« 大琳派展 その五 酒井抱一 | トップページ | ボストン美浮世絵名品展 その一 »

2008.10.14

大琳派展 その六 鈴木其一

115_2
116_2
114_2
鈴木其一作品は全部で25点あり、うち9点は後半の展示。最も好きな‘夏秋渓流図屏風’(根津美、拙ブログ06/6/147/22)は11/5から登場する。

其一の絵の特徴やどんなモティーフを描いているのかはこれまで94年の名古屋市博、04年の東近美、日本橋三越で開かれた琳派展、そして06年、東博であったプライスコレクション展を経験したからだいたいつかめてきた。でも、宗達や光琳に比べると初見の作品が多いので、少し緊張気味。

其一は1796年に生まれ、1858年(63歳)に亡くなった。浮世絵師の歌川広重
(1797~1858)や歌川国芳(1797~1861)とほぼ同時代を生きた人である。其一と広重が亡くなった1858年は安政5年で、日米修好条約が締結されている。師匠の酒井抱一(1761~1828)は35歳年上。

其一は江戸j時代でも終りの頃の絵師だから、琳派のDNAはしっかり継承しているが、変奏の幅が広く、まったく琳派的でない絵もある。例えば、‘吉原大門図’(ニューオータニ美、05/8/9)やぞっこん惚れている‘群舞図’(プライスコレクション、7/22、今回展示なし)などは浮世絵師、其一としての作品である。また、抱一に倣って‘釈迦三尊十六善神像’なども描いている。

本流の琳派の香りがする絵はいくつもある。目を見張らされるのは上の‘群鶴図屏風’(二曲一双、ファインバーグ・コレクション)。前半出ているものでは最も見ごたえがある。これは94年の琳派展にも出品されていた。2年前見たプライス・コレクションの鶴もすばらしかったが、これも200%感動する。

宗達の‘風神雷神図’を後の3人が模写したように、抱一と其一は光琳の生み出した真鶴が横に並ぶ‘群鶴図’(フリーア美、4/18)の型を継承しつつ、自分流の感性で鶴の一群を描いた。抱一のもの(ウースター美)も94年のとき一緒に見たが、其一の鶴は図案的でなく、いろいろな姿で描かれており、高い装飾性と写実性がうまく融合した群鶴図に変奏している。

其一には宗達から続く琳派の画風を消化した作品とともに、抱一の精神や描き方を受け継ぐものも多い。照明を強くしたり弱くしたりして画面の変化を見せていた‘秋草・月に波図屏風’や真ん中の‘萩月図襖’(東京富士美)は抱一の‘夏秋草図屏風’とか‘四季花鳥図巻’にでてくる草花を連想させる。‘萩月図’とは3度目の対面だが、いつみてもうすピンクや白の小さな花びらに心を揺すぶられる。其一の描く花は抱一のように品がいいが、同時により自然で生き生きとしているところも大きな魅力。

下の‘雨中桜花楓葉図’(静嘉堂文庫)も印象に強く残る絵。視線が集まるのがうす土色の背景に紅葉の楓と斜めから激しく降る雨を描いた左のほう。こういう絵は抱一にはなく、其一はまわりの自然をよくみつめ、春と秋にみた雨の情景を桜と楓で対比させて描いている。いつまでも心の中に残る名品ではなかろうか。

これで大琳派展はひとまず終了。その七、八?は再訪問したときにでも。

|

« 大琳派展 その五 酒井抱一 | トップページ | ボストン美浮世絵名品展 その一 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 大琳派展 その六 鈴木其一:

« 大琳派展 その五 酒井抱一 | トップページ | ボストン美浮世絵名品展 その一 »