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2009.01.31

福澤諭吉展のやきもの

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東博の表慶館で現在、福澤諭吉展(1/10~3/8)が行われている。ものにはついでということがあるから、‘妙心寺展’を見たあと入館した。

この展覧会を知ったとき、ひそかに期待したのは慶応大学が所蔵している浮世絵コレクション。このなかに菱川師宣や鈴木春信のいい絵があり、ずっと追っかけているのだが、ひょっとして夢が叶うかなと思った。が、これはここでは実現せず、別の美術館で公開されることがわかった。

三井記念美がそのものズバリ、‘高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展’(9/19~
11/23)を開催する。浮世絵本に載っているのはおそらくこの高橋コレクションなのだろう。すごく楽しみ。

で、この福澤諭吉展はとくに見たいものがあるわけではない。だから、出品リストを見て最後の展示コーナー、‘福澤門下生による美術コレクション’へ急いだ。やきものの名品が予想以上にあった。

福澤諭吉が開いた慶応義塾は著名な政治家、財界人、実業家、芸術家、小説家、文人を数多く輩出している。そういう人たちが皆が皆、美術品のコレクターということはないだろうが、古美術品の蒐集にはそれ相応の資金力がいるから、目の前にあるすばらしい美術品が慶大出身の経済人らが心血を注いで集めたものであることは容易に理解できる。

美術館が所蔵するもの、個人蔵となっているもの、いろいろある。上は4度目の対面となる国宝の‘秋草文大壺’(渥美窯、12世紀、平安時代)。これは日吉にある大学の構内から出土したもの。存在感のある見事な壺で、陰刻された大きなすすきをみていると自然に秋の情景が思い起こされる。

真ん中は東博蔵の‘志野茶碗 銘 橋姫’。定期的に平常展に展示される定番の志野である。銘は源氏物語、宇治十帖の橋姫の巻に由来し、胴に描かれた太鼓橋を宇治橋に見立てている。

これは松永耳庵が所蔵していたものだが、松永コレクションはほかにも‘大井戸茶碗 銘 有楽’(東博、拙ブログ08/5/30)などが見られる。本阿弥光悦の‘黒茶碗 銘 七里’(五島美、05/6/1)があるのは五島昇氏が慶応の出身だから。

MOAから3点でており、下は野々村仁清の名品‘色絵金銀菱文茶碗’(重文)。右の銀菱の茶碗に左の金菱の茶碗が納まる、入子の重茶碗。はじめてこれと対面したとき、その現代アーティストの感性をも刺激する菱文に仰天した。これを献上された東福門院も目を輝かせてながめたにちがいない。

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2009.01.30

もう一度見たい台北故宮の名品!

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二日前の新聞に北京と台北の故宮博物院が今後交流を活発にしていくという記事が載っていた。この秋、台北で行われる清朝・雍正帝の特別展には北京の収蔵品が展示されるという。

台北の故宮は昨年大改築が終了し、展示の仕方が大幅に変わったというので久し振りに訪問しようと思っていたところ。で、今この交流展目当てで80%台湾を旅行する気になっている。

北京観光で紫禁城のなかは見たが、博物院には入ってない。普通のツアーではここは見学しないから、お宝の具体的なイメージがない。でも、昨年江戸東博で王義之の有名な書をみたように、中国文化を代表する文物が沢山ある(約150万点)のだから、一度はじっくり見てみたい。

現在、北京ツアーで故宮が組み込まれているものがあるのだろうか?その可能性はなさそうだから、紫禁城をぐるぐるまわるとき、いつもの手でそこから離れて別行動で博物院をみるしかないかもしれない。

台北の故宮は92年、訪問した(上の写真はその頃のもの)。17年前だから、どこをどう入って、どう回ったかはすっかり忘れている。美術品(約65万点)が展示してあるのは右の建物だったはずだが。

当時関心があったのはやきものと事前に情報を仕入れていた翡翠や象牙の置物とか小さな胡桃をくりぬいてつくった珍玩。だから、書とか水墨画なども見たことはみたが、感激の度合はやきものなどに比べる小さすぎるほど小さかった。当時は美の壺をまったく知らないから、まさに‘猫に小判、豚に真珠’。

真ん中は息を呑んでみた‘黄地粉彩瓶’(清時代、乾隆窯)。‘中国陶磁を見るならまず故宮へ行け!’といわれる通り、ここには一級の名品がずらっと揃っている。やきものの鑑賞でこれほど感激したことはほかにない。やはり本場のやきものはすごい!

これと同じくらい興奮したのが下の翡翠の置物‘翠玉白菜’(清時代、光緒帝)。故宮へ行かれた方は誰もがこの翡翠の白菜にびっくりされるのではなかろうか。こういう緑と白がうまい具合にまじりあった翡翠をみつけてそれを何年もかけては白菜のかたちに彫っていくのだから、もう神業的!

しかも、緑色のところにはキリギリスまで彫られているのだから参る。ホータン玉の名品もいくつもあるのだが、白菜の印象が強すぎて、どれを見たか覚えてない。

今度故宮へ出かける際、必見リストのなかに貼り付けておきたいのは水墨山水画。例えば、郭熙の‘早春図’、范寛の‘谿山行旅図’(ともに北宋)、夏珪の‘渓山清遠’(南宋)、黄公望の‘富春山居’(元)など。また、書についても、名品がどっとあるのだから、それらにすこしでも近づけるように情報収集のピッチを上げようと思っている。

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2009.01.29

東博浮世絵エンターテイメント! 北斎・春信・歌麿

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東博の浮世絵コーナーに現在展示してある作品の展示期間は1/14~2/8。いつものように30点くらい。

北斎の絵、5点にうち‘信州諏訪湖水氷渡’ははじめてみた。ここの浮世絵を欠かさず見続けているのはこういうサプライズの作品と遭遇するから。

上は‘おしをくりはとうつうせんのづ’。どこかで見たことがある?そう、あの有名な‘冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏’とそっくり。‘冨嶽三十六景’を描く25年くらい前に、北斎の頭のなかには‘神奈川沖浪裏’のイメージがすでに出来上がっていたのである。

この絵と一緒に飾ってある‘たかはしのふじ’はひびの入った額縁風の枠をもった洋風の風景画シリーズ。ほかに‘よつや十二そう’など3点ある。感心するのが北斎ならではのダイナミックな構成。大胆にデフォルメされた波頭はまるで海に住むお化けのようで、小さな船はその荒ぶるパワーに翻弄されっぱなし。北斎は同じころもう一枚、この絵を反転した‘賀奈川沖本杢之図’を描いている。

前回、姿を見せなかった春信は真ん中の‘見立半托迦’、そして歌麿は下の‘針仕事’など4点。春信、歌麿はここの定番作品だから、やはり目の中にいれないと落ち着かない。‘見立半托迦’はインパクトのある絵。縁先に座っている女が手にする鉢から勢いよく龍が飛び出ている。なんだか、マジックをみている感じ。

春信が描く絵には市井の日常生活を中国や日本の古典文学、仏教の話に見立てたものが多いが、歌麿はそういう教養はとっぱらって、江戸の町にたくましく生きる女性たちの姿を美しく、かつなまめかしく描いた。

‘針仕事’は代表作のひとつ。描かれているのは町屋の奥座敷の情景。真ん中にいるのがこの店のおかみさんで、右手の娘と紅しぼりの寸法をはかっているところ。前で男の子が鏡で猫をからかっている。‘おい、ポン子、強い猫がいるぞ、喧嘩してみる?’。昔も今も子供のやることは変わらない。

左では針箱をわきに置いた年若い母親が腹がけひとつの子供にまとわりつかれながら、絽(ろ、絹織物のひとつで、夏の薄い和服地)をかかげている。

もう一点、大好きな絵があった。以前紹介した宮川長春作、‘風俗図巻’(拙ブログ07/1/31)。踊り子の足をあげるポーズが決まっている!また見惚れてしまった。一度見た絵に再会するケースがだんだん増えてきた。

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2009.01.28

長谷雄草紙はおもしろい!

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永青文庫で開催中の‘源氏千年と物語絵’(1/10~3/15)を見た。お目当ては修復が終わり、5年ぶりに公開される‘長谷雄草紙’(重文、鎌倉時代、上の画像)。この説話絵巻には前から関心があったので‘一点買い’の腹づもりで出かけた。

展示室は広くないため、絵巻は一度に全部みれず、部分だけ。会期中に巻替えされ、全場面がみれることになっている。展示してあったのは上の場面。

これは怪奇物語を絵画化したもの。主人公は平安時代に実在した紀長谷川(きのはせお)という文人、漢学者。ある夕暮れ、内裏に参上する支度をしていたら、屋敷に男がやってきて‘あなたと双六(今の碁みたいなもの)をしたい’という。長谷雄は何かしっくりこなかったが、男の後をついていく。その場面が上。

右の束帯姿が長谷雄で、隣にいるのが双六がしたいという男(実は鬼)。男が手で指し示しているほうをみると、車に繋がれた猿と親子が戯れている。その後ろの家にはでっぷり肥った男が床に座り、これを見ている。生き生きと描かれた市井の様子は洛中洛外図と変わりない。

二人は朱雀門の上の部屋にあがり、双六をはじめる。男は‘負けたら美女をさしあげる’と言う。‘そちらが、美女なら、私は持っているお宝だ’と長谷雄。長谷雄がどんどん勝っていくと、男の顔が鬼に変身!(真ん中の右)。長谷雄は気をおちつかせ、必死に打ち、勝利をおさめる。

後日、男は約束通り、絶世の美女を連れてくる。‘あら、嬉しや、本当かい!’‘でも、旦那、あせっちゃーいけませんよ。100日たってから、懇意にしてくださいよ’と男は言い残して去る。が、長谷雄は80日は我慢したが、もういいだろうと女と契ってしまう。すると、女は水になって流れ去ってしまった。これが下の場面。

美女は実は鬼が死者の美しい肉体を集めてつくった人造人間。100日経てば魂が定まって本物の人間になるはずだったのである。

ギリシャ神話にも似たような話がある。楽人、オルフェウスが妻のエウリュディケを永遠に失ったのも冥界の王、ハデスと交わした約束を破ったから。

蛇に噛まれて命を落とした妻をあまりに嘆げ悲しむオルフェウスに心を揺すぶられたハデスは‘エウリュディケは生者の国に帰れるようにしてやろう。でも、条件がある。妻の手を引いていくとき、生者の国に着くまで後ろを振りかえってはならぬ’とつげる。

オルフェウスは魔がさしたのか誘惑に負けてしまう。あとすこしで地上だというのに不安に襲われ、妻がいるかどうか確かめようと振り返った。たちまち、エウリュディケは跡形もなく消えた。

ほかの作品で足が止まったのは再会した今村紫紅作、‘三蔵法師’(真ん中)とはじめて見る中村岳陵の‘魔女’(下)。以前、ここで見た岳陵の‘麻耶夫人’(拙ブログ05/9/28)に魅せられたが、悟りを求める釈迦を惑わす天女を描いた‘魔女’にもKOされた。二つも収穫があれば満足々。

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2009.01.27

japan 蒔絵展 その二

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昨日で終了したサントリー美の‘蒔絵展’の後期出品作も目を存分に楽しませてくれた。メインのお目当ては初見の国宝‘宝相華蒔絵経箱’(延暦寺)だったが、前期、
200%感動した‘マザラン公爵家の櫃’(ヴィクトリア&アルバート美、拙ブログ1/10)をまた見たり、ほかの展示替え作品をゆっくり味わったから、館を出るときは満ち足りた気分だった。

上はサントリー美自慢の国宝‘浮線綾蒔絵螺鈿手箱’。螺鈿蒔絵の名品を夢中になって見てしまうのはうす緑とピンクの輝きがえもいわれぬほど美しいから。とくにこれと畠山記念美にある‘蝶螺鈿蒔絵手箱’、東博の‘片輪車蒔絵螺鈿手箱’(ともに国宝、拙ブログ07/11/6)のキラキラ度はとびぬけていい。

鎌倉時代に作られた優品としてはこの3点のほかにもう一点、三嶋大社が所蔵する‘梅蒔絵手箱’(国宝)がある。残念ながらまだ縁がない。どんな輝きだろうか?いつか見てみたい。

今回、高台寺蒔絵が全部で12点出ている。3年前、高台寺を訪れ長年の夢だった秀吉と高台院(ねね)を祀る霊屋の内装に施された蒔絵装飾(06/1/28)を鑑賞した。だから、真ん中の‘秋草菊桐紋蒔絵湯桶’(重文、高台寺)にもすこし目が慣れている。

背景の漆黒とスッキリ描かれた秋草、菊の金のコントラストがとても印象的。モティーフのほとんどが秋草、菊、桐。前期に出ていた‘松竹菊桐蒔絵懸盤’(重文、高台寺)はいわゆる肩身替のデザイン。盤の斜め半分に松竹&鶴亀、そしてもう半分に菊、桐を描く構成がおもしろい。桃山時代のころ、やきもの、染織などで新しい意匠が生まれたから、蒔絵の文様にもそれが取り入れられている。

南蛮漆器のコーナーで目が点になるのが櫃の表面を貝殻で覆った‘貝貼小洋櫃’(サントリー美)。前期にあったのと同様、長く記憶にとどまるだろう。

ヨーロッパの王宮観光、例えばベルサイユ宮殿とかウィーンのシェーンブルン宮殿の中をぐるぐるまわると、必ずお目にかかるのが下のような家具。これはパリの家具職人が手がけた引出し箪笥、‘楼閣山水蒔絵コモド’(ヴィクトリア&アルバート美)で18世紀中ごろの作。絵柄とマウントの金に最初は視線がいくが、じっとみていると金の輝きを引き立てている漆黒にも惹きつけられる。

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2009.01.26

日本一の石段は金刀比羅宮!

3181/20の朝日新聞に‘日本一の石段’について聞いたアンケート結果が載っていた。

ベスト10にこれまで行ったところがいくつも入っており、実際に体験した石段の長さ、キツさを思い起こすことができたので、その順位がとても興味深い。

回答総数8401人(複数回答)の結果は以下の通りだが、1位は文句なしに香川の金刀比羅宮(左の写真)、これに山寺・立石寺、日光東照宮・奥院が続く。

1位  金刀比羅宮(香川)     2777人
2位  山寺・立石寺(山形)     1617人
3位  日光東照宮・奥院(栃木)  1230人 
4位  三寧坂(京都)        1135人
5位  熊野那智大社(和歌山)   938人
6位  姫路城(兵庫)         863人
7位  尾道・千光寺公園(広島)   860人
8位  知恩院(京都)         810人
9位  室生寺・奥院(奈良)      795人
10位  羽黒山(山形)         776人

金刀比羅宮の石段を登りきるまで何分かかったかもう忘れたが、とても疲れたことだけはよく覚えている。本宮まで785段あるから、途中で少し休まないととても登れない。かごにのっているお年寄りは楽だが、これを担いでいる人は相当キツイだろう。この石段かご(365段目の大門まで)のお値段は上り5300円、下り3200円、往復なら
6800円だそうだ。

山寺の石段には辛い思い出がある(拙ブログ05/6/28)。05年6月、ここを訪れたとき体調がすぐれず、脈拍数が普通よりかなり上がっていたので、長い石段が本当にキツかった。隣の方のうしろをふーふー言いながらついていくわが身をこのときほど情けなく思ったことはない。あとで病院に行ったら、医師から‘この脈拍数でよく山寺の石段が登れましたね?相当キツかったでしょう!’と言われた。

日光東照宮は3回訪問しているが、いつも左甚五郎が彫った‘眠り猫’をみるだけで、その先の奥院までは登ってない。三寧坂もまだ。名前は聞いたことがあるが、京都のどこにあるのだろう?

映画監督、大林宣彦さんの故郷、尾道は石段の街。しかもその石段はかなり急。尾道の一番の思い出はやはり千光寺公園からながめる瀬戸内海。そのすばらしい景色が今でも目に焼きついている。

羽黒山の石段を沢山上ったという記憶があまりなく、200%感動した国宝の五重塔(05/11/10)で頭のなかは占領されている。雪の積もった五重塔はさぞかし美しいことだろう。

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2009.01.25

感動の加山又造展! その二

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友達づきあいでうまが合う人とそうでない人がいるように、相性のいい画家となかなか縁がない画家がいる。偶然目にした絵がきっかけでそれを描いた画家を知り、その画家の作品をもっと見たいと念じていたとき意外に早く名画が目の前に現われてくるようだと、画家との相性が間違いなくいい。加山又造は自分にとって相性のいい画家。

これまで見た作品にはサプライズがいくつもある。それは加山の作風がいろいろ変わるから。鹿、狼、カラスなどを描いた若い頃の絵は昨日取り上げた琳派風の装飾的で丸っこい絵と違って、対象の鋭角的で垂直的な形態が目立ち、画面から受ける印象はとげとげしく硬い。

当時、この画家に影響を与えたのはラスコーの洞窟画とか、ブリューゲルの風景画、ボッチョーニやバッラら未来派のスピード感のある作品。日本画の素材で絵を描いているが、作品自体は西洋画の構成や描き方が強く出ている。今回、動物画は15点あり、東近美にある有名な絵‘冬’は2/11~3/2に展示される。

加山はこうした絵や日本画の伝統であるやまと絵や琳派の絵を写した装飾美にあふれる絵を沢山描いているが、このほかにも目を釘付けにする写実的な絵がある。今日はその中からお気に入りを3点。
★黒い薔薇の裸婦(1976) : 東近美(上の画像、部分)
★華と猫(1991) : 個人蔵(真ん中)
★風(1974) : 個人蔵(下)

裸婦は今回、この絵のほかに‘習作(黒いレース)’(東近美)や‘はなふぶき’(個人蔵)など5点でている。どれも好きというわけではないが、‘黒い薔薇’と同じ年に描かれた山種美蔵の‘裸婦習作’には魅せられている。若い頃、山種美ではじめて加山の裸婦像を見た時はさすがに心臓がバクバクした。

‘黒い薔薇’もそうだが、加山の描く裸婦群像は皆正面向きで、軽やかに動きエロティシズムをふりまいている。頭がくらくらするような美形ではないが、白い肌に浮かびあがる青のアイシャドーと赤い口紅やマニキュアはセンスのいいファッションモデルをイメージさせる。

又造の奥さんは猫が大好きだったので、家には何匹も飼っていた。‘華と猫’は3点ある猫の絵の一枚。茶色の地に左に白牡丹、真ん中に後ろを振り返り青い蝶をみている猫を描いている。いつも目を奪われるのが白の花弁の輝きと猫のふさふさした毛の質感。細かい木の枝とか動物の毛、鳥の羽根を描かせたら、速水御舟、小茂田青樹、加山又造の3人に敵う者はいない。とにかくその精緻な描写力は神業的!

加山の猫の絵はどのくらいの値がついているのか?07年9月、国内であったオークションでは‘猫ト牡丹’が1億5千万円で落札されている。この画家の人気は本当にすごい!

白鷺の絵でお気に入りは加山のこの‘風’と山口蓬春作、‘水田’(拙ブログ08/10/26)。鳥の絵ではほかに鶴を描いたのが2点あるが、鶴なら川村記念美にある‘円舞(鶴舞)’(06/1/16)が一番いい。

今回を含め3回あった回顧展のいずれにも‘円舞’は出品されなかった。これほどの名品なのになぜ?依頼したのにNGだったのか、はじめから断られることがわかっているから申し入れしなかったのか?そのあたりの事情はわからないが、残念なことではある。

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2009.01.24

感動の加山又造展! その一

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近代日本画家のなかでは最も好きな加山又造(1927~2004)の回顧展が国立新美ではじまった。会期は1/21~3/2。

又造が04年に亡くなってからこの4年の間に開催された3度の回顧展(拙ブログ05/6/16)はいずれも出かけ、この天才画家の代表作はかなり見ているので、出品作
(108点)は再会するものが多い。加山又造の絵を見るのは東山魁夷と一緒で何度みても感激する。プラス、期待していた追っかけ作品が数点含まれてたので気分は最高!お陰で画集に載っている作品の9割が鑑賞済みになった。

お気に入りの作品が多く一回では書き足りないので、2回にし、数点ある展示替えで再度訪問したときにもう一度書きたい。最初に取り上げるのは次の3点、
★千羽鶴(1970) : 東近美(上の画像)
★雪(1978) : 東近美(真ん中)
★月光波濤(1979) : 個人蔵(下)

華麗な装飾美を目いっぱい感じさせてくれる‘千羽鶴’(左隻、1/21~2/16)は一緒に展示してある‘春秋波濤’(1966、東近美、07/2/20)、‘雪月花’(1967、個人蔵、06/3/11)とともに大好きな絵。‘千羽鶴’を見られた方は誰もが光悦&宗達作、‘鶴下絵三十六歌仙和歌巻’(重文、京博、08/10/9)を連想するだろう。琳派のDNAは抱一、其一で終わったのではなく、現代琳派の絵師ともいうべき加山又造にしっかり受け継がれている。

自然の美しい造形を様式化して象徴的に表現する日本画のなかでも、加山がとくに惹かれたのが大阪の金剛寺にある‘日月山水図屏風’(07/9/10)。‘春秋波濤’と‘雪月花’では、これをただ写すのではなく、様式化した波文をトポロジー感覚で描き、平板な山のフォルムと完璧に融合させた。これぞ現代の感性にフィットした又造流‘日月山水図’。そのすばらしさに言葉を失う。

三部作‘雪月花’の‘雪’も心を揺すぶる。これは美しい料紙とかな文字が心を虜にする‘西本願寺三十六人家集’(国宝、08/5/25)を写しており、洗練された抽象日本画の世界に誘ってくれる。長いことこの大作を待っていたがやっと見れた。言うことなし!はじめて見る絵では‘天の川’(1970)にもグッと惹きこまれる。左上から斜めに緑の野原と草花を描く画面構成は宗達の抽象的な絵‘蔦の細道図屏風’を彷彿とさせる。

加山の水墨画でぞっこんなのが‘月光波濤’。岩にぶち当たって砕け散る波しぶきの描写がすごい。何時間でも絵の前にいたくなる。これは次の絵とともに水墨画の記念碑的な作品である。
★横山大観の‘生々流転’(1923):東近美
★横山操の‘越路十景’(1968):山種美
★東山魁夷の‘灕江暮色’(1978):長野県東山魁夷館
★王子江の‘雄原大地’(1996):茂原市美

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2009.01.23

東博の妙心寺展 

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東博で20日からはじまった‘妙心寺展’を見た。この展覧会、拍手したいことがあるので、まずそのことから。3/1までの会期は前期(1/20~2/8)と後期(2/10~3/1)にわけてある。これは日本美術の展示におけるいつものやり方だが、今回は出品作
219点を通期出ずっぱりのもの、前期あるいは後期に展示されるものですっきり分けている。だから、2回出かけると全作品がみれる。

日本美術の展覧会の場合、所有者の意向もあって前期・後期の日数より短い展示になる作品があるので、全部もらさず見ようとすると3、4回足を運ばなくてはならない。見る側からすると、‘どうしてすっきり分けてくれないのか?国宝でもないのに変則的な展示になるのだったら、その作品は最初からはじいてくれ!’と言いたくなる。

今回は願ったりの展示。察するに、この特別展を企画した東博と京博の両エースが話し合って、これまでの方式をやめて新しい展示でやろうと決断したのだろう。これは07年京博であった‘狩野永徳展’でとられた展示方法と基本的には同じ。

永徳展では期間は1ヶ月ちょっとと短かったが、作品(71点)は2点を除いて展示替えがなく、‘唐獅子図’や‘檜図’、‘洛中洛外図’など有名な名画は一度に全部見れた。これを京博は昨年の‘河鍋暁斎展’でも踏襲。おそらく10年に行われる‘長谷川等伯展’でも同じやり方にするのであろう。この‘永徳方式’が定着することを切に望みたい。

さて、妙心寺展である。このお寺シリーズは全部みているが、‘いつまで続く○○寺展かな!’という感じ。出品されるものはだいたいわかっているから、はじめのほうに展示してある名僧の墨蹟(ぼくせき)、頂相(ちんそう)、九条袈裟、中国陶磁などはさらっと見て、名品の揃った唐絵や日本の水墨画などが展示してある部屋へ心も体も向かっていく。

今回追っかけ作品はとくになかったが、はじめて見る上の狩野元信作、‘瀟湘八景図’(重文、四幅のうちのニ幅、京都・東海庵)に大変魅せられた。左側の斜めの線で表された雨が松岡美で見た橋本雅邦の‘雨中山水図’(拙ブログ08/10/7)とよく似ている。雅邦は元信の絵を参考にしたのかもしれない。

同じ元信の‘四季花鳥図’(重文、八幅、京都・霊雲院)もすばらしい絵。これは京博の平常展でよく見た。明るい白地で余白をたっぷりとっているので、鶴の鳴く姿や空を飛ぶ小鳥が羽根の広げたところなどが実に印象深く目のなかに入っていく。

長谷川等伯は三点ある(一点は後期)。真ん中は代表作のひとつ‘枯木猿猴図’(右、重文、京都・龍泉庵)。いつもこの手長猿の毛の質感描写に釘づけになる。また、藁で鋭く勢いよく描かれた枝にも見入ってしまう。来年の回顧展が待ち遠しくてたまらない。

下は狩野山雪作、‘老梅図襖’(通期展示)。これがメトロポリタン美からやってくることは今年になってから知った。前のチラシには載ってなかったからバタバタと決まったようだ。METを泣き落した?ちなみに、この絵は美術館の図録では近世日本絵画の名品として、光琳の屏風‘八橋図’、‘波図’(大琳派展に出品された)と一緒に紹介されている。

これは現地では三井寺勧学院の書院を参考にしてつくられた部屋の襖になっている。部屋は暗くしてあり、しかも襖は四つの畳の向こうにあるから、単眼鏡でも使わないと細部はよく見えない。だから、今回のように明るい照明の下で間近にみれるのはとても幸運なこと。

この絵で目を惹くのは何といっても老梅の角々曲がったフォルム。勝手に‘垂直美’絵画と呼んでいる。欧米のコレクターはこういう前衛的な雰囲気がする異色の作品にはすぐとびつく。

後期にも気になる絵がいくつかあるので再度出かけるつもり。

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2009.01.22

名画「巨人」はゴヤの作ではなかった!?

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マドリッドにあるプラド美術館は所蔵の名画‘巨人’はゴヤが描いたものではなかったことを明らかにした。‘それ、本当なの!ゴヤ作品のなかにある重たくて狂気的なイメージはこの絵とか「わが子を喰らうサトゥルヌス」でつくられていたのに’と思われた方が多いのではなかろうか。

で、手元にあるゴヤの本や画集に‘巨人’がどういうふうに解説されているか確認してみた。06年11月に出版された‘西洋絵画の巨匠・ゴヤ’(小学館)で著者の大高保二郎氏(早大教授)はこう書いている。‘1812年の財産目録に記載された「巨人、18番」と同定されてきたとはいえ、最近その来歴に疑義が生まれ、様式上ゴヤ以外の手に帰したり、19世紀末の作とみる研究者もいる’。

ゴヤの研究では国際的に高く評価されている大高氏がこう指摘しているくらいだから、この絵の作者がゴヤでない可能性が数年前から大きくなっていたのだろう。プラド美によると、作者はゴヤの弟子、アセンシオ・フリアとのこと。専門家は動物の描写が粗いことなどから、ゴヤの作品ではなくフリアが描いたものと結論づけている。

では、ゴヤはこの絵にまったくタッチしてなかったの?これだけすごい絵を無名の絵描きが自分一人で描けるのだろうか?依然として疑問は残る。いずれ詳細な調査結果がわかるだろう。

< 展覧会情報 >
‘美術の窓’(09年2月号)に今年開催される注目の展覧会が沢山載っており、そのなかに求めていた画家の回顧展があった。いずれも後半(7~12月)に行われるものだが、とても嬉しいのでいくつか紹介したい。

7/11~8/23     小林かいち展        ニューオータニ美
9/5~10/12     英一蝶展          板橋区美
9/12~10/12    20世紀モダンアート展  Bunkamura
10/24~12/23   クリムト・シーレ展     サントリーミュージアム
11/3~12/20    小野竹喬展         大阪市美
11/10~12/23   ロートレック展        Bunkamura
12/11~10年3月  束芋展           横浜美

今、のめり込んでいる小林かいちの作品がまた、ニューオータニでみれる。これは伊香保にあるコレクション。板橋区美が25年ぶりに英一蝶展をやってくれる。長いことこれを待っていた。本当に有難い!小野竹喬の回顧展は10年前、岡山県笠岡市にある竹喬記念館で見た。以来、カラリスト、小野竹喬の絵にぞっこん惚れている。そろそろ、どこかでまた回顧展をやってくれないかと願っていたら、大阪市美が期待に応えてくれた。

Bunkamuraは昨年と連チャンでロートレック展を開催する。今年はアルビにあるロートレック美の館長の企画によるもの。まだみてないロートレック美蔵の絵に期待大。モダンアートはロックフェラーのコレクションというから、これは見逃せない。クリムト・シーレ展は久しぶり。サントリーミュージアム(天保山)はまだ訪問したことがないから、心が動く。若手現代アーティストのなかで最も好きな束芋の大規模な回顧展が横浜美である。とても楽しみ。

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2009.01.21

ワシントン・ナショナル・ギャラリーのリカバリーしたい名画!

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オバマ新大統領の就任式に全米からワシントンにやってきた200万の大群衆をみると、この新しいリーダーに米国民がすごく期待していることがわかる。かれらだけでなく日本だってヨーロッパだって中国だって皆期待している。

多くの人が望んでいるのは経済危機からの早期脱出。だが、これは相当難しい。これから雇用を創出するための具体的な政策が打ち出されるだろうが、実行のラグがあるから、まだまだ苦難の時期が続く。経済再生チームには豊富な経験と高い知識をもった有能なスタッフが集められているだろうから、効果的な政策をスピーディに実施してくれることを願うばかり。

連邦議事堂からナショナルモールの反対側にあるリンカーン記念堂までの光景は昨年3月にみたばかりだから、すぐイメージできる。新聞には縦長の航空写真が載っているが、50万人の聴衆が埋め尽くすとこういう感じになるのか!とにかくすごい数の人である。あの広くて静かなモールが一変し、人々の熱い期待と希望がうずまく野外劇場と化している。なんだか、その場にいたくなった。

そして、ナショナル・ギャラリーで見た名画が次々と目の前に現われてきた(拙ブログ08/4/10)。まったくすごいコレクションだった。ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ラ・トゥール、フェルメール、レンブラントなどの作品がずらっと揃い、マネ、モネやルノワールらの印象派、マティス、ミロといった近代絵画の傑作も所狭しと展示してある。

昨年暮れのレビューのときセザンヌ、マネ、ゴーギャンを追加で紹介したが、今日は胸をふくらませていたのに、無情にも対面できなかった女性の絵を3点、取り上げた。
★フラゴナールの‘読書する娘’(上の画像)
★ゴヤの‘サバーテ・ガルシア’(真ん中)
★モディリアーニの‘子供を抱いて座るジプシーの女’(下)

モデイの絵はどこかへ貸し出されていたのかもしれないが、フラゴナール(1732~
1806)とゴヤ(1746~1828)は館内の改修工事のため見れなかった。スペイン、フランス、イギリス絵画コーナーにある作品はごく一部が他の場所で展示してあるだけ。‘読書する娘’も‘サバーテ・ガルシア’も見たい度では一、二の絵だったので、残念無念といったところ。

フラゴナールというと、ロンドンのウォーレスコレクションにある‘ぶらんこ’とこの絵を見ないと到底済みにならない。なんとかリカバリーしたい。ゴヤがその美しさに一目惚れし自ら肖像画を描かせてほしいと申し出たと言われるのが‘サバーテ・ガルシア’。‘ポンテーホス女公爵’よりはこちらを先に見たかった。

アメリカの美術館で楽しみにしていたのが、ロートレックとモディ(1884~1920)の絵だったが、ロートレックは予定の作品をほぼ目のなかにおさめ大満足だったのに対し、モディはこれを見逃したから嬉しさも中くらい。一度に欲張りすぎてもいけないので、次回のワシントン訪問で思いの丈を叶えたい。

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2009.01.20

崩壊の危機にさらされるスフィンクス!

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17日の朝日新聞に‘スフィンクス危機’というショッキングな記事が載っていた。大阪大の教授は‘このままだと100年しないうちにスフィンクスの首が落ちる’と語っている。ええー!?それは大変!

この10年でカイロ近郊にあるギザのスフィンクス(上の写真、97年撮影)は相当傷んだようだ。胴体には大きな亀裂が走り、首から胸にかけて表面の岩がぼろぼろと崩れているらしい。97年、現地で見たときにも胴体の亀裂はあったが、これがさらに大きくなったのだろうか。

調査によると、この痛みは塩害が原因とのこと。スフィンクス周辺における農地の拡大により地下水位があがった。その水は岩にもともと含まれていた塩分を溶かし、その後蒸発、そして岩の隙間に再結晶化した塩が亀裂を広げ、岩を崩していく。また、強風の影響も大きい。強風が周囲の砂を巻き上げ、スフィンクスの首から胸のあたりの岩を削りとっているようだ。教授の話では、首のあたりは原形より最大で1メートルほど細くなっている可能性があるという。

塩害による古代遺跡の破壊はスフィンクスだけでなく、ルクソールにあるカルナック神殿にもみられ、柱や石壁に刻まれた壁画が崩れ落ちているそうだ。TV各局が競って制作する特番‘ピラミッドの謎!’、‘古代エジプト遺跡、世紀の大発見!’ばかりに関心がいき、こういう深刻な問題が起きていることはまったく知らなかった。現地の研究者や日本の専門家たちが対策をいろいろ検討しているようだが、被害がこれ以上拡大しないように取り組んでもらいたいものである。

ピラミッドとスフィンクスは古代エジプトのシンボルだから、12年前はじめてみたときは感動した。人気のオペラ‘アイーダ’が上演されるとき、スフィンクスは観客の目を惹きつける定番の壮大な舞台装置(真ん中)。だから、圧倒的な存在感を間近で感じながら、アイーダの聴きどころの♪♪‘エジプト軍の凱旋行進曲’などを思い浮かべていた。

スフィンクスを描いた有名な絵は下のアングル作‘オイディプス’(1808、ルーヴル)とモローの‘オイディプスとスフィンクス’(1864、メトロポリタン美、拙ブログ08/5/13)。アングルの絵は数年前、横浜美であったルーヴル美展に‘トルコ風呂’と一緒にやってきた。

アングルがこの絵を描いたのは28歳のときだが、亡くなる3年前の84歳にもまた描いている。二つの絵は同じ構成で、オイディプスの向きが違っているだけ。後の方は最初のとは逆に右向きになっている。これはボルチモアの美術館にあるが、一度見てみたい。

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2009.01.19

アルテピアッツァ美唄で安田侃の彫刻が見たい!

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世界的な彫刻家、安田侃(やすだかん、1945~)さんの作品を展示するアルテピアッツァ美唄から注文していた本‘また来ます’(05年8月、求龍堂)が届いた。安田侃さんの生まれ故郷である美唄にあるこの彫刻庭園(1991年オープン)を知ったのは昨年
10月末に放送されたNHK教育の‘ミューズの微笑み ときめき美術館’。この新美術番組は何回か土曜の夜11時にやっていたのだが、最近は見てない。もう、終わったの?

縁とは奇なもので、実は9月上旬Bunkamuraであった‘ミレイ展’でこの彫刻家と偶然お会いし、少し話をした際、‘NHKで今度、私の作品を展示している美術館が紹介されるから是非見てください’と案内されていたのである。とても気さくでやさしそうな方だった。

そのとき、なぜ北海道の美唄なのかぴんとこなかったが、あとで美唄は安田さんが生まれたところで高校生のときまで住んでたことを知った。アルテピアッツァ美唄には廃校になった小学校の校舎の中やそのまわりの広場にここに取り上げた3つの作品など安田さんの彫刻作品40点が展示してあるようだ。番組では白大理石やブロンズでできた作品をじっくりみせれくれた。こんなすばらしい彫刻が日本人によってつくられ、そして、彫刻家の故郷に展示されている。胸が熱くなった。

安田さんにはものすごく感謝していることがある。01年、BS2で‘イタリア美術’の特集番組があり、北イタリアのピエトラサンタにアトリエを構え、彫刻作品を制作している安田さんが案内役をつとめ、有名な古代彫刻、‘夫婦の陶棺’(ヴィラ・ジュリア博物館、拙ブログ06/5/26)やベルリーニの超絶技法を駆使した‘プロセルピナの略奪’(ボルゲーゼ美、06/5/17)や‘アポロンとダフネ’などを解説してくれた。

このときの話がとても興味深く、‘なんとしても、ローマへ行ってベルニーニの作品や陶棺を見るぞ!’という気持ちがわきおこった。同じ彫刻をやっている人の話はやはりためになる。ローマ旅行は安田さんが背中を押してくれたようなもの。06年、ベルニーニの作品の前に立ったとき、‘あのうすい部分は安田さんがすごく高い技術がないと彫れないと言っていたな!’と感慨深かった。

本に添えられていた‘Arte通信’を読んで、安田さんがこちらが思っている以上にすごい彫刻家であることがわかってきた。07年の9月から08年の3月まで、ローマのフォロロマーノにあるトロヤヌス帝の広場跡に安田さんの現代彫刻が30点展示され、そのなかの一点ホワイトブロンズ‘意心帰’がここに永久設置されることが決まったそうだ。フィレンツェのボーボリ公園やアトリエのある街の駅前広場にも同じ扱いの彫刻がある。ちなみに、アルテピアッツァはイタリア語で芸術広場を意味する。

絵画では色彩に感じ、やきものと彫刻作品でフォルムを楽しんでいる。安田侃さんの彫刻は自然との親和感あり、そのやさしくてやわらかいフォルムを見ていると心が洗われる。いつか美唄を訪れようと思う。

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2009.01.18

もっと見たいクレー・エルンスト・デルヴォーのシュールな絵!

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今日の追っかけ画はクレー、エルンスト、デルヴォー。
★クレーの‘ゼネツィオ’:バーゼル美(上の画像)
★エルンストの‘聖アントニウスの誘惑’:ドイツ、デュイスブルク市立ウィルヘルム・レーンブルック美(真ん中)
★デルヴォーの‘レダ’:テートモダン(下)

現在、渋谷のBunkamuraでクレー(1879~1940)の作品が沢山展示された展覧会が行われているが、事前にチェックしたら06年、川村記念美の‘クレー展’に出品されたものばかりだったのでパス。ほかの作品のレベルは知らないが、2年前ノルトライン=ヴェストファーレン美自慢のクレー作品がごっそり公開されたのに、また、同じ作品をずらっと並べ‘今回のクレーはすばらしいでしょう!’と胸を張るわけ?Bunkamuraともあろう美術館がそれはないでしょう。

昨年、国立新美が‘モディリアーニ展’でも同じようなことをやっていた。日本の美術館で働く学芸員にはプライドというものがないのだろうか?海外の美術館から作品を持ってくる場合、先に接触した美術館が勝ちなの。後からまた契約し、同じ作品にプラスαをつけて展示しても、新鮮味がなく展覧会としての価値は当然下がる。これは当たり前。美術ファンが願っているのは好感度の高い美術館が日本にまだやってきてない名画の展示で競ってくれること。Bunkamuraも昨年のシャガール作品事件でケチがつきはじめた?

悪い流れを断ち切るために、‘バーゼル美名品展’でも企画し、クレーのおもしろい絵‘ゼネツィオ’(1922)をもってきたら?ゼネツィオは野菊の一種で、日本のサワギク、コボロギクのこと。調和のとれた色使いは無理だが、フォルムだけなら絵の上手な小学生はこれに近い絵が描けるかもしれない。大好きな‘猫と鳥’(1928、NY・MoMA)と同じタイプの絵だから、いつか対面したい。

エルンスト(1891~1976)が独自の手法、フロッタージュを使って描いた森の絵は苔とか水中のヘドロを思い浮かべるので生理的にダメ。これはずっと前から変わらない。だが、‘聖アントニウスの誘惑’(1945)はリスク覚悟で一度は見てみたい絵。

1946年、アメリカの映画監督が自分のつくる作品の小道具にしゃれた絵を使いたいとコンテストを思いつく。テーマはよく知られた‘聖アントニウスの誘惑’。声をかけられたのが12人の前衛画家。もちろん賞金付き。そこで一等になったのがエルンストのこの絵。三等がデルヴォー。が、ダリの絵(昨日紹介、06/2/27)はみごと落選。

エルンストの絵は図版では細かいところがつかみきれないが、描かれた悪魔や全体の怖さ加減はちょっとボスの‘快楽の園’を彷彿とさせる。デュイスブルク市はボンの北方、あまり遠くないところに位置している。一番望ましいのは日本でエルンスト展が開催され、これが展示されること。実現の可能性はほとんどないが、とりあえず帆だけはあげておきたい。

デルヴォー(1897~1994)の‘レダ’(1948)は昨年訪問したロンドンのテートモダンで残念ながら対面できなかった。デルヴォーの絵に描かれた裸婦(拙ブログ05/4/26)は皆同じ顔をしている。目が丸く肌がぬけるように白いので生身の人間というよりドール感覚。

白鳥になりすましたゼウスと交わったレダはふたつの卵を産み落とした。え?ひとつではないの?レダは夫とも交わったからふたつなの。しかもどちらも双子。で、レダは4人の子供の母親になる。絶世の美女ヘレネはゼウスとのあいだにできた娘。ご承知のようにヘレネはトロイ戦争の原因になった女性である。

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2009.01.17

もっと見たいダリの不思議な絵!

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シュルレアリスム作品の鑑賞はルネサンス、印象派同様、ライフワーク。でも、その作品を全部見たい画家とそうでもない画家をわけている。

ダリ、ミロ、マグリット、デルヴォーが前者で、エルンスト、タンギー、マッソンが後者。クレーはとても気にっている画家だが、なかには退屈な絵もあるから、見たい度は80%くらい。

画集に載っている作品を全点制覇することを夢見ている4人のなかで、ダリとデルヴォーの絵が夢見心地というか不思議な世界に誘われるのに対し、ミロとマグリットはシュールはシュールでも、気軽で楽しい絵。

ダリ(1904~1989)は日本でも人気の高い画家だから、展示の規模は異なるものの、結構な頻度で回顧展が開催される。記憶に新しいのが06年、上野の森美であったもの(拙ブログ06/9/30)。

ダリの絵は広い空間を感じさせる画面にぐにゃっと曲げられた時計とか、極端に細い足をした象、馬、小さな蟻などが超細密に描かれているので、隅から隅までなめまわすように見てしまう。はじめはすごく緊張感を強いられるのに、見ていると少しづつぬめっとして弾力性のある画面に惹きこまれていく。

これはダリの描写力が並はずれて高いから。こういうシュールなイメージを下手くそな人が表現したら、作品にならない。見る者は丁寧に描かれているモティーフに目を慣らし、その形態の変容やモティーフ同士の関係、さらに全体の不思議な構成を自分なりに感じていく。だから、こういう密度の濃い絵では対象がしっかり描かれていないと非日常的な異時空間のなかに入っていけない。

では、精緻に表現されたダリの絵にどっぷり浸かれるかというとそれはない。まあ、30~50%がいいところ。これ以上入り込むと逆に精神的にあぶなくなる。ほどほどの付き合いを心がけているダリ作品でなんとか対面したいのは、

★‘ゆでた隠元豆のある柔らかい構造:内乱の予感’(1936):フィラデルフィア美(上の画像)
★‘海辺に現われた顔と果物鉢’(1938):アメリカ・ハートフォード、ワズワース・アシニアム美(真ん中)
★‘目覚めの直前、柘榴のまわりを一匹の蜜蜂が飛んで生じた夢’(1944):スイス・ルガノ、ティッセン=ボルネミッサ財団(下)
★‘聖アントニウスの誘惑’(1946):ベルギー王立美(06/2/27

最も魅せられているのがスイスのルガノにある絵。これは一度日本にやってきたことがあるそうだが、かなり昔の話だからまったく縁がない。魚の口から飛び出す虎が見たーい!ベルギー美を再訪する可能性は少ないから、‘聖アントニウス’もなかなか難しい。なんとか対面したいのだが。

‘海辺に’と似た絵がマドリッドのソフィア王妃アート・センターにあるから、ひょっとするとマドリッドのほうを先に見るとこになるかもしれない。フィラデルフィア美には追っかけ画が数点あるが、この‘ゆでた隠元豆’もその一枚。絵の前ではかなり圧倒されそう。

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2009.01.16

もっと見たいミロの楽しい絵!

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3月、大丸東京店でミロの展覧会がある(3/5~3/22)。美術館へ出かけるとき、作品内容についての情報はチラシだけでいいという考えだが、今のところまったく情報がないから、期待値はニュートラル。会場で予想外のサプライズがあればもうけものというのが率直なところ。

02年に世田谷美で比較的大きな回顧展があったが、ミロ(1893~1983)の作品をまとまってみれるのはそれ以来。ミロは昔から大のファンなので、国内で開かれた回顧展は見逃さずに出かけた。これまで鑑賞したミロの絵で、最も満足度が高かったのは
91年、セゾン美(現在は無い)で開かれた‘グッゲンハイム美名品展’と01年、上野の森美であった‘MoMA展’に出品された絵。

画集に載っている有名な‘耕作’(グッゲンハイム)、‘狩人(カタロニアの風景’と‘オランダの室内Ⅰ’(ともにMoMA)がNYに行かずに見れるのだから夢のようだった。こうした展覧会に遭遇したり、バルセロナにあるミロ美術館(拙ブログ05/7/9)や海外の近代絵画を展示する美術館へも足を運んだから、相当数のミロ作品をみたことになっている。

でも、手元の画集にはまだ目に入れてない絵がだいぶある。とくに個人蔵やNYやパリにある画廊が所蔵しているものは一生見れないかもしれない。その中で関心が高いのは次の3点。
★アルルカンのカーニバル(1924~25):バッファロー、オルブライト・ノックス・アート・ギャラリー(上の画像)
★恋人たちに未知の世界を明かす美しい鳥(1941):NY,MoMA(真ん中)
★壁画(1947):シンシナティ、ヒルトンホテル(下)

‘アルルカンのカーニバル’は悔いの残る絵。これは02年の回顧展のとき日本にやってきたのに、展示されたのは世田谷美ではなく愛知県美。当時、仕事の関係でどうしても名古屋まで追っかけられなかった。こんな有名な絵を見逃したのは残念でならないが、‘自分は美術史家ではないのだ’と言い聞かせている。

これは‘耕作’、‘狩人’と三部作をなす絵。子供たちが思い思いに描いたようにみえる。昨年亡くなったギャク漫画の天才、赤塚不二夫はミロの絵に触発されて‘ニャロメ’を生み出したのではないか。まったくの想像だが、ずっと前から200%確信している。ピカソの‘ゲルニカ’にたいし、‘ハモニカ’でパロるのだから、ミロの形態を参考にしてもおかしくはない。

ミロは47、8歳のとき‘星座シリーズ’を23点描いたが、真ん中はその一枚。いつか全点みることを夢見ている。右下にライオンをイメージできるこのユーモラスでファンタジックな絵はMoMAの所蔵。過去二度もここを訪れているのに、どういうわけか縁がなかった。次回のNY旅行ではなんとしても会いたい!

下はミロが最初に手がけた壁画(左側のほう)。原色の赤や緑、黒で装飾的に描かれた丸や三角が画面いっぱいにやわらかく響き合っている。壁画はほかにもハーバード大の食堂やパリのユネスコ本部、また大阪の国立国際美にもある。

大阪にあるものはいつかこの目でと思っているのだが、なかなか実現しない。シンシナティは遠いから鑑賞の可能性は低いが、ここはその気になれば見れる。機会をみつけて出かけよう。

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2009.01.15

さんまの気になるCM 「人生、なんだか上出来 」

289今日はどうでもいい話を少し。散歩の途中に見かけるジョージアコーヒーの宣伝、‘人生、なんだか上出来’(左の画像)がどういうわけか気になってしょうがない。

TVのCMを実際に見たことないのだが、明石家さんまがおいしそうにジョージアを飲みながら、この台詞をいうのであろうか?

多くの人にとって、ふだんの日常生活は毎日が‘ハレ’のような芸能界とちがって大体は‘ケ’である。だが、その‘ケ’もいろいろ。小さな感動もおきないくらい仕事々で忙しい人もいれば、仕事がなくて苦しい生活を強いられる人もいる。その一方で、‘現実は決して楽ではなく厳しいが、過度に悲観的に考えてもしょうがない。夢や希望を捨てず、がんばろう’と明るく生きる人もいる。

誰だって、不景気な時代に生きるより、景気がよく生活の安定した時代に長く生きたい。ジョージアのCMのように‘人生、なんだか上出来’と思えることが多くあれば心も穏やかになる。で、‘なんだか上出来’を実感できる‘団子’をちょっと考えてみた。まずは当のコーヒーから。

世の中にはコーヒーが大好きな人が沢山いる。身の回りを見渡しても、隣の方、義母、義兄、、だから、このCMは世のコーヒー党の心をばっちり捉えているのではないだろうか。コーヒーは嫌いではないが、あまり飲むと胃が重たくなるから、昼と夜の食後の2回ときめている。コーヒー好きは3,4回は平気。亡くなった義父も胃薬を飲んでいるのに毎日コーヒーは欠かさなかった。

コーヒーを飲むとき、スイーツとかお菓子はつきものだが、我が家では週末に限って食べる。ひとえに太らないための予防。好物はカステラとシュークリーム、アップルパイ。以前シュークリームのことを書いたが、まだコージーコーナーに飽きてない。4年前は二つ食べていたが、次第に重たくなってきたので今は一個にしている。アップルパイは山崎屋のものがお気に入り。安くて美味しい。お試しあれ!

コーヒー同様、お酒も一時的ではあるが人生を楽観的にさせてくれる。‘嫌なことは忘れて飲みましょう!’の一言でニコニコ顔になるのだから、お酒は本当に魔法の飲み物。‘人生、なんだか上出来’をとびこえて、飲んでいるときだけは‘人生、楽しい!今がよければいいのさ’となる。

お相撲さんみたいに酒飲みではないが、普通以上には飲める。もう何年も前からビールが中心。ウイスキーー、ワインも大変好きだが、焼酎はうすいから飲まない。若い頃は海外出張すると、いつも免税店でブランド洋酒を買って酒好きにあげていたが、今はデパートや酒の専門店で安く買えるからそんなことをする人はいないだろう。

飲み物以外で‘なんだか上出来’を感じるものとして、すぐ思いつくのは女性にとってのスイーツ。隣の方からは東京ミッドタウンにある‘Toshi Yoroizuka’(拙ブログ07/6/4)を予約しようとつつかれている。美味しいスイーツを食べたあとは、たしかにとても満たされた気分になる。

最後になったが、今のMy‘なんだか上出来’はコップ半分の生オレンジジュース!やはり日々の生活では‘花(自然・芸術)の力’より‘団子の力’のほうがものをいう。

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2009.01.14

美術に魅せられて! お気に入り日本のシュルレアリスム

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西洋絵画でも日本画でも、女性を描いた絵を見るのが好きなのはご承知の通り。興味深々な絵がもう一つある、それは‘怖い、不気味系’あるいは‘不思議系’の絵。

日本画でいうと‘地獄絵’、西洋画ではランブール兄弟の‘ベリー公のいとも豪華な時禱書・地獄’とかボスの‘快楽の園’、そしてデ・キリコの‘形而上絵画’、ダリ、エルンスト、タンギー、マグリット、ミロ、クレーらシュルレアリストが描く作品。

こういう絵が描ける芸術家の頭のなかは一体どうなっているのだろう?夢をみることがあまりなく、極めて乏しい想像力しかもちあわせてない人間からすると、こういう画家はエイリアンにみえる。

ダリなんかは演じているのかもしれないが、その風貌やパフォーマンスをみていると半分、いや大部分が狂人!でも、マグリットはネクタイをして絵を制作していたというし、贔屓の束芋だって愛嬌のある顔をしているから、外見だけみてもその作家のシュール度はつかめない。人間の脳みそのなかは本当に神秘的!

最近は訪問しなくなった東近美にも日本の洋画家が描いたシュルレアリスム絵画が常時展示してある。でも、それらのダリやタンギーの画風をそのままコピーしたような絵には昔から全然関心がない。だから、シュルレアリスムの作品というとダリ、ミロ、マグリット、デルヴォー、クレーらに専ら心は向かっている。

ところが、この4年くらいの間に、日本における真のシュルレアリストを発見した。その画家は竹内六郎、会田誠、そして石田徹也。この3人の絵は古賀春江、三岸好太郎、北脇昇、東郷青児、村山知義らと違って、自分の画風でシュールさを表現している。お気に入りの作品をあげると、

★竹内六郎の‘夢の中の道’(1969) : 横須賀美(上の画像)
★会田誠の‘あぜ道’(1991) : 豊田市美(真ん中)
★石田徹也の‘社長の傘の下’(1996) : 静岡県美(下)

週刊新潮の表紙に使われた竹内六郎の絵がこれほどシュールであることを知ったのは3年前にあった回顧展(拙ブログ06/2/14)。大変びっくりした。‘夢の中の道’は実におもしろい。

子供は早く向こうの明かりがついている家に帰りたいのに、歩いている道はベルトコンベヤーだからいつまで経っても着けない。手前では黒いお化けが楽しそうにこれを回している。いかにも夢で見そうな場面だが、竹内六郎はさらりとこれを思いついたという感じ。素直な感情をベースにしているからこういうことを発想するのだろう。まったく感心する。

会田誠の‘あぜ道’にも参った!この作家は少女がお好きのようだが、頭の髪をきれいに分けた真ん中は田んぼのなかの道と重なっている。なにかの拍子にこのダブルイメージを思いついたのだろうが、これはすごくインパクトがある。

‘あーとで候、会田誠&山口晃展’でみた‘滝の絵’(07/5/30)はフレデリックの作品を下敷きにして女の子をこれでもかというくらい描いた感じだが、この絵はシュルレアリスト、マコト・アイダの秀作。

石田徹也は日本が生んだ最強のシュルレアリスト!この絵とか‘燃料補給のような食事’(08/11/4)は世界のどのオークションに出しても高く評価されることは間違いない。展覧会の会場にアイデアノートが展示してあったが、石田の頭の中では表現したいことがモティーフの重ねあわせとなっていろいろ思い浮かんでいたのだろう。

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2009.01.13

メジャーリーガー 上原、川上!

285巨人上原、中日川上の大リーグ移籍先が決まった。

上原(左の写真)はレッドソックス、ヤンキース、レイズがいるアリーグ、東地区のボルチモア・オリオールズ。川上憲伸はナリーグ、東地区のアトランタ・ブレーブス。

両チームとも昨年の成績は地区下位だから、強いチームに所属する松坂のように多くの勝ち星を想像して、期待が膨らむという感じではない。

でも、当の本人たちは現下のチームの成績は気にすることはない。いつも最下位だったあのレイズでも、昨年はアリーグチャンピオンに輝くのだから、チームの順位というのは2、3年もたてば大きく変わる。チーム力に大きな差があり、順位の変動がない日本のプロ野球とは全然違う。

契約内容はこれまで入団した選手より悪いかもしれないが、アメリカの景気が大きく後退し、円高という悪い巡り合わせの中での契約だから、これは仕方がない。日本での年棒よりはだいぶ多くもらえるのだから、いい条件ではないか。それにしても昨年の黒田、福留はいい時に入団した。

さて、上原と川上どちらが活躍するだろうか?どちらにもがんばってもらいたいが、ズバリ、上原のほうがいい成績を残すのではないか。

理由はいくつかある。上原はストレートの威力は落ちているが、コントロールは相変わらずいいし、何よりも効果的なフォークがある。ストライクが先行し、投球のテンポがいいから、大リーグの打者といってもそう簡単には打ち崩せない。あとは一年間(162試合)、中4日でずっと投げ切れるスタミナがあるかどうか。体調維持に成功すれば12~10くらいは勝てそうな気がする。

憲伸はどうだろう、得意球のカットボールがどこまで通用するか?気がかりなのは勝負弱さとシーズン終盤でのスタミナ切れ。このピッチャーは大事な試合に打たれたり、完璧に抑えていたのに、ちょっとしたコントロールの乱れで打ちこまれることがよくある。図太さは上原のほうが憲伸より一枚も二枚も上。憲伸はまじめすぎるのかもしれない。

とにかく、憲伸は日本で一番いいカットボールを投げられるピッチャーなのだから、自信をもって投げること。多少打たれても弱気にならず、気持ちを切り替えてまた打者にむかっていけばいい。そうすれば10勝に到達できる。神経の細さがですぎると7勝くらいしかできないかも。

ここ数年ブレーブスは優勝から遠ざかっているが、もともと強いチーム。打撃陣は大リーグを代表するバッターのひとり、チッパー・ジョーンズらがいるから、調子に乗れば再度優勝を狙える。先発投手の柱として期待されているのだから、がんばって欲しい。

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2009.01.12

束芋 ハウスにズキン!

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銀座一丁目にあるギャラリー小柳で‘束芋 ハウス’(12/20~2/14)を見た。束芋(たばいも)のアニメは06年、原美術館で開催された‘ヨロヨロン展’(拙ブログ06/8/7)についで二度目。

はじめてお目にかかった‘公衆便所’(06年)とか‘真夜中の海’(06年)などがあまりに刺激的だったので、またいつかこのアーティストの作品をみたいと強く思っていた。でも、束芋は現代アートの作家だから、その作品は日本画や西洋絵画みたいに身近ではない。

人気若手アーティストの作品を集めた展覧会に束芋が含まれているのを時たま見つけ、出動しようかなと心が揺れ動くこともあるが、ほかの作品にリスクを感じて、結局足が動かない。今回のように‘束芋の新作をどうぞ!’というのが一番有難い。

束芋はギャラリー小柳に所属しているとのこと。ふだんギャラリーめぐりをすることがないから、どこが人気の作家をかかえているかといったギャラリー勢力図にはまったくうとい。新作‘ハウス’は07年につくられた作品。6分くらいのアニメで、ドールハウスをつくっていく過程をみせてくれる。

手前から大きな手が出てきて、各部屋に家具、調度品、飾り物が並べられていく。上が建物全体(3階)で、下は1階右の部屋ができあがったところ。手を異常にデカくしているのは実際にハウスをつくっていくところをイメージさせたいからだろう。根をつめた作業にイラつくのかときどき手首のあたりをかきむしる。このあたりが束芋ならでは芸の細かいところ。

でも、淡々と部屋をつくっていく場面だけでおもしろい?単調すぎない?そこはちゃんと考えてある。後半になってどういうわけか蛸が右の窓から入ってきて、スッと消える。何なの?このシュールさは!という感じ。そしてまた出てくる。今度は可哀そうに熱湯をかけられ茹でダコとあいなる。終わり方がまたおもしろい。建物の中央が裂け、上から下に大量に水が流れ落ちる。で、部屋のものは皆流され消えてなくなる。

いってみれば積み木崩しみたいなもの。ドールハウスの遊び方の本質をついている。モティーフが銭湯とか公衆便所、通勤電車といった公的な場面からドールハウスという私的な遊びに変わっても、ルンルン気分のなかに前触れもなく不条理で毒気のあるものがすっと入ってきたりするところは同じ。

束芋の日常生活の切り取りかたは石田徹也と似たところがあるが、二人の違いは束芋の毒とか狂の部分が普通に味わう楽しい気分とか笑いの感情によって包みこまれ、体の中に長くとどまらないのに対し、石田の作品から伝わってくる感情には孤独感が漂い、見る者の心の深いところをつつく。

束芋の作品にもっと近づきたいが、今はこのペースでよしとしよう。その才能を高く評価されている作家だから、いずれまた楽しむ機会があるだろう。

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2009.01.11

窯ぐれ三代 加藤唐九郎・重高・高宏展

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ホテルオークラの隣にある智美術館では現在、‘加藤唐九郎・重高・高宏展’(3/8まで)が行われている。毎年、やきもの展には足繁く通っているが、今年前半の予定はこの展覧会と茨城県陶芸美の‘田中丸コレクション’(1/24~3/15)、江戸東博の
‘薩摩焼展’(2/14~3/22)。

智美のやきもの展は過去、楽吉左衛門展(拙ブログ05/10/2)でいい思いをしているので、展示スケジュールは定点観測している。銀座線の虎の門駅からここへ来るにはきつい坂道を覚悟しなければならないので、そう度々訪問する気にはならないが、今回は見逃せない。

加藤唐九郎は荒川豊蔵(08/5/31)とともに桃山陶に挑戦した大きな陶芸家。だから、一度は名品を沢山みてみたいという思いが強かった。それがやっと叶った。10年前、広島そごうで今回と同じような三代展が開かれたが、いかんせん美術画廊コーナーでの展示だから数が少なかった。

今回は3人あわせて110点。一点々趣のある名品がずらっと揃ったという感じ。お目当ては唐九郎だったのに、息子の重高、孫の高宏の茶陶もすばらしいのではじめから終りまでテンションは上がりっぱなし。

唐九郎の作域は黄瀬戸、瀬戸黒、志野、織部、唐津と多彩。数の多いのが志野。どの茶碗にもすごく惹きこまれる。上は白い釉薬の下から幅のある緋色の横線が生き生きと浮かび上がっている‘志野茶盌 銘 貫通’。やきものは心でつくるものだといわれる。形が限られている茶碗では、これは一番簡単なようで一番難しい。

白の釉薬が雪のような見える大振りな茶碗やピンホールと呼ばれる表面の小さなでこぼこが印象的な‘鼠志野茶盌 銘 鬼ヶ島’、‘志野茶盌 銘 氷桂’にも心が揺すぶられる。また、‘黒織部茶盌 銘 がらしや’の斬新な文様も目を楽しませてくれる。こういうのを見ると唐九郎はつくづく鬼才だなと思う。

重高にもいい志野がある。真ん中の‘鼠志野茶碗 銘 紫雲’の濃い紫色の色合いに言葉を失った。こんな鼠志野はこれまでみたことがない。これと同じくらい魅了されたのが白とうす青のコントラストがとても映える‘鼠志野茶碗’。これは昨年やかれた最新作。80歳をこえてもこんなすばらしい色の茶碗を生み出すのだから恐れ入る。才能のある陶芸家にかかると、やきものもさらに洗練されてゆく。

三代目の高宏は今年、37歳。10年前の作品と比べ、文様がすごくシャープになり、形が楽吉左衛門風になってきた。下はとくにグッと惹きこまれた‘黒織部茶盌’。箆削りタイプのものはほかにも4点あり、その鋭角的なフォルムが心をとらえて離さない。

今年のやきもの展はいいスタートをきった。次は定評のある田中丸コレクション。

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2009.01.10

サントリー美術館の蒔絵展に大感激!

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サントリー美の‘蒔絵展’(08/12/23~09/1/26)は収穫の多い展覧会だった。京博&サントリー美がタッグを組んで行うのだから、レベルは高いだろうと予想していたが、それ以上の内容だった。

サブタイトルは‘宮殿を飾る東洋の燦めき’。フランス王妃マリー・アントワネットやザクセン公アウグスト強王らヨーロッパの王侯貴族を夢中にさせた日本の漆工芸のことは知識としては頭に中に入っており、実際にウイーンのシェーンブルン宮殿の‘漆芸の間’などを見たことがある。

だから、調度品や飾り物に施された蒔絵には一応目慣らしはできている。でも、こういうガイドさんの後をついていくような見学だと、一点々をそれほどじっくりはみないから、宮殿を出て次の名所へ行くころにはその印象は消えてることが多い。欧州でみる蒔絵の印象はこんな風なのだが、今回海外からやってきたもののなかには大げさにいうと腰を抜かすくらいすばらしいのがあった。もう大感激!

作品283点のうち前期(12/23~1/12)ないし通期展示されるのは240点で、43点は後期(1/14~1/26)のみの展示。国宝は全部で4点(後期1点)。これほどあるとは思わなかった。

上は長らく追っかけていた‘宝相華迦陵頻伽蒔絵攓冊子箱’(仁和寺)。これは空海が在唐中に経典や儀軌類を書き写した冊子(三十帖冊子)を納めるためにしつらえられたもので、延喜19年(919年)につくられた。すばらしい文様を息を呑んで見た。

黒漆面の真ん中に金の研出蒔絵で銘文が書かれ、その周囲を取り囲むように金銀粉で奏楽の迦陵頻伽(かりょうびんが)、宝相華、蝶、霊之雲などの文様が対称的に描かれている。その流れるような柔らかいフォルムに目が釘づけになる。延暦寺にある同じく国宝の‘宝相華蒔絵経箱’(後期)もまだ見てないので、また出向くことになりそう。

真ん中は螺鈿装飾を興味深くみた‘IHS花入籠目文蒔絵螺鈿書見台’。これは南蛮漆器の一つ。今回、日本にやってきた宣教師が布教に使うために注文した宗教用具や本国へもちかえった書箪笥や洋櫃などの家具が沢山でている。蒔絵や螺鈿で隙間なく描かれた文様を目をこらしてみていた。

サプライズの作品は次の紅毛漆器のコーナーにある。夢中になって見たのが下の‘マゼラン公爵家の櫃’。ヴィクトリア&アルバート美は次回のロンドン旅行で訪問することにしているが、ここにこんなすばらしい蒔絵があったとは!

一番びっくりしたのが波頭とか波動の精緻な描写。波そのものは小さく描かれているが、その立体的でダイナミックな動きに感激する。また、戸板の木目の質感描写にも手抜きがない。さらに金の薄板や彫金象嵌の盛り上がりにも目を奪われる。もう一点、‘マリア・ファン・ディーメンの箱’(ヴィクトリア&アルバート)にも頭がくらくらする。

こういう高い技術を要する蒔絵を平戸のオランダ商館長が注文し、ヨーロッパへ輸出していたのである。この2点と遭遇したのは生涯の思い出になる。京博&サントリー美に拍手々!

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2009.01.09

松岡美術館の美人画展

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白金台にある松岡美ではじまった‘美人画展’(1/6~4/19)を見た。ここにある近代日本画家が描いた美人画は3年くらい前にも展示されたので、出品作の大半は鑑賞済み。それなのに出かけたのは、前回の展示になかった鏑木清方の絵がどうしても見たかったから。いわゆる‘一点買い’。

美人画というとまずは上村松園の作品をとりあげたいところだが、チラシに使われている‘春宵’はそれほど心に響かない。お気に入りは関西の女流画家、伊藤小坡(いとうしょうは)が描いた‘麗春’(上の画像)。小坡の美人画を見た経験はこの美術館にある5点プラス数点のみ。関心の薄い画家だが、この絵にはすごく魅せられている。

八重桜の枝の下、小姓に傘をさしてもらっている娘の顔は鏑木清方が描く女性によく似ており、目を少し丸くするとフィギュアスケートの浅田真央ちゃんとうりふたつ。女人の麗しい花見姿が桃山の風俗画を思い起こさせ、とても晴れやかな気分になる。

真ん中の絵が‘一点買い’の鏑木清方作、‘蛍’。一体どこに蛍は描かれているの?ぱっと見るとわからないが、じっくり見ていると女性が左手で持ち上げた着物の袂のところにいることに気づく。女性の描き方をみると、清方は浮世絵師、鈴木春信の絵が好きだったことがよくわかる。着物には笹舟が、また帯にも笹の葉が描かれている。清方の作品はほかに‘春の海’など3点ある。

前回は伊東深水の絵が4,5点でていたのだか、今回は下の‘仕舞熊野’(しまいゆや)だけ。なかなかいい絵で、前と同様、息を呑んでみた。目に焼きつくのがショートカットの髪形と扇子をもつ右手の下に垂れる振袖。仕舞は能面、装束をつけずに仕舞扇だけを持ち、一人で舞う能のこと。

展示作品は全部で20点と少ないが、安田靫彦の大作‘羅浮仙女’とか橋本明治の‘舞扇’、梶原緋佐子の‘白川路’などの名品もあるから、大きな満足が得られた。

<09年前半展覧会プレビューの更新>
次の展覧会を追加しました。
1/2~3/15    追憶の羅馬展          大倉集古館
1/6~3/22    日本の民画ー大津絵・泥絵  日本民藝館
2/4~2/16    絹谷幸二展           横浜高島屋
2/7~3/29    アジアとヨーロッパの肖像   神奈川県歴博
3/14~4/9    平泉ーみちのくの浄土ー    世田谷美 

3/18~3/30   東本願寺展           日本橋高島屋
3/31~6/14   棟方志功展           日本民藝館
5/20~6/1    片岡球子展           日本橋高島屋
6/29~9/21   海のエジプト展         パシフィコ横浜                   

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2009.01.08

美術に魅せられて! もっと見たい珠玉の女性画

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拙ブログをみられている方はすでにお気づきのように、取り上げる西洋絵画の多くは女性を描いたもの。最近は男性のいい肖像画も紹介するようにしているが、やはり女性画の傑作が頭から離れない。本日の作品は追っかけ女性画のなかで、いつも熱い視線を送っている珠玉の3点。

★フェルメールの‘真珠の首飾りの女’: ベルリン国立美(上の画像)
★エル・グレコの‘毛皮の襟巻をまとう婦人’: グラスゴー、ポロック・ハウス(真ん中)
★ゲインズバラの‘デボンシャー公爵夫人ジョルジアーナ’: デボンシャー公爵家(下)

これまで見たフェルメール作品31点(全37点のうち)のなかで、ぞっこん惚れているのは‘青いターバンの少女’(マウリッツハイス美、07/10/6)、‘士官と笑う女’(フリックコレクション、08/5/22)、そしてまだ見てない‘真珠の首飾りの女’(ベルリン国立美)の3人。

ちなみにほかの未見作品は‘取り持ち女’(ドレスデン国立絵画館)、‘ぶどう酒のグラス’(国立ベルリン美)、‘音楽の稽古’(イギリス王室コレクション)、‘ギターを弾く女’(ケンウッドハウス)、‘合奏’(ボストン、ガードナー美)。盗難されて現在行方不明の‘合奏’ははずして、5点のなかのファーストプライオリティはなんといっても‘真珠の首飾りの女’。

全点をコンプリートに鑑賞されたTakさんにならいたい気持ちもあるが、これはまだまだ先のことになりそう。とりあえずの鑑賞プランは、ベルリン美の2点、次にイギリスにある2点、最後にドレスデンの1点。‘取り持ち女’は一番縁がなさそう。というのも、何年か前に訪問したドレスデン美を再訪することは200%ないから、日本にやって来てくれなければ無理。

ベルリンは一度行ったことがあるが、そのときはペルガモン博物館だけで、絵画を見る時間がなかった。予定としては、ここ数年のうちに再度ベルリンに行き、ルネサンス、バロック、印象派、近・現代絵画の名品を見ることを夢見ている。そのど真ん中に‘真珠の首飾りの女’があることは言うまでもない。

グレコの婦人の絵をはじめて見たとき、とても驚いた。幻想的な宗教画をすぐイメージさせるグレコがこんなすばらしい女性の肖像画を描いていたの?しかもすごい美形!これを所蔵しているのはグラスゴーのポロックハウス。見たい度の強い絵ではあるが、ドレスデン同様グラスゴーへ旅行することはないだろうから、この絵も図版をながめ続けることになりそう。もちろん望みをすててはいないが。

下の女性はまさに絶世の美女!ゲインズバラの描く肖像画はナショナルギャラリーやフリックコレクションで沢山みたが、それほど惹かれてない。でも、この絵だけは別。なんとしても対面したい。アダム・ワースという名うての強盗が25年もそばに置いていたというが、その気持ちはわかりすぎるくらいわかる。

いい女性画を見ていると、心がゆるゆるになる。そして、ミューズに‘いつか会わせてく下さい!’と祈っている。

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2009.01.07

美術に魅せられて! お気に入り西洋風俗画

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来月28日から上野の西洋美ではじまる‘ルーヴル美展ー17世紀ヨーロッパ絵画’を心待ちにしている。過去、西洋美で開かれたビッグな展覧会は‘エル・グレコ展’(86年)、‘ジャポニスム展’(88年)、‘バーンズ・コレクション展’(94年)、‘ウィンスロップ・コレクション展’(02年)、‘マティス展’(04年)、‘ラ・トゥール展’(05年)、‘コロー展’(08年)。

今年の‘ルーヴル展’は作品の質の高さからいえばこれらと遜色ないエポック的な展覧会。昨年現地で感動した名画がいくつも含まれており、その感動が一年も経たないのにリフレインされるのである。これほど嬉しいことはない。

とりわけ今から胸が高鳴るのがラ・トゥールの‘大工ヨセフ’(拙ブログ08/3/30)。チラシで大きく扱われているのはフェルメールの‘レースを編む女’とレンブラントの‘縁なし帽をかぶり、金の鎖をつけた自画像’。だが、今回の2枚看板は‘レースを編む女’と‘大工ヨセフ’。多くの人が夢中になってみるのではなかろうか。

昨年の海外美術館めぐりで思いの丈が果たせたラ・トゥールに200%のめり込んでいる。感想記で取り上げたのは‘夜の情景’(08/5/7)だったが、これと同じくらい魅せられているのが‘昼の情景’の風俗画。で、お気に入りの風俗画をカラヴァッジョ作品とあわせて紹介したい。

★ラ・トゥールの‘ダイヤのエースを持ついかさま師’: ルーヴル(上の画像)
★ラ・トゥールの‘女占い師’: メトロポリタン(真ん中)
★カラヴァッジョの‘いかさま師’: フォートワース(アメリカ)、キンベル美(下)

西洋美の回顧展(05/3/14)にも出品された‘いかさま師’は本当に魅力いっぱいの絵。釘付けになるのが目ん玉を端によせてやぶにらみに左のいかさま師を見る中央の女。こういう目つきをする女性は映画とか芝居でみるだけでなく、日常生活でもでくわすことがあるから、絵の中に入っていきやすい。ちょっと離れてこの緊張感の漂う場面を見ている感じ。

真ん中の‘女占い師’とは残念ながら再会できなかったので割愛したが、この絵も大変気に入っている。視線は女のような顔をした若い男に集まるが、すぐ横のしわくちゃ顔の老女に移り、しばらくこの存在感抜群の占い婆さんばかり眺めることになる。だから、はじめてみたときは、占いをしてもらっている男をとりかこむ女(女占い師の共犯)がポケットに手を突っ込んで盗みを働こうとしていることに気づかなかった。

下はいかさま師を最初に描いたカラヴァッジョの作品。カラヴァッジョの絵を全点目の中におさめるのが夢だが、これはほかの追っかけ西洋画をふくめて見たい度では一番の絵。図版をみているだけでも、すごく惹きつけられる。カラヴァッジョ通の花耀亭さんは現地でみられたそうだが、羨ましいかぎり。

キンベル美はルーヴルにあるラ・トゥールの‘いかさま師’と構図が同じで、これより少し前に描かれた‘クラブのエースを持ついかさま師’も所蔵している。この2点が日本にやってくることはまずないから、テキサスのフォートワースまで足を運ばないと見れない。

フィラデルフィア美の次はこことか、LAのポール・ゲッテイ美、ロサンゼルス群立美をまわりたいのだが。そろそろラフな訪問計画でもつくってみようかと思っている。

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2009.01.06

世界‘カイテンズシ’戦争 寿司 vs Sushi

267昨日のNHKスペシャル、世界‘カイテンズシ’戦争 寿司 vs Sushiはおもしろかった。

現在、日本の回転寿司のような店は香港、台湾、インドネシア、アメリカ、ハワイ、イギリス、アイルランド、ベルギー、ロシア、ドバイなどにあり、その数はどんどん増えているそうだ。

番組では日本の大手回転寿司チェーン、元気寿司とイギリスのYO!SUSHIの世界戦略にスポットを当て、日本が生んだ寿司という食文化がこれから世界の人々にどのように受け入れられていくかを探っていた。

寿司は好きな食べ物だが、定期的に回転寿司に出かける習慣がなく、4年前大船の人気店で食べたきりで、回転寿司からは遠ざかっている。だから、元気寿司という店は知らなかった。

この大手チェーン店は15年前海外に進出し、今や香港、台湾、アメリカなどに250店あるという。一方、イギリスのYO!SUSHIの回転寿司は1990年代から普及し、現在は60店あり、ベルギー、ロシア、さらに最近では中東のドバイ(左の写真)にも進出している。

日本のチェーン店がアジアで店舗展開をしているのはおおよそイメージできるが、イギリスではまったく日本とは違うSushiが一般的になっていた。これは新鮮な驚き!
YO!SUSHIを15年前に創業したサイモン・ウッドロフ氏はその前はショービジネスで生きていた人。日本で寿司がレールにのってぐるぐる回るのをみて、‘これはショーだ、回転寿司は世界中でヒットする。しかも俺の得意分野!’と起業の成功を直感的に確信したという。

店内にはジャパンの香りはなく、にぎりロボットは客に見えるように配置され、明るい照明と色鮮やかなインテリアは近未来的な空間を思わせる。‘ただ食べて美味しいだけではダメ、非日常的な雰囲気で客を楽しませ、more than sushi!(日本の寿司をこえる)を実現する’とウッドロフ氏は熱く語る。

ここのSushiは日本の寿司とは随分違う。人気は巻きずしタイプのRoll、ロール。海苔は外にはみせず中にあったり、エビフライをはさんで輪切りにしたものとかいろいろある。これにマヨネーズをかけたりする。どうみても日本の寿司とは別物という感じ。

もとフランス料理をやっていた若いシェフがおもしろいことを言う。‘日本の寿司はシンプル、でもここではバラエティのある食材と味が大切、ロールはライスサンドイッチ!’。日本の寿司はライスサンドイッチか!なるほどネ、これはわかりやすい。

ショーを演出する店舗空間とNew Sushiでヨーロッパ市場での優位を築き、中東、アジア、アメリカ市場に水平展開するというのがYO!SUSHIの世界戦略。当然、元気寿司を抜くことを考えている。そう簡単にことが運ぶとは思えないが、元気寿司より先に進出したドバイでは結構客が入っているようだ。

今、魚の値段が高騰しているから、両社は安い食材を大量に仕入れることに奔走している。YO!SUSHIが中国で養殖ザリガニを仕入れれば、元気寿司も同じく中国から高級アワビ(これも養殖)を大量に買いつける計画を進めている。

これから世界規模で‘カイテンズシ’の熾烈な競争が繰り広げられる。果たして、10年後、市場を制しているのは日本のチェーン店かYO!SUSHIか?

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2009.01.05

もっと見たいセザンヌの名画!

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元旦に今年前半に開催される展覧会を載せたが、印象派のものがない。が、7月、東近美にボストン美からビッグな作品がやってくる。それはゴーギャンの‘われわれは何処から来たのか、われわれは何者か、われわれは何処へ行くのか’。この‘ゴーギャン展’(7/3~9/23)にどんな絵が出品されるのかまだ詳細がわからないが、印象派好きにとっては大きな楽しみである。

印象派の画家を野球の打順にならって9人並べてみると、ヤンキースのような打線になる。ヤンキースはすごい年俸をとるスター軍団だから、選手たちは打順はあまり気にしてない。いつもは4番のA.ロッドでも2番を打つこともあるし、調子が悪いときは7番に下げられる。マネや後期印象派もふくめたなかから選んだMyベストメンバーとその打順は次の通り。

1番 ゴッホ
2番 ルノワール
3番 モネ
4番 マネ
5番 セザンヌ
6番 ゴーギャン
7番 ドガ
8番 ロートレック
9番 スーラ

この9人については、画集に載っている代表作を全点見るのが生涯の夢。現時点の夢の達成度はどのくらいかというと、昨年の海外美術館めぐりで追っかけ作品との対面がだいぶ進んだので、全体では85%くらい。画家毎にみると、ゴッホ、ルノワール、モネ、マネ、ゴーギャンなどは9割ちかく見たのに対し、セザンヌとスーラはまだ7割くらい。で、本日はセザンヌの残っている名画のなかから、見たくてしょうがない3点を取り上げた。

★赤いチョッキの少年 : チューリッヒ、E.G.ビュレルコレクション(上の画像)
★サント=ヴィクトワール山 : フィラデルフィア美(真ん中)
★大水浴 : フィラデルフィア美(下)

Takさんのブログに‘赤いチョッキの少年’が盗難にあったことがでていたが、その後どうなったのだろう?気が気でない。昔この絵を画集ではじめて見たとき大変魅せられた。以来いつかこの目でと思い続けているのだが、まったく縁がない。盗まれる前、この絵はチューリッヒに行けば常時見れたかはNO情報だが、可能ならば姿を消したままでは困る!本当に困る。


フィラデルフィア美にある2点もなんとしても見たい絵。図版でみるかぎり、いくつもある‘サント=ヴィクトワール山’のなかで、これが絵としての完成度は一番高いような気がする。本物はどうだろう?早く絵の前に立ちたい。

‘大水浴’は縦2.08m、横2.49mの大作だから、さぞかし見ごたえがあるだろう。過去に見たバーンズコレクション、ロンドンナショナルギャラリーの‘大水浴’とくらべてもすごく魅了される。

思いの募るフィラデルフィア美であるが、最近、クラブツーリズム(会社のホームページ)から送られてきたツアー案内にちょっと複雑な気分になる情報があった。昨年利用した美術館めぐりツアーに今年はなんとフィラデルフィア美の見学が入っているのである!‘一年待っておけばよかったァー’と隣の方と顔を見合わせた。

実は添乗員さんにフィラデルフィア美を入れたらツアーの魅力がもっと増すと言っていたのである。このツアーはアメリカ東海岸コースの昨年度人気No.1だったようで、今年フィラデルフィア美が入り6大美術館めぐりになると、さらに参加者が増えるのではなかろうか。

別に会社から宣伝料をもらっているわけではないが、美術好きな方と感動が共有できればと思いご紹介した。

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2009.01.04

らせん式思考で瀧下和之と勝手にコラボ!

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昨年、渋谷西武で行われた現代アーティスト、瀧下和之の個展を紹介した際(拙ブログ08/9/5)、アートトップ7月号に載っていた画業の展開を表現したポンチ絵にもふれた。びっくりしたのがその発想がまったくMy読書法と同じだったこと。‘へえー、世の中には同じことを考える人がいるんだ!’としばらくそれを見続けた。

上がその瀧下和之の‘らせん式ステップアップ’で、下が‘Myらせん式読書術’。考えてることは違うが、らせん状にあがっていくにつれステップアップするというのはまったく同じ。瀧下は2012年、37才のときには‘風雷神、龍虎、鳥獣戯画’の画集を刊行することを目指しているようだ。この作家にとても興味があるので、出版されたら購入するつもり。

Myらせん式読書術は20年くらい前から実践している。この方法については、以前書いたことがあるが、もう一度ポンチ絵を使って説明したい。‘生きる目的は知ること’といつも思っているので、読書が人生における楽しみの大きな柱であることは昔から変わりない。でも、明けても暮れても本ばかりという生活ではないし、部屋中本だらけということもない。読んだ本は本当に手元においておきたい名著は残すが、ほかはどんどん処分する。

‘本より団子’や‘花(自然・芸術)より団子’はごくごく当たり前のことだし、またときには‘団子より花’に夢中になったり、好きな本を連続して読みたい。やはり、バランスよく生活するのが一番いい。

本の読み方は乱読ではなく、テーマとかカテゴリーをいくつかつくって、それを一年のうちでリレーしていくやり方。そのイメージがポンチ絵。左の‘t06、t07,t08’は06、07,08年を示す。本のくくり方のひとつの例は‘ルネサンス’、‘ギリシャ神話’、‘美術本(西洋画)’、‘美術本(日本画)’、‘幕末史’、‘江戸小説’。

一度くくり方を決めると、とりあえず3年ぐらいはこれらの本だけを読む。春には‘ルネサンス本’を、夏には‘西洋画の美術本’をといった具合。翌年の春にはまた‘ルネサンス’を読み、知識の量、理解度、感性力をステップアップさせていく。

では、これ以外の本は全然買わないのかというと、そうではなく、関心のある本については新刊がでるたびに購入しストックしておき、‘この分野の本を読むぞ!’という風に徐々に気分を高めていき、カテゴリーを入れ替え、一気に読書モードに入っていく。

このように本を読むのも基本的には仕事と一緒で‘選択と集中’を旨としている。‘選択する’、言葉を換えれば‘限定する’ということはとても大事。でも、分野を限定しすぎると読書に飽きちゃうので、オプションに適当な幅をもたせ、数年のスパンで対象分野の理解を深めていく。今は西洋画美術本のステージ。これから読むことにしている本をいくつかをあげてみると、

■藤田嗣治 作品をひらく : 林洋子著、名古屋大学出版会、08年5月
■マチスとピカソ : イブ=アラン・ボア著、日本経済新聞社、00年6月
■岩波世界の美術 シャガール : モニカ・ボーム=デュシェン著、01年5月
■   々      ダリ : ロバート・ラドフォード著、02年7月
■マグリット : マルセル・パケ著、TASCHEN、07年
■青騎士 : カンディンスキー&フランツ・マルク著、白水社、07年6月
■グリーンバーグ批評選集 : 藤枝晃雄編訳、勁草書房、05年4月

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2009.01.02

紅白歌合戦 感動した歌 VS 聴きたくなかった歌

261大晦日の紅白歌合戦の視聴率が3年ぶりに40%を超えたという。

毎年、この歌番組をみているのは最近のヒット曲を知る唯一の機会だから。

ご存じのように昔から、ここに歌の上手い人ばかりが集結しているわけではない。自称歌謡曲評論家からすれば、
SMAPの歌なんか聴いちゃあいられない!

今や、アイドル歌手が沢山出ていたころの選考基準が生きているのはこのグループだけかもしれない。あァー、まだいた。
WaT,TOKIO。羞恥心ははじめから賑やかし、応援団役で出場しているのだから、これはこれでいい。

こんな歌ならご遠慮願いたかったのをあげてみると。水谷豊、昨年の寺田聡でも言えることだが、誰も若いころの水谷豊の歌なんかを聴きたいと思ってない。世間が注目しているのは今やノリノリの俳優、水谷豊なの!プロデューサーさん、わかっているの?本人も歌うのが恥ずかしいのなら、やめればいいのに。ここは照れて歌うような舞台ではない。

オジさん歌手、布施明、美川憲一も引退してもらったほうがいい。布施明の歌がなんかいいように聴こえるのは歌唱力があるからではなく、曲がいいから。ほかの人の歌を上手に歌ったのを聴いたことがない。これは歌謡界の常識。

紅組のトリで歌った和田アキ子の‘夢’も曲名に反してちっとも盛り上がらなかった。前の石川さゆりの‘天城越え’や天童よしみの‘道頓堀人情’が‘流石、天下の演歌歌手!’とうならせたのとは対照的。本人はレイ・チャールズが社交辞令で言ったのを褒められたと勘違いし、自信満々だが、アッコも布施明同様、‘曲がいいから映える’タイプの歌手。はっきり言って歌は上手くない!スローテンポの歌なんてもうボロボロ。

芸能界で一大派閥を形成する大姉御にそれを言うとぶっとばされ、仕事がなくなるから皆黙ってヨイショしているだけ。アッコのいいところは礼儀正しいこと。芸能界もつまるところ体育会系と似た体質だから先輩後輩の関係がとても厳しい。で、アッコは先輩に対する礼儀をちゃんとわきまえているから、上の人には受けがいい。

爺殺し、婆殺しの達人は芸能界ではアッコ、野球界ではあの星野。二人は態度がよく似ていると思いません。芸能人でも政治家でもビジネスマンでも‘上に弱く、下に強い’人間が力をもつことが多い。普通の人は力のある人のところに寄っていく。‘寄らば大樹の陰’というやつ。

今回の紅白で一番聴きたかったのが61歳で出場した秋元順子(左の写真)の‘愛のままで’。NHKの‘クローズアップ現代’が取り上げた‘演歌の逆襲!’(拙ブログ08/11/17)でこの歌のことを知ったが、心に沁みるいい歌だった。20万枚売れたのも納得!これからは景気が悪くなり、生活が大変なときだから、多くのファンが秋元順子のような歌の上手い人がいい歌を沢山唄ってくれることを願っているのではなかろうか。

また、話題の黒人歌手ジェロの歌う‘海雪’もすばらしかった。ほかで収穫はいきものがかりの‘サクラ’。サビのところの高音が琴線にふれるこの曲は何度か聴いたことがあるが、いきものがかりというグループが歌っていることは知らなかった。注目されていた‘おふくろさん’を熱唱した森進一にも圧倒された。プロの歌手の歌唱力の高さを見せつけられた感じ。やはりすごい歌手である。

さて、今年はどんな歌が心を癒しいい気持ちにさせてくれるだろうか?音楽業界に期待したい!

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2009.01.01

謹賀新年 09年前半展覧会プレビュー

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今年も拙ブログをよろしくお願いします。恒例により、1~6月に開催される展覧会をまとめてみました。まだ、ほかにもあるかもしれませんが、現時点ではこの情報にもとづいて半年の鑑賞計画を立てようと思ってます。

★西洋美術
1/24~4/5      アーツ&クラフツ展       東京都美
1/29~3/1      ウエッジウッド展        横浜そごう美
2/4~2/16      絹谷幸二展            横浜高島屋
2/7~3/29      アジアとヨーロッパの肖像   神奈川県歴博
2/21~3/31     マーク・ロスコ展         川村記念美
2/28~6/14     ルーヴル美展          国立西洋美
3/5~3/22      ミロ展               大丸東京店
4/4~6/7       国立トレチャコフ美展      Bunkamura
6/27~9/21     海のエジプト展          パシフィコ横浜

★日本美術
1/2~3/15      追憶の羅馬展          大倉集古館
1/6~4/19      美人画展            松岡美
1/6~3/22      日本の民画ー大津絵・泥絵  日本民藝館
1/10~3/15     源氏千年と物語絵       永青文庫
1/10~3/8      福沢諭吉展           東博
1/20~3/1      妙心寺展             東博
1/21~3/2      加山又造展           国立新美
1/24~3/15     田中丸コレクション展      茨城県陶芸美
2/7~3/22      安田靫彦展           茨城県近美
2/7~3/15      国宝 三井寺展        サントリー美

2/14~3/22     薩摩焼展            江戸東博
2/21~3/22     小杉放庵&大観展      出光美
3/14~4/19     平泉ーみちのくの浄土ー   世田谷美
3/18~3/30     東本願寺の至宝展       日本橋高島屋
3/28~5/17     薩摩切子展           サントリー美
3/28~6/14     国の花、華やぐ         三の丸尚蔵館
3/31~6/7      国宝 阿修羅展        東博
3/31~6/14     棟方志功展           日本民藝館
4/29~5/11     ベルギーロイヤルコレクション展    日本橋高島屋
5/20~6/1      片岡球子展           日本橋高島屋

(ご参考)
・西洋絵画で前半のハイライトはルーヴル美展。チラシに載った出品作を見るかぎり、すごい展覧会。フェルメールの‘レースを編む女’とラ・トゥールの‘大工ヨセフ’が現地に行かずみれるのだからたまらない。また、日本では見る機会がほとんどないニコラ・プッサンやクロード・ロラン、カラッチ、ル・ナン兄弟の名作がやってくるのは特筆もの。

・大好きなミロの展覧会を最近みてないので、大丸東京店への期待が高い。
・Bunkamuraのトレチャコフ美展では追っかけリストに入っているクラムスコイの‘忘れえぬ女’とようやく対面できる。開幕が待ち遠しい。

・日本美術で期待値が高いのはサントリー美の‘三井寺展’と‘薩摩切子展’。薩摩切子は国内、海外にあるものをごっそり集めてきてくれるのではとワクワクしている。
・加山又造展をやっと東京で開催してくれる。ここ数年で回顧展を二度みたが、又造とのつきあいはライフワークだから、まだみてない作品との出会いがとても楽しみ。

上の画像は今年の干支、丑にちなみ大観の‘村童観猿翁’にした。
    

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