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2008.09.18

ベルギーロイヤルコレクション展(後期) その四

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海外の美術館から北斎や広重の風景版画が出品されるときは代表作中の代表作とか、シリーズのなかでも斬新な構図で描かれたものが多い。しかも色合いがとびっきりいいので、もう夢中になって見てしまう。

北斎の‘冨嶽三十六景’は上の‘甲州石斑沢’(こうしゅうかじかざわ)、‘駿州片倉茶園ノ不二’、‘凱風快晴’の3点。図録にはお馴染みの‘神奈川沖浪裏’や‘山下白雨’が載っているから、次に巡回する高島屋京都店(09/1/7~1/19)か高島屋日本橋店(4/29~5/11)で展示されるのだろう。

‘石斑沢’を見るたびに感心するのが北斎の画面構成力。突き出した岩に立ち、網を打つ父親と網、後ろの子供で作る三角形が上の輪郭線でさっと描かれた富士山と相似形になっている。北斎は若い頃、円と角を使って万物を描く方法を研究したから、いろんなフォルムが瞬間的に閃くのだろう。

広重作品はどれもすばらしい。前後期で4点ある‘江戸高名会亭尽’は昨年サントリー美であった‘水と生きる展’でもみたが、摺りの状態はこちらのほうが断然いい。目に焼きつくのが‘今戸橋之図’や‘池之端’にみられる川や池の青の微妙な諧調。太田記念美が所蔵する最上クラスの‘江戸名所百景’や平木浮世絵財団の‘諸国六十余州旅景色’と遜色ないほど鮮やかなので、釘付けになってみた。

そして、驚愕の一枚が真ん中の‘東海道五拾三次之内 庄野・白雨’。この摺りはまったくすばらしい!これほど質の高い‘庄野’をみたのは03年の‘ホノルル美浮世絵名品展’以来。墨の色を変えて雨風になびく竹藪が重なりあうように描かれているところが心を揺すぶる。こういう一級の浮世絵をみると真に幸せな気分になる。

国芳の下の‘東都名所 かすみが関’は昔から大好きな絵。荷車を引いている男、顔の前で扇子をぱたぱたさせている右のお侍の様子をみると、むこうからの道は相当急な坂道であることがわかる。広重も‘江戸名所百景’のなかで画面の一部に人々が坂道を上ってくる場面を描いているが、この絵では遠近法を使い、広々とみせる空間いっぱいに坂道をイメージさせている。国芳の意表をつく構図も北斎、広重に負けず劣らずすごい。

来年4月、この展覧会が高島屋日本橋店に戻ってきたとき、図録に載っている国芳の‘相馬の古内裏’とか男たちの体によって人の顔がつくられている寄せ絵、‘人をばかにした人だ’などが入っているだろうか?いずれにせよもう一回このコレクションがみれるのは本当に有難い。これで来年の絵画鑑賞の楽しみがひとつ担保されたようなもの。

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