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2009.01.22

名画「巨人」はゴヤの作ではなかった!?

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マドリッドにあるプラド美術館は所蔵の名画‘巨人’はゴヤが描いたものではなかったことを明らかにした。‘それ、本当なの!ゴヤ作品のなかにある重たくて狂気的なイメージはこの絵とか「わが子を喰らうサトゥルヌス」でつくられていたのに’と思われた方が多いのではなかろうか。

で、手元にあるゴヤの本や画集に‘巨人’がどういうふうに解説されているか確認してみた。06年11月に出版された‘西洋絵画の巨匠・ゴヤ’(小学館)で著者の大高保二郎氏(早大教授)はこう書いている。‘1812年の財産目録に記載された「巨人、18番」と同定されてきたとはいえ、最近その来歴に疑義が生まれ、様式上ゴヤ以外の手に帰したり、19世紀末の作とみる研究者もいる’。

ゴヤの研究では国際的に高く評価されている大高氏がこう指摘しているくらいだから、この絵の作者がゴヤでない可能性が数年前から大きくなっていたのだろう。プラド美によると、作者はゴヤの弟子、アセンシオ・フリアとのこと。専門家は動物の描写が粗いことなどから、ゴヤの作品ではなくフリアが描いたものと結論づけている。

では、ゴヤはこの絵にまったくタッチしてなかったの?これだけすごい絵を無名の絵描きが自分一人で描けるのだろうか?依然として疑問は残る。いずれ詳細な調査結果がわかるだろう。

< 展覧会情報 >
‘美術の窓’(09年2月号)に今年開催される注目の展覧会が沢山載っており、そのなかに求めていた画家の回顧展があった。いずれも後半(7~12月)に行われるものだが、とても嬉しいのでいくつか紹介したい。

7/11~8/23     小林かいち展        ニューオータニ美
9/5~10/12     英一蝶展          板橋区美
9/12~10/12    20世紀モダンアート展  Bunkamura
10/24~12/23   クリムト・シーレ展     サントリーミュージアム
11/3~12/20    小野竹喬展         大阪市美
11/10~12/23   ロートレック展        Bunkamura
12/11~10年3月  束芋展           横浜美

今、のめり込んでいる小林かいちの作品がまた、ニューオータニでみれる。これは伊香保にあるコレクション。板橋区美が25年ぶりに英一蝶展をやってくれる。長いことこれを待っていた。本当に有難い!小野竹喬の回顧展は10年前、岡山県笠岡市にある竹喬記念館で見た。以来、カラリスト、小野竹喬の絵にぞっこん惚れている。そろそろ、どこかでまた回顧展をやってくれないかと願っていたら、大阪市美が期待に応えてくれた。

Bunkamuraは昨年と連チャンでロートレック展を開催する。今年はアルビにあるロートレック美の館長の企画によるもの。まだみてないロートレック美蔵の絵に期待大。モダンアートはロックフェラーのコレクションというから、これは見逃せない。クリムト・シーレ展は久しぶり。サントリーミュージアム(天保山)はまだ訪問したことがないから、心が動く。若手現代アーティストのなかで最も好きな束芋の大規模な回顧展が横浜美である。とても楽しみ。

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コメント

お世話になっております
日経の夕刊にも報じられておりました
(それでも それなりの美術史家の方々が それこそ筆致やら何やら
過去の作品(標準作?)と ためつすがめつしての上で
画家の作品と結論付けていたでしょうに)

実際 桃山・江戸時代(大雑把なくくりですみません)の
屏風や襖絵など お寺の伝承通りに扱っていたところ
腰をすえて調べてみたら まるで違っていたとか

伝・何某なんていうのが 今でこそ「周辺の画家であろう」
(業界では弟子のことを言うのでしょうか)などと
絵の脇の解説に書かれていたりしますが

こうなると
画家名よりも 絵自体が 観る側の口に合うかどうか 
という気もいたします
それでは ご自愛ご健筆を

投稿: TADDY K. | 2009.01.23 19:19

to TADDY K.さん
こんばんは。
レンブラントとか、カラヴァッジョとか、フェルメールとか
の真贋論争はよく耳にしますが、ゴヤの絵にもあったの
ですね。まったく意外でした。

ゴヤの弟子が一人でこの絵を構想したのでしょうか?
興味は尽きませんね。

西洋画の場合、優秀な専門家が真贋論争にズバッ
と決着をつけますが、日本画の世界には非論理的で
なあなあなところがありますね。

プライス氏が所蔵する‘鳥獣花木図屏風’は素人
がみても下手な絵で若冲の作とはとても思えな
いのに、専門家はこのことがわかっててもプライス
氏に遠慮して、一向にはっきりさせようとしません。
まったくおかしな話で日本画の美術史家の資質を
疑います。西洋画ではありえない話です。

そのくせ、自分が描き方を綿密に鑑定した結果、
‘これは永徳の絵に間違いない!大発見です’とか
‘いままでは岩佐又兵衛の作品ではないと言い張っ
てきたが、今は又兵衛でいいと思っている’とかのた
まうのですから、困っちゃいます。

‘だったら、若冲も早く決着つけてよ!プライス氏の絵
は昔から言われているように若冲の絵では
ないとはっきり言ってよ’と注文をつけたくなります。
このあたりをいつか記事にしようと思ってます。

投稿: いづつや | 2009.01.24 00:54

いづつやさんが取り上げられているゴヤと伊藤若冲の作品について、昨日今日とたまたまネットとテレビで接したので、ちょっと書かせていただきますね。

昨日、『美の巨人たち』で伊藤若冲の『鳥獣花木図屏風』を特集していたのですが、大変興味深く見ました。この作品は、オランダから長崎の出島にもたらされたペルシャ絨毯やモザイクに触発されて若冲が描いたというのです。
部分的模写を試みた東京芸大の教授(画家)によると一日八時間かけて描いても半年もかかる労作だということです。

そして今日ネットで読んだのですがゴヤ作でないとされた『巨人』は、研究者がゴヤの他の作と詳細に比較した結果、またゴヤ作だと結論づけたというのです。この論文はこの4月にスペインの美術専門誌に載せられたそうで、相当説得力のあるもののようです。

まったく真贋の問題は興味がつきませんね!

投稿: ケンスケ | 2013.04.14 22:48

to ケンスケさん
巨人の絵はまたゴヤ真筆説ですか!大高さんあた
りがこの話を解説してくれると助かるのですが、、

若冲の手が入っているとはとても思えないプライス
氏所蔵のモザイク画をまた性懲りもなく取り上げて
いましたね。よくでてくる美術史家が誰も登場しな
かったのが意味深です。東大の佐藤さんに鼻で
笑われるのが嫌なんでしょうね。佐藤さんが何年も
前から主張していることがいい加減な研究となれば、
東大の教授は続けられないでしょう。

若冲を好きになり鑑賞した作品の数がふえると、
このモザイク画が若冲の絵とは違うことはわかり
ます。静岡県美にあるものにまったく触れないで
プライス氏のものばかりとびつくメディアも見識が
ないですね。来週の日曜美術館に辻氏が登場する
のでしょうか?

投稿: いづつや | 2013.04.15 00:51

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