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2009.02.27

Bunkamuraのピカソ・クレー展

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Bunkamuraで現在開かれているノルトライン=ヴェストファーレン州美蔵の‘ピカソ・クレー展’(1/2~3/22)は目玉のクレー作品を3年前川村記念美で見たから、パスと決めていた。

が、チラシに使われているピカソの絵が頭から離れず、これを見逃すと悔いを残すかなという気分があるような無いような。背中を押してくれたのは美術本。最近読み終えたイヴ=アラン・ボア著‘マチスとピカソ’(日本経済新聞社 00年6月)にもこれが出てきた。そして、何気なしに手にとった本に今回展示してあるマックス・ベックマンの絵があった。‘ええー、これが出ているの!’ で、この2点を見るために渋谷へ足を運んだ。

★ピカソの‘鏡の前の女’(上の画像)
★ベックマンの‘夜’(真ん中)
★シャガールの‘祝祭日(レモンをもつラビ)’(下)

‘鏡の前の女’(1937)は大きな絵で、期待値以上の傑作だった。この美術館の自慢がクレー作品ということは川村記念美での鑑賞でよくわかったが、こんないいピカソがあったとは。ピカソで好きなのは同じキュビスムでも対象を丸く表現した絵。例えば、昨年国立新美&サントリー美であった回顧展に展示された‘ドラ・マールの肖像’(拙ブログ08/10/24)とか‘読書’のように、鋭角的な形とか直線が少なければ少ないほどいい。

‘鏡の前の女’はNYのMoMAにある‘デッサンする少女のいる室内’(1935)やポンピドーの‘ミューズ’(1935)と画面の構成はよく似ているが、女の体の描き方が違っている。足をほかの2つのように前にのばしておらず、あぐらをかいている感じで、鏡の横にある花瓶同様、女の体は丸みをおびている。この柔らかさがとてもいい。いっぺんに好きになった。もう一点、新古典主義時代に描かれた大作‘二人の座る裸婦’(1920)にも圧倒された。

強烈な画面だったのがベックマンの‘夜’(1918~19)。息苦しくなるほどすごい絵である。‘この絵は何を描いているのだろう?’と隅から隅まで神経をピリピリさせながら見た。左の首を吊られている男は苦しそう。これほど残虐なシーンを見たのははじめて。

右で手を縛られ両足を大きく広げている女の顔は見えないが、苦痛で悲鳴をあげているにちがいない。その隣でレーニンみたいな顔をしている男に体を抱えられ、涙を流している女は娘だろうか。赤い衣服の先に出ている足はぐにゃっと上のほうに曲がっている。どんな理由かわからないが、これは一家が惨殺される場面。

ドイツ表現主義でもベックマンとグロスが描く絵からは半端ではない衝撃をうける。日本の地獄絵を見るのは好きだから、こういうタイプの絵はもうイイやということはない。この二人の回顧展とか表現主義展にいつか遭遇しないかなと願っている。

シャガールの絵はオマケだったが、これはただのオマケではない。手元にあるTASCHENのシャガール本には‘祝祭日’(1914)も‘バイオリン弾き’(1911)も載っている。ラビの頭にどういうわけか小人のラビが、これって昨日紹介した春信の浮世之介に似てない!

館自慢のクレーは全作品57点のうち27点ある。お気に入りは‘頭も手も足もハートもある’(06/7/4)や‘黒い殿様’やチラシに使われている‘駱駝’。一度みているのでさらっと見て館を出た。

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コメント

こんにちは。

展覧会は行ったら行ったで
何かしら収穫あるので
やめられませんね。

投稿: Tak | 2009.03.03 16:11

to Takさん
この展覧会は川村記念美と同じクレーをまた
展示するのでいい印象を持ってなかったので
すが、ピカソとベックマンにすごいのがあり
ました。見逃さずに済んでよかったです。

投稿: いづつや | 2009.03.03 23:13

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» 「ピカソとクレーの生きた時代」展 [弐代目・青い日記帳 ]
Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の 「20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代 ドイツ、ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館所蔵」展に行って来ました。 お客さんを呼びたいのは分かりますが、このタイトルはどうかな〜「ピカソとクレー展」って……タイトルでこそ対等な感受けますが、内訳はピカソ6点に対しクレー27点。「圧倒的ではないか我が軍クレーは!」 そう実はこの展覧会の主役は、パウル・クレー(1879-1940) だから何も「ピカソとクレー展」な... [続きを読む]

受信: 2009.03.03 16:11

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