サントリー美術館の国宝 三井寺展に大満足!
今年もサントリー美術館へ足を運ぶ回数が多くなりそう。感激の蒔絵展の次は‘国宝 三井寺展’(2/7~3/15)。昨年11月、大阪市美ではじまったこの展覧会を首を長くして待っていた。
お目当ては二つある。1990年以来の公開となる秘仏、‘不動明王像(黄不動尊)’
(国宝、平安時代)と狩野光信が描いた‘勧学院客殿障壁画’(重文、桃山時代)。‘黄不動尊’は2/25からの展示で会えなかった。2回来ることははじめから想定しているから、そうあせることもない。
出品作の数は180点、このうち国宝・重文が60点。現在、東博で開催されている妙心寺展同様、内容の充実したビッグなお寺展を東京へもってきてくれたサントリー美に大きな拍手を送りたい。
三井寺(園城寺)は一度訪問したことがある。でも、秘仏は当然見れず、勧学院も中には入れず外からチラッと眺めただけ。前々から見たいと願っている客殿の金碧画が公開されるのは年1回(いつ?)と聞いていたから、これとの対面はまだ先だなと思っていた。その襖絵が大阪市美にでていることをmemeさんのアップで知り、さらに嬉しいことにサントリー美に巡回することがわかった。よくぞ、東京まで出張していただいた。感謝!
入館してすぐ三井寺を中興した智証大師円珍(814~891)の2体の像(ともに国宝、全期間展示)と対面した。頭のてっぺんがこのようにとがっているお坊さんはこれまでみたことがない。誰かに似ている?!ううーん、この三角おむすび頭はどうみても南伸坊!
ゆるキャラの円珍像のあと、気がぐっと引き締まるのが上の‘不動明王立像’(重文、鎌倉時代、全期間)。公開されることが少ないせいか像のコンディションがとてもいいから、その鋭い目線に射すくめられても、迫力ある姿をじっと見入ってしまう。これは2/25から登場する‘黄不動尊’の模刻像。絵と像ふたつを一緒にみれるのが今から楽しみ。
今回、衝撃的な像があった。‘新羅明神坐像’(国宝、平安時代、全期間)。新羅明神(しんらみょうじん)は異国の神様。円珍が唐から帰国するとき、船中に現われ、円珍の教法を守護すると告げたという。
この像は三井寺新羅善神堂の主神。目にとびこんでくるのが白い顔に浮かびあがる真っ赤な唇、そして下がった目尻。これまで見た仏像・神像のなかで衝撃の強さは、これが一番かもしれない。この異相は一生忘れることはないだろう。
4階の階段を降りたところに狩野光信(1565~1608)の襖絵が飾ってある。下は最も長く見ていた‘四季花木図(一之間)’(左隻、全期間)。幹のゆるく曲がるフォルムが心を揺すぶる杉や檜の木立が画面に奥行きをつくり、対角線上にある枝ぶりのいい梅と響き合っている。
父、永徳の絵が見る者を圧倒するような華麗で力強い画風であるのに対し、これは余白をたっぷりとった安定感のある構成がとても優美で、花木の洗練された描写には気品が感じられる。予想以上の見事な金碧画だった。
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コメント
こんばんは。
まさに大満足の展覧会ですね。
私も慌てて観に行ったので
平安時代に描かれた黄不動様は
まだ拝見できていませんが
ゆっくりと何度か通うつもりです。
投稿: Tak | 2009.02.17 21:17
確かに「新羅明神坐像」は畏怖を抱かせるものであり、一目見たら忘れられないお顔ですね。
私は大阪市立美術館で拝観したので少し展示の順番が異なるかもしれませんが、「新羅明神坐像」の次の部屋に「如意輪観音坐像」の心惹かれる姿を目にして思わずほっとして、暫く見入っていたことを改めて思い起こします。
国宝の「黄不動尊」は素晴らしいものであり、目が印象的です。重文の黄不動尊立像とじっくり比較されることをお勧めします。
投稿: AKIO | 2009.02.17 23:24
to Takさん
新羅明神坐像、光信の襖絵に大満足です。
後期の黄不動尊にも期待が高まります。
投稿: いづつや | 2009.02.18 09:37
to AKIOさん
新羅明神坐像にはびっくりしますね。緊張して
みました。後期に登場する黄不動尊の目に注目
してみます。
投稿: いづつや | 2009.02.18 09:42
こんにちは。
新羅明神坐像は、彩色がリアルなんですね。
今、東博でも、ひげを生やした神像が展示されてますが
色が落ちているので、なんとも優しい顔に見えました。
これを真赤な目と白い顔に塗ったら、やはり異形の像に
なるのかなぁと思いました。
投稿: 一村雨 | 2009.02.20 04:17
個人ブログでの国宝秘仏の写真掲載はどうかと思います。
載せたいお気持ちはわかりますが…。
投稿: SHISHO | 2009.02.20 11:09
to 一村雨さん
新羅明神像は図版でながめる以上にインパクト
がありました。どこからこの異相の容貌を思い
ついたのですかね?
投稿: いづつや | 2009.02.20 19:36
to SHISHOさん
秘仏というのはやっかいですね。新羅明神像は
展覧会の人気のためにと思って載せたサービス
カットですから、とくに思い入れがあるわけで
はありません。気にされているのでしたら消去
します。
秘仏の公開っていったい何なのでしょうね。
新日曜美術館で紹介してもらい、日本中の多くの
人の目にふれたのに、秘仏だからとチラシにも
載せず、絵葉書もつくらない。
また、97~99年に出た‘日本の国宝’には新羅
明神像も円珍座像も黄不動尊も掲載され、店頭で
販売されています。それなのに、これは公開した
って秘仏は秘仏だから、誰にでも彼にでも見せられ
ない、ってわけですか?
投稿: いづつや | 2009.02.20 20:28
お世話になっております
(州信印の屏風だか襖も捨て難かったかと・・・)
おせっかいですが 既にご覧にもなっているかとは思いつつ
http://www.shiga-miidera.or.jp/guide/index.htm
はがき申し込みで 勧学院・光浄院は見学可能です
サイトでは3名以上とのことですが お願いすれば1名でも
ほかの方々との組み合わせとなりますが(当方はその口でしたので)
事前にお寺の方に相談されては如何かと それでは ご自愛ご健筆を
投稿: TADDY K. | 2009.03.04 18:56
to TADDY K.さん
いつも知りたいことを教えていただき本当に
感謝しております。観学院・光浄院はハガキの
申込で見学できるのですか?公開の日数が限
られているのかと思っていました。
光信の絵に200%参りましたから、いつか
機会がありましたら、手続きをしたいと思い
ます。有難うございました。
投稿: いづつや | 2009.03.05 23:18