08年感動の美術鑑賞プレイバック! メトロポリタン
今回のMETでの絵画鑑賞は本当に充実していた。館内に3時間いれたこともあるが、なによりも嬉しかったのが予定のクールベ展のほかに想定外のニコラ・プッサンの回顧展に遭遇したこと。だから、必見リストの作品だけでなく、プッサンも目をかっと見なくてはいけないし、また最後にミュージアムショップで重い図録や絵ハガキを購入する時間も確保しなければいけないから、もう滅茶苦茶忙しかった。
16回にわたって感動した絵を紹介したから、図録に載っている有名な絵はおおよそカバーしているのだが、心に残っている名画の中からもう3点取り上げることにした。
★グレコの‘枢機卿の肖像’(上の画像)
★セザンヌの‘温室内のセザンヌ夫人’(真ん中)
★ルノワールの‘沐浴する若い女’(下)
ボストン美でグレコ(1541~1614)のいい肖像画をみたが、METで200%サプライズしたのが‘枢機卿の肖像’。大きな画面に描かれたこの枢機卿はものすごく存在感がある。目に焼きつくのが丸い眼鏡とまばゆいばかりの濃い赤紫の衣装。そして、滑らかな布のひだの精緻な描写が見事!馴染みの幻想的な宗教画のほかに、モデルの内面をしっかり捉えたこんなすばらしい肖像画を見れたことが嬉しくてたまらない。まさにエポック的な出会いだった。
ここにはセザンヌ(1839~1906)の有名な人物画が二つある。‘赤いドレスを着たセザンヌ夫人’と真ん中の絵。お気に入りは‘温室内’のほう。妻オンタンスの顔は彫像のような感じはするものの、ほかと較べるとかなり写実的に描かれているから、夫人は物静かな性格の女性だったように思えてくる。ほかにも静物画、‘レスタックから見たマルセユ湾’とか‘ベルヴューカから見たサント=ヴィクトワール山’などのいい風景画、二作目の‘カード遊びの人たち’などが目を楽しませてくれる。まったく質の高いコレクションである。
ルノワール(1841~1919)が描いた裸婦像にどれも魅せられているわけではないが、ここにある‘沐浴する若い女’とまだ見る機会のないフィラデルフィア美蔵‘大きな浴女たち’にはぞっこん参っている。‘大きな浴女たち’との対面はまだ時間がかかりそうだから、当分はMETの裸婦像をながめ続けることになりそう。惹きつけられるのは透きとおるような白い肌と美しい横顔。小さな顔とは対照的に腰回りは大きくふくよかなこと。
今年は1~3月、海外の美術館でみた名画に大変感動し、年末までその余韻に浸っておりました。この感動を皆様と共有できたことを嬉しく思っております。拙ブログをいつも見ていただき誠に有難うございます。良いお年をお迎え下さい。
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