィアーノが描いた傑作のひとつ。ルーヴルにある‘田園の合奏’(拙ブログ08/2/26)と同じ時期(1511~12)の作。両手に笛をもちじっと愛する男をみている若い女の横顔にすごく魅せられる。また、右にいる可愛い童子と天童にも心がゆるむ。

‘ディアナとアクタイオン’は同じくここが所蔵する‘ディアナとカリスト’とともに、フェリペ2世のために描かれた有名な神話画。狩人アクタイオンはたまたま泉で女神ディアナとおつきのニンフを覗き見してしまった。100%下心があってアクタイオンは見たわけでもないのに、ディアナは‘見たわねー!’と怒り狂う。こうなると手がつけられない。アクタイオンは可哀そうに女神によって鹿に変えられ、自分が連れていた猟犬に噛み殺されてしまう。

ゴーギャンの‘説教のあとの幻影’は印象派にとりつかれた頃からいつかこの目で思っている絵。この絵によってこの美術館の名前が長く記憶されることになった。ご存じのように赤の地面で組打ちをしている天使とヤコブの姿は北斎漫画から取られている。

05年末、Bunkamuraで‘スコットランド美展’が開催されたとき、この絵がやってくるのではと色めき立ったが、モネの‘積み藁’(05/11/21)との再会にとどまった。これやティツィーノ作品(4点)は館のお宝だからやはり貸し出は無理なのだろう。この美術館の作品は過去2回くらい公開されたが、もし次回があるなら、1点でもいいから見せて欲しい。

どこかの美術館が企画してくれたら嬉しいのだが。いつか風が吹くことを信じて帆を高くあげておきたい。

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