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2008.10.10

大琳派展 その二 俵屋宗達

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俵屋宗達の目玉、‘風神雷神図屏風’(拙ブログ06/9/27)は10/28~11/16の展示。これをみないと宗達モードは全開にならないが、会場に現れるまではほかの作品(会期中37点)を楽しむことにした。

最初に展示してある‘平家納経 願文・見返し’には光悦との合作でお馴染みの鹿が描かれている(05/3/30)。初見で収穫は上の‘平家物語忠度出陣図屏風’。これまで、‘対決’にでてた‘扇面散屏風’(三の丸尚蔵館)などで保元・平治の合戦は何度かみてきたが、このように大画面に武者が描かれているのを見たのははじめて。

これは都落ちする平家一門の忠度と和歌の師匠である藤原俊成との別れの場面で、五騎の武者のうち、真ん中で後ろを振り返っているのが忠度。右下の門のところで俊成が見送っている。画面は右の門と向こうの松が金地と胡粉の白で彩色された道を対角線ではさむようになっており、その幅広の道を武者を乗せた馬が疾走していく。

物語絵は‘源氏物語’が‘空蝉’、‘篝火’、‘夕霧’(いずれも通期展示)、そして59点あるといわれる‘伊勢物語’からは6点。真ん中は‘伊勢物語’では一番有名な‘芥川’(大和文華館)。前期(10/7~10/26)はほかに‘水鏡’(サントリー美)、‘月のうちの桂’がある。

源氏物語を絵画化したものは現在、横浜美で開催中の‘源氏物語の1000年展’でも‘葵’など3点みたが、二つを比べると好みは伊勢物語のほう。理由は伊勢物語では人物の描かれる情景が屋敷の中だけでなく、野原や山のなかとか、傍を川が流れるなどいろんな場面がでてくるから。そして、源氏物語と違って一人々が大きく描かれているので、とてもみやすく画面の中にすっと入っていける。

1月、出光美の‘王朝の恋展’(1/18)に出品された29点に入っていなかった‘芥川’はお気に入りの一枚。念願の美女を背負う男は今が人生最良の時。まわりをゆるやかに流れる青と緑の川は幸せな男を祝福するかのようであり、ふたりのやさしい顔つきに心が和む。でも、このあと、‘扇面散屏風’(7/29)に描かれているようにこの女は鬼に食べられてしまう。

宗達は水墨画の達人。下の‘蓮池水禽図’(国宝、京博)のすばらしさに声がでない。二羽の水鳥の並び具合がよく、目がそのまま上の大きな蓮にむかう。たらしこみによる墨の微妙な濃淡は蓮の存在を際立たせ、鳥に動きを与えている。年を重ねるにつれ、この絵の魅力がわかるようになった。

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コメント

いづつやさん、こんばんは
いづつやさんの記事は細かい章立でとても読みやすいですね。
今回は宗達の記事の方にTBさせていただきました。
「風神雷神図屏風」が後期の展示なのですが、それ以外は本当に宗達を楽しむことができたと思いました。
私も源氏絵よりは伊勢物語絵のまるまっこい描写の方が物語の世界観がよく出ているのではないか?と思いました。
また光悦とのコラボ作品での金銀泥の下絵は本当に美しく(特に畠山記念館の作品)早めに行ってよかったと思いました。

投稿: アイレ | 2008.10.14 01:23

to アイレさん
出光美の展覧会で宗達の伊勢物語絵に開眼しま
した。幼児ぽくてやさしい感じの人物表現にとても
惹かれます。光琳もこのやさしさをちゃんと受け
継いでますね。

畠山記念館の四季草花下絵を全部みれたのを大変
喜んでます。これと鶴下絵が双璧ですね。

投稿: いづつや | 2008.10.14 12:58

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受信: 2008.10.14 01:13

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