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2009.01.10

サントリー美術館の蒔絵展に大感激!

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サントリー美の‘蒔絵展’(08/12/23~09/1/26)は収穫の多い展覧会だった。京博&サントリー美がタッグを組んで行うのだから、レベルは高いだろうと予想していたが、それ以上の内容だった。

サブタイトルは‘宮殿を飾る東洋の燦めき’。フランス王妃マリー・アントワネットやザクセン公アウグスト強王らヨーロッパの王侯貴族を夢中にさせた日本の漆工芸のことは知識としては頭に中に入っており、実際にウイーンのシェーンブルン宮殿の‘漆芸の間’などを見たことがある。

だから、調度品や飾り物に施された蒔絵には一応目慣らしはできている。でも、こういうガイドさんの後をついていくような見学だと、一点々をそれほどじっくりはみないから、宮殿を出て次の名所へ行くころにはその印象は消えてることが多い。欧州でみる蒔絵の印象はこんな風なのだが、今回海外からやってきたもののなかには大げさにいうと腰を抜かすくらいすばらしいのがあった。もう大感激!

作品283点のうち前期(12/23~1/12)ないし通期展示されるのは240点で、43点は後期(1/14~1/26)のみの展示。国宝は全部で4点(後期1点)。これほどあるとは思わなかった。

上は長らく追っかけていた‘宝相華迦陵頻伽蒔絵攓冊子箱’(仁和寺)。これは空海が在唐中に経典や儀軌類を書き写した冊子(三十帖冊子)を納めるためにしつらえられたもので、延喜19年(919年)につくられた。すばらしい文様を息を呑んで見た。

黒漆面の真ん中に金の研出蒔絵で銘文が書かれ、その周囲を取り囲むように金銀粉で奏楽の迦陵頻伽(かりょうびんが)、宝相華、蝶、霊之雲などの文様が対称的に描かれている。その流れるような柔らかいフォルムに目が釘づけになる。延暦寺にある同じく国宝の‘宝相華蒔絵経箱’(後期)もまだ見てないので、また出向くことになりそう。

真ん中は螺鈿装飾を興味深くみた‘IHS花入籠目文蒔絵螺鈿書見台’。これは南蛮漆器の一つ。今回、日本にやってきた宣教師が布教に使うために注文した宗教用具や本国へもちかえった書箪笥や洋櫃などの家具が沢山でている。蒔絵や螺鈿で隙間なく描かれた文様を目をこらしてみていた。

サプライズの作品は次の紅毛漆器のコーナーにある。夢中になって見たのが下の‘マゼラン公爵家の櫃’。ヴィクトリア&アルバート美は次回のロンドン旅行で訪問することにしているが、ここにこんなすばらしい蒔絵があったとは!

一番びっくりしたのが波頭とか波動の精緻な描写。波そのものは小さく描かれているが、その立体的でダイナミックな動きに感激する。また、戸板の木目の質感描写にも手抜きがない。さらに金の薄板や彫金象嵌の盛り上がりにも目を奪われる。もう一点、‘マリア・ファン・ディーメンの箱’(ヴィクトリア&アルバート)にも頭がくらくらする。

こういう高い技術を要する蒔絵を平戸のオランダ商館長が注文し、ヨーロッパへ輸出していたのである。この2点と遭遇したのは生涯の思い出になる。京博&サントリー美に拍手々!

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コメント

こんばんは。

京博とサントリーがタッグを組むと
これだけ充実した展覧会が出来るのですね。
いやーーー想像以上に凄い展覧会でした。
里帰り蒔絵もたっぷり。

二度目に伺った時はかなり混雑していました。

投稿: Tak | 2009.01.16 18:00

to Takさん
ヴィクトリア&アルバート美蔵の2点にびっくり
仰天ですね。釘付けになってみました。本当に
すばらしいです。来週、延暦寺の国宝経箱を見に
行きます。

投稿: いづつや | 2009.01.16 23:16

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サントリー美術館で開催中の 「japan 蒔絵―宮殿を飾る 東洋の燦めき―」展に行って来ました。 「japan」と英和辞書を引けば「漆」「漆器」の意味で載っている通り、 漆器は西洋では日本を代表する工芸品として知られています。 が、しかし、更谷富造氏がこちらの著書で嘆いていらっしゃる通り、「漆」=「japan」というイメージは少なくとも明治まで。近代化の名のものとに急激な欧米化を図った日本には、もう良質の漆さえも採取できなくなったばかりか、海外に流出した蒔絵を修復できるプロも... [続きを読む]

受信: 2009.01.16 17:59

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