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2008.10.16

ボストン美浮世絵名品展 その二

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ここ数年重点鑑賞絵師にしているのは広重と歌麿。だから、海外のブランド美術館からやってくる作品のなかに二人の初見のものがあると天にも昇るような気持ちになる。今回見た歌麿作品5点は‘蚊帳’を除いてはじめてお目にかかった。

そのなかで大変魅了されたのが上の‘青楼仁和嘉女芸者之部 扇売 団扇売 麦つき’と真ん中の三枚続‘鷹狩り行列’。図録にはもう一点、すごく見たくなる三枚続の‘柿もぎ’が載っているが、ここでは展示なし。こんないい絵を見逃したのが悔やまれてならない!だが、ふたつもすばらしい絵がみれたのだから、もって瞑すべし。

ベルギーロイヤルコレクション展で同じような大首絵‘当時三美人’をみたばかりだが、この3人に比べるとこちらの女芸者の顔は皆ちょっと短くて初々しい感じがする。真ん中の麦つき役の女に一目惚れした。画集に載っていると‘ああー、これを見たかったのだ!’と安心感と満足感のないまぜ状態なのだが、いきなり目の前に現れると、街で美女と遭遇したときのように落ち着きがなくなる。

‘鷹狩り行列’はとても賑やかな絵。色合いもすばらしく、隼を手に乗せている若衆の後ろにみえる黄色の小山が目に飛び込んでくる。また、籠から降りた女主人公の着ている内掛けの鶴の文様がなんとも豪華。遠くの富士山と行列との距離感を見せるのに、歌麿は中景の川岸の人々や川を渡る舟を‘これほど小さくしちゃったの!’というくらい小さく描いている。

歌麿同様、いい気持ちにさせてくれるのが鳥居清長。どれも摺りのいいのが4点ある。これほどサプライズな清長作品を見る機会はめったにない。下は昨年、千葉市で開かれた清長の大回顧展の図録に参考図版として掲載されていた‘当世遊里美人合(花下酔美人)’。

一目みただけで気分がすぐハイになる典型的な絵である。左のかなり酔いがまわり、黒い着物がはだけている女を右の三人が笑いながら見ている。‘お駒姉さん、いつもの通り、出来上がっちゃってるよ。まあ、こんなきれいな桜のもとではお酒のピッチがあがるのは仕方ないわね’。

隣に飾ってある‘日本橋の往来’も絶品。回顧展ではホノルル美蔵が出品されていたが、二つは女の着物の柄や色が一部異なっている。摺りのコンディションとか色彩の対比、柄の模様はボストンのほうがだいぶいい。

入館してすぐのところに展示してある春信は美人画では一番多く15点。これも一級のコレクション。見てのお楽しみ!

広重の武者絵に驚いたが、絵の完成度としては国芳の大作‘鬼若丸の鯉退治’や‘讃岐院眷属をして為朝をすくふ図’のほうが一枚も二枚も上。この2点と‘東都富士見三十六景 佃沖晴天の不二’など風景画6点は最上レベルの摺り。お見逃しなく。

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コメント

どの絵にもすべてコメントしたくなるくらい
素晴らしい作品ばかりでした。

清長、千葉市でも見たような気になっていたのですが
図録の参考図版だったのですね。
よくありがちなユーモラスな作風が大好きです。

投稿: 一村雨 | 2008.10.17 04:55

to 一村雨さん
期待通りの素晴らしいコレクションでした。
摺りのいい浮世絵があと2回見れると思うと
ワクワクします。ボストン美の名品展は恒例
のお楽しみ展覧会になりそうですね。

浮世絵の鑑賞に関しては、今は東博の平常
展示と年に1,2回ある海外美術館からの
里帰り作品だけで充分という感じです。摺り
の状態がすばらしいので2、3ヶ月は余韻に
浸れます。

投稿: いづつや | 2008.10.17 22:01

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