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2008.11.05

畠山記念館の渋ーいやきもの!

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畠山記念館で現在、行われている‘数寄者 益田鈍翁ー心づくしの茶人ー’(10/11~12/14)へ出かけたのは鈍翁とここの創設者、畠山即翁との深いつきあいに興味があったからではなく、ひとえに上の‘柿の蔕(へた)茶碗 銘 毘沙門堂’(重文)が見たかったから。

この美術館へ通いはじめてから4年経つが、琳派作品は一通り見たものの、図録に載っているやきものの名品がまだ数点残っている。8月に念願の‘金襴手・六角瓢形花入’(拙ブログ8/21)が登場し、今度はこの渋ーい茶碗である。

これは朝鮮の高麗茶碗のひとつで、名前が‘柿の蔕’とつけられているのは茶碗を伏せたときの姿が干し柿に似ているから。たしかに蔕の感じがする。干し柿は小さい頃に食べた思い出はあるが、それ以来もう何十年も口のなかに入れたことがない。

褐色の素地は釉薬のかかってない焼締陶器のようにざらざらしており、その素朴な土味にたまらなく惹きつけられる。じっと見入ってしまうのが腰につけられた二つの段。こういう形が茶人たちの心を揺すぶったにちがいない。柿の蔕天下三椀に数えられているのは‘毘沙門堂’と‘大津’(大阪・藤田美)と‘京極’(徳川美)。‘京極’は見たことがあるので、‘大津’ともいつか対面したい。

真ん中は愛嬌のある形をした‘伊賀瓢形共蓋水差’(桃山時代)。お正月に飾る鏡餅みたいな形をしている。このぷくっと膨らんだ形と肌に流れるうす緑のビードロ釉に魅了される。ビードロ釉は焼成中の灰が溶けてできる自然の釉薬のこと。これは元鈍翁が所蔵していたものらしい。もう一つ、これと同じくらい感激するのがある。それは‘信楽耳付建水’(江戸時代)。淡い土色の肌にどどっとかかる鼠色も混じったうす緑の灰釉がなんとも目にやさしい。

下は李朝時代にやかれた‘御所丸茶碗 銘 堅田’。これは黒織部の沓形茶碗に倣った注文品。朝鮮王朝との交易船‘御所丸’で日本に入ってきたから、この名前がついている。楕円形を思い切りぐにゃっと変形させたあと、黒釉を刷毛でざっざっと塗って、‘ハイ、出来上がり!’といった感じ。

やきものの形というのは余計なことを考えないで、無心に轆轤をまわしあるいは手を使って出来上がったものが一番美しく見える。そこには作り手の心が素直に現われているのではないだろうか。

今年はこれで畠山記念館は終わり。来年はずっと待っている‘志野水差 銘 古岸’(重文)が展示されると嬉しいのだが。

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