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2009.01.25

感動の加山又造展! その二

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友達づきあいでうまが合う人とそうでない人がいるように、相性のいい画家となかなか縁がない画家がいる。偶然目にした絵がきっかけでそれを描いた画家を知り、その画家の作品をもっと見たいと念じていたとき意外に早く名画が目の前に現われてくるようだと、画家との相性が間違いなくいい。加山又造は自分にとって相性のいい画家。

これまで見た作品にはサプライズがいくつもある。それは加山の作風がいろいろ変わるから。鹿、狼、カラスなどを描いた若い頃の絵は昨日取り上げた琳派風の装飾的で丸っこい絵と違って、対象の鋭角的で垂直的な形態が目立ち、画面から受ける印象はとげとげしく硬い。

当時、この画家に影響を与えたのはラスコーの洞窟画とか、ブリューゲルの風景画、ボッチョーニやバッラら未来派のスピード感のある作品。日本画の素材で絵を描いているが、作品自体は西洋画の構成や描き方が強く出ている。今回、動物画は15点あり、東近美にある有名な絵‘冬’は2/11~3/2に展示される。

加山はこうした絵や日本画の伝統であるやまと絵や琳派の絵を写した装飾美にあふれる絵を沢山描いているが、このほかにも目を釘付けにする写実的な絵がある。今日はその中からお気に入りを3点。
★黒い薔薇の裸婦(1976) : 東近美(上の画像、部分)
★華と猫(1991) : 個人蔵(真ん中)
★風(1974) : 個人蔵(下)

裸婦は今回、この絵のほかに‘習作(黒いレース)’(東近美)や‘はなふぶき’(個人蔵)など5点でている。どれも好きというわけではないが、‘黒い薔薇’と同じ年に描かれた山種美蔵の‘裸婦習作’には魅せられている。若い頃、山種美ではじめて加山の裸婦像を見た時はさすがに心臓がバクバクした。

‘黒い薔薇’もそうだが、加山の描く裸婦群像は皆正面向きで、軽やかに動きエロティシズムをふりまいている。頭がくらくらするような美形ではないが、白い肌に浮かびあがる青のアイシャドーと赤い口紅やマニキュアはセンスのいいファッションモデルをイメージさせる。

又造の奥さんは猫が大好きだったので、家には何匹も飼っていた。‘華と猫’は3点ある猫の絵の一枚。茶色の地に左に白牡丹、真ん中に後ろを振り返り青い蝶をみている猫を描いている。いつも目を奪われるのが白の花弁の輝きと猫のふさふさした毛の質感。細かい木の枝とか動物の毛、鳥の羽根を描かせたら、速水御舟、小茂田青樹、加山又造の3人に敵う者はいない。とにかくその精緻な描写力は神業的!

加山の猫の絵はどのくらいの値がついているのか?07年9月、国内であったオークションでは‘猫ト牡丹’が1億5千万円で落札されている。この画家の人気は本当にすごい!

白鷺の絵でお気に入りは加山のこの‘風’と山口蓬春作、‘水田’(拙ブログ08/10/26)。鳥の絵ではほかに鶴を描いたのが2点あるが、鶴なら川村記念美にある‘円舞(鶴舞)’(06/1/16)が一番いい。

今回を含め3回あった回顧展のいずれにも‘円舞’は出品されなかった。これほどの名品なのになぜ?依頼したのにNGだったのか、はじめから断られることがわかっているから申し入れしなかったのか?そのあたりの事情はわからないが、残念なことではある。

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