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2009.02.22

感動の加山又造展! その三

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国立新美で開催されている‘加山又造展’(1/21~3/2)にまた出かけた(拙ブログ1/241/25)。お目当ての作品を含め今回紹介するのは次の3点。
★華扇屏風(1966):個人蔵(上の画像)
★天の川(1968):個人蔵(真ん中)
★仿北宋水墨山水雪景(1989):多摩美大(下)

2/18から展示されている‘華扇屏風’に再会するのが目的だけれど、今回はまだ見ていない作品の‘一点買い’鑑賞とは違う。この絵はほかの作品をもう一度楽しむきっかけになってくれたにすぎない。ぞっこん惚れている加山又造の回顧展にはやはり特別な思い入れがあり、はじめから2回鑑賞することを決めている。ほかの画家はこれほど熱くはならない。

加山の全作品のなかで、とくに好きなのが39歳から43歳の頃に描かれた‘華扇屏風’、‘春秋波濤’(1966)、‘雪月花’(1967)、‘天の川’、‘千羽鶴’(1970)。これらの華麗な琳派風の作品は日本美術史のなかでどう位置づけられるであろうか。

例えば、100年後の日本を想像してみるとする。琳派の伝統はその頃でも日本美術のなかに脈々と流れているはず。そして、加山又造は尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一同様、俵屋宗達、本阿弥光悦がはじめた琳派のDNAを受け継いだ歴史的な画家として高く評価されているにちがいない。

‘華扇屏風’(六曲一双、上は右隻)を06年に見たとき、その華麗な現代版‘扇面散らし’に声を失った。扇に描かれた牡丹やあやめ、紅白梅を主役にするため、斜めに流れる水流の波文があまり目立たないようにしている。その抑え気味の装飾性がかえって落ち着きのある優美さを演出し、また細い金の切箔が散らされた右上と左下の青の地が屏風全体をひきしめている。

前回、初見の‘天の川’(右隻)にとても魅了されたので、ここにも長くいた。これは宗達の‘蔦の細道図屏風’(拙ブログ08/7/31)に触発されたことは容易に想像がつく。上の銀の砂子を撒いた青、真ん中の目に心地よいやわらかい球面をイメージさせる波文、そして下のススキ、女郎花、桔梗が美しく咲くうす緑の野原を斜めのばす画面構成は古典に倣いながら、現代的な感性にもフィットする斬新なもの。又造の意匠センスは天才的で、現代の琳派の名にふさわしい。

北宋の水墨画に倣った屏風はこれまで多摩美、個人(1992)、東芸大(1998)がもっているものを見た。最後に描かれた東芸大のはここに登場せず、このあと巡回する高松市美(4/17~5/31)で展示される。禅僧の頃から日本では南宋時代に描かれた牧谿の山水画などのほうが人気が高いから、縦に長く硬い感じの北宋山水は好みが分かれるかもしれない。

最初に描かれた下の‘雪景’(右隻)と2年後に描かれた‘寒林雪山’でまず目に飛び込んでくるのが前景に描かれている木。鋭い針のような細い枝がいくつも出ている老木は映画にでてくる森の悪い精みたい。真っ暗のなか雪明かりが垂直にのびる岩をぼんやりと照らし、木に積もった雪だけが白く輝く。中国の北のほうでみられる宇宙的な広大さがあり、神の存在をいやがおうでも感じさせられる光景をいつか見てみたい。

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コメント

こんにちは
又造さんの仕事の中でも、この華麗な屏風絵はやはり魅力が深いですね。
'93年頃はまだそこのよさがわからなかったものですが、今回は本当に堪能しました。
「天の川」はまさに現代の琳派の名手の手によるもの、でしたね。
わたしはそこに深い官能性とか感じましたが。
北宋に倣った屏風はやはりあまり好みではありませんが、以前見たような拒絶された気持ちにはならず、ただ「そこにあること」の意味を考えたりしました。
本当にいい展覧会でしたね。

投稿: 遊行七恵 | 2009.03.01 16:24

to 遊行七恵さん
国立新美の広い会場に、琳派風の屏風が一堂に
会する光景は壮観でした。本当にすばらしい回顧展
でしたね。大満足です。

頭のいい加山又造が生み出したあの柔構造波文
が現代感覚の琳派の画風を切り開きましたね。
まったくすごい画家です。

そして、晩年横山操の後を追うように水墨画に挑戦
します。北宋に倣った絵を描くとき、加山は今度
は横山の‘雪原’を意識したのではないでしょうか。
二人はマティスとピカソのように響き合ってます。

投稿: いづつや | 2009.03.01 23:06

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どういうわけか、上村松園、松篁、加山又造のお三人だけは口にのぼせるとき「さん」づけをする。 曰く「又造さん」の猫と牡丹、ええなぁ。「... [続きを読む]

受信: 2009.03.01 16:18

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