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2008.10.04

平塚市美の速水御舟展 その一 静物画

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まったくノーマークだった平塚市美で本日から‘速水御舟展(10/4~11/9)がはじまったので早速出かけた。速水御舟は一生付き合おうと思っている画家なのに、迂闊にもこのビッグニュースを知ったのはつい二日前。心やさしいミューズが朝日新聞の展覧会情報で教えてくれた。

この美術館へ来るのは06年にあった‘山本丘人展’以来。展示会場が広いので、東近美が主催するクラスの回顧展が立派に行なえる。今回、御舟(1894~1935)の初期の作品から絶筆まで120点が展示されている。このなかには画集に載っている作品でまだお目にかかてないものが8割くらいあったから、もう興奮状態でまわった。御舟ワールドは1回では言い尽くせないので、2回書くことにした。まず、人物、鳥、花、そして果物などを描いたものから。

歴史画から画業をスタートさせた御舟が15歳のとき描いた‘小春’が一番最初に飾ってある。山種にある小林古径の‘闘草’を彷彿とさせる絵をこの年で描くのだから、その技量はとびぬけている。拙ブログ07/9/5で紹介した‘伊勢物語’との再会を楽しんだあと、東博にある‘京の舞妓’(06/4/5)の前でしばらくいた。

いつも釘付けになるのが目の覚めるような青い着物の染めの絞り目と畳の目の質感表現。普通の集中力ではとうていこのような超写実的な細密描写はできない。感心するといったレベルを超えて、神業的な絵を見ている感じ。これに対し、最後のほうに飾ってある横向きの芸者を描いた‘女二題’(福島県美)は随分画風が変わり、小倉遊亀とか伊東深水が描く女性画に似ている。

花の絵はあれもこれも心に響く。金地の屏風に描かれた上の‘菊花図’(四曲一双の左隻)の前では思わず、‘うわっ!’と声が出た。油絵風の色遣いで赤、うす青、黄色の菊が細密に描かれている。真ん中の‘向日葵’も目を楽しませてくれる。ひまわりというとゴッホの絵にぞっこんなのだが、山口蓬春の向日葵(06/12/14)も大変気に入っていた。今回これに御舟の向日葵が加わった。日本の洋画家の描くひまわりに好きなのがあってもおかしくないのに、なぜか日本画家のひまわりに魅せられる。

ひまわりの絵は西洋絵画の静物画といって変わりないが、日本画の画材でこれほど質感描写ができるのかとびっくりするのが柘榴や西瓜(07/8/12)の絵。そして、下の‘寒鳩寒雀’にみられる鳥の羽根の描写も見事!小さい頃、空気銃を持った若いお兄さんが死んだ雀を何羽もこの絵のようにひもでむすんで腰からぶら下げていたのを思い出した。

並みの画家なら死んだ鳥なんて描かない。でも、御舟は目に心地いい対象だけでなく、死んでいる鳥のような醜いものも一緒にみて、実在のなかから新しい美をさぐろうとした。やはり、すごい画家である。

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コメント

こんばんは。
いづつや様の記事を拝見して、菊の屏風絵を思い出しました。この絵は、見ようによっては、日本画を超越して現代アートを思わせます。
寒鳩寒雀もインパクトは大変大きかったのですが、好きではないし、上手くまとめられず省略してしまいました。
写実を超えた何かを持った非凡な才能ですね。

投稿: meme | 2008.10.04 23:03

to memeさん
菊花図はおっしゃるように現代性を感じますね。
御舟は画風をどんどん変えていきますが、才能
のある人はいつの時代でも多才ですね。

自分の築き上げた画風にしがみつきたいもの
ですが、描きたいものが変わるとそこからさっ
と離れていくのですから、すごいです。

御舟に限らず、画家は写実性と装飾性の間を
揺れ動くのでしょうね。

投稿: いづつや | 2008.10.04 23:37

はじめまして。御舟は好きでよく見ます。御舟の細密画は、凄いですね。TBします。これからもよろしくお願いします。

投稿: leonardo | 2008.11.08 18:48

to leonardoさん
はじめまして。書き込み有難うございます。
御舟は一生付き合っていく画家の一人です
から、こうした回顧展が開催されるのは
嬉しくてたまりません。

これからもよろしくお願いします。また、
気軽におこしください。

投稿: いづつや | 2008.11.08 23:53

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