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2008.09.10

ベルギーロイヤルコレクション展 その二

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日本に里帰りする浮世絵をみていつも感心させられるのが海外コレクターの審美眼の高さ。ハッとする構図や鮮やかな色合いで描かれたものは、東博や国内の美術館にあるものより海外の美術館蔵のほうがはるかに多い。

今回出品されたなかにもサプライズがいくつもある。その筆頭が上の歌川国貞の‘大当狂言之内 菅丞相’。チラシで見てから気になってしょうがなかったが、予想通り衝撃度200%の役者絵だった。藤原時平の讒言により太宰府に左遷されることになる菅原道真(菅丞相)がド迫力で怒っている様が、顔の朱のくまどりや両頬のまわりまでなびかせた髪からストレートに伝わってくる。

一度みたことのある勝川春章の‘五代目市川団十郎の菅丞相’は髪の描写や口に食わえた梅の木などは似ているが、立姿のためか、道真の怒りはこの絵の半分くらいしか感じられなかった。とにかくこの菅丞相は一生の思い出になる。なお、現在、東博の浮世絵コーナーにもぱっと見ると同じような印象をもつ国貞の‘五代目市川団十郎の景清’が展示してある。

数の多い写楽作品には世界で一枚しかないのが3点でている。真ん中の‘二代目嵐龍蔵の奴なみ平 とら屋虎丸’と期間中ずっとでている立姿の‘四代目岩井半四郎の鎌倉稲村が埼のおひな娘おとま’と‘三代目市川高麗蔵の廻国の修行者西方の弥陀次郎’。こういう話をきくとこのコレクションのすごさがわかってくる。

‘奴なみ平’は95年の‘大写楽展’(東武美、現在はない)にも出品されたが、同じ役者が演じた‘金貸石部金吉’(後期展示)とポーズの取り方が似ている。月代のうす青が印象的な‘ぼうだら長左衛門と船宿かな川やの権’は昨年あったギメ美展でもみたが、ロイヤルコレクションの質の高さにびっくりした。後期に登場する4点も楽しめそう。

歌麿のサプライズはこれまでみたことない下の‘河童’と‘見越入道・一つ目’。美人画絵師のイメージができあがっている歌麿にこんな妖怪絵があったとは!もっとも歌麿は鳥山石燕に師事していたから、師匠が描いた妖怪絵本に刺激をうけてこういう見る者をドキッとさせる絵を描いてもおかしくはない。収穫の多い展覧会である。

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コメント

こんばんは。

早く見たくて見たくてうずうずしています。
いづつやさんの記事でしっかり予習してから
土曜日あたりに見て来ます!

別件ですが、メール頂戴出来れば幸いです。
宜しくお願い致します。

投稿: Tak | 2008.09.10 23:43

to Takさん
今年の浮世絵の目玉はこのロイヤルコレクション
と来月のボストン美展でしたが、まずは期待
通りのすばらしい浮世絵にご機嫌です。どうかお楽し
みください。

メールの件、了解しました。

投稿: いづつや | 2008.09.11 13:42

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