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2008.12.08

丸紅コレクション展

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年間を通してかなりの数の展覧会を見ているが、時々‘一点買い’の展覧会がある。現在、損保ジャパン美で行われている‘丸紅コレクション展’(11/22~12/28)はまさにそれで、お目当ての‘一点’は上のボッティチェリの‘美しきシモネッタ’。

日本にあって、しかもボッテイチェリの画集にはたいてい載っているこの名画を見る機会がどういうわけか今の今までなかった。昨年、たしか京都文化博物館で展示されたのに、これを見逃してしまい残念な思いをしていたが、丸紅の創業150年という節目の年に巡り合い、想定外のリカバリーを果たすことができた。心やさしいミューズに感謝々。

コレクショのなかでこの絵だけは別格という感じで、ルネサンス絵画が沢山あるフィレンツェの美術館にいるような気分になる。ボッテイチェリならではの美しい横顔を写しとる明確な輪郭線、金髪の丁寧な描写、柔らかい衣の襞がどうしようもなく胸を打つ。1月、ロンドンのナショナルギャラリーで再会した‘ヴィーナスとマルス’(拙ブログ2/1)の時と同様、うっとりして眺めていた。

丸紅のコレクションについて、どうこう言える立場ではないが、こういう一級のルネサンス絵画を常時鑑賞できないのはなんだか淋しい。丸紅が美術館を作ればすぐに解決するのだが、そこまでは踏み切れないのだろう。普段はどこにあるの?丸紅本社の役員室?昔、TVカメラが映していたような記憶があるが。勝手な願いは多くの人が楽しめるように丸紅がこれを西洋美に寄託してくれること。まあ、可能性はほとんどないが。

どうでもいいことだが、この展覧会には大勢の人がつめかけており、多くの人が高速エレベーターに乗るとき、手にチケットを持っている。丸紅グループの社員および家族なのだろう。隣の方と顔を見合わせ、‘丸紅に勤めている○○さんに話をしたら、チケットを都合してくれたかもね’と思ったりもした。

シモネッタは当時フィレンツェ一の美人だった。この絵からもその美女ぶりが窺える。ロレンツォ豪華王の4歳年下のジュリアーノはシモネッタに恋をしていた。22歳のジュリアーノは兄と違い美男で名高く、フィレンツェの女性の胸をキュンとさせていた。この美男がヴェスプッチ家の嫁であるシモネッタと深く愛し合っているというのだから、町中その噂でもちきり。1475年に開催された馬上槍試合ではジュリアーノが見事優勝し、‘美の女王’に選ばれたシモネッタからヴェロッキオが制作した兜を授けられる。

ジュリアーノはこの時が絶頂期、だが、3年後、バッツィ家の者に暗殺され、またシモネッタも若くして病で亡くなった。二人の恋は詩人ポリツィアーノの詩のなかで永遠に讃美されるが、ボッティチェリの‘春’、‘ヴィーナスの誕生’はこの詩に想を得て描かれたといわれている。

‘一点買い’のオマケは真ん中のコロー作、‘ヴィル・ダヴレーのあずまや’と下のベルナール・ビュッフェの‘コーヒー沸かしのある静物’。コローのこの大作は西洋美の回顧展にも出品されていたが、見ごたえのある絵。流石、丸紅コレクションである。青のコーヒー沸かしが背景の目の覚める赤に浮かびあがっているビュッフェの静物画にもぐっときた。

(お知らせ)
拡大画像が前よりスマートで綺麗になりました。お楽しみ下さい。

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コメント

丸紅のこの作品が、今、公開されてるのですか。是非、拝見したいです。(いろいろうわさのあった作品ですが、又、公開される様になりましたね。)ありがたい事とおもいます。

投稿: Baroque | 2008.12.09 21:09

to Baroqueさん
そうなんです。これまでこの絵には縁がなかっ
たのですが、やっと見れました。
どうか、お楽しみ下さい。

投稿: いづつや | 2008.12.10 09:37

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