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2009.03.25

WBCでわかった野球とベースボールの違い

458日本代表が対戦したアジアの国、キューバ、アメリカの野球をみていると、各国は自分たちの野球のスタイルで戦っていることがわかる。その違いを少し考えてみた。

野球の戦力は投手力、打撃力、守備力の3つが基本。WBCの連覇を達成した日本代表がほかのチームとくらべてとびぬけた力をみせたのは投手力。

チーム防御率は日本が1.71なのに対して韓国3.00、アメリカ5.99、ベネズエラ4.13。日本のプロ野球で活躍するトップクラスの投手は大リーグでも充分通用することは野茂、松坂、黒田の成績をみれば明らかだが、今回の日本の投手陣がこれほどいい成績を残したのはちょっと驚き。だが、このデータだけでアメリカや中南米の投手の実力はこんなものかと早合点するのは禁物。

登録メンバーに名を連ねているのは実績をあげた実力者で、アベレージのピッチャーが選ばれているわけではない。いいピッチングができてないのは彼らが本気モードで投げてないから。WBCが大リーグの利益ベースを拡大するためのプロモーションイベントであることがわかっているから、怪我をしない範囲で試合に臨んでいるだけのこと。

当初はベネズエラ代表として参加することになっていたが、怪我のため出場をとりやめたメッツのエース、サンタナは‘2週間で準備をするのは無理。WBCの開催は3月ではなく、大リーグのワールドシリーズが終わったあとの11月にしたほうがいい。プレーオフにでる8チームはしんどいかもしれないが、22チームはシーズンのあと休んでいる’と語っている。これは正論!まったく同感である。

投手陣の出来が勝利の鍵を握っているのだから、3月開催では大リーガー投手が中軸になるアメリカやドミニカ、プエルトリコ、ベネズエラは何回やっても優勝は果たせないだろう。4年に一度開催するWBCを本気で真の世界一を決める大会にする気があるのなら、その年の大リーグの開幕時期を例年の4月初旬から2週間くらい早め、11月にWBCを行う。ほかの国の野球シーズンもアメリカに合わせて日程を調整する。

これが実現するとアメリカやドミニカの本当の力がみられ、まさに日本、韓国とのガチンコ対決となる。大リーグ機構がそこまで本気でこの大会を考えているか?可能性は20%しかないだろうが。

日本はホームランを打てるバッターを揃えることは無理なので、犠牲バント、フライ、盗塁、ヒットエンドラン(以下H・R)をからめた‘つなぐ野球’で得点を重ねるしかない。この戦方は韓国はできるかもしれないが、アメリカやキューバ、ドミニカなどは難しい。

現在は日本のプロ野球でも前半にヒットで塁にでたとき、すぐにバントでランナーを進める作戦はとってない。また、大リーグでもワールドシリーズのようなビッグゲームでは、先取点をとるため失敗が多いもののバントはやることはやる。だから、‘日本では当り前の犠牲バントをアメリカはまったくしない’という定説はカッコつき。

では犠牲フライはどうだろう。ヤンキースとかレッドソックスのような強いチームではいいバッターは犠牲フライで打点をあげたり、ランナーを進めるチームバッティングをしたり、ボールをよく選んで四球で塁にでる。現役を2,3年前に引退したヤンキースのセンター、バーニーー・ウイリアムズなどはボール球に手をださず、きわどい球がくるとファウルでのがれ、よく四球を選んでいた。

トーリ監督のもとワールドシリーズを4年連続制したころのヤンキースの攻撃は本当に粘り強く、次のバッターにつなぐ野球をやっていた。これにホームランが効果的に飛び出すのだから、まさに最強の打線。また、強いチームには足の速い選手がいて塁を果敢に奪うから、機動力を使う攻撃が日本の専売特許ということではない。

でも、盗塁を重視するのは日米とも同じだが、H・Rはアメリカでは日本のように多用されない。なぜか?それはバッターが自由に打てないのを嫌がるから。そして、点をとる意識が違っているため。

例えば、ノーアウトで一塁にランナーがいるとする。H・Rが成功して1、3塁になる。日本の監督はこれで犠牲フライでも1点入ると考える。でも、彼らはそう考えない。普通にヒットを打って1、2塁となるのとどう違うの?次に犠牲フライがうまく打てるとは限らないし、ヒットを打てば2塁ランナーはホームに返ってくる。1点をとる確率はあまり差がない。

H・Rをしないもう一つの理由はこの戦法にリスクがあるから。今回のWBAのアメリカ戦で稲葉と小笠原のコンビが見事なH・Rを決めた。コントロールのいいオズワルドの球筋、配球をスコアラーがデータでつかんでおり、小笠原の打撃力を信じてこのサインを原監督は出した。

日本でこの戦法をよく使うのは、戦う相手が5チームしかなく年間を通して何度も対戦するからどのピッチャーがどういう配球をするかがよくわかっているから。とんでもない球を投げられてバッターが空振りし、一塁ランナーがセカンドで殺されるというリスクをあまり感じないのである。

ところが、アメリカではだいぶ事情が異なる。大リーグはアリーグ、ナリーグ各15チーム、全部で30チームある。交流戦で対戦する他リーグの5,6チームを入れると20チームくらいと戦う。各チームには先発投手が5人、すると、バッターはおおよそ100人の投手が投げる球を打つことになる。しかも、ひとりの投手と対戦するのは年に1~4回しかない。

こういう状況なので、投手の制球力や球種や配球がよくわからないし、かりにそういうデータを集めてもサンプル数が少なく、データベースとしての精度は落ちる。だから、選手の打ちたい気持ちを縛り、かつリスクの多いこの戦法は使われないのである。

大リーグのベースボールと日本の野球の違いにはちゃんとした理由があるから、どちらの方がいいとかは簡単には言えない。H・Rは決まればもうすごくスピーディで美しい。1、3塁という形はヒットでつなぐと連続して点が入る。日本人はこれに野球の美学を感じているのかもしれない。

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コメント

いつもながらただただ感心するばかりです。
芸術からスポーツまでいづつやさんの守備範囲の
幅広いこと。その造詣に深さにも脱帽です。

投稿: リセ | 2009.03.26 01:47

to リセさん
WBC決勝戦があまりにすばらしかったので、今、
頭の中は大好きな野球で占領されてます。

この日韓戦は世界の野球史上の伝説になり、
ひょっとするとベースボールと野球の違いに皆
が真剣に向かいあい、二つが融合し、さらに
進化していくきっかけになるかもしれませんね。
そういう方向へ進んでいくことを願ってます。

投稿: いづつや | 2009.03.26 11:24

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