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2009.03.01

名画バトン ピカソからマティスヘ

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ピカソが二日続いたので、今日はマティスの好きな絵を取り上げたい。‘Bunkamuraの展覧会に行ってこい!’とプッシュしてくれたのが最近読んだ‘マチスとピカソ’(イヴ=アラン・ボア著、日本経済新聞社、00年6月)。この本を読むとマティス(1869~1954)とピカソ(1881~1973)はお互いにすごく相手の創作活動に関心を寄せており、刺激し合っていたということがよくわかる。

マティスはキュビスム的な絵を描いてみたり、ミノタウロスのようなピカソの暴力性がむき出しになった作品に刺激されギリシャ神話の挿絵なども手がけている。一方、ピカソはピカソでマティスの‘ダンス’のような生き生きとした人体のフォルムを真似た絵を描いている。

色彩の革命、‘フォービスム’を主導したマティスに対し、ピカソは形の革命、‘キュビスム’で多くの画家たちに影響を与えた。一見すると、二人は全く違う表現方法で作品を制作していたようにみえるが、実際には互いに響き合っていた。

‘響き合いすぎではない?’と注文を付けたくなるほどよく似ているのが昨日紹介したピカソの‘黄色い髪の女’とマティスの‘夢’。マティスは最初の段階ではこれとは違う構成で描いていたのに、どういうわけか完成した絵はピカソの絵に瓜二つ。二人はともにリスペクトしあい、自分の作品に取り入れられる要素は貪欲に吸収しようという気持ちを持ち続けていたのだろう。

さて、マティスの絵である。04年西洋美ですばらしい回顧展があったから、画集に載っている有名な絵と沢山対面することができた。また、次の年にはプーシキン美から楽しい‘金魚’(拙ブログ05/10/25)がやってきたし、07年にはフィラデルフィア美の‘青いドレスの女’(07/10/13)が展示された。だから、代表作の相当数が鑑賞済み。現在残っている作品でなんとしても見たいのは次の3つ。

★ばら色の裸婦 (1935) : ボルティモア美(上の画像)
★紫の服の女ときんぼうげ (1937) : ヒューストン美(真ん中)
★王の悲しみ (1952) : ポンピドゥーセンター(下)

よく大きな回顧展を2回みたらその画家の作品は大体目に中におさまるといわれるが、アメリカの美術館にある上の二つは次のマティス展では是非対面したい。

‘ばら色の裸婦’は下半身や手が異常に大きいから、女性の体としてはだいぶ変なのだが、そんなことはこの堂々としたヴィーナスの前では気にならない。真ん中の絵は同じ年に描かれたフィラデルフィ美の‘黄色い服のオダリスク、アネモネ’(08/6/22)と色合いが同じ調子。昨年この絵にも魅せられたが、ヒューストン美のほうが人物の輪郭線がくっきりしており、絵の完成度としてはかなり上。

ポンピドゥーは過去2度訪問したのに、なぜか切り紙絵の傑作‘王の悲しみ’に縁がない。これが日本に来ることはまずないから、どうしても現地へ行かざるを得ない。ところが、やっかいなことにこの絵は常時展示してないのである。3度目の挑戦ではアバウトな鑑賞をするわけにはいけないから展示の時期を確認しながらのスケジュール調整ということになるが、ほかの美術館めぐりとのバランスを考えると悩ましいところ。

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