« 映画「レッドクリフ PartⅠ」 | トップページ | 08年感動の美術鑑賞プレイバック! 小林かいち展 »

2008.12.10

赤壁画の名品

221_2
220_2
219_9
‘三国志’はこれまで書物を読んだり、人形劇、TV映画、絵画などを見て慣れ親しんできた。この物語にのめりこむベースをつくってくれたのが高校生の頃読んだ吉川栄治の‘三国志’。分厚くて何冊もある全集をそれこそ夢中になって読んだ。

この小説で覚えた言葉や故事成語がいくつもある。張飛が怒ったときに必ず使われる‘怒髪天をつく’とか‘三顧の礼’、‘水魚の交わり’、‘白眉’、‘苦肉の策’、‘泣いて馬謖(ばしょく)を斬る’、‘死せる孔明、生ける仲達を走らす’など。

この本で登場人物のイメージが出来上がった。凶暴な曹操が悪の権化であるのに対し、劉備は忠義の人。そして、劉備が‘三顧の礼’をもって迎え入れた孔明は天才軍略家。この男の口からは‘困った!’という言葉はでてこない。次から次に相手を打ちまかす戦略を考えつき、難局を乗り越える。兵法を知り尽しているだけでなく、相手の心理を読んで策を立て、実行するから、いつもサプライズな成果をもたらす。

合戦現場で大活躍する関羽、張飛、趙雲(ちょううん)、馬超らはスーパー武人。彼らは兵士が何百人、何千人かかっても傷ひとつつけられないほど、圧倒的に強い!三国志がお好きな方はたぶん同じようなイメージをもっておられるはず。

社会人になってからは、この‘吉川三国志’でインプットされた知識をベースにして新たな情報を付け加えたり、また昔のイメージを修正したりして、My三国志像をつくりあげてきた。この十年くらいのスパンで楽しんだのは、NHKの人形劇(島田紳助が声優で出演)や中国が人気俳優やエキストラを総動員し、多くの資金と時間をかけて製作した三国志(BSで放映)。

本では、ハードボイルド小説作家の北方謙三が独自の視点から書いた‘北方版三国志’が多くの人に読まれているようだ。小説は読んでないが、文庫の‘三国志読本’(ハルキ文庫、02年6月)に目を通した。しっかり読んだのは高島俊夫著‘三国志 きらめく群像’(ちくま文庫、00年11月)。これはとても面白い本。史実と作り話のギャップを史料にもとづいてわかりやすく書いてあるから、これまでの三国志像が随分修正させられた。

前おきが長くなったが、‘赤壁の戦い’に関連する絵で過去見たもののなかから3点ピックアップした。
★長沢芦雪の‘赤壁図’: 根津美、重美(上の画像)
★池大雅の‘洞庭赤壁図巻’: ニューオータニ美、重文(真ん中)
★横山大観の‘赤壁の月’: 新潟市敦井美(下)

芦雪の絵は北宋の詩人蘇軾(そしょく)の‘赤壁賦’(1082年)を絵画化した六曲一双の屏風。これは蘇軾が友人と二人で舟遊びをした‘前赤壁賦’を描いた右隻で、左隻にはその三か月後、陸路に遊んだ‘後赤壁賦’が描かれている。が、蘇軾が詩にした赤壁は曹操軍と連合軍が実際に戦ったところではなく、別の場所。

大胆にデフォルメした奇岩やそこに打ち寄せる荒々しい波からは斬新な構図が真骨頂の芦雪の鬼才ぶりが窺える。この絵にはもう一つヴァージョン(個人蔵)があるが、これは2年前、奈良県美であった‘応挙と芦雪展’に出品された。

応挙も同じくこの詩に想を得て赤壁図’(プライスコレクション展)を描いている。応挙の描く岩や木の幹には峻厳さはみられるが、芦雪ほどダイナミックではない。大観の絵(部分)は縦長の掛け軸で、画題はこの詩。

池大雅の作品は長江の中流にある洞庭湖を中心とした名勝地を鮮やかな朱、緑、群青、金泥を使って細密に描いている。大雅は洞庭湖を見たことがないので、琵琶湖に数度通い参考にした。いかにも南画といった感じのこの絵はニューオータニで2年に一回くらい展示される。

|

« 映画「レッドクリフ PartⅠ」 | トップページ | 08年感動の美術鑑賞プレイバック! 小林かいち展 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 赤壁画の名品:

« 映画「レッドクリフ PartⅠ」 | トップページ | 08年感動の美術鑑賞プレイバック! 小林かいち展 »