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2009.03.03

小杉放菴と大観 -響きあう技とこころ

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日比谷の出光美では現在‘小杉放菴と大観 -響きあう技とこころ’(2/21~3/22)を開催中。最近ビッグネーム画家同士のコラボのことが頭の中を占領している。‘マティスとピカソ’、‘横山操と加山又造’。

そして、期せずして出光美が‘横山大観と小杉放菴’の響き合いにスポットを当てている。でも、二人の関係については、すでに知っているから展覧会の構成自体にはそれほど関心はなく、注目は専ら小杉放菴の絵。ここの放菴コレクションを見る機会をずっと待っていたが、漸くその機会が巡ってきた。

今回展示されている大観(1868~1958)の絵10点は放菴の引き立て役。ほとんど見ているので、鑑賞のエネルギーは全部放菴(1881~1964)の作品67点に使った。一度取り上げた‘天のうずめの命’(拙ブログ06/11/22)の前では自然に笑みがこぼれる。

これと同様元気がでる‘金時遊行’が一緒にあれば申し分なかったが、こちらは昨年8月にあった‘近代日本の巨匠たち’に展示されたから、今回はお休み。その代わりに上の‘金時’と‘金太郎’が出ている。また、金太郎みたいな顔をした‘寒山捨得’や‘黄初平’にも心が和む。

洋画家、小杉放菴を日本画に転向させた池大雅の南画にぞっこん参っているから、放菴の絵でも大雅の人物画のような丸っこくて愛嬌のある顔をした人物が登場する絵にはすごく愛着がわく。‘金太郎’しかり、‘虎渓三笑’しかり。

今回の収穫は風景画と花鳥画。その名作が描かれているのは麻紙。これは中国の隋唐時代に日本に伝来したものだが、この古紙を福井の紙漉き職人が大正14年
(1925)に復活させた。墨の濃淡、にじみやかすれが奥深い情趣を醸し出す麻紙に放菴は竹や柳や梅を大きく描いている。

なかでも心を揺すぶるのが真ん中の‘瀟湘夜雨’と下の‘梅花小禽’。放菴に‘梅花小禽’のようなすばらしい花鳥画があるとは思ってもみなかった。左から白梅の老木が枝を横にのばし、その枝に挟まれるように山鳥が一羽片足でとまっている。即My好きな花鳥画に登録した。

図録に小杉放菴と出光佐三(1885~1981)の交流のことが書かれていたので興味深く読んだ。常日頃、出光佐三は松下幸之助と同じくらいすごい経営者と思っており、尊敬している。事業に対する経営感覚が並はずれて鋭いだけでなく、出光佐三の美術品を見る眼は超一流! これにも驚く。

佐三は放菴より4歳年下。二人が知り合ったのは放菴45歳、佐三49歳の頃。放菴の旅行記‘景勝の九州’の挿絵が佐三の心を虜にしたようだ。放菴は‘芸術とは創作・美・努力がなければならない’と語り、出光佐三は‘私の一生というものは、目で美術を見て、心で人の美しさをみるというようなことで、いつも美というものにリードされて来たような気がしています’と述べている。

放菴は先輩の画家大観だけでなく、大パトロン出光佐三とも響き合っていた。

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コメント

こんにちは
ずーっと待ってた展覧会なので、嬉しかったです!
特にわたしは金太郎シリーズと、物語を描いたものとが好きなので、けっこう満足でした。
仰るとおり金時遊行(ふふふ、いいタイトル)がないのは残念でしたが、まぁ交代交代と言うことで。
それにしても可愛い子どもたちです。
寒山拾得があれだけ可愛いのは他にないのでは、と思ったくらいです。
大観の絵も今回のコンセプトに合う作品が集まっていたので、展覧会全体がホンワカムードでしたね。

投稿: 遊行七恵 | 2009.03.06 12:28

to 遊行七恵さん
池大雅の人物のユーモラスなところを放菴は
しっかり受け継いでますね。金太郎は見てて
本当に楽しくなります。

投稿: いづつや | 2009.03.06 23:12

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