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2009.01.23

東博の妙心寺展 

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東博で20日からはじまった‘妙心寺展’を見た。この展覧会、拍手したいことがあるので、まずそのことから。3/1までの会期は前期(1/20~2/8)と後期(2/10~3/1)にわけてある。これは日本美術の展示におけるいつものやり方だが、今回は出品作
219点を通期出ずっぱりのもの、前期あるいは後期に展示されるものですっきり分けている。だから、2回出かけると全作品がみれる。

日本美術の展覧会の場合、所有者の意向もあって前期・後期の日数より短い展示になる作品があるので、全部もらさず見ようとすると3、4回足を運ばなくてはならない。見る側からすると、‘どうしてすっきり分けてくれないのか?国宝でもないのに変則的な展示になるのだったら、その作品は最初からはじいてくれ!’と言いたくなる。

今回は願ったりの展示。察するに、この特別展を企画した東博と京博の両エースが話し合って、これまでの方式をやめて新しい展示でやろうと決断したのだろう。これは07年京博であった‘狩野永徳展’でとられた展示方法と基本的には同じ。

永徳展では期間は1ヶ月ちょっとと短かったが、作品(71点)は2点を除いて展示替えがなく、‘唐獅子図’や‘檜図’、‘洛中洛外図’など有名な名画は一度に全部見れた。これを京博は昨年の‘河鍋暁斎展’でも踏襲。おそらく10年に行われる‘長谷川等伯展’でも同じやり方にするのであろう。この‘永徳方式’が定着することを切に望みたい。

さて、妙心寺展である。このお寺シリーズは全部みているが、‘いつまで続く○○寺展かな!’という感じ。出品されるものはだいたいわかっているから、はじめのほうに展示してある名僧の墨蹟(ぼくせき)、頂相(ちんそう)、九条袈裟、中国陶磁などはさらっと見て、名品の揃った唐絵や日本の水墨画などが展示してある部屋へ心も体も向かっていく。

今回追っかけ作品はとくになかったが、はじめて見る上の狩野元信作、‘瀟湘八景図’(重文、四幅のうちのニ幅、京都・東海庵)に大変魅せられた。左側の斜めの線で表された雨が松岡美で見た橋本雅邦の‘雨中山水図’(拙ブログ08/10/7)とよく似ている。雅邦は元信の絵を参考にしたのかもしれない。

同じ元信の‘四季花鳥図’(重文、八幅、京都・霊雲院)もすばらしい絵。これは京博の平常展でよく見た。明るい白地で余白をたっぷりとっているので、鶴の鳴く姿や空を飛ぶ小鳥が羽根の広げたところなどが実に印象深く目のなかに入っていく。

長谷川等伯は三点ある(一点は後期)。真ん中は代表作のひとつ‘枯木猿猴図’(右、重文、京都・龍泉庵)。いつもこの手長猿の毛の質感描写に釘づけになる。また、藁で鋭く勢いよく描かれた枝にも見入ってしまう。来年の回顧展が待ち遠しくてたまらない。

下は狩野山雪作、‘老梅図襖’(通期展示)。これがメトロポリタン美からやってくることは今年になってから知った。前のチラシには載ってなかったからバタバタと決まったようだ。METを泣き落した?ちなみに、この絵は美術館の図録では近世日本絵画の名品として、光琳の屏風‘八橋図’、‘波図’(大琳派展に出品された)と一緒に紹介されている。

これは現地では三井寺勧学院の書院を参考にしてつくられた部屋の襖になっている。部屋は暗くしてあり、しかも襖は四つの畳の向こうにあるから、単眼鏡でも使わないと細部はよく見えない。だから、今回のように明るい照明の下で間近にみれるのはとても幸運なこと。

この絵で目を惹くのは何といっても老梅の角々曲がったフォルム。勝手に‘垂直美’絵画と呼んでいる。欧米のコレクターはこういう前衛的な雰囲気がする異色の作品にはすぐとびつく。

後期にも気になる絵がいくつかあるので再度出かけるつもり。

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コメント

こんにちは。

メトロポリタンからの作品
初めてこの目で拝見しました。
映像や印刷物とは違い
まるで生き物のような迫力。
後期も行かなくては!

投稿: Tak | 2009.01.24 12:56

to Takさん
山雪という絵師はやはりただものでは
ありませんね。今回その前衛さを明るい光
のもとでしっかりみれたからよかったです。

投稿: いづつや | 2009.01.25 00:34

いづつやさんお久しぶりです!iPhoneからだとうまく投稿できないので、携帯の機能を使います。さて妙心寺、今日行きました!やはり最後の屏風コーナーが圧巻ですね!狩野山楽の凄まじい迫力、メトロポリタンの山雪の襖、堪能しました。白隠の絵もよかったです!図録をみると昭和天皇が揮毫された字も後半に出品されるとか、本当にもう一度行かねばなりませんね、しかし図録重い!

投稿: oki | 2009.01.27 22:24

to okiさん
白隠の絵、実は私も驚きました。追っかけ作品
の龍澤寺の自画像が見れ大喜びです。さらに、
図録に達磨像が載っているのでびっくりしました。

これはこれまで大分の万寿寺から出たことのない
白隠の最高傑作です。残念なことに京博だけの
展示ですが、絶対見逃せないので、京都へでか
けます。

METの山雪の絵はいいですね。後期のお目当
ては狩野元信の水墨画です。

投稿: いづつや | 2009.01.28 12:24

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