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2008.12.20

横浜美のセザンヌ主義展にガッカリ!

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横浜美の‘セザンヌ主義展’(11/15~1/25)を見た。損保ジャパンのジョット展を鑑賞した際、この展覧会とのペア券を当日価格1400円より割安で発売していたので即座に購入した。ところが、これが高いものについた。

開幕が近くなりチラシの情報から、あまり期待できないことはうすうす気づいていたが、中に入ってみるとその悪い直感が当たっていた。ここは99年、オルセーやフィラデルフィア美などから一級の作品を集めたすばらしいセザンヌ展を開催したのに、今回は全然ダメ。どうして、こんな手抜きなの?という印象がぬぐえない。

‘セザンヌ主義’と名がついているように、セザンヌの回顧展でないことはわかっているが、こちらとしてはまた海外のブランド美術館から画集に載っているような名画をミニマム3点はみせてくれるだろうと期待する。でも、これに応えてくれない。となると、これは行かないほうがよかった展覧会になり下がってしまう。今年は出かける企画展を絞り込んでいたのだが、つまんなかった展覧会が3つでた。国立新美の‘モディリアーニ展’、東京都美の‘芸術都市 パリの100年展’、そしてここ。

これから足を運ぼうと思われている方は、セザンヌの名品は期待されないほうがいい。出品作の大半は国内の美術館から集めたもの。セザンヌが近代絵画の父と呼ばれるすごい画家であることは間違いないし、国内にもセザンヌの絵はいくつもある。でも、それらは一部のものを除いて大半はアベレージクラス。これは西洋絵画ファンなら誰でもわかっている。

印象派作品の鑑賞はライフワーク。だから、こういう展覧会でまだみてないセザンヌの傑作が一点でもみれないものかと夢見ているのである。前回は大好きな‘りんごとオレンジ’をはじめ、‘首吊りの家’、‘オーヴェール=シュル=オワーズの医師ガシェの家’などワクワクするような絵が目白押しだった。日本でこんなにセザンヌの名画が揃ったのは後にも先にも‘バーンズ・コレクション展’(94年、国立西洋美)とこの回顧展だけ。

セザンヌ展の実績をつくった横浜美が今回海外からはこの程度の作品しか集められなかった原因は一体何なの?上はヒューストン美から出品された‘青い衣装のセザンヌ夫人’。これはチラシに使われている絵。とびっきりいいというわけではないが、ほかと較べれば足がとまる。いつもは画像は3点なのだが、これしか載せる気にならない。

METとフィラデルフィアから4点でているが、はっきりいって所蔵コレクションのなかでは7,8番バッタークラスの絵。セザンヌが好きな方は日本にあるセザンヌ作品、例えばブリジストンの‘帽子をかぶった自画像’とかひろしま美の‘曲がった木’のようないい絵は当然みられているだろうから、それほど感激されないと思う。

しいて楽しみ方があるとすれば、安井會太郎の名作‘婦人像’(京近美)や岸田劉生の‘静物’(島根県立石見美)、佐伯祐三の‘パレットを持つ自画像’、中村つねの静物画などがあるので、日本の洋画家の作品をまとまったかたちでみるいい機会と頭を切り替える。でも、これに1400円はもったいない。

横浜美はアクセスのよくない美術館。‘近代絵画の父、セザンヌ’(そんなことは皆知っている!)を仰々しくかかげるのもいいが、肝心の手本となるセザンヌのいい絵がなくては話にならない。こんな手抜きの企画展をやっているようでは美術愛好家から見放される。99年のころのパワーはどこへ行ったの?

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コメント

いづつやさま
今回のセザンヌについては、「セザンヌ主義」という届きそうで届かないフレーズに、初めから行く気になれませんでした(じっさい行ってません)。なにごとについてもそうですが、なにも「売り」がないときには、宣伝にも方向性が感じられないものです。この展覧会もその典型だったという訳ですね。いづつやさんのコメントを読み、納得しました(行ってないのに!?)。あと、美術展は場所も重要ですね。個人的な印象として、この横浜美術館はイケマセンのレベルです(丹下氏には申し訳ないですが)。オルセーを模したことを聞いて、よけいガックリしたのを覚えています。その階段状のスペースが全然活きていないのをはじめ、展示室から展示室への「廊下」部分が狭く、なんだか文化祭の催しをみるのに学校の教室から教室を渡り歩いてる感覚に襲われました。それ以来(もうずいぶん前の話ですが)行っていません。あ、間違えました。ダ・ヴィンチの「白テン」は観に行きました。
よい美術展はよい環境で、「あそこであの絵が観られるのだな」という
行くまでの気分のシミュレーションも大事にしてもらいたいとも思うのです。(Bunkamuraや東京都美術館は目をつぶって入ります)
海外の美術館に、がっかりさせられた記憶はあまりありませんが、日本にもよい美術館は数多くあると思います。むしろ亜流ではなく、オリジナル勝負でよいハコをつくってもらいたいと思います。
これまでに最も忘れがたい美術館はニースのシャガールの聖書美術館でしょうか。
ともかく、ことしも楽しく、たいへん示唆に富んだブログをありがとうございました。

投稿: あるデザイナー | 2008.12.25 15:47

こんばんは。

1999年が懐かしいですね。

今回は割り切って観て来ました。

投稿: Tak | 2008.12.25 23:49

私は、若かりし頃セザンヌが、好きだった。
今も、この天才が、きらいではないですが、燃えつきるのがはやかった。今は、休憩!
ある方から、横浜美術館にいくように、勧められてますが、いづつやさまのブログ拝読してよかったわ。横浜遠いし~、寒いし~。ゆくか、ゆかぬかは、ゆっくり決めます。

投稿: Baroque | 2008.12.27 14:29

↑上の Baroqueです。
画像すばらしいですね。
クリックすると、鮮明でとてもいい画像になりますね。

投稿: Baroque | 2008.12.27 14:40

to あるデザイナーさん
返事が遅れて申し訳ありません。
横浜美の展覧会は評価しているほうだったの
ですが、今回は‘ありゃら、、’という感じ
です。

セザンヌに影響を受けた画家の絵をこれでも
かと並べる必要があるのでしょうか?

ニースのシャガールの聖書美術館は思い出深
い美術館です。大作の聖書画がアートバイブルⅡ
に沢山載ってますね。

投稿: いづつや | 2008.12.28 23:36

to Takさん
返事が遅れて申し訳ありません。
99年の回顧展がすごくよかったので、今回も
いい絵が3点くらいあるだろうと期待していた
のですが、ダメでした。

こちらとしてはセザンヌ展のパートⅡとみてます
から、数は少なくても質の高い絵をいつも言って
いるように3点みせてくれればOKだったのですが、
残念です。横浜美はなかなかブランド美術館に
なれませんね。

投稿: いづつや | 2008.12.28 23:52

to Baroqueさん
返事が遅れて申し訳ありません。
フィラデルフィア美にあるセザンヌの
‘サント・ヴィクトワール山’と‘大水浴図’、
そしてチューリッヒ、ビューレ・コレクション
の‘赤いチョッキの少年’の3点はなんとして
も見たいですね。これが長年の夢なんです。

拡大画像が素晴らしい画像になりました。
名画をいい画像でお見せすることに腐心し
てますから、これは願ったり叶ったりです。

投稿: いづつや | 2008.12.29 00:05

セザンヌ主義見てきました。本当ひどい展覧会でした。

糞な点
①145点(展示替えや関東では並ばない作品もあるので130点前後の展示かね)
数並べりゃいいってもんじゃない。セザンヌの油彩はたった35点前後。水彩数点。

②国内からかき集めたセザンヌが大半を占めてたけどこれだけしか並べないのにこの質の で固めるのかい?って作品群。1999年の傑作揃いのセザンヌ展は何だったんでしょう。

水浴、人物、静物、風景の超傑作を各章の冒頭に数点展示してあと日本人画家でも最悪よかったかと思います。てかその方がいいです。ポスターもタイトルもセザンヌとうんたらとかセザンヌはもはや脇役みたくもっと強調させてくれれば怒りも少なかったかと。
真の傑作を並べてこそセザンヌ主義を見られるだろうと思うのですが。水浴なんてひどいの勢ぞろいでしたね。ポーラ美術館は自主企画で展示中なので借りられないのが痛かったと思います。前回の時はピカソ美術館からも水浴来てたのに...

③作品数が異常に多いから常設のスペースにまで展覧会が及んでいて、しかも横浜美術館のあほに狭く縦長の展示室にさらに壁を設けてるので両脇に作品で超混雑通れない。絵と絵の間隔も狭くなりがちなので名品が並んでるところで大渋滞。角部分にも作品が詰めてあるから最悪。すごく狭い仕切りのスペースもあったし。あり得ない。
常設にまで及んでるなら潔く常設休みにして全館使って企画展すればいいのにと思いました。ミュージアムショップを展示室内につくっていて余ったスペースにちょっとコレクション展示もやる。本当馬鹿な美術館だと思いました。いつも思うおのですが、あのホールの空間も何なのでしょう。本当無駄です。せめて3層にして上階常設、今ある階を企画にすれば よかったのにと。東山魁夷の時も本当ひどかったです。何であの幅の展示室に壁をあれこれ設置するのでしょう。
センスねえのか?

展示も箱も失格です。最近、読売主催の展覧会ってひどいの多くないですか?前回のセザンヌ展は東京新聞主催です。国立新美術館のモネ展もひどかったですが、これも読売。1994年の決定版とも言えるモネ展も東京新聞。読売と関わるといい展覧会がつくれてないと思います。予算が異常に低いのでしょうか。読売は阿修羅展、薬師寺展などまとめて一か所から借りてくる展示だけ関わっていればいいのにと思いました。横浜美術館の力もないでしょうが、読売のせいな気もします。東京新聞、朝日新聞の方が丁寧な作りの展覧会に関わってる印象がありますね。

投稿: ぽぽ | 2009.01.12 00:11

to ぽぽさん
横浜美が99年に行った大セザンヌ展を見られ
た方はたぶん皆ガッカリされるでしょうね。
前回と同じくらい名画がみれるとは思ってませ
んが、有名な絵を2,3点見せてくれるのでは
と誰でも期待しますよね。

ここはゴッホのいい展覧会も開いてますから、
印象派に強い美術館と思いたい。でも、こうい
うのをやってしまうと、信頼のベースがガタ
ガタ崩れます。資金がないのでしょうか?残念
です。

投稿: いづつや | 2009.01.12 10:22

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