ルーヴル美術館展 ウテワール ルーベンス ベラスケス
昨年のルーヴル美めぐりでは、事前につくった必見リストに載っている作品を一点々チェックしながら広い館内を精一杯まわった。だから、リスト以外の絵についてはよほどインパクトがある絵でないかぎり、見たとしてもあまり記憶に残ってない。そのなかに日本に帰ってからその存在を知り、惜しいことをしたなと強く思う絵がある。2回目はその絵とプラス2点。
★ウテワールの‘アンドロメダを救うペルセウス’(上の画像)
★ルーベンスの‘ユノに欺かれるイクシオン’(真ん中)
★ベラスケスの‘王女マルガリータの肖像’(下)
ウテワール(1556~1638)の絵を知ったのは、‘ヴィーナス100選’を特集した昨年4月の‘芸術新潮’。ここに驚愕の絵、‘アンドロメダを救うペルセウス’が載っていた。ウテワールはユトレヒト生まれのマニエリストだから、これはオランダ絵画のコーナーに展示れていたはずだが、残念ながらまったく覚えてない。
レンブラントやフェルメールの絵ばかりに神経が集中し、ほかはどんどんパスしていったから、記憶にとどまらなかったのだろう。次回は赤丸つきでリカバリーしようと思っていたら、嬉しいことに作品のほうからわざわざ日本まで追っかけてきてくれた。
まず、びっくりしたのが絵の大きさ。縦1.8m、横1.5mの大作。そして、構成がおもしろい。裸婦図と風景画と静物画の3つを一つの画面におさめたような感じ。視線が釘付けになるのが画面左で右手を上にあげ体を少し捻るポーズをしたアンドロメダ。白い肌に浮かびあがる乳房のまわりの青い血管が心をざわざわさせる。本の図版では青い血管までは確認できないから、200%KOされた。
大きく描かれたアンドロメダの足下には貝殻が沢山おかれており、そのなかにまじってニ体の骸骨がみえる。色で印象深いのは貝殻の内側や海の怪物の皮膚、ペルセウスのまたがる天馬の朱色。アングルなども同じ題材の絵を描いているが、このウテワールの絵に最も惹きつけられる。
ルーヴルには‘マリー・ド・メディシスの生涯’などルーベンス(1577~1640)の有名な絵が沢山ある。それらは過去よく見たので昨年はそれほど熱くならずに見て回ったが、真ん中の絵は飾ってなかった。おそらく普段は展示してないのだろう。はじめてお目にかかる絵だが、ルーベンスらしい量感のある人物描写、裸婦の肌の色に見惚れていた。
左にいる男がイクシオン。ケンタウロスのお父っちゃんで女好きの乱暴者。義父を殺したがユピテルによって罪を清められたというのに、この男はユピテルの妻ユノにまでちょっかいをだす。そこで、ユピテルは雲をユノの姿に変えて、イクシオンのもとへ送り込む。その偽のユノの隣に立っているのが本物のユノで聖獣の孔雀を従えている。二人の顔、姿態はまったく一緒。偽のユノのお腹から生まれてくるのがケンタウロス。
下はベラスケス(1599~1660)のお馴染みの王女マルガリータちゃん。本当に可愛らしい女の子の絵である。これはマルガリータが3歳のころで、ウィーンの美術史美にある‘バラ色のドレスの王女マルガリータ’(拙ブログ08/8/5)によく似ている。白の生地と黒模様のコントラストがすごく印象的。マネはこの色合いに魅せられたにちがいない。
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コメント
はじめまして
私もこの展覧会に行ってきました。綺麗な画像があるおかげで鮮明に蘇ってきました。
王女マルガリータの肖像、去年の新国立のとかなり似てましたね。ちょっと今回のほうが髪が長いので、こっちのほうが後なんでしょうか?? 可愛らしいです。
トラックバックさせていただきました。よろしくお願いします。
投稿: 21世紀のxxx者 | 2009.03.27 01:04
to 21世紀の×××者さん
はじめまして。書き込み、TB有難うございます。
王女マルガリータの肖像画はウイーンのものと
この絵は一番好きです。これからもよろしく
お願いします。
投稿: いづつや | 2009.03.27 13:07
ありがとうございます。またちょくちょく拝見させていただきます(><) よろしくお願いします
投稿: 21世紀のxxx者 | 2009.03.27 21:07
to 21世紀の×××者さん
こちらこそよろしくお願いします。
また、気軽にお越しください。
投稿: いづつや | 2009.03.28 08:50