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2008.11.03

静嘉堂文庫の古伊万里展

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静嘉堂文庫の金襴手コレクションに度肝をぬかれた。‘岩崎家の古伊万里ー華麗なる色絵磁器の世界ー’(10/4~12/7)は情報を得たときから訪問計画に入っているのだが、注目していたのはチラシに載っていた上の古九谷様式‘色絵丸文台鉢’。緑、黄色、紫の丸い文様が組み合わされたモダンな意匠感覚にとても惹きつけられる。

これを見たあと、MOAの展覧会にも出品されていた鍋島‘色絵牡丹文水注’(拙ブログ06/12/7)や雪景色を情感たっぷりに描いている‘染付雪景文千鳥形皿’にうっとりし、これで満足という気分でいたら、その先に大きなサプライズが待ち受けていた。

元禄時代(1688~1704)に出現した絢爛豪華な金襴手の優品がずらっとあった。過去、赤や緑の地に金彩(金を焼きつけること)を施した金襴手様式のやきものは何度も見てきたが、これほど魅せられたことはない。色の輝き、文様の華麗さがワンランク上のやきものという感じ。まったくすごいコレクションだった。

岩崎家が蒐集した金襴手は質の高いことで有名なのだろうが、これまで知らなかった。10数年ぶりの公開のようで、とてもよくできたコンパクトな図録も作成されている。ここはいつもは図録はつくらないのに今回はHPで図録の作成を案内していたから、気合いの入り具合が読み取れたが、これほどのコレクションだとは思わなかった。

作品数84点のうち金襴手は54点ある。だが、ここにはお馴染みの‘荒磯文’や‘赤玉文’といった意匠はなく、描かれた文様ははじめてみるものが多い。しかも、その文様はかなり手がこんでいるから、もう頭がくらくらする。流石、岩崎家の眼力はすごい。

真ん中は思わず息を呑む‘色絵孔雀花卉文皿’。白地の孔雀をとりかこむ目の覚める赤とそこにびっちり描かれている花と鳥に釘付けになった。数の多い意匠が‘鳳凰文’と‘団龍文’。これまで‘鳳凰文’の金襴手を見た経験は少ないから、一鉢々夢中になってみた。なかでも花卉、菊文、唐花と組み合わせた‘鳳凰十二角鉢’と羽をいっぱいに広げた‘鳳凰花卉文八角鉢’に痺れた。

今回、最もびっくりしたのが下の‘色絵鶴亀甲松竹梅文菊花形大鉢’。こんなに大きくて豪華な絵付けが施された鉢はみたことない。口径は48㎝もある。口縁は32弁の菊花の形をしており、番の鶴や松竹梅など定番の吉祥文が白地に輝く金彩で見事に描かれている。

これほど気分がハイになるやきもの展は久しぶり。一生の思い出になる。今、図録を毎日眺め、名品の余韻に浸っている。

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コメント

むむむ~。
やはり、百聞は一見に如かずですね。
この展覧会迷ってましたが、こちらの画像に
やられました。
何とかやりくりして見て来ます。
ご紹介ありがとうございました。

投稿: meme | 2008.11.04 19:07

to memeさん
これほど手のこんだ意匠で埋め尽くされた金襴手
ははじめて見ました。流石、岩崎家という感じです。
どうかお楽しみください。

投稿: いづつや | 2008.11.04 23:31

はじめまして、「古人の古伊万里の館」の渋右衛門と申します。
美術館めぐりの情報収集によく利用させて頂いております。
いづつや様の感激された様子が伝わって来て、思わず書き込み
させて頂きました。
岩崎家の古伊万里は素晴らしい物ですよね。
いづつや様のように美術に造詣が深い方に、金襴手伊万里の
良さを分かって頂き、古伊万里コレクターとして大変嬉しく
思いました。
こらからも参考にさせて頂きたいと思いますので、よろしく
お願い致します。

投稿: 渋右衛門 | 2008.11.15 11:49

to 渋右衛門さん
はじめまして。書き込み有難うございます。

古伊万里のコレクターの方ですと、岩崎家の
金襴手コレクションの事はよくご存じのことか
と思いますが、これほどすばらしいものとは
予想もしてませんでしたから、大感激でした。
やきものの楽しさをあらためて感じました。

古伊万里のこと、また教えてください。これ
からもよろしくお願いします。

投稿: いづつや | 2008.11.15 14:56

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