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2008.11.02

速水御舟展 その三

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平塚市美で行われている‘速水御舟展’(10/4~11/9)で新たに展示される作品が数点あったので、再度出かけた。新規の6点をみてさっと引き上げるつもりだったが、前回魅了された絵(拙ブログ10/410/5)の前ではそこを離れがたく、結局そこそこの時間が経ってしまった。

今回のお目当ては上の‘樹木’(霊友会妙一記念館)。画集で見て以来、いつかこの目でと思っていた作品。これは橅(ぶな)の木だが、太い幹にぐるぐる絡みつく枝をじっとみていると別のことを想像する。ズバリ、豊満な肉体をもつ裸婦に蛇が巻きついている。

だから、見ようによってはすごくエロティックな絵。画集でみているときは、こんな感じはしなかったのに、幹の表面がでこぼこしている上の部分や量感を感じさせるふくらみがだんだん女性の乳房やお尻、足に思えてきた。妄想しすぎ?!関心のある方はご自分の目で。

御舟の色は明るい土色があったり、深い青があったり、この絵のように粘着質的な緑といろいろ。会期中でている‘渓泉二図’は‘樹木’と同じく緑が目にどっと飛び込んでくる絵。こういう絵は色が深いので好みが分かれるかもしれない。

真ん中の‘遊魚’(滋賀県近美)で惹きつけられるのが川魚の動感描写。川底の丸い石を薄く簡略に描き、見る者の視線を魚に集め、さらに二匹を対角線に配置することで勢いをだしている。大倉集古館蔵の‘鯉魚’(展示は終了、07/1/26)も好きな絵だが、この対角線構図の魚の絵にも大変魅せられた。

花の絵は菊、朝顔、芙蓉、牡丹など沢山あるが、見栄えがするのが‘菊花図’(前回紹介)、‘瓶梅図’、‘びなんかつらにるり図’。牡丹図は残念ながら山種美にある‘墨牡丹’のような絶品ではなかった。

下の‘平野晴景’(西丸山和楽庵)は‘丘’とともに心に響いた絵。緑や青緑で描かれた畑の草花の描写が実に細かい。よくこれだけ細く描けるものだなとつくづく感心する。そして、構成がまたいい。遠くで明るい空にたちのぼっていく煙の白が目に焼きつき、手間の道にみえる枯れ木の影と光が当たっているところの強いコントラストも印象深い。日差しはだいぶ強そう。日頃はこういう風景にはほとんど縁がないが、旅行にでかけたりすると時々出くわす。

御舟の風景画では遠くの光景はかすみがかかったように描かれているのが特徴。このやわらかく微妙なかすみ具合がえもいわれず美しい。この絵の畑の向こうに見える家々もそうだが、‘西郊小景’(愛知県美)は画面全体にかすみがかかっている感じ。

来年秋、山種美で開かれる御舟展まで今回見た作品の余韻が続くかもしれない。そんなことを思わせるすばらしい展覧会だった。

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