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2008.09.23

練馬区美の高山辰雄展

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現在、練馬区美で開かれている‘高山辰雄展’(前期9/13~10/5、後期10/11~
11/3)を見た。昨年9月、95歳で亡くなった日本画家、高山辰雄はよく日曜美術館にゲスト解説で出演していたので、顔はよく知っている。でも、回顧展に縁がなかったから、画業全体が見えず、これまで鑑賞した作品は両手くらいしかない。

一番慣れ親しんでいるのは東近美の平常展示で定期的にお目にかかる‘いだく’(後期展示)。また、たまに見る‘穹’とか‘北国’(後期)も印象に残っている。

今回は前後期で作品がだいぶ入れ替わり全部で105点展示される。前期は68点(うち30点は通期展示)。人物画でも風景画でも、この画家の描く絵はすごく静謐で神秘的な空気に包まれている。だから、こういう画風の絵がいくつも並んでいるのかなと想像していた。が、展示の前半はまだ複雑なマチエールをもった絵は登場せず、鮮やかな色で平面的に描かれた女性像が多くみられる。

‘高山辰雄は結構カラリストだな’と思いながら進んでいると、ハッとする大きな屏風、‘朝’と‘夕’が現れた。これをみたら絵の好きな方なら誰でもすぐゴーギャンの傑作‘われらは何処から来たのか、われらは何者か、われらは何処へ行くのか’(拙ブログ4/23)を思い浮かべるにちがいない。上はなぜか‘朝’より明るく描かれている‘夕’(右隻)。

母親も女の子も手の描き方が独特。女の子はそんなに手首が曲がるの?というくらいやわらかく曲げているし、母親の方は腹のあたりで交差させている。ともに量感のある体ではなく、子供の絵描きノートに人間のシールを貼ったような感じ。

2階会場の入って2番目と3番目の部屋に飾ってある作品にとても魅了された。心を打つ女性画がいくつもある。背景の土色と同じ色で描かれた猫と少女の顔を無理やり正面にむけているように見える‘少女’(通期)、最も魅了された真ん中の‘青衣の少女’、暗い部屋のなかで幻想的な美を漂わせている女に体がとろけそうになる‘白い襟のある’、うす青の羽をした鳥が少女の手にとまっている‘鳥と’。

‘いだく’のほかにもグッとくる女性像がこんなにあったのか!というのが率直な印象。これまで高山辰雄に対する好み度は中くらいだったが、心の深いところでやわらかくつつかれる感じがするこれらの作品を見て、評価は一気に特Aに変わった。

下の絵はいくつかある風景画のなかで一番長くみていた‘燈’。こんな山奥にも人間が住んでいるのだなと思わせる光景が大きな縦長の画面に描かれている。田んぼの向こうにある家の明かりを幽玄的にみせる緑と霞がかかったようなマチエールを吸い込まれるように眺めていた。

こんな立派な回顧展が500円で鑑賞できるのである。感謝々。後期も期待して出かけることにした。

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コメント

私も今日、出かけてきました。
もわもわとした雪景色の「燈」
灯りって何てやさしいのだろうかと感じました。
時代によって、作風がかわっていて、
それぞれに趣があってよかったです。

投稿: 一村雨 | 2008.09.24 00:14

to 一村雨さん
家族や女性を描いた人物画がこんなに魅力的だった
ことがわかったのがなによりの収穫でした。‘いだく’
がその頂点にたつ絵でしょうが、2階の3番目の部屋
にあった女性画に200%KOされました。

風景画は‘燈’がよかったですね。人の気配が感じ
られるところがすごいです。後期が楽しみです。

投稿: いづつや | 2008.09.24 15:39

こんばんは。

いづつやさん同様
200%満足しました。

投稿: Tak | 2008.10.07 21:49

to Takさん
以前見逃した回顧展のリカバリーに5年かかり
ました。高山辰雄の代表的な人物画や風景画が
やっと見れたかなという感じです。
女性画がとても心に響きますね。

投稿: いづつや | 2008.10.08 00:40

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迂闊であった。藝大美術館の「砂丘」。これは、何回か見たことがあり高山辰雄の作品だと知っていたはずなのに、私の頭の中では、後年の幻想的に微笑む少女たちを描いた「高山辰雄」と同じ画家だとは認識できていなかった。だから、今回の展覧会で、「砂丘」と「日月星辰」...... [続きを読む]

受信: 2008.09.24 00:15

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