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2008.12.19

東博平常展の名品!

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16日、今年最後の東博平常展を見てきた。HPで展示内容を確認せず入館したら、その日から2階書画と浮世絵のコーナーが展示替えになっていた。

スタートは国宝室の‘一遍上人伝絵巻 巻第七’(~1/4)から。この絵巻は一度十二巻全部を京博でじっくりみたことがあるから、その後何回かあった展示ではさらっと流していた。でも、今回は時間もたっぷりあったから、また画面全体を隅から隅までみた。名作は見る度に新たな発見があるといわれるとおり、おもしろい画面をいくつか見つけた。

まず、驚くのが人物の表情が豊かなこと。前回気付かなかったが、女たちが笑っている場面があった。生き物は屋根の上の鶏、川にいる鵜、空を飛ぶ鳥の群、米俵を引く牛、そして白い犬。この絵が描かれたのは1299年だが、猫は出てこない。よく考えてみると、戦国期後半から登場する洛中洛外図でも僧侶を追っかける犬などには目が慣れているが、猫を見た記憶がない。猫のでてくる風俗画はいつごろから?concernしておこう。

書画の部屋にあらたに展示された作品(12/16~1/25)は新春ヴァージョン。上は住吉具慶の‘洛中洛外図巻’。後半の秋冬の場面に正月の獅子舞が描かれており、これがチラシ‘博物館に初もうで’に使われている。たしか昨年も展示された。

俯瞰の視点が‘洛中洛外図屏風’に比べると低いので、店先での商いの光景や通りを歩いている人々の身なり、また、農村のおける仕事の様子などがこと細かにうかがえる。風俗画には人物、建物、風景がびっちり描きこまれているから、色がよく残ったコンディションのいいものでないと腹の底から楽しめない。その点ではこれはご機嫌の絵。

若冲の‘松梅群鶏図屏風’は05年の正月以来、久し振りにみた。200%メタボの鶏がみせるポーズが本当に可笑しい!若冲作品でこんなに笑える絵はほかにない。応挙の定番‘雪中老松図’と又兵衛の二重あごの女(羅浮仙図)をさらっとみて、浮世絵の部屋に入ったら、予想だにしなかった着物が飾ってあった。

真ん中の‘小袖 黒綸子地波鴛鴦模様’(展示は12/21まで)は美術史家、辻惟雄お父さんが書かれた‘日本美術の歴史’(東大出版会、05年12月)で知って以来、展示されるのを今か今かと待っていた。漸く見ることができた。目を引くのが黒の地にダイナミックに動く網干模様。こんなモダン感覚にあふれるフォルムが寛永年間(1661~1673)に生み出されたというのがすごい。

気分がハイになったまま、お楽しみの浮世絵をみた(12/16~1/12)。下は昨年の
10月にも登場した菱川師宣の‘北楼および演劇図巻’(拙ブログ07/10/31)。今回の場面は吉原の大門を入って、茶屋の前の大夫道中のところ。鮮やかな赤や黄色の衣装や師宣の得意とする人物の動感描写を目をこらしてみた。

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コメント

こんばんは
いづつやさんの挙げられた作品、好きなものばかりです。嬉しいです、見に行けないので、ますます。
>猫のでてくる風俗画はいつごろから?
言われて、ねこ好きなわたしとしては探さなきゃ!でした。
例の源氏物語絵巻も含めるなら、それかなぁと思いますが、ねこが一般化した歴史を考えれば・・・
しかし大倉集古館の涅槃図には猫が描かれています。
あれは珍しい例でして、作成も室町だったようですが、今手元に資料がないので、詳しくはわかりません。

投稿: 遊行七恵 | 2008.12.31 00:49

to 遊行七恵さん
大倉集古館には英一蝶が描いた猫の絵があり
ますが、これは風俗画ではありませんし。

猫は部屋の中にいるイメージですから、町の
通りや農村風景を描いた風俗画にはでてこな
いのかもしれないですね。また、わかったら
教えてください。

今年も七恵さんの情報のつまったブログを楽し
ませていただきました。来年もよろしくお願
いします。良いお年をお迎えください。

投稿: いづつや | 2008.12.31 09:20

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