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2009.03.06

上村松園・松篁・淳之 三代展 その二

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松園の美人画に対し、息子の松篁が描いたのは花鳥画。作品は14点ある(ニ点を除き奈良にある松伯美の所蔵)。

この展覧会に出かけてみようと思ったのは松篁と淳之の作品をもっと見たかったから。一度松篁の回顧展に名古屋で遭遇したり、昨年はそごうで松伯美蔵の絵をみているのだが、まだ少し残っている松伯美蔵の絵をこの際一気に済みにしてしまおうというわけである。そごうで見たのが結構あり、狙い通りにはいかなかったが初見でいいのがあったから満足度は高い。

これまで拙ブログで紹介した松篁は山種美にある‘竹雪’(06/1/8)と‘樹下幽禽’(日本芸術院、05/7/26)の2点。今回出品作のなかで、上の‘熱帯花鳥’は好きな絵。‘竹雪’、‘星五位’(東近美)、‘桃実’(ウッドワン美)、‘孔雀’(京近美)とともにお気に入りの上位に入れている。

目の覚めるようなまっ赤な花は熱帯に咲くトーチジンジャー。そこに白とうすい黄色の羽根が印象的な極楽鳥が体を丸くしてとまっている。背景の緑はややかすみがかった感じなので、赤い花と鳥の羽根がいっそう目を引く。

これに対して、心をぐっと静めてくれるのが真ん中の‘蓮’。とても美しい蓮である。隣にある‘池’(京都市美)や‘杜若’(神奈川県近美)も同じく静かな佇まいにつつまれている。

松篁の絵にでてくる生き物は大半が鳥であるが、山羊や兎、魚や金魚を描いたものが数点ある。大作の‘月夜’ではキビ畑のなかで兎の親子が遊んでいる。黄金の穂と月の光に照らされた愛らしい白い兎をしばらくながめていた。

花でも鳥でも、対象を見続け、写生を繰り返さないと自分の思い通りの絵にならない。松篁は息子の淳之が自宅で飼育している沢山の鳥を眺め、作品を制作した。大作の‘丹頂’は見ごたえのある鶴の絵。雪の積もった笹のそばで片足で立つ丹頂鶴の姿が目に焼きつく。

晩年になると、松篁の花鳥画は極めて簡潔な画面になっていく。下はそれが典型的にみられる‘芦’。水面を泳ぐ二羽の鴨の向こうは水墨画のような世界。墨の濃淡で描かれたような芦の幽玄的な光景が心を揺すぶる。

花鳥画がこれくらいスッキリした構成になると、西洋の抽象画のようなイメージが出てくる。椿の花が縦に並べられその横に一羽の鳥が宙に浮かんでいるみたいに描かれている‘水温む’の前では、ふと現代アートを見ている感じがした。

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