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2008.10.31

高山辰雄展 その二

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練馬区美で開催されている‘高山辰雄展 人間の風景’の後期(10/11~11/3)を楽しんだ。作品数は後期のみの35点、プラス通期展示の30点、合わせて65点。前期(拙ブログ9/23)に大変魅了されたから、新たに登場する作品にも期待していた。

上は東近美蔵の‘いだく’。高山辰雄の絵で最初に見たのがこの絵。以来、何度となく平常展でお目にかかり、いい絵だなと思っていたが、高山辰雄の作品を沢山みて、この絵のすばらしさを再確認した。やはり、絵は数をこなさないと本当の良さがわからない。

描かれているのは同じ年格好の二人の女性と赤ちゃん。ぱっとみるとダ・ヴィンチの‘聖アンナと聖母子’を連想する。赤ちゃんと横向きの女性には光が強く当たっているのに対し、後ろにいる女性の顔は暗く描かれている。人物の輪郭がよみとれるのは三人の顔のあたりだけ。こういう絵は近くに寄るよりはすこし距離をおいて見るほうがいい。すると、家族の愛情の深さをしみじみ感じることができる。

この絵が展示してある部屋にはほかにも心を揺すぶる‘六月’、‘夕’があるので、とても気持ちがいい。前期のとき長く見ていた‘少女’に‘また、来ました’と心のなかで挨拶し、次の部屋に向かった。

真ん中の大きな屏風絵は高山が73歳のとき制作した‘月’(六曲一双、これは右隻)。時間があればいつまでも見ていたくなるすばらしい絵。高台から少女と犬が山の向こうにある月(左隻)を眺めている。少女が座っているところから下の木の林はかなり離れている感じで、そして上には遠くにみえる雄大な山々が横いっぱいに描かれている。

同じく屏風に描かれた‘朝’、‘夕’(会期中展示)は高山が61歳のとき、ゴーギャンに刺激を受けて描いた作品だが、これよりは‘月’のほうに強く惹かれる。この‘月’と同じ年に描かれた大作‘音’にも思わず息を呑んだ。前期にでていた‘燈’と対をなす作品で、目の前に雪一色の山村風景が広がっている。

下の‘海の見える路’は構成が‘コロー展’に出品された‘ナポリの浜の思い出’(西洋美蔵)に似ている。背の高い木が林立する間に大きくカーブした道があり、その向こうに浜辺がみえる。母娘と犬が手前左にいるが、これから海を見に行くのだろう。

高山辰雄の点描風の画面はほとんどがグレーや土色、青緑など一色でつくられているが、最晩年になると色数が増えてくる。女性の髪には黄色や青、緑、紫などが交りかなり濃密。もともと高山はカラリスト。それは‘丘’のゴーギャンを思わせる色使いをみればわかる。だから、また、豊かな色で表現したくなったのかもしれない。

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