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2008.11.19

お知らせ

拙ブログはしばらくお休みします。

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2008.11.18

食べたいカキ ベスト10!

206朝日新聞の夕刊紙面に定期的に載るアンケート調査‘日本一の○○’は関心のあるものが登場したときはスクラップしている。

本日は‘食べたいカキ’。朝日の会員サービス‘アスパラクラブ’のHPで行ったアンケート結果(回答総数 1万1516人、複数回答)はこうなっている。


1位 広島       7628人
2位 宮城       5524人
3位 北海道・厚岸  3158人
4位 三重・的矢   2173人
5位 岩手       1640人
6位 石川・能登   1313人
7位 北海道・サロマ湖  910人
8位 長崎・九十九島  605人
9位 島根・隠岐     587人
10位 兵庫・相生    580人 

カキというと‘広島のカキ’が昔から有名だが、32%の人が‘食べたいカキ’にあげている。仕事で広島に9年住んだので冬になると、よくカキを食べた。食卓にのぼるのはだいたいフライ。ふっくらと身がつまり大きいが、やわらかいからパクパク食べられる。生カキはコース料理のときだけ。レモンをたらして食べると最高。でも、栄養価が高いからあまり食べるのは禁物。

また、カキの土手鍋もおいしい。随分昔のことだが、新宿の伊勢丹会館地下1階にある‘安芸路酔心’でこの味噌がたっぷりの土手鍋に舌鼓を打った。生カキもおいしいが、焼きカキも絶品。正月、厳島神社にお参りする際は、店の前で焼いている磯の匂いが漂うカキに誘われて、おもわず注文したことが度々あった。

10位のなかで、思い出のカキが広島のほかにもう一つある。それは名古屋にいたとき2度コースを食べにいった志摩市の的矢カキ。ここは4位にランクされている。的矢カキはおいしいということを聞いており楽しみしていたら、噂通りのおいしさだった。

コース料理だと、生カキから、フライ、焼いたもの、カキご飯とカキの料理がどーんと出てくるから、もうニコニコ顔。二度目のときはカキで腹をいっぱいにしたあとは大好きな麻雀だったので、ご機嫌だった。

2位に入った松島のカキもおいしそうだが、意識して食べたことがない。仙台へ行く機会があれば、一度コース料理を体験してみたい。

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2008.11.17

クローズアップ現代 演歌の逆襲!

205先週木曜のNHKの‘クローズアップ現代’(夜7時30分)では、‘演歌の逆襲!’というのをやっていた。

この番組は毎日ではないが、興味のあるテーマのときは見ている。前の日の‘村上隆のアート戦略’同様、とてもおもしろかった。

演歌とか歌謡曲は好きなので、昔の曲ならレパートリーはかなりある(拙ブログ07/12/27)が、CDはクルマを運転しているときマイスル・デイヴィスのジャズを聴くだけだから、演歌やジャパンポップスの最新のヒット曲は全然知らない。

番組で取り上げられた曲はかろうじてジェロの‘海雪’に少し耳が反応する程度だった。ジェロはデビュー時、異色の黒人歌手が日本の演歌を唄うというので注目していた。この歌手は本当に歌が上手い!お婆さんが日本人だとしても、どうしてこんなに日本人の心がわかるの? 日本語がペラペラで歌唱力は抜群ときたら、国籍に関係なく、応援したくなる。若手の人気者氷川きよしを追い越しそうな勢いである。

30万枚のヒットとなった‘海雪’の発売戦略がとても興味深い。作曲はあの宇崎竜童。サビの部分ははじめはこれまでの歌のようにオーソドックスなものだったが、担当者の意見でこれが最終的にはジェロのようは高い歌唱力をもった歌手にしか歌えない難しいものに変わった。

この音楽プロデューサーはすごくいいことを言っている。‘聴く人がこんなサビはプロの歌手にしか歌えないと感心するくらいの楽曲でないと今はヒットしない。これまでの演歌というのはカラオケで皆が唄えるように歌いやすくして作られてきたが、それが曲の画一化を生んでいた’。

たしかにこれは曲作りの本質をついている。いい歌というのは作詞家、作曲家、歌い手が最高のものを求めてコラボすることによって生まれてくるのだから、歌好きの素人が簡単に唄える歌である必要はない。‘流石、お金をとって聴かせる歌ネ!’と感激させる歌が沢山ある方が聴く方にとってはやはりいい。

昔のヒット曲を思い出してみても、すごい歌唱力で観客を圧倒する歌手が何人もいた。演歌の大御所、北島三郎は‘僕は曲の中に素人がさっと歌えないところを一つ入れることにしている’と言っていた。これがプロの歌手のプライドというもの。

話が脱線するが、石川さゆりの難しい曲‘天城越え’を飲み会で歌う先輩がいた。‘よし、俺は天城越えを唄うぞ!’というから‘いいですねー’と耳を傾けていたら、この人いまどき珍しいド音痴!三番までお付き合いしたが、その間、皆腹をかかえて大笑い!音痴の人の歌を聴いているときほどおもしろいことはない。どうでもいいことだが、元フジTVの女子アナのウッチーも音痴だったなァー。

還暦デビューの秋元順子が唄う‘愛のままで’は聴いたことがなかった。すごくいい歌で、20万枚も売れているそうだ。歌の上手な人はいろんなところにいることはわかるが、60歳になってブレイクするというのはそれだけ、大人のための歌に多くのファンは餓えているのかもしれない。

若い人は歌詞よりサウンドのほうだ大事だろうが、年を重ねてくると歌詞やその詩の場面が心にズキンと響くようになってくる。歌手が歌うとき、その情景を自分のこととして思い浮かべられるから、その歌をまた聴きたくなるのである。長く愛される歌があちこちからでてきそうな状況になってきた。

これから不況で生活が厳しくなりそうだが、こういうときにこそ‘歌の力’が必要。音楽業界に期待したい。

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2008.11.16

出光美の陶磁の東西交流展

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出光美では何年か前から所蔵のやきものを一つのテーマに沿って展示する‘やきものを親しむシリーズ’というのを実施している。2年前の第5回は‘青磁の美ー秘色の探究ー’で、今回は‘陶磁の東西交流ー景徳鎮・柿右衛門・古伊万里からデルフト・マイセンー’(11/1~12/23)。

評価の高い一級のやきものが鑑賞できるだけでなく、ここは展示の仕方が上手で解説もわかりやすいから、いつも大きな満足が得られる。しかも、ぐるっとパス券を使うと無料なので、得した気分。

最初に展示してあるのは中国明時代、万暦年間(1573~1620)に景徳鎮の民窯で焼かれた‘芙蓉手’と呼ばれる青花磁器。花鳥文が描かれた大皿2点(口径51㎝)が目を引く。こうした文様を写したオランダのデルフト窯やドイツ、イギリスの窯の皿が一緒に並べられていると、青の発色度合や形の違いがよくわかる。明朝が滅亡し、やきものの生産が途絶えたので、その替わりにオランダ東インド会社が輸出を依頼したのが日本の肥前の窯。でも、注文された文様は中国風の‘芙蓉手’だった。

‘和風の意匠’がヨーロッパ市場で注目を集めるのは‘乳白手’(にごしで)が特徴の‘柿右衛門様式’。上は柿右衛門(右)の‘八角鉢’と文様をそっくり写したをマイセン窯(左)。この文様は水甕に落ちた子供を甕を割って救ったという司馬光の故事がもとになっている。ウィーン窯とイギリスのチェルシー窯が同じく写したものもある。マイセン窯の文様は‘まァ、いいかな’という感じだが、あとの二つは100%写しとは言い難く50%くらい。ヨーロッパの窯がコピーした文様はほかには鶉文、柴垣葡萄栗鼠文、鳳凰松竹梅柴垣文があった。

柿右衛門様式のあと、色絵磁器の主流になり、輸出されたのが元禄期に生まれた古伊万里(金襽手)様式。これは中国発をコピーしたものだから、ヨーロッパにとっては柿右衛門のようなジャパンオリジナルではなく東洋的な様式。金彩をくまなく施し、主に赤やうす赤の色絵で文様を描くから装飾過多の印象が強い。でも、西洋の王侯貴族はこういう派手で絢爛豪華な絵付けが大好きだから、需要は多かった。

出品作のなかでは最も大きな壺一対、‘色絵美人文共蓋壺’(高さ85㎝)にしばらく見惚れていた。真ん中は鮮やかな色彩が目を楽しませてくれる‘色絵楼閣文皿’(右)とこれを写したイギリス・ウースター窯の‘色絵楼閣文如意頭型皿’(左)。ウースター窯では見込のまわりの文様をだいぶ変えている。花はそれなりにコピーしているが、龍を描くのが難しかったのかこれは写さず、簡単な花にしている。

下は興味深々で見ていた古伊万里‘色絵ケンタウロス文皿’。この絵付けをした陶工にとって、海外の注文主からもらった情報は‘ケンタウロスは腰から下は馬で上半身は人間’しかないから、想像をめぐらしてもこれが精いっぱいだったかもしれない。三人とも腹が布袋さんの腹になっているのが笑える。肩のこらないとてもいい展覧会だった。

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2008.11.15

驚愕の石田徹也展! その二

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石田徹也が描くものでそのリアルな質感描写に驚かされるのは部屋の畳や床の板、木の椅子・台など。昨年‘回収’(拙ブログ07/11/15)で細密に描写された畳の目をみたときは瞬時に速水御舟の‘京の舞妓’(06/4/5)の畳を連想した。同じことを今回出品されている上の‘おやじ’でも感じた。

この絵をみていると、‘ビートたけし物語’でたけしのペンキ職人の父が卓袱台をひっくり返して大暴れしている場面を思い浮かべるが、視線が向かうのは、興奮して目が血走っているおやじの顔やそこらじゅうに転がっている茶碗や徳利ではなくて、びっくりするほどリアルな畳のほう。表面がだいぶ擦り切れて目がなくなっていたり、ところどころにシミがついている畳を見事に表現している。御舟もこれをみたら、裸足で逃げるのではなかろうか。

また、フロアの板の木目や椅子にも超写実的な描写が見られる。木目の描き方で印象深いのは藤田嗣治の絵とカイユボットの‘床のかんなかけ’(オルセー)だったが、石田徹也の絵はこれ以上に惹きつけられる。真ん中の‘前線’では顔を画面にくっつけてみたが、本物の長椅子が置いてあるようだった。

この絵がほかと比べてすごく落ち着いてみられるのは椅子だけでなく、地面にはえる雑草や後ろの緑の草花がこれまた精緻に描かれているから。これほど草の香りがし、木の匂いがする絵に出食わすことは滅多にない。草木の緑が目にしみる作品はほかにも‘捜索’、‘リハビリ’など4点あった。

この回顧展のサブタイトルは‘僕たちの自画像’。どの絵にも石田徹也自身によく似た若い男がでてくるから、石田は自画像をずっと描き続けてきたとも解釈できる。はじめは現実に目にする現象や光景を、ほかの人間には思いもつかない発想でいろいろ組み合わせて画面を構成し、マグリット流にズバリ本質を切り取ってみせたが、徐々に画風が変質してくる。

石田徹也の心の中で何がおこったのかはわからないが、描く対象が同じシュルレアリスムでもダリのような夢の世界になってくる。だが、その画面には閉塞感が漂い、死の恐怖や悲しみ、不安から逃れられない石田徹也の魂の苦悩が表現されているようにみえる。しかも、質感描写の生々しさはダリのスーパーリアリズム(06/10/2)同様半端でないから、見る者に強い衝撃を与える。

下は見た瞬間体をちょっと引いてしまう‘体液’。男の顔が洗面台の蛇口になっており、涙が下に落ちている。たまった水のところにいるのは寿司ねたの‘しゃこ’?それともカンブリア期の水中生物? 石田が亡くなった年、04年に制作された作品は暴力的な描写があったり、画面が暗くなり死の影がどことなく忍び寄っている。

彼は踏切事故で亡くなったということになっているが、自殺だったのではないかと見ている。最後の作品をみていると、そうとしか思えない。こんな天才画家が31歳で画業を閉じることになったのは残念でならない。日本が生んだ世界的なシュルレアリスト、石田徹也の作品をこれからもずっと眺めていたい。

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2008.11.14

驚愕の石田徹也展! その一

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一年前、衝撃的な出会いをした現代アーティスト、石田徹也の回顧展(11/9~
12/28)が今、練馬区立美で開かれている。これは高山辰雄展とともに開幕を首を長くして待っていた展覧会。

作品70点のうち、21点を静岡県美が所蔵している。石田徹也が04年、31歳で亡くなったあと、焼津市に住んでおられる遺族が作品を寄贈したのか?それとも美術館が購入したのか、そのあたりの事は知らない。ほかはCB COLLECTION蔵7点、第一生命2点 、残りの40点は個人蔵となっている。個人蔵というのは遺族のことなのか、遺族の手を離れてほかの人の所蔵なのかはわからない。まだご両親が持っておられるのではないかと勝手に想像している。

六本木で16点みたとき(拙ブログ07/11/15)、06年に刊行された‘石田徹也遺作集’(求龍堂)を購入し、この画家の代表作を目に焼きつけた。それらが目の前にあるのである。これほど早く鑑賞できるとは思ってもみなかった。

石田徹也の絵をみて驚愕することが二つある。一つはシュルレアリスト、マグリットの作品を思い起こさせる豊かなイメージ力。もう一つは速水御舟ばりの対象の質感をとらえる精緻な描写。マグリットも御舟も大好きな画家だから、石田徹也にものめり込んでしまう。まずは、日本のマグリット、石田徹也から。

CMのクリエーターが参った!と言いそうな作品がいくつもあるから、見てて本当に楽しい。上は画集で知り、見たくてしょうがなかった‘飛べなくなった人’。絵を見てしまうと、自分でも考えあぐねれば思いつきそうな気もするが、すぐそういうことを思う自分が恥ずかしくなる。

そう、こんなアイデアは並の人間からは生まれてこない。この飛行機は小さい頃漫画でみた‘零戦’のイメージ。そして、翼と胴体に描かれたマークはミッキーマウス。錆びついた戦闘機と可愛いミッキーマウスの組み合わせがおもしろい。

真ん中は最もマグリットの絵を想起させる‘燃料補給のような食事’。これがもし売りに出されたら、海外のコレクターが高値で落札することは間違いない。日本のアーテイストがこんなすばらしいシュルレアリスム絵画を生み出したことが嬉しくてたまらない。これ一枚で石田徹也は世界的なアーティストになったと言っても過言でない。

生活のテンポが早く、なにかと忙しい都会のサラリーマンにとって、食事にあまり時間をかけていられない。通勤途中や昼食時に立ち寄るスタンドで飲むコーヒーやソフトドリンクはこんなイメージかもしれない。誰でも感じるこうした光景をガソリンスタンドの給油とダブらせるというアイデアがまったくすごい!

下は画集に載ってなかった作品、‘トヨタ自動車イプサム’。これは数少ない陽気な絵のひとつ。新車を売りだす自動車会社の宣伝マンたちの仕事ぶりをマグリット流の画風で表現している。マラソンの駅伝競技に出るランナーみたいにゼッケンをつけ、そこに新車のセリングポイントやキャッチコピーを書いている。目を楽しませてくれるのが足元のミニチュアカーと頭に被っているタイヤやボディーのつくりもの。

また、TVを前と後ろに背負っているネクタイ姿の男性の絵とか、お酒を飲んで顔を赤くした若いサラリーマン3人が飛行機になって空を飛んでいる絵などにも魅了された。

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2008.11.13

WBCのコーチ陣決定!

195第2回WBC日本代表チームのコーチ陣が決まった。

その顔ぶれをみると少しずつ多くの野球ファンが望んでいる方向へ動き出したような気がする。

投手をみる山田コーチは明らかにイチロー対策。元阪急ブレーブスの大エースだった山田はオリックス出身のイチローとはいい関係にあるから、ヘッドコーチ格としては最適かもしれない。中日でも一年監督経験がある。

もう一人の監督経験者であるバッテリー担当の伊東コーチは投の柱になる松坂専任みたいなもの。西武の名捕手としてならした現役時代は松坂の球を受けていたわけだから、松坂の力を最大限発揮させるにはもってこいの人物。二人とも威張り体質だから監督には向かないが、コーチならいい仕事をするはず。

山田とともに投手をサポートする与田をスタッフに入れたのもよかった。NHKの大リーグ解説者として現場をよくみており、またすごい勉強家だから大リーグの強打者たちを抑えるにはどういうピッチングをしたらいいかを投手陣にうまく伝えられるのではなかろうか。また、高代、篠塚、緒方もコーチとして実績があるから、無難な人選といえよう。

今回一番良かったのはチームの名前を‘サムライジャパン’にしたこと。原監督や王さんの率直な気持ちはスポーツ紙をはじめマスコミ各社に対し‘原ジャパン’を使ってくれるなということだろう。WBCの主役は選手であり、監督ではないということを強く意識していることの表れだと思う。

もう、‘王ジャパン’とか‘星野ジャパン’のように監督が前面にでるような代表チームの編成をやっている時代ではない。こういうやり方だと選手が動かないし、野球ファンの納得を得られないことにようやくNPBも気づいてきたということか。埼玉西武ライオンズが渡辺監督とコーチ、選手が一体となって日本一になったのを見せつけられると、強面でやたら気合いばかり入れたがるヘボ星野流はもうまっぴら御免というのは当然の流れ。

このスタッフは代表メンバーにどんな選手を選ぶのだろうか?記者会見で原監督は選手も世代交代が進むと言っているから、メンバーのなかに生きのいい若手がかなり含まれることになりそう。候補選手や最終メンバー(28人)の発表が待ち遠しい。是非選んで欲しい選手を思いつくまま挙げてみると、
<投手>
松坂、岡島(レッドソックス)、斎藤、黒田(ドジャース)、ダルビッシュ(日ハム)、湧井、岸(西武)、岩隈(楽天)、成瀬(ロッテ)、岩田、藤川(阪神)、内海(巨人)、和田(ソフトバンク)
<野手>
イチロー、城島(マリナース)、岩村(レイズ)、福留(カブス)、小笠原(巨人)、稲葉(日ハム)、中島、中村、片岡(西武)、青木(ヤクルト)、西岡、里崎(ロッテ)、川崎(ソフトバンク)、栗原(広島)、内川(横浜)、

来年3月からはじまる大会にむけて、いろんな角度からベストメンバーを選び、最強のドリームチームをつくってほしい。

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2008.11.12

UKIYO-e TOKYO の隅田川の四季展

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ららぽーと豊洲のなかにあるUKIYO-e TOKYOで行われている開館ニ周年特別展‘隅田川の四季’(後期11/5~24)を見てきた。平木浮世絵財団がこのショッピングセンターに常設展示コーナーを設けて以来、定期的に通い、質の高い浮世絵コレクションをエンジョイさせてもらっている。

前回の鑑賞は6月の‘広重の六十余州名所図会’(拙ブログ6/7)だったから、すこし間隔が空いた。後期の作品数は52点。前期もそのくらいの数がでていたのだろう。タイトルが隅田川なので、当然広重作品が多くあることを期待していたが、その読みがズバリ当たり、26点あった。しかも嬉しいことにこれまで見たことのないものがぞくぞく目に前に現れた。特筆ものは摺りの状態が大変いい‘名所江戸百景’13点。

名所江戸百景は太田記念美が所蔵するものがベストと言われているが、ここのも同じくらい色が鮮やか。だから、一点々夢中になって見た。上は有名な‘大はしあたけの夕立’。にわか雨を表す斜めの墨線と下の深い藍色に目が釘付けになる。藍のグラデーションのすばらしさはこの絵だけでなく、‘佃しま住吉の祭り’、‘永代橋佃しま’などにも見られる。これらと遭遇しただけでもここへ足を運んだ甲斐がある。

浮世絵は数は少なくても一級の摺りの絵をみればそれで大満足。ボストン美やベルギーロイヤルコレクションなど海外の美術館から里帰りした浮世絵をみる度に、浮世絵鑑賞の最大の楽しみは鮮やかな色にあるなと実感するが、国内でもいい摺りのものはあるところにはある。‘六十余州’もすばらしかったが、ここは上質の‘名所江戸百景’もちゃんと揃えていた。こういう好体験が重なると、東博同様、定点観測が欠かせなくなる。

真ん中は同じく広重の‘東都名所 隅田川花見之図’。大勢の人が行き交う道は土手で少し高くなっているので、手前中央から三人の男女が細い道を上がっている。広重はこのように空間を立体的に描写するのが天才的に上手い。‘名所江戸百景’でも人々が坂道を登ったり、下ったりするところや神社の石段を下から上がってくる場面がいくつかでてくる。

風景画の名手は北斎、広重だけではない。渓斎英泉の‘江戸八景 隅田川の落雁’や下の歌川国芳の‘東都富士見三十六景 隅田堤の夕富士’も魅力あふれる名作。‘隅田堤’は構図がすばらしい!見る者の視線をまず、堤の上で腕を差し出している二人に集め、そのままその目を左の大きな傘のような木のなかにおさまっている富士山に移動させる。自分も夕闇せまるこの場にすっ飛んで行き、浅草寺の五重塔の向こうに見える富士を一緒に眺めていたい気分である。

ほかでは季節はずれるが大きな花火絵も見所のひとつ。これぞ江戸の花火エンターテイメント!見てのお楽しみである。

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2008.11.11

大琳派展 その九

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大勢の人を集めている‘大琳派展’(東博)は会期が残りわずかになってきた(11/16まで)。この展覧会は出品作を全部見ようとすると、どうやりくりしても3回の訪問が必要。あらたな作品は15点(プラス展示替え10点)と少ないが、琳派狂いとしては一点たりとも見逃すわけにはいかないので、また足を運んだ。

相変わらず会場内は混雑している。でも、作品の前の列が全然動かないということはないから、人を掻き分け進んでいくと1時間くらいで新登場の絵をみることができた。15点のうち、はじめて見るのは宗達の水墨画‘撫子杜鵑図’(なでしこほととぎす)、‘兎図’の2点のみなので、作品へのワクワク感というのはあまりなく、名画と再会する喜びを噛みしめようという気持ちのほうが強い。

上は光琳の‘竹梅図屏風’(重文、東博)で、はじめて対面した時のことは拙ブログ05/2/23に書いた。これはあまり大きくない屏風。視線が集まるのが右の二本の竹に囲まれた梅の木。枝の一部が真ん中で折れ斜め下にのびていたり、細い枝が交差し、そこに咲いている梅の花は木全体の印象深いフォルムとともにしっかり目に焼きつけられる。

光琳は技量の高い絵師だから、構図を決めてからは、あまり時間をかけずささっと筆を走らせ、一気に描いたのであろう。一見すると平面的な画面だが、質感が伝わってくる竹が太さを変え、さらに墨に濃淡をつけて描かれているので、奥行きのある空間になっていることに気づく。

真ん中は会期中展示されている抱一の‘夏秋草図屏風’(重文、東博)。これは光琳の‘風神雷神図屏風’とともに東博にある琳派作品では皆がすぐ思い浮かべる名作。よく音楽や音が聞こえてくる絵に出くわすことがあるが、この絵からは風の音が聞こえてくる。ススキがかなり左にまがっているから、ときおり強い風が吹いているのかもしれない。

サティの音楽を流しながら、左の秋草の絵をみているととてもいい気分になる。構成で惹きつけられるのが右上に描かれている群青の水流と左の葛の葉が対角線的に配置されて、右の大きな白百合を挟んでいるところ。

下は今回一番長く見ていた鈴木其一の‘夏秋渓流図屏風’(重文、根津美)。画像は左隻の秋のほうで、右隻が夏の渓流(06/6/14)。師匠の抱一同様、其一も夏と秋の光景をモティーフにしたが、絵の趣はだいぶ異なる。

この絵の主役は渓流とこげ茶色の樹幹がすごくインパクトのある木々。琳派というと華やかで柔らかい画風をイメージするが、これは同じ琳派でも構成がかっちりしていて、筋肉質の男性を連想させる木々が立ち並ぶなかを広がりのある渓流が岩に流れを変えられながら滔々と流れていく。

あたり一面は生き生きとした新鮮な空気につつまれている感じで、土坡の緑、岩面の金色、水流の目の覚める青、幹のこげ茶の色の組み合わせはとても斬新でシャープ。其一のその時空をこえた現代的な感性にはほとほと感心させられる。また、この絵にKOされた。

名作を目いっぱい見せてくれたこの展覧会には感謝してもしきれない。もう大二重丸である。

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2008.11.10

祝 埼玉西武ライオンズ 日本シリーズ優勝!

1877戦までもつれこんだ日本シリーズは最後に埼玉西武が巨人を破り、日本一になった。拍手々!

戦前の予想では、今年は原監督に勝負運があるので、巨人が勝つだろうと思っていた。5戦までの流れでは誰がみても巨人。

が、6戦に岸が中二日でロングリリーフし、巨人打線を抑え込んでから西武のほうに勢いがでてきた。最終戦はあきらかに西武の選手の方が思いっきりがよく、攻めていた。野手のキーマンは一番の片岡。俊足の片岡をみていると、足の速い選手はチームの勝利に欠かせないことがよくわかる。

8回表、3塁にいた片岡が中島のサードゴロでホームにつっこみ2対2の同点になった場面は、西武としてはしてやったりであろう。森監督に率いられた全盛期の西武の野球をみているようだった。機動力があってスキのないプレーをする西武の伝統がしっかり受け継がれているのだから、たいしたもの。

これに対し、巨人の原監督は最後のところで越智に頼りすぎた。この回はアップ々だった。果たして、本シリーズのラッキーボーイ、平尾に勝ち越しのセンター前ヒットを許してしまった。中継ぎ陣は巨人のほうがよかったのに、渡辺監督は先発の石井一、涌井をつぎ込み巨人打線を完全に抑え、8回から登場したグラマンが2イニングをピシャリ抑え、勝利をもぎとった。

昨年、Bクラスでバラバラ状態だったチームを渡辺監督はよくまとめ、日本チャンピオンに導いた。短期決戦では、調子のいい投手、ついている選手をどんどん使うことが勝ちにつながることをこの若い監督はよく知っている。なかなかの勝負師で、1年目の監督とはとても思えない。逆に年上の原のほうが守りに入った感じ。勝負ごとはやはり積極的に攻めたほうが勝つ。

これで過去5年間の日本シリーズでパリーグのチームが4回勝ったことになる。いつも言っているように、今はパリーグのほうがセリーグより強く、レヴェルの高い野球をやっている。その実態が強く認識されないのはTV中継が相変わらず巨人&セリーグ中心で、パリーグのスター選手たちのすばらしいプレーを見る機会がないから。

ピッチャーでは日本ハムのダルビッシュをはじめ、西武の涌井、岸、楽天の岩隅、田中マー君、バッターでは西武の中島、おかわり君の中村、ロッテの西岡など若くて生きのいい選手が沢山いる。そして、こうした技量の高い選手を監督、コーチがうまく使い、選手にのびのびとプレーさせているのも見逃してはならない。この監督と選手のコミュニケーションの良さは巨人を筆頭に権威主義の強いセリーグのチームにはみられないもの。

昨年と一昨年パリーグを制した日本ハムのヒルマンもそうだったが、西武の渡辺も監督として偉ぶったところがない。日本一が決まった瞬間、渡辺監督がコーチ、選手たちと一緒に喜んでいた光景は、ワールドシリーズでフィリーズのマニエル監督がコーチと抱き合っていたのと同じ雰囲気。

野球はチーム競技だから皆が一体になって戦うチームが最後の栄冠を手にする。落合のように大監督然としている男に指揮を取らせる中日とか、プライドの高い岡田監督が星野派閥(明大)の広沢打撃コーチや平田二軍監督と腹を割った話をせず、ズルズルと敗戦を重ね巨人に大逆転された阪神などが最後まで勝ち残れるわけがない。

それに比べれば巨人の原監督はよくやっている。昨年のCSではW爺さんにコケにされ、今年は交流戦で楽天の野村監督に‘♪♪馬鹿っじゃなかろうか、ルンバ’とおちょくられたのに、歯を食いしばって頑張り、再度セリーグのチャンピオンになった。本当に立派ではないか!お父さんは監督をしていたし、自分でもいろいろ経験をつんでだんだん監督の心得がわかってきたのかもしれない。

渡辺といい原といい、監督の世代交代が進むことは大変いいこと。

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2008.11.09

足利将軍の美術顧問 能阿弥・芸阿弥・相阿弥

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徳川美の‘室町将軍家の至宝を探る展’に出品された中国画のなかには、4年前、根津美であった‘南宋絵画展’で見たものが18点あった。

牧谿の代表作‘瀟湘八景図’は無かったが、‘竹雀図’(根津美)、‘柳燕図’(徳川美)といった名品、そして国宝の前期にでていた胡直夫の‘夏景山水図’(久遠寺)、直翁の‘六祖挟担図’(大東急記念文庫)や後期展示の李迪の‘雪中帰牧図’、そし通期出ずっぱりの梁楷の‘雪景山水図’(東博)など。

再会した名画に体が熱くなったことは言うまでもないが、前期展示のため見逃した作品に悔やまれるのがあった。それは閻次平の‘秋野牧牛図’(国宝、泉屋博古館)、徽宗の‘水仙鶉図’(重文、個人)、牧谿の‘布袋図’(重文、九州博)。この先いつ対面できるかわからないが、気長に待ちたい。

室町時代になり、三代将軍足利義満のころから中国の絵画、やきもの、漆器などいわゆる一級の舶来品、‘唐物’(からもの)を愛でる風潮が高まり、これが八代義政まで続き、多くの名品が我が国にもたらされた。将軍家の蒐集品は後に‘東山御物’(ひがしやまごもつ)と呼ばれるようになる。

もちろん、将軍がすべて自分の鑑識眼により集めたわけではない。将軍のまわりにはちゃんと美術品蒐集の指南をする美術顧問‘同朋’、今でいうアートディレクターがおり、美術品の蒐集、管理、飾り付けなどを行っていた。

六代将軍義教から十二代義晴まで、この同朋として目覚ましい働きをしたのが能阿弥、芸阿弥、相阿弥の父子三代。かれらは美術品の管理をしただけでなく、自ら筆をとり絵も描いた。名画を見ていると絵を描く腕も自然と上達するのであろうか、いい絵をいくつも残している。

上は前期に展示された能阿弥の‘花鳥図屏風’(重文、右隻)。これは出光美の所蔵で、過去数回見たことがある。構図といい、鳥や蓮のやわらかい描写といい、すばらしい絵。とりわけ、上空を舞う白鷺の体を大きくひねった姿に魅せられている。

真ん中は芸阿弥の代表作、‘観瀑図’(重文、根津美)。何年か前、これを見たとき、‘周文、雪舟以外にもこれほど上手に水墨山水画を描く絵師がいたのか!?’と仰天した。以来、芸阿弥の名前と四つの水の流れがダイナミックに落下する滝が胸のなかに刻みこまれている。

今回の大収穫は相阿弥が描いた下の‘瀟湘八景図・四幅’(重文、大仙院)。大仙院には一度行ったことがあるので、見たことがあるかもしれないが、今ではその記憶はまったく消えている。大変大きな絵で、しかも余白がいっぱいとってあるから、絵全体に包みこまれる感じ。今は軸物に改装されているが元は襖絵だった。

山水画の場合、米粒ほどの人物がどこに描かれているかを見つけるのが楽しみのひとつだから、視線をくまなく移動させる。一人、感心させられるところに描かれていた。左から二番目では下から登っていく細い道が岩山の後ろに回り込む寸前のところに男がいるのである。こういうのを見ると、相阿弥は絵心があるなと思う。

中国画の名品だけでなく、‘三阿弥’の絵にもぐっと近づけたから、言うことなし。満足度200%のすばらしい展覧会だった。

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2008.11.08

徳川美の室町将軍家の至宝を探る展

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3日前のmemeさんの記事で知った‘室町将軍家の至宝を探る展’(10/4~11/9)を見るため、急遽名古屋の徳川美術館を訪問した。

5月にここであった‘桃山・江戸絵画の美’(拙ブログ5/15)に大満足だったので、もう今年はいいなと思っていたら、秋にも10年に一度クラスのすごい企画展が開かれていた。すべり込みセーフでこのビックな展覧会をなんとか見ることができた。たばこと塩の博物館の情報に続いてまた助けていただいたmemeさんに心より御礼申し上げます。

何としても出かけなければと思ったのは上の国宝‘宮女図’(元時代、伝銭選筆)と真ん中の‘油滴天目’(重文、南宋時代、九州博)が出品されていたから。‘宮女図’のことは最近とんと忘れていた。理由はこれは個人がもっているものなので、8割近く諦め気分なのである。

同じく長らく追いかけている徽宗の描いた‘桃鳩図’(国宝、05/5/29)も個人蔵だが、こちらは4年前、根津美であった‘南宋絵画展’にわずか5日だけ展示された(日程が合わなかったので鑑賞できず)。頭の中から消えていた‘宮女図’がmemeさんのブログに突如現れた!もう出かけるしかない。これを見逃したら、もう二度と見られないだろう。

一見すると、この人物は男性?!実は男装の宮女で、手の指の爪先を見ている。やさしそうな横顔や細い指や鳥紗帽から出た後ろ髪がとても繊細に描写されているから、徐々に女性画鑑賞モードになってくる。腰の帯にはさんでいる横笛などをみると男の衣装に慣れてない感じで、腰が少し‘く’の字になっているのもまぎれもない女性の姿。この宮女の小指にしばらく悩まされそう。

‘油滴天目’は期待通りの名碗だった。大阪市立東洋陶磁美蔵の国宝(07/10/23)同様、油滴の斑文が光に当たって輝く様がなんとも美しい。息を呑んで眺めていた。天目はほかに徳川美蔵の10点と文化庁蔵の‘灰被天目 銘 虹’があるが、はじめてお目にかかった‘虹’が心を打つ。

中国絵画で‘宮女図’とともに収穫だったのが梁楷(りょうかい)の下の‘布袋図’(重文、香雪美)。梁楷は‘寒山捨得図’(MOA、前期展示、07/2/14)にもみられるように、笑い顔と動感の描写が実に上手い。大きな腹の底から笑っている布袋さんに圧倒されてしまった。本当にいい絵を見た。

また、再会した李迪の‘雪中帰牧図’(国宝、大和文華館)や玉澗の‘洞庭秋月図’(重文、文化庁)、‘遠浦帰帆図’(重文、徳川美)、夏珪の‘山水図’(重文、畠山記念館、06/11/2)など南宋絵画の名品にも魅了される。

展示は明日一日しかないが、関心のある方はお見逃しなく。あの高名な美術史家、辻惟雄氏も隣で熱心に鑑賞されており、少し話をしたら、‘宮女図’が特別展に出品されるのは47年ぶりとおっしゃっていた。

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2008.11.07

楽しみ満載の東博平常展!

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東博の本館2階書画のコーナーに現在、‘大琳派展’(10/7~11/16)にあわせて、宗達、光琳らの作品が数点展示してある(11/16まで)。大混雑の平成館で体力を消耗した方はこちらまで気が向かないかもしれないが、再度訪問しようと思われているのであれば、ここへも寄ると楽しみが増すかもしれない。

上は宗達工房の後継者である俵屋宗雪の‘秋草図屏風’(重文、六曲一双)。前回展示されたのは06年の9月。なかなかいい草花図で、これは右隻のほう。土坡の斜面に咲き乱れる菊、ススキ、萩、女郎花をうまい具合に配置している。興味深いのが画面の構成が宗達のやや抽象的な絵‘蔦の細道図屏風’(拙ブログ7/31)に似ているところ。これをみると宗雪の技量は相当なもので、宗達も認めた一級の絵師だったにちがいない。

前回これと一緒に見て大変感動した尾形乾山の‘紅葉に菊流水図’やここにある宗達作品の定番である‘西行物語絵巻’にも心を奪われる。見てのお楽しみ!

真ん中は国宝室に飾られている遊楽風俗画の傑作、‘観楓図屏風’(部分、展示は
11/24まで))。狩野秀頼が描いたこの絵は毎年のように秋になると展示され、紅葉狩りの楽しさを時空をこえて体験させてくれる。ここは紅葉の名所として知られている洛北・高雄。清滝川にかかる橋の右側では女性たちと女の子が、左側では武士たちが真っ赤に色づく紅葉に浮かれて笑いこけ、またいい気分で酒を飲み踊ったりしている。

感心するのが巧みな画面構成と色彩対比。主役の紅葉を画面の右からほぼ等間隔におき、見る者の視線を紅葉に惹きつけるとともに、目にしみる赤を松や山々の緑と対比させ、さらに印象深くしている。秋の風情と人々のリラックスした表情や自然なしぐさがまじりあい、これが秋のハレの光景かと感じ入ってしまう。また、橋の向こうに目をやると、ちょうどいい大きさの鳥が群れをなして山のほうへ飛んでいくところが描かれており、良質の花鳥画をみる思いがする。

下は2階の屏風と襖絵の部屋に今、出ている円山応挙の‘芦雁図襖’(11/16まで)。応挙館にある障壁画50点をデジタル画像処理技術で複製するプロジェクトは現在最終段階に入っているが、原画は取り外して一部が昨年の3月からここで時々展示されている。これは雁が飛びあがっている場面。雁のこうした姿を実際にみたことはないが、映像などでみるイメージはこんな感じ。まるで目の前に本物の雁がいるよう。やはり応挙の写生力はすごい。

この襖は03年、大阪市立美で開催された応挙の大回顧展で見て以来だから、5年ぶりの対面。雁のところばかり眺めていた。

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2008.11.06

秋の日にとっておきの柿の絵!

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昨日の柿の蔕を思わせる茶碗にコラボして、柿を描いた作品を取り上げることにした。

果物は毎日食べており、秋の定番である柿も回数は少ないがおいしくいただいている。ほどよい甘さのある柿は果物の中では一番固いから、歯が悪い人には食べにくいかもしれない。食べるときに気をつけているのは苦い種に歯がかからないようにすること。でも、あの苦い味に口のなかを占領されることがよくある。

秋の風情をテーマにして描かれた日本画のなかに何点かいい柿の絵がある。お気に入りは次の3点。
★横山大観の‘晩秋’: 足立美(上の画像)
★小林古径の‘しゅう采’: 山種美(真ん中)
★小野竹喬の‘夕空’: ウッドワン美(下)

‘晩秋’は冬の到来が近いので柿の実が少ない。枝の上にいるシマリスはその柿をもう半分くらい食べている。リスは動きがとても早いが、ものを食べるときもとにかく忙しい。残りの柿もすぐ食べられてしまいそう。柿の紅葉が好きだった大観には赤と緑のコントラストが印象深い‘柿紅葉’(永青文庫)という傑作があるが、‘晩秋’では墨と抑え気味の赤を使って柿の木や実を描いている。静かで寂しさの漂う秋の光景が見る者の心をとらえて離さない。

真ん中の‘しゅう采’は本当にいい絵。東山魁夷の‘年暮る’が冬の雪を深々と感じさせてくれるように、秋になると古径のこの柿の絵を無性に見たくなる。松尾芭蕉の‘柿食えば、、、’ではないが、秋をイメージするのはやはり柿と紅葉の赤。柿をこんなに上手に描く画家は古径のほかには酒井抱一しかいない。抱一の‘花鳥十二ヶ月図’(三の丸尚蔵館)に描かれた‘十月 柿に小禽図’同様、この絵に200%参っている。

カラリスト、小野竹喬の‘夕空’も大好きな絵。画面全体に美しい茜色の空が広がり、それを背景にして、右半分の柿の実が逆光により黒々と描かれている。左の木の葉は落ち、柿の実も半分くらい無くなっている。晩秋の夕空の感じがしみじみ伝わってくる名作である。この絵は9年前、岡山県の笠岡市にある竹喬美術館であった回顧展で見た。そのとき以来、色彩感覚のすばらしい竹喬の虜になった。だから、もう一度大回顧展に遭遇したいと思い続けている。

来年は安田靫彦展が久し振りに茨城の五浦美で開催されるから、小野竹喬もそろそろかなと勝手な予想をしている。

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2008.11.05

畠山記念館の渋ーいやきもの!

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畠山記念館で現在、行われている‘数寄者 益田鈍翁ー心づくしの茶人ー’(10/11~12/14)へ出かけたのは鈍翁とここの創設者、畠山即翁との深いつきあいに興味があったからではなく、ひとえに上の‘柿の蔕(へた)茶碗 銘 毘沙門堂’(重文)が見たかったから。

この美術館へ通いはじめてから4年経つが、琳派作品は一通り見たものの、図録に載っているやきものの名品がまだ数点残っている。8月に念願の‘金襴手・六角瓢形花入’(拙ブログ8/21)が登場し、今度はこの渋ーい茶碗である。

これは朝鮮の高麗茶碗のひとつで、名前が‘柿の蔕’とつけられているのは茶碗を伏せたときの姿が干し柿に似ているから。たしかに蔕の感じがする。干し柿は小さい頃に食べた思い出はあるが、それ以来もう何十年も口のなかに入れたことがない。

褐色の素地は釉薬のかかってない焼締陶器のようにざらざらしており、その素朴な土味にたまらなく惹きつけられる。じっと見入ってしまうのが腰につけられた二つの段。こういう形が茶人たちの心を揺すぶったにちがいない。柿の蔕天下三椀に数えられているのは‘毘沙門堂’と‘大津’(大阪・藤田美)と‘京極’(徳川美)。‘京極’は見たことがあるので、‘大津’ともいつか対面したい。

真ん中は愛嬌のある形をした‘伊賀瓢形共蓋水差’(桃山時代)。お正月に飾る鏡餅みたいな形をしている。このぷくっと膨らんだ形と肌に流れるうす緑のビードロ釉に魅了される。ビードロ釉は焼成中の灰が溶けてできる自然の釉薬のこと。これは元鈍翁が所蔵していたものらしい。もう一つ、これと同じくらい感激するのがある。それは‘信楽耳付建水’(江戸時代)。淡い土色の肌にどどっとかかる鼠色も混じったうす緑の灰釉がなんとも目にやさしい。

下は李朝時代にやかれた‘御所丸茶碗 銘 堅田’。これは黒織部の沓形茶碗に倣った注文品。朝鮮王朝との交易船‘御所丸’で日本に入ってきたから、この名前がついている。楕円形を思い切りぐにゃっと変形させたあと、黒釉を刷毛でざっざっと塗って、‘ハイ、出来上がり!’といった感じ。

やきものの形というのは余計なことを考えないで、無心に轆轤をまわしあるいは手を使って出来上がったものが一番美しく見える。そこには作り手の心が素直に現われているのではないだろうか。

今年はこれで畠山記念館は終わり。来年はずっと待っている‘志野水差 銘 古岸’(重文)が展示されると嬉しいのだが。

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2008.11.04

戸栗美の青磁と染付展

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松濤の戸栗美術館へ開催中の‘青磁と染付展ー青・蒼・碧ー’(10/5~12/24)を見るため出かけた。1月の‘鍋島展’を見てから、ちょっと間隔があいたが、青磁が展示されるとなると、これまで見たものが多少あったとしても見逃すわけにはいかない。

作品は中国、朝鮮、日本で焼かれたものが100点弱。青磁というとやはり龍泉窯のもの。元時代の‘青磁 瓶’にまず足がとまる。そして、再会した‘澱青釉 瓶’(鈞窯、北宋時代、拙ブログ07/7/6)の空のようなうす青と美しい形にもうっとり。

青磁にとって代わった青花を見る場合、満足度は青がどのくらい目に飛び込んでくるかで決まる。今回はどうだったか?ありました、ありました。一級の青花が。上の大きな‘青花 唐草文 綾花盤’(景徳鎮 元時代・14世紀)は群を抜いて青が輝いている。また、3つの円にびっしり描かれている唐草文にも目を奪われる。日本で心を揺すぶる青花に出くわすのはそうないから、こういう青が一つでもあればもう大満足。

日本の窯でやかれた青磁や染付にも優品が多い。真ん中はチラシを見て気になってしょうがなかった伊万里の‘青磁染付 朝顔文 葉形三足皿’。はじめてお目にかかったが、葉形といい、文様といい200%魅了された。つるつるした青緑の地に染付の朝顔が浮き上がっている。ずっと見ていたい気分だ。

ここの鍋島はかなり見たので、その質の高さは十分承知しているのだが、初見で目を楽しませてくれるのがいくつもあった。染付ではいかにも鍋島らしい意匠センスをうかがわせる‘竹文皿’が気をひいた。太い竹を中心をはずし左に寄せて描き、笹は一部が皿をはみ出している。皿のまるい形と笹の垂れ具合がぴったりあっているところがなんともいい。

また、枯れた木や山々に積る雪の世界の冷たさと静寂さがしんみり伝わってくる‘雪景山水文皿’にもぐっと惹きこまれる。伊万里の染付で魅せられたのが三角の形をした網干文が描かれた皿。余白を多くとり、縦に引き伸ばした網干と横に広げた網干を一緒に描いているので網干が立体的にみえる。

下は桔梗の花を形どったユニークな口縁に惹きつけられる鍋島の‘青磁 桔梗口双耳瓶’。この品のある青磁をしばらく息を呑んでみていた。朝鮮のものでは、‘粉青沙器鉄絵 魚葉文 俵壺’や‘青磁象嵌 蒲柳水禽文 鉢’などに足がとまった。

期待通りの青磁、染付に満ち足りた気分で館をあとにした。

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2008.11.03

静嘉堂文庫の古伊万里展

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静嘉堂文庫の金襴手コレクションに度肝をぬかれた。‘岩崎家の古伊万里ー華麗なる色絵磁器の世界ー’(10/4~12/7)は情報を得たときから訪問計画に入っているのだが、注目していたのはチラシに載っていた上の古九谷様式‘色絵丸文台鉢’。緑、黄色、紫の丸い文様が組み合わされたモダンな意匠感覚にとても惹きつけられる。

これを見たあと、MOAの展覧会にも出品されていた鍋島‘色絵牡丹文水注’(拙ブログ06/12/7)や雪景色を情感たっぷりに描いている‘染付雪景文千鳥形皿’にうっとりし、これで満足という気分でいたら、その先に大きなサプライズが待ち受けていた。

元禄時代(1688~1704)に出現した絢爛豪華な金襴手の優品がずらっとあった。過去、赤や緑の地に金彩(金を焼きつけること)を施した金襴手様式のやきものは何度も見てきたが、これほど魅せられたことはない。色の輝き、文様の華麗さがワンランク上のやきものという感じ。まったくすごいコレクションだった。

岩崎家が蒐集した金襴手は質の高いことで有名なのだろうが、これまで知らなかった。10数年ぶりの公開のようで、とてもよくできたコンパクトな図録も作成されている。ここはいつもは図録はつくらないのに今回はHPで図録の作成を案内していたから、気合いの入り具合が読み取れたが、これほどのコレクションだとは思わなかった。

作品数84点のうち金襴手は54点ある。だが、ここにはお馴染みの‘荒磯文’や‘赤玉文’といった意匠はなく、描かれた文様ははじめてみるものが多い。しかも、その文様はかなり手がこんでいるから、もう頭がくらくらする。流石、岩崎家の眼力はすごい。

真ん中は思わず息を呑む‘色絵孔雀花卉文皿’。白地の孔雀をとりかこむ目の覚める赤とそこにびっちり描かれている花と鳥に釘付けになった。数の多い意匠が‘鳳凰文’と‘団龍文’。これまで‘鳳凰文’の金襴手を見た経験は少ないから、一鉢々夢中になってみた。なかでも花卉、菊文、唐花と組み合わせた‘鳳凰十二角鉢’と羽をいっぱいに広げた‘鳳凰花卉文八角鉢’に痺れた。

今回、最もびっくりしたのが下の‘色絵鶴亀甲松竹梅文菊花形大鉢’。こんなに大きくて豪華な絵付けが施された鉢はみたことない。口径は48㎝もある。口縁は32弁の菊花の形をしており、番の鶴や松竹梅など定番の吉祥文が白地に輝く金彩で見事に描かれている。

これほど気分がハイになるやきもの展は久しぶり。一生の思い出になる。今、図録を毎日眺め、名品の余韻に浸っている。

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2008.11.02

速水御舟展 その三

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平塚市美で行われている‘速水御舟展’(10/4~11/9)で新たに展示される作品が数点あったので、再度出かけた。新規の6点をみてさっと引き上げるつもりだったが、前回魅了された絵(拙ブログ10/410/5)の前ではそこを離れがたく、結局そこそこの時間が経ってしまった。

今回のお目当ては上の‘樹木’(霊友会妙一記念館)。画集で見て以来、いつかこの目でと思っていた作品。これは橅(ぶな)の木だが、太い幹にぐるぐる絡みつく枝をじっとみていると別のことを想像する。ズバリ、豊満な肉体をもつ裸婦に蛇が巻きついている。

だから、見ようによってはすごくエロティックな絵。画集でみているときは、こんな感じはしなかったのに、幹の表面がでこぼこしている上の部分や量感を感じさせるふくらみがだんだん女性の乳房やお尻、足に思えてきた。妄想しすぎ?!関心のある方はご自分の目で。

御舟の色は明るい土色があったり、深い青があったり、この絵のように粘着質的な緑といろいろ。会期中でている‘渓泉二図’は‘樹木’と同じく緑が目にどっと飛び込んでくる絵。こういう絵は色が深いので好みが分かれるかもしれない。

真ん中の‘遊魚’(滋賀県近美)で惹きつけられるのが川魚の動感描写。川底の丸い石を薄く簡略に描き、見る者の視線を魚に集め、さらに二匹を対角線に配置することで勢いをだしている。大倉集古館蔵の‘鯉魚’(展示は終了、07/1/26)も好きな絵だが、この対角線構図の魚の絵にも大変魅せられた。

花の絵は菊、朝顔、芙蓉、牡丹など沢山あるが、見栄えがするのが‘菊花図’(前回紹介)、‘瓶梅図’、‘びなんかつらにるり図’。牡丹図は残念ながら山種美にある‘墨牡丹’のような絶品ではなかった。

下の‘平野晴景’(西丸山和楽庵)は‘丘’とともに心に響いた絵。緑や青緑で描かれた畑の草花の描写が実に細かい。よくこれだけ細く描けるものだなとつくづく感心する。そして、構成がまたいい。遠くで明るい空にたちのぼっていく煙の白が目に焼きつき、手間の道にみえる枯れ木の影と光が当たっているところの強いコントラストも印象深い。日差しはだいぶ強そう。日頃はこういう風景にはほとんど縁がないが、旅行にでかけたりすると時々出くわす。

御舟の風景画では遠くの光景はかすみがかかったように描かれているのが特徴。このやわらかく微妙なかすみ具合がえもいわれず美しい。この絵の畑の向こうに見える家々もそうだが、‘西郊小景’(愛知県美)は画面全体にかすみがかかっている感じ。

来年秋、山種美で開かれる御舟展まで今回見た作品の余韻が続くかもしれない。そんなことを思わせるすばらしい展覧会だった。

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2008.11.01

たばこと塩の博物館の近世初期風俗画展

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渋谷パルコ前にあるたばこと塩の博物館で現在、行われている‘近世初期風俗画 躍動と快楽’(10/25~11/30)はmemeさんのブログで教えてもらった。まったく見落としていたので、感謝々。

作品は会期中28点(展示替えあり)と多くはないが、びっくりするほどいいのを揃えているのは、この博物館が11/3に開館30周年を迎えるから。どの美術館でも節目の年に開催される特別展は出かけるに限るが、作品のなかに追っかけている‘醍醐花見図’(重文、10/25~11/12)と‘洛中洛外図(歴博甲本)’(重文、11/18~
11/30)が含まれているので、楽しみが倍増といったところ。

二つを所蔵する国立歴史民俗博があるのは佐倉市。遠くまで出かけるのはちょっとしんどいから、いつか会えるだろうと気長に待つ作戦だったのに、思わぬところで見れることになった。何事も‘待てば海路の日和あり’である。

秀吉が花見をする場面を描いた‘醍醐花見図’は秀吉をはじめ、北政所やお付きの女、家臣らが比較的大きく描かれているので見やすく、絵のコンディションもそこそこ保たれている。これに替わって展示される‘洛中洛外図’もとても楽しみ。

風俗画では画面全体に様々な場面が細かく描かれて、人物も大勢登場するから、色がはげ落ちたり、くすんでいると、見ててすごく疲れる。だから、いつもコンディションのよくない絵はさらっとみて、色がよく残り明るい画面の作品を中心に見ている。

今回は一場面々がクリアに目のなかに入ってくる作品がいくつもある。再会した‘風俗図屏風’(拙ブログ07/4/25)とか上の‘四条河原遊楽図’(部分)など。‘四条河原’は相撲の場面。相撲が描かれた風俗画は意外に少なく、洛中洛外図には出てこない。この博物館蔵の‘月次風俗図’にも相撲がみられる。どこに描かれているかは見てのお楽しみ。

真ん中は‘清水寺遊楽図’(部分、MOA)。MOAへは何度も行っているのに、これとは縁がなかったが、やっと対面できた。舞台で金色の派手な衣装を着て踊っているのは女歌舞伎一座の面々。舞台の前で見ている男に目をやると大きなきせるで喫煙している。

ここはたばこの会社が運営している博物館だから、煙草を吸う場面が描かれた風俗画をいろいろ見せてくれる。下はサントリー美蔵の‘邸内遊楽図’。これも明るい画面なので細部までしっかり楽しめる。左半分に見どころが多い。庭では女たちが洒落た模様の着物を身につけ踊りに興じ、その輪舞を遊女が渡り廊下のところから眺めている。

当然のようにこの女はきせるをもっている。そこから視線がすぐ移るのが隣の風呂から上がった男女が酒を飲んだり、きせるで一服している場面。また、湯上りで体がほてっているためか太腿をチラッとみせ、まったり気分の着物姿の女にも心がざわざわする。

最後のコーナーに女性数人を画面いっぱいに大きく描いたのが並んでいる。お気に入りは以前見たことのある‘桜下弾弦図’(06/3/6)。後半(11/13~30)に登場する作品も是非みたいので、また足を運ぶことにした。

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