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2008.12.16

08年感動の美術鑑賞プレイバック! ナショナル・ギャラリーⅡ

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西洋絵画の有名な絵はほとんど海外の美術館にあり、鑑賞の機会はそう何回もないから、その絵との対面は‘一期一会’みたいなところがある。たとえ幸運にも複数回みたとしても、関心のある画家だとよく覚えているが、そうでない場合は前回みてからの間隔が長くなれば、前の印象はまったく消えてしまっていることが多い。

今回取り上げる3点は見たことは見たのだろうが、絵の前に立ったという実感のとぼしかった絵と17年経ってもまだその絵のすばらしさが心に刻み込まれていた絵の組み合わせ。

★ティツィアーノの‘キルトの袖をつけた男の肖像’(上の画像)
★ゴヤの‘ドーニャ・イサベル・デ・ポルセール’(真ん中)
★マネの‘ビヤホールのウェイトレス’(下)

今でこそティツィアーノ(1506~1576)の絵にのめり込んでいるが、前回ここを訪問したときはティツィアーノとティントレットの絵の区別がはっきりつかないくらいヴェネツィア派にはうとかったから、この肖像画をしっかりみたという記憶がなかった。当時購入した図録(日本語版)の表紙にこの絵が使われており、これを本棚から引っ張り出して見る度に‘豚に真珠だったな’と思っていた。

でも、おもしろいことに実際は見たイメージがないのに、図録のお陰でこの絵は目に焼きつき、最近はそのすばらしさが体に沁みわたっている。だから、絵の前では‘また来たよ!’という感じ。図版でいつも仰天させられていたキルティングされたサテンの袖の見事な質感描写を息を呑んでみた。

この横向きでこちらを見ている男は若いころのティツィアーノといわれている。肖像画のモデルは普通こちらに見られているという感じでポーズをとるのに、この男はこちらを見ているという印象が強い。しかもその表情が自信に満ちているので、見てるこちらが心理的に圧迫される。

ティツィアーノの兄貴分にあたるジョルジョーネが描いた男の肖像画で同じように視線をこちらに投げかける絵‘ヴェネツィアの紳士の肖像’をワシントンナショナルギャラリーで見たが、こちらのほうがティツイアーノの自画像より目がきつく、あくの強そうな顔をしていた。

ゴヤ(1746~1828)とマネ(1823~1883)の女性の絵はすごく印象深い絵で、とても気に入っている。‘ドーニャ・イサベル’をはじめて見たとき、彼女の瞳と白い肌を引き立てている黒いレースのマンティーリに釘付けになったことを今でも鮮烈に覚えている。この絵と同じくらい魅了されたのがベラスケスの傑作‘ヴィーナスの化粧’で、再会を楽しみにしていたのに、どういうわけは姿を消していた。残念でならなかったが、すぐ気持ちを切り替えて‘ドーニャ・イサベル’に集中した。何度見てもこの絵は心を揺すぶる。

マネの絵では、ジョッキを客の前におきながら、もう一方の手に二つのジョッキをもっているウェイトレスのあまり楽しそうにない表情がすごく気になる。また、手前のパイプを吸っている男も静かに前を見ている。こうした都会の生活に疲れた男女のメランコリー気分の漂う絵をみているとドガの絵が目の前をよぎる。

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