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2008.10.11

大琳派展 その三 尾形光琳

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今年は尾形光琳が生まれて350年目にあたる。美術館で働く学芸員の手元にはビッグネーム作家の生誕○○○年とか没後○○○年のリストがあり、中期的な展覧会計画を立てる際、これも頭のどこかに置いているのだろう。

光琳にとって節目の年だから光琳が中心というわけではく、作品の数はバランスがとられていて会期中36点。これに加え、弟の乾山のやきものに絵付けをしたのが5点ある。

東博所蔵の‘風神雷神図屏風’(重文、拙ブログ06/4/15)は会期中出ずっぱり。今回、われらが‘風神ちゃん、雷神ちゃん’は宗達(10/28~11/16)、光琳と其一(通期)、抱一(10/21~11/16)の4点出てくる。これらを見比べられるのは10/28から。どれに熱い視線を送るかはお好み次第。

出光で其一を除く3点が揃ったときは混雑のため、じっくり見れなかったが、ここはそんな心配がないから展覧会のテーマである‘琳派芸術の継承と変奏’を体のなかにしっかり沁み込ませることができそう。

宗達の原画をのちに光琳が模写した金屏風は‘風神雷神図’、‘松島図’(ボストン美)、‘槇楓図’(上の画像)の3点。作品全部でなく一部のモティーフを写したのが真ん中の‘波濤図屏風’(メトロポリタン美)。

光琳の屏風で誰もがすぐ思い浮かべるのが‘紅白梅図’(国宝、MOA、05/3/6)と‘燕子花図’(国宝、根津美、05/10/13)。二つを一緒に見たかったが、あまり欲張ってもいけない。3年ぶりに対面する‘燕子花図’をしばらく眺めていた。

秋の季節に相応しい‘槇楓図’(重文、東芸大美)は金地に浮かび上がる楓の赤が印象的。‘風神雷神図’は宗達のほうに気持ちがのめり込んでいるが、この‘槇楓図’は光琳の明るくてとても装飾的な画面の前にいる方がずっと楽しい。

3月、メトロポリタン美を訪問したとき‘波濤図’と長澤芦雪の‘海浜奇勝図’と対面できるかなと胸をふくらませていたが、残念ながら二つとも姿をみせてくれなかった。が、嬉しいことに日本でリカバリーできた。‘対決’に‘海浜奇勝図’が出たし、ここで‘波濤図’と対面である。作品のほうから追っかけて来てくれるのだからたまらない。こんなにうまくいっていいのだろうか。

‘波濤図’は波のお化けが襲ってきそうな感じ。下から大きくカーブして上からザザーと落ちる波頭の姿をみると、音が聞こえ、画面が揺れ動いているよう。日本絵画のなかで、波の情景を描いた絵は沢山あるが、ダイナミックさでは‘波濤図’と北斎の‘冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏’が一番ではなかろうか。念願の絵を見れたから上機嫌。

宗達の物語絵に登場するやさしい顔をした人物を光琳も受け継いでおり、下の‘鵜舟図’(静嘉堂文庫)の鵜匠でも、布袋さん(07/4/9、今回展示なし)でも、大黒天さん(06/1/21、展示なし)でも皆丸顔でやさしい目をしている。

‘鵜舟図’と同じくらい好きなのがあまり怖くない虎を描いた‘竹に虎図’(京博、05/8/30)。やぶにらみの虎の表情をみていたら、Bunkamuraのミレイ展に展示してあった‘両親の家のキリスト’を思い出した。右端で、水をもって立っている幼い洗礼者ヨハネの横を見る目つきが虎の目つきとよく似ている。

また、‘太公望図屏風’(重文、京博、06/3/13)や見ててうっとりする‘扇面貼交手筥’(重文、大和文華館)、定番の国宝‘八橋蒔絵螺鈿硯箱’(東博)にも足がとまった。時間が経つのも忘れる名品の数々に大満足だった。

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