松岡美術館の美人画展
白金台にある松岡美ではじまった‘美人画展’(1/6~4/19)を見た。ここにある近代日本画家が描いた美人画は3年くらい前にも展示されたので、出品作の大半は鑑賞済み。それなのに出かけたのは、前回の展示になかった鏑木清方の絵がどうしても見たかったから。いわゆる‘一点買い’。
美人画というとまずは上村松園の作品をとりあげたいところだが、チラシに使われている‘春宵’はそれほど心に響かない。お気に入りは関西の女流画家、伊藤小坡(いとうしょうは)が描いた‘麗春’(上の画像)。小坡の美人画を見た経験はこの美術館にある5点プラス数点のみ。関心の薄い画家だが、この絵にはすごく魅せられている。
八重桜の枝の下、小姓に傘をさしてもらっている娘の顔は鏑木清方が描く女性によく似ており、目を少し丸くするとフィギュアスケートの浅田真央ちゃんとうりふたつ。女人の麗しい花見姿が桃山の風俗画を思い起こさせ、とても晴れやかな気分になる。
真ん中の絵が‘一点買い’の鏑木清方作、‘蛍’。一体どこに蛍は描かれているの?ぱっと見るとわからないが、じっくり見ていると女性が左手で持ち上げた着物の袂のところにいることに気づく。女性の描き方をみると、清方は浮世絵師、鈴木春信の絵が好きだったことがよくわかる。着物には笹舟が、また帯にも笹の葉が描かれている。清方の作品はほかに‘春の海’など3点ある。
前回は伊東深水の絵が4,5点でていたのだか、今回は下の‘仕舞熊野’(しまいゆや)だけ。なかなかいい絵で、前と同様、息を呑んでみた。目に焼きつくのがショートカットの髪形と扇子をもつ右手の下に垂れる振袖。仕舞は能面、装束をつけずに仕舞扇だけを持ち、一人で舞う能のこと。
展示作品は全部で20点と少ないが、安田靫彦の大作‘羅浮仙女’とか橋本明治の‘舞扇’、梶原緋佐子の‘白川路’などの名品もあるから、大きな満足が得られた。
<09年前半展覧会プレビューの更新>
次の展覧会を追加しました。
1/2~3/15 追憶の羅馬展 大倉集古館
1/6~3/22 日本の民画ー大津絵・泥絵 日本民藝館
2/4~2/16 絹谷幸二展 横浜高島屋
2/7~3/29 アジアとヨーロッパの肖像 神奈川県歴博
3/14~4/9 平泉ーみちのくの浄土ー 世田谷美
3/18~3/30 東本願寺展 日本橋高島屋
3/31~6/14 棟方志功展 日本民藝館
5/20~6/1 片岡球子展 日本橋高島屋
6/29~9/21 海のエジプト展 パシフィコ横浜
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