東本願寺の至宝展
現在、日本橋高島屋では‘東本願寺の至宝展’(3/18~30)が行われている。チラシを手にしたことき、気になったのは狩野元信と円山応挙、そして棟方志功の絵。ほかはあまり心が動かないから、今回は3点買いと割り切って会場に入った。
上は元信作、‘唐人物・花鳥図’。この人物は中国宋代の詩人・蘇東坡。保存状態がとてもよく、最近、元信の絵として確認されたらしい。元信の人物画では、東博の平常展で定期的にお目にかかる‘禅宗祖師図’が一番馴染み深いが、こういう三幅に描かれたものははじめてみた。
先の妙心寺展で‘四季花鳥画’や‘瀟湘八景図’などの名品を楽しんだが、巡回する京博にもでかけ、東博に展示されなかった作品と対面しようと思っている。そうすると、元信もおおよそ済みマークがつく。
真ん中と下は狩野永岳の‘寿老人・寒山捨得図’(三幅)の‘寒山’と‘寿老人’。永岳(1790~1867)は山楽・山雪で知られる京狩野派の9代目。
この絵師の作品を見たのはまだ数点しかない。最初の経験は3年前、京都で春と秋の観光行事になっている‘非公開文化財特別公開’で訪問した妙心寺・隣華院の襖絵‘四季花鳥図’と‘紅葉図’。永岳の作とわかったのは14年前とのことだが、鮮やかな金地極彩色が目に焼き付いている。
絵全体の印象、色使いは妙心寺展に出品された‘西園雅集図襖’(隣華院)と同じ。今回お目にかかったのはよく知っている画題。横向きの寒山にとても惹きつけられた。こういう絵を見せられると永岳には要注意マークをつけたくなる。
お目当てだった円山応挙は‘稚松図’、‘竹雀図’、‘老梅図’、‘雪中松鹿図’。なかでも余白をたっぷりとった‘老梅図’に魅了された。最後のコーナーにあった棟方志功の肉筆襖絵‘天に伸ぶ杉木/河畔の呼吸’は期待していたのだが、色のインパクトは想像していたものの半分だった。
はじめから3点買いだから、棟方志功と永岳が入れ替わったと思えば気は楽。大満足とはいかないが、3つも収穫があればOK。
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コメント
元信の「唐人物・花鳥図」
水墨画のいろいろな技法が楽しめました。
投稿: 一村雨 | 2009.04.01 04:13
to 一村雨さん
元信がなかなかよかったですね。そして、永岳
の寒山に惹きつけられました。
投稿: いづつや | 2009.04.01 09:31