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2008.10.09

大琳派展 その一 本阿弥光悦

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東博ではじまった‘大琳派展’(10/7~11/16)は‘対決ー巨匠たちの日本美術’に続く、美術界の一大イベント。展示作品は241点もあるから、全部見ようとすると3回出かけなくてはならない。まさにタイトル通り、琳派の名品があれもこれもあるといった感じ。これを見逃すと次は20年くらい先になりそう。まずは、本阿弥光悦から。

宗達の絵とコラボした和歌巻物や色紙、陶芸、漆芸の代表作はほとんど出品されている。光悦の下絵入り書が会期中21点もでるなんて本当にすごい!そのなかで群をぬいていいのが定番の上の‘鶴下絵三十六歌仙和歌巻’(重文、京博)と‘四季草花下絵古今和歌巻’(重文、畠山記念館)。

‘鶴下絵’は‘対決’(拙ブログ7/8)にも登場したが、上の画像は鶴の群れが上から下へ降下している場面。上の鶴は体の半分が画面からはみ出したり、首と頭だけだったりするから、鶴が上空から降りてきているのがすっとイメージできる。日本画は江戸時代の初期の頃から、こういうトリミングの手法を使って空間の広がりや奥行きを表現していた。‘四季草花’は畠山記念館で展示されるときはスペースの関係で一部だけ。今回、はじめから終りまで見て、連続する太い竹などこの巻物のすばらしさを再認識した。

やきものは‘黒楽茶碗 銘雨雲’(重文、三井記念美)、‘赤楽茶碗 銘峯雲’(真ん中の画像)、‘飴釉楽茶碗 銘紙屋’の3点。いずれも名品として有名なもの。お目当ては追っかけリストに入れていた‘峯雲’。腰の丸みと横に流れる雲のような白が心に響く。予想以上の名椀だった。今年は光悦の茶碗の当たり年。念願だった‘加賀光悦’、‘時雨’ときて‘峯雲’。これほど嬉しいことはない。ミューズに感謝。

蒔絵7点のうち、硯箱の下の‘舟橋’(国宝、東博)や‘樵夫’(重文、MOA)には目が慣れているが、東博蔵の‘舞楽蒔絵硯箱’と‘子日蒔絵棚’(ともに重文)、滴翠美の‘扇面鳥兜蒔絵料紙箱’ははじめて見た。じっくり見たのが‘子日’(ねのひ)。天板に細かく描かれた松の葉や棚のまわりの楓を夢中になってみた。上段の扇子が途中から折れて要が中段の扉のほうにいっているのをみて、ふとダリの代表作‘記憶の我執’に描かれたくにゃっと曲がる時計を思い浮かべた。

蓋の甲が山形に盛り上がった‘舟橋’をみると、いつも、おかずがぎゅうぎゅうに詰まった弁当箱をイメージしてしまう。はじめてみたとき、橋には鉛の板が使われていることがすぐには理解できなかった。今では違和感がなく、上に銀で装飾的に表わされた‘東路’にすぐ目がいくようになった。

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コメント

私も光悦の茶碗が好きですが、峯雲は初めて見ました。
この茶碗には誰の箱書きがあるのですか?

投稿: サガン | 2008.10.11 14:13

to サガンさん
光悦の峯雲と出会うのに随分時が流れました。
図録によると、内箱蓋裏に表千家六代覚々斎
がこの茶碗を書き付けているそうです。

投稿: いづつや | 2008.10.11 18:06

いづつやさま
早速のご回答ありがとうございました。
光悦の茶碗には覚々斎の箱書きが多いのですね。
ちょっと調べましたが他にもいくつもあるようです。
とてもやわらかな印象の素敵な茶碗で、どんな人の手を経て伝わってきたのか気になりますね。
光悦の茶碗は高台が見どころだとある本で読みましたが、
展示では高台は見ることができるのですか?
何度もお尋ねしてすみません。

投稿: サガン | 2008.10.11 21:18

to サガンさん
峯雲の高台は底の部分にのめり込んでますので、
あるような、ないような感じです。どうか、
お楽しみ下さい。

投稿: いづつや | 2008.10.11 23:18

いづつやさま
ありがとうございました。

投稿: サガン | 2008.10.12 00:47

「峯雲」は一見して「雨雲」にみる光悦の鋭さや厳しさといったところは無いものの、「乙御前」とは碗相こそ異なれ、柔らかさ静けさを感じる名碗だと思いました。「雨雲」と「峯雲」の両碗を山にふる雨と山にかかる雲を感じながら見ると光悦の力量の凄さを感じます。

投稿: 汝庵 | 2008.10.16 17:57

to 汝庵さん
雨や雲の情景がやきものでこれほど感じられる
のですから、光悦は本当にたいした芸術家ですね。

峯雲や乙御前のやわらかく膨らみのある形をみ
ていると、肩の力がすっとぬけてきます。

投稿: いづつや | 2008.10.16 23:23

「鶴下絵」は、写真で一部しか見たことなかったのですが、全体を見ると、群れが飛んで降りて休んで・・と一連の動きがなんともキレイですね
また、文字との色バランスがなんて贅沢で優雅かと感嘆しました

茶碗の感想は、スパムコメントとなってしまいました(^^;

投稿: えみ丸 | 2008.11.20 09:19

to えみ丸さん
返事が遅れて申し訳ありません。
‘鶴下絵’は見るたびにその魅力に惹きこま
れます。上昇したり、下降したり、途中、
左から右に鶴を移動させたりと、巻物の何倍も
ある空間を感じさせるところがすごいですね。

投稿: いづつや | 2008.12.06 23:24

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