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2009.03.07

上村松園・松篁・淳之 三代展 その三

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昨年3月、日本橋三越で開催された‘上村淳之展’については、運悪くパソコン修理のためアップできなかった。でも、今回の出品作(17点)は松伯美蔵中心の松篁作品とは違い、ほかの美術館や個人がもっているものが多く、三越にでていたのがいくつもあったので、感想記を書くいいきっかけになった。

父の松篁は花も鳥も描いているが、淳之の主なモティーフはもっぱら鳥で、花だけを描いたものはない。現在自宅で263種1600羽の鳥を飼育しているという。画家がその鳥たちに餌をあたえているところをTVで見たことがあるが、どこかの動物園のような光景だった。

いつも鳥が歩く姿や空を飛ぶ様子をながめ、まさに鳥と一体になって絵を描いているのである。だから、淳之の描く鳥はすごく自然な感じで、川や山で見た鳥のイメージがすぐ思い出され絵のなかにすっと入っていける。しかも、背景は余白を多くとり余計なものは極力排しているので、描かれた鳥が美の象徴となって心のなかに深く刻まれる。

日本画は西洋画と違い、対象を象徴的あるいは装飾性豊かに描き、花鳥風月の美を表現することを特徴としているが、上村淳之の花鳥画はそれをシンプルに感じさせてくれる。鳥を眺め、慈しむ時間をもっとつくりたいが、日頃は自然の中に身を置く機会はほとんどない。だから、こういう絵をみると、心がゆったりし素直な気持ちになれる。絵というのはつくづく有難いなと思う。

どの絵も魅了されるので、選択に迷う。上は3羽の水鳥に見入ってしまう‘晨’(ヤマタネ)。うすい灰色で表現された朝霧のなか、描かれているのは土色の羽根をした鳥だけ。まわりには草も花もない。目の前に鳥がいるよう。鳥はたしかにこんな感じで体を動かす。

真ん中は三越でも感激した‘水辺’。鴨の群は水面すれすれを飛んでいるので、その影が水面に映っている。鴨を挟むように上と下には金泥の霞がみえる。松篁は鳥が立っているところや泳いでいるのを描いているが、淳之は飛翔する鳥を多く描いている。これがとても上手い!今回もう一点、すばらしいのがある。大作‘雁金’。見てのお楽しみ!

下の‘花の水辺Ⅱ’は07年の作。母鳥と子鳥の姿に心が和む。言葉はいらない。右の‘Ⅰ’にはまわりを警戒する雄鳥が描かれている。上村淳之の絵にますます惹かれていく。

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