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2008.09.22

近代日本の巨匠たち展 その二

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この展覧会には板谷波山のやきものが19点出品されている。ある程度期待していたが、予想を上回る数だった。出光のつとに有名な波山コレクションのなかから、名品がずらっと並ぶとさすがに気分が高揚する。波山がこれだけ多く展示されたのは何年か前にあった回顧展以来ではなかろうか。

今回、近代工芸のパイオニアとして波山と一緒に富本憲吉作品も11点展示してある。これらは2年前、松下電工ミュージアムであった‘富本憲吉のデザイン空間展’で皆お目にかかった。そのとき‘流石、出光。富本作品もきっちり集めているな!’と感心した‘色絵金銀彩羊歯模様角瓶&大飾皿’と‘色絵四弁花文菓子皿’と再会できたのはラッキーであった。冨本憲吉とか板谷波山のやきものはすでに見ているものでも、また会えただけで感激する。

目の前にある波山作品も大半が鑑賞体験があるもの。波山の高い技量と豊かな美意識がそのかたち、デザイン、色彩に現れた名品揃いなので、どれを紹介したらいいか迷う。上は見ごたえのある大作‘葆光彩磁鸚鵡唐草彫嵌模様花瓶’。器面の真ん中にまわりを大ぶりな唐草文にかこまれた鸚鵡が羽を広げている。鸚鵡が羽を広げる文様はあまりみないが、波山は丸い花瓶の形にあわせて独自の鸚鵡文様を創造したのであろう。

この花瓶の青の地も鮮やかだが、これよりもっと惹きつけられるのが真ん中の‘彩磁延寿文花瓶’。目の覚めるような青が美しい桃をいっそう引き立てている。言葉を失う名品である。この二つの花瓶の文様モティーフが東洋の伝統的な吉祥文であるのに対し、下の‘彩磁桔梗文水差’では大きく描かれた花弁の間にデザイン化された桔梗をリズミカルに配している。波山独特の淡い品のある紫の花をうっとりしてみていた。波山は81歳になってもまだこんなみずみずしい作品を生み出すのだから恐れ入る。

これと同じくらい感激するのがアールヌーボーの香りが漂う‘葆光彩磁草花文花瓶’。いくつかヴァージョンがあり、茨城県陶芸美でもほど同じものをみた(拙ブログ05/10/21)。

長年波山を追っかけているから、美術本に載っている代表作はほとんど鑑賞した。ご参考までに波山作品を所蔵している美術館(出光美以外)をあげてみた。

★茨城県陶磁美:彩磁八手葉花瓶、葆光彩磁葡萄文様花瓶など。常設展示室に波山コーナーがある。
★敦井美:彩磁禽果文花瓶(重文)、葆光彩磁花卉文壺など。数は出光美についで多い。敦井美は新潟駅前にある。(住所)新潟市東大通1丁目北陸ビル(ガスビル)
★MOA:葆光彩磁和合文様花瓶、彩磁椿花香炉など。年に1,2回展示。
★泉屋博古館:葆光彩磁珍果文花瓶(重文)、彩磁更紗花鳥文花瓶、葆光彩磁葡萄唐草文花瓶など。最高傑作と言われている‘珍果文花瓶’は年に1回くらいは東京の分館でも展示される。

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