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2009.02.23

感動の加山又造展! その四

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今回出品された作品64点のうち展示替えが4点ある。で、‘華扇屏風’と‘冬’(2/11~3/2)は2回目の訪問で対面することになった。‘冬’はお気に入りの絵。今日はこの絵の画風に関連する話を少し。
★加山又造の‘冬’(1957) : 東近美(上の画像)
★横山操の‘雪原’(1963) : 佐久市近美(真ん中)
★速水御舟の‘丘の並木’(1922) : 個人蔵(下)

加山が30歳のとき描いた‘冬’は構図をブリューゲルの‘雪中の狩人’(1565)に借りている。でも、二つの絵から受ける印象は随分違う。‘雪中の狩人’は風景画というより人々の日常生活を描いた風俗画の一枚という感じで、厳しい冬とはいえ、画面からは人々がたくましく生きている様子がしっかり伝わってくる。

これに対し、‘冬’には人間はどこにも見当たらず、描かれた狼、枝にとまった一羽のカラス、そして谷底あたりを飛びまわっているカラスの群をじっとながめていると、心が寒々としてくる。その寂寥感をさらに深めているのは左の手前からずうーっと向こうまで細密に描かれている木々。沢山ある細い枝が色の濃淡を少しずつ変え一つ々気が遠くなるくらい丁寧に描かれている。

この描写により見る者は今いるところから遠くの木、その向こうの雪山までは相当な距離があることをイメージできる。中景や遠景に数限りない細い垂直線で表した木の林を配置するのが加山の動物画の特徴。こういう描き方は並はずれた精神の集中力と職人的な技をもっている画家にしかできない。

昨日の新日曜美術館は加山又造を特集していたが、番組後半に加山の盟友でありライバルでもあった横山操(1920~1973)のことがでてきた。二人のつきあいがはじまったのは加山が‘冬’を描いた頃。おもしろい話だが、最初は火花を散らし合ったという。でも二人はすぐウマがあい、以後横山が53歳で亡くなるまで仲のいい友人同士であり続けた。

ウマがあうと画風も響き合うのかもしれない。そんなことを思わずにはいられないのが横山の‘雪原’(部分)。山種にある‘越路十景’(1968、拙ブログ05/2/7)は鑑賞済みだが、これとよく似ている‘雪原’は長年追っかけているのにまだ縁がない。横山はハザキの梢を加山の木々を参考にして描いたのではなかろうか。加山の表現にみられる硬さはすこし取り除かれているが、一本々の細かな描写は加山も横山も同じ。この冬の光景をみるといつもしんみりする。

加山は横山の絵画についてこう語っている。‘横山さんの風景画は「寂寥の赤と黒」ということがいわれますが、まさにそうですね。見ていると、なんかこう不思議なところで泣けてくるっていうのかな。見る人のふるさと回帰みたいな気持ちに、絵が直に突き刺さってくるんでしょうね。人の心に、ぐーっとくる。すごいなと思います。なんで僕にこれが描けないんだろうと思う。やっぱり描けないなあ。すごい人ですね’。

サプライズの細密描写というとやはり速水御舟(1894~1935)の絵を連想する。回顧展に出品された‘丘’(08/10/5)、‘平野晴景’(08/11/2)、下の‘丘の並木’の木の線の細さ、乱れのない筆使いにはほとほと感心させられる。

加山の頭のなかには御舟の精緻な描写があり、御舟を尊敬していたのだろう。会場に入ってすぐのところに飾ってある大作‘雪月花’(1978、東近美)の‘花’は御舟の‘炎舞’(1925、山種美、07/6/20)に倣った作品である。

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