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2008.11.09

足利将軍の美術顧問 能阿弥・芸阿弥・相阿弥

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徳川美の‘室町将軍家の至宝を探る展’に出品された中国画のなかには、4年前、根津美であった‘南宋絵画展’で見たものが18点あった。

牧谿の代表作‘瀟湘八景図’は無かったが、‘竹雀図’(根津美)、‘柳燕図’(徳川美)といった名品、そして国宝の前期にでていた胡直夫の‘夏景山水図’(久遠寺)、直翁の‘六祖挟担図’(大東急記念文庫)や後期展示の李迪の‘雪中帰牧図’、そし通期出ずっぱりの梁楷の‘雪景山水図’(東博)など。

再会した名画に体が熱くなったことは言うまでもないが、前期展示のため見逃した作品に悔やまれるのがあった。それは閻次平の‘秋野牧牛図’(国宝、泉屋博古館)、徽宗の‘水仙鶉図’(重文、個人)、牧谿の‘布袋図’(重文、九州博)。この先いつ対面できるかわからないが、気長に待ちたい。

室町時代になり、三代将軍足利義満のころから中国の絵画、やきもの、漆器などいわゆる一級の舶来品、‘唐物’(からもの)を愛でる風潮が高まり、これが八代義政まで続き、多くの名品が我が国にもたらされた。将軍家の蒐集品は後に‘東山御物’(ひがしやまごもつ)と呼ばれるようになる。

もちろん、将軍がすべて自分の鑑識眼により集めたわけではない。将軍のまわりにはちゃんと美術品蒐集の指南をする美術顧問‘同朋’、今でいうアートディレクターがおり、美術品の蒐集、管理、飾り付けなどを行っていた。

六代将軍義教から十二代義晴まで、この同朋として目覚ましい働きをしたのが能阿弥、芸阿弥、相阿弥の父子三代。かれらは美術品の管理をしただけでなく、自ら筆をとり絵も描いた。名画を見ていると絵を描く腕も自然と上達するのであろうか、いい絵をいくつも残している。

上は前期に展示された能阿弥の‘花鳥図屏風’(重文、右隻)。これは出光美の所蔵で、過去数回見たことがある。構図といい、鳥や蓮のやわらかい描写といい、すばらしい絵。とりわけ、上空を舞う白鷺の体を大きくひねった姿に魅せられている。

真ん中は芸阿弥の代表作、‘観瀑図’(重文、根津美)。何年か前、これを見たとき、‘周文、雪舟以外にもこれほど上手に水墨山水画を描く絵師がいたのか!?’と仰天した。以来、芸阿弥の名前と四つの水の流れがダイナミックに落下する滝が胸のなかに刻みこまれている。

今回の大収穫は相阿弥が描いた下の‘瀟湘八景図・四幅’(重文、大仙院)。大仙院には一度行ったことがあるので、見たことがあるかもしれないが、今ではその記憶はまったく消えている。大変大きな絵で、しかも余白がいっぱいとってあるから、絵全体に包みこまれる感じ。今は軸物に改装されているが元は襖絵だった。

山水画の場合、米粒ほどの人物がどこに描かれているかを見つけるのが楽しみのひとつだから、視線をくまなく移動させる。一人、感心させられるところに描かれていた。左から二番目では下から登っていく細い道が岩山の後ろに回り込む寸前のところに男がいるのである。こういうのを見ると、相阿弥は絵心があるなと思う。

中国画の名品だけでなく、‘三阿弥’の絵にもぐっと近づけたから、言うことなし。満足度200%のすばらしい展覧会だった。

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