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2008.09.19

百寿を超えて 土牛・遊亀・球子展 その一

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日本画家のなかで長寿画家というとすぐ思い浮かべる奥村土牛(101歳)、小倉遊亀(105歳)、片岡球子(103歳)の作品を展示する‘百寿を超えて’(9/13~11/3)が今、山種美で開かれている。

三人の作品は均等というわけではなく土牛の絵が中心で、34点のなかには代表作がほとんど含まれている。土牛の名品の大半は山種にあるから、これをみれば土牛は当分パスできる。これまで紹介した‘醍醐’(拙ブログ06/3/15)、‘鳴門’(07/6/20)、‘那智’(06/7/25)も当然展示してある。

手元にある画集でまだ見てなかったものが、この回顧展に出品されるだろうと予想し、今年のはじめから対面を楽しみにしていたのが上の‘城’と下の‘聖牛’。この2点は4年も待たされたので感慨深い。

‘城’は姫路城を描いたものである。この城は一度訪問したことがあるが、下から見上げるとちょうどこんな感じにみえる。胡粉をたっぷり塗り重ねて描いた外観の白が美しく輝き、鼠色の屋根瓦で輪郭された角々の城の天守閣を浮き上がらせている。線と色面がうまく溶け合った期待通りの名画だった。

‘茶室’と姫路城の‘ろの門’を描いた‘門’も‘城’同様、対象を真正面からとらえ、空間や奥行きを表現した作品。四角の面と縦横の直線で構成された画面からは静かな空気と落ち着きのあるたたずまいがしみじみと伝わってくる。

真ん中の‘大和路’もお気に入りの絵。横から眺めた家の屋根や塀のシルエットがすっきりしていて、やわらかい土色が目にやさしい。時間がゆったり流れている大和路の光景をまさにみているような気になる。

下の‘聖牛’はインド牛の親子が量感豊かに描かれている。‘聖’のイメージを強く感じるのは胡粉の白が目にしみるほど美しいから。背景には何も描かず、この聖牛だけなのにグッと惹きこまれる。これまで見た牛の絵で印象の強さはこれは一番かもしれない。牛を愛している土牛だからこそ生まれた傑作といえよう。

ほかにも生き物を描いたいい絵がある。初見の‘鹿’、いつも鋭い目にドキッとする‘軍鶏’、3羽の鵜のひろげた羽が横につながった形がおもしろい‘鵜’。人物画は残念ながら大好きな‘舞妓’はお休みだったが、有名な‘踊り子’や丸顔の仏さんに心が和む‘浄心’を心ゆくまで見た。

今回、オヤッという絵に遭遇した。あの栃若時代の栃錦を描いた‘稽古’。相撲は野球とともに小さい頃から親しんでいるスポーツだから、体が自然に絵の前に寄っていく。相撲取りの絵は橋本明治が初代貴ノ花を描いたものを一度みたことがあるが、土牛が相撲好きだったとは知らなかった。これは大収穫。

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