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2008.11.16

出光美の陶磁の東西交流展

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出光美では何年か前から所蔵のやきものを一つのテーマに沿って展示する‘やきものを親しむシリーズ’というのを実施している。2年前の第5回は‘青磁の美ー秘色の探究ー’で、今回は‘陶磁の東西交流ー景徳鎮・柿右衛門・古伊万里からデルフト・マイセンー’(11/1~12/23)。

評価の高い一級のやきものが鑑賞できるだけでなく、ここは展示の仕方が上手で解説もわかりやすいから、いつも大きな満足が得られる。しかも、ぐるっとパス券を使うと無料なので、得した気分。

最初に展示してあるのは中国明時代、万暦年間(1573~1620)に景徳鎮の民窯で焼かれた‘芙蓉手’と呼ばれる青花磁器。花鳥文が描かれた大皿2点(口径51㎝)が目を引く。こうした文様を写したオランダのデルフト窯やドイツ、イギリスの窯の皿が一緒に並べられていると、青の発色度合や形の違いがよくわかる。明朝が滅亡し、やきものの生産が途絶えたので、その替わりにオランダ東インド会社が輸出を依頼したのが日本の肥前の窯。でも、注文された文様は中国風の‘芙蓉手’だった。

‘和風の意匠’がヨーロッパ市場で注目を集めるのは‘乳白手’(にごしで)が特徴の‘柿右衛門様式’。上は柿右衛門(右)の‘八角鉢’と文様をそっくり写したをマイセン窯(左)。この文様は水甕に落ちた子供を甕を割って救ったという司馬光の故事がもとになっている。ウィーン窯とイギリスのチェルシー窯が同じく写したものもある。マイセン窯の文様は‘まァ、いいかな’という感じだが、あとの二つは100%写しとは言い難く50%くらい。ヨーロッパの窯がコピーした文様はほかには鶉文、柴垣葡萄栗鼠文、鳳凰松竹梅柴垣文があった。

柿右衛門様式のあと、色絵磁器の主流になり、輸出されたのが元禄期に生まれた古伊万里(金襽手)様式。これは中国発をコピーしたものだから、ヨーロッパにとっては柿右衛門のようなジャパンオリジナルではなく東洋的な様式。金彩をくまなく施し、主に赤やうす赤の色絵で文様を描くから装飾過多の印象が強い。でも、西洋の王侯貴族はこういう派手で絢爛豪華な絵付けが大好きだから、需要は多かった。

出品作のなかでは最も大きな壺一対、‘色絵美人文共蓋壺’(高さ85㎝)にしばらく見惚れていた。真ん中は鮮やかな色彩が目を楽しませてくれる‘色絵楼閣文皿’(右)とこれを写したイギリス・ウースター窯の‘色絵楼閣文如意頭型皿’(左)。ウースター窯では見込のまわりの文様をだいぶ変えている。花はそれなりにコピーしているが、龍を描くのが難しかったのかこれは写さず、簡単な花にしている。

下は興味深々で見ていた古伊万里‘色絵ケンタウロス文皿’。この絵付けをした陶工にとって、海外の注文主からもらった情報は‘ケンタウロスは腰から下は馬で上半身は人間’しかないから、想像をめぐらしてもこれが精いっぱいだったかもしれない。三人とも腹が布袋さんの腹になっているのが笑える。肩のこらないとてもいい展覧会だった。

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