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2008.10.15

ボストン美浮世絵名品展 その一

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江戸東博で行われている‘ボストン美浮世絵名品展’(10/7~11/30)を楽しんだ。作品は下絵、版本なども含めて137点。展示替えがなく、一回の訪問で全部みれるから、館を出るとき、いい浮世絵を沢山見たなという気分になる。そして、心はボストン美浮世絵ファンクラブの会員に。もう2回公開してくれるというから、ますます期待がもてる。

海外から里帰りする浮世絵にはサプライズが二つある。摺りの状態と日本ではこれまで見たこともない絵。今回のボストン美所蔵品もサプライズの連続。摺りの良さは言うまでもない。で、‘こんな絵があったの!?’と心に強く残った絵をとりあげてみた。

上はチラシに使われている歌川国政の‘市川鰕蔵の暫’。国政の絵をほんの数点見た覚えはあるが、どんな絵だったかすぐには思い浮かばない。ということは、印象が薄い絵師だということだが、その国政がこんな衝撃的な役者絵を描いていた!驚愕すると同時に、これが日本になくて、ボストン美にあることにすごくショックを受ける。

度肝を抜かれるのが隈どりした役者の顔を真横から画面いっぱいに描く構図。顔と同じくらいの大きさをもつ茶色地の衣装は三角フォルムのデザイン紙が貼りつけてあるようにみえる。インパクトのある鷲鼻をした顔とデフォルメされた衣裳の組み合わせがとても斬新。一生忘れられない絵になりそう。国政はもう2点ある。

真ん中の三人の役者が登場する絵を描いたのは一筆斎文調とともに役者似顔絵を創始した勝川春章。春章というと人生の後半に描いたすばらしい肉筆美人画ばかりに目がいくが、立ち姿の役者絵も名品が多い。この絵で目が点になるのが中央の役者が手に持っている香炉から吹き出しがでて、そこに富士山が描かれているところ。アラジンの魔法のランプみたい。春信は掛け軸から猿を出してくるし、春章は吹き出しに富士山を描く。浮世絵師はおもしろいことをいろいろ思いつく。

14点ある広重の収穫は下の三枚続の大作、‘源頼光一代記’(部分)。これは広重20代の作品。国芳が得意とする武者絵を広重も描いていたとは!画面にはいくつもの場面が描きこまれている。真ん中の上は土蜘蛛の妖怪が病に悩まされる頼光の前に現れるところで、下の赤い衣装を着た大男は都に近い大江山に住む鬼の棟領酒天童子。

頼光が差し出した神酒を上機嫌で飲んでいる。よくみると、頼光の前にある台の上には切り取られた鹿の胴と足が置かれている。‘鹿も持ってきましたから、どんどんお飲みください’と頼光は言っているのだろう。興味の尽きない絵である。

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コメント

おはようございます。

国政にはまさに圧倒され
度肝抜かれました。

満足度何パーセントでした?

投稿: Tak | 2008.10.16 07:46

to Takさん
衝撃的な国政の役者絵だけでなく、歌麿、清長の
名品を見れましたので、満足度200%でした。

ボストン美の浮世絵コレクションを見るのが毎年の
楽しみになりました。あと2回ありますね。

投稿: いづつや | 2008.10.16 23:14

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